尾崎正直の発言 (農林水産委員会)

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○尾崎参考人 皆様、おはようございます。御紹介をいただきました高知県知事の尾崎正直でございます。
 高知県の森林面積割合は八四%でございまして、全国ナンバーワンであります。高知県の県勢を浮揚するためには、林業の再生が不可欠、林業の再生なくして中山間の再生なし、中山間の再生なくして県勢の浮揚なしということで、林業再生に大変力を入れてこようと努力をさせていただいております。
 そういう中、この森林経営管理法案には大変期待をいたしているところでございまして、きょう、こういう形で御意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたい、そのように思います。
 お手元に「森林経営管理法案への期待」ということで、私の文書を提出させていただいておりますので、こちらに基づいてお話をさせていただきたい、そのように思います。
 まず、一ページをごらんいただきたいと思います。
 林業政策、我々としてまずどういう仕事をしようとしているかということを御説明させていただきたいと思いますが、その前にまず全体として、産業政策全般の考え方についてこちらは述べさせていただいております。
 私ども、高知県産業振興計画というものに基づきまして、産業政策、この十年ぐらい取組を進めてまいりました。人口が自然減状態になったのが平成二年からという高知県でございまして、平成九年、十年ぐらいからは、連年、経済の規模がだんだん縮んでいく、そういう経験もしてまいりました。
 そういう中において、経済の再生を図っていくために、キーワードとして、私どもは地産外商という取組を進めてきたところであります。地に産するものを生かして、付加価値をつけて、外で商って、外から高知県にとっての外貨を稼いでくるんだ、そういうことで仕事をしてまいりました。正直、足元の人口減少が進んで経済規模が縮小する県にとって、内にこもってしまってはじり貧でありますから、外に打って出ていかなければならぬのだ、そういう取組を進めてきたところです。
 ポイントとして、地産の強化を図るために、いかに生産性、付加価値を向上させるか、そのために産学官民連携でさまざまな新技術そして商品開発などを進めてまいりました。また、外商の強化という観点からは、外に売り込むために官民共同のプラットホームをつくって売り込みのお手伝いをさせていただき、そして、人材の確保をしっかりすることが全ての基盤という考え方のもとで取組を進めております。
 重点対象となる産業分野、比較優位にあります一次産業とその関連産業群、さらには、近年でありますと防災関連産業、コンテンツ関連などの新しい産業分野の創出、こちらにも力を入れようとしております。
 二枚目をごらんいただきたいと思いますが、そういう中で、私どもといたしまして、林業分野についても地産外商の考えに従って取組を進めております。
 一、二、三、四、五とそれぞれボックスがありますが、まず一番、原木生産のさらなる拡大を図るために、いかに生産性を上げるかということが大きな課題でございます。
 そして二番目、加工体制の強化と書いてありますが、一言で言えば、A材、B材、C、D材、全てこれを余すことなく加工して活用できる体制をいかにつくれるか、ここが大きな課題であります。
 そして三番目、流通、販売体制の確立ということでありますが、下にTOSAZAIセンターと書いてありますが、官民共同で部材を売り込むための体制を整えています。真ん中にトレーラーの絵もありますけれども、共同で配送していく仕組み、さらに、首都圏などにも流通の拠点となるところを設けさせていただいて、配送体制を整えようとしたりしています。
 そして、あわせて四番目、木材需要の拡大と書いてありますが、CLTの普及を図って何とかB材の活用を拡大できないか、あわせてA材についても需要拡大を図れないか、官民共同で模索をしております。あわせて、木質バイオマス発電所、こちらの誘致を図ることでC、D材の活用も図りたい。
 そして、近年非常に課題となっておりますのが、担い手の育成、確保でありまして、林業を生涯の業として志そうとする若者を育成したいということで、間もなくでありますが、林業大学校が開校をいたします。既に林業学校という形では開校して育成をしておりますけれども、あわせまして、小規模林業、こういう事業家の皆さんの育成にも力を入れてきたところであります。
 三ページをごらんいただきたいわけでありますが、先ほどの川上、川中、川下までの一連の流れの好循環をいかにつくり出していくことができるかということが、私どもにとっての大きな課題であります。
 そういう中で、左側にあります取組の成果というところに書かせていただいておりますが、だんだん、それぞれの分野におきまして、この循環の流れが太くなるような傾向も見られるようにはなってまいりました。
 まず、川上でありますが、原木生産のさらなる拡大を図るために、高性能林業機械の導入、路網整備などを推進し、素材生産量は、平成二十二年ぐらいまでは年間四十万立米ぐらいにとどまっておりましたけれども、現在これが六十二万を超える、間もなく六十五、六万ぐらいにはいくのではないか、そういう状況であります。
 一番ボトルネックでありましたのが、川中の加工体制でありました。特に、A材、B材の加工体制が著しく脆弱というところがありました。こちらにつきまして、県外からの企業誘致も含め、さらには県内事業者の皆様方の体質強化ということも含め、大変力を入れてまいりました結果、大型製材工場の整備が進み、さらにはラミナ工場の整備なども行われということでございまして、それぞれ、そちらにありますような形で原木消費量も拡大し、県産材品の出荷量なども拡大傾向にあります。
 そして、流通体制につきましても、トレーラー等による流通効率化、これを図るべく、共同配送などの取組も行ってきています。
 やはり大事なことは川下の需要をつくり出すことだということでございまして、木材需要の拡大のために、特にCLTによる木材需要の拡大ということに大変期待をさせていただいておりまして、県内でも、今、これまでに十棟のCLT建築物をつくって、技術の蓄積に努めているところでありますし、そして、あわせまして、全国的にもこれを普及拡大させたいということで、CLT首長連合というのもつくりまして、都道府県、市町村、全部で百十の自治体の首長さんから成る首長連合をつくったり、さらには、経済同友会の皆さんとも連携をさせていただくなどして、このCLTの普及促進のための取組などに努力をさせていただいてまいりました。
 右側をごらんいただきたいと思いますが、さらなる飛躍に向けて、それぞれの過程でのボトルネックの解消と、あわせて、全体最適化を図っていくということが非常に大きな課題であります。
 川上分野でいえば、いかにして更に林地集約化をして効率的な生産体制を整えるか、生産性を向上する、さらにはコストの低減を図っていくための前提としての林地集約化をどう進めるか、これは大変大きな課題でございます。そして、担い手育成、確保、人手不足の中で林業を志す若者たちをいかに確保し、育てるか、これも大変大きな課題であります。
 製材という観点からも、特に中小零細企業の製材事業者さんの方々が大変多うございます。そういう方々にとって、規模での勝負ではなくて付加価値の勝負という形、例えば、高付加価値なA材品をつくれるような体制をいかにつくっていけるか、そういうことでいかに先々の展望を開けるようにするか。こちらについて、官民共同で事業戦略づくりのお手伝い、設備投資のお手伝いなども通じてバックアップさせていただこうとし、さらにもう一点、需要に応じた製品の供給力の向上が非常に課題だと考えています。A材の需要の拡大を図る、さらにはB材の需要の拡大を図る、それぞれの用途に応じた材を提供できる体制をいかにつくれるか、ここも大きな課題であります。
 さらに、一番下にあります川下でございますが、CLT等を核とした非住宅建築物の木造化、木質化の推進を図っていくために、いかにこれを全国的な課題として、しかも民間の、民需に火をつける形で取組を進められるかどうかということについて、繰り返しになりますが、経済同友会、さらにはCLT首長連合、こういう取組などを通じて働きかけをさせていただこうとしています。そして、もう一つ、このCLTなどを核として、いわゆる躯体、構造体において木材が使われるようになっていくこととあわせて、ぜひ、内装材、こちらなどでももう一段木が使われるように持っていけないか。そういうことを通じて、極めて高付加価値なA材需要の拡大ということを実現していくことができないものか、そのように考えているところであります。
 こういうことを通じて、A材、B材、あわせて、残余のC、D材については、いわゆるエネルギー燃料として使う、NASという取組などを通じて木の需要が抜本的に拡大することができれば、川下が牽引する形で、川上、川中、全体としての林業のパイプが太くなるということとなっていけるのではないか、そのように考えています。
 四ページをごらんいただきたいと思います。
 そういうことで、この上段にございますように、川上から川中、川下に至るまでのサプライチェーン、これをいかに最適化していくかということに知恵を絞ってきたわけでありますけれども、理想となる姿、目指すべき姿と左上に書かせていただいていますが、理想となる姿というのは、正直なところ、この川下と川中がジャスト・イン・タイムで結ばれて、川上と川中もジャスト・イン・タイムで結ばれて、川下の需要に応じて川上の方で施業できる、ゆえに、もってして無駄な在庫を持たなくて済む、商機を無駄にすることもないようにする、こういう姿を実現するということかと思います。
 これは、普通、多くの製造業では、こういうことを目指して、供給のサプライチェーンの最適化を図るべく努力をされているわけでありますが、林業の場合、これを実現しようとするときに、幾つかのボトルネックがあると考えております。
 左下にございますように、一つは、原木供給の不確実性であります。これがあるがゆえに、例えば、コストが定まらない、納期が定まらない、結果としてやはり川下で他の建材に負けるということもあり、結果として割高になったりするということもあり、なかなか木が使われないという経験があります。そういう中で、森林経営管理法案によって集約化がされて原木供給の不確実性を減ずることができれば、さらにコストの削減を図ることができれば、これは大いにボトルネック解消につながっていくだろうと思います。
 そして、川下分野では、先ほど来申し上げておりますが、川上とあわせ、さらなる木材需要の拡大ということが大変重要なわけでありますが、この森林経営管理法案によって集約化が進むことで納期の確実性が高まり、コストが低減されるということとなれば、他の建材に比べても競争力が高まって、結果として川下の需要拡大ということにもつながっていくのではないかと期待をいたしております。
 そして、五ページをごらんいただきたいと思いますが、現在、日本は人工林が非常に多うございます。高知県も七割ぐらいが人工林という状況であります。
 もう言うまでもないことでありますが、人工林は人が手を加えることでもってその生態系を守ることができる、そういう側面があります。ただ、上に矢印で書いてありますように、木材価格の下落によって森林所有者の経営意欲の減退があり、手入れ不足の森林が増加した結果、森林の荒廃、そういうことも進んでまいっておりました。集約化によって施業の効率化がされ、木材需要が拡大することで林業を業として再生することができれば、植栽、間伐、皆伐、この一連の流れができて、全体として生態系は守り続けられる、環境にとってよい姿が実現できるということではないかと考えております。
 この森林経営管理法案、こういう形で大変期待をいたしておるところでございますが、六ページをごらんいただきたいと思いますけれども、こちら、実際の運用に当たっての要望が私どもとしてございます。
 まず一番目でありますが、ぜひ市町村が円滑に運用できる制度設計をお願い申し上げたい、そのように考えております。
 高知県内では林業専任の職員がゼロの市町村が半分以上という状況でございます。さらに、右側の表を見ていただければ、市町村で専任職員は三十一人しかおりません。これに対し、県の職員は百九十五名おるということでありまして、やはり県がしっかりと市町村をバックアップすることが大事だと思っています。
 ただ、あわせまして、左側にございますように、今後市町村の業務を定めるに当たられましては、例えば、他の市町村に住所がある所有者の照会事務など市町村相互の情報共有を可能とするなどといった形で、効率的に人員が少ないことに合わせた協業共同体制をとれるような仕組みをぜひ御検討いただきたいと思いますし、人手が少ないからこそ、スマート林業の推進が非常に重要であります。こういうことのバックアップもぜひお願いを申し上げたい、そのように思っております。
 そして、あわせまして、新たな森林管理システムとあわせまして、木材需要拡大策をぜひ強力に展開していただきたい、そのように考えております。木を建材として使うに当たっての規制緩和の推進でありますとか、工事において積極的に木を使う取組を推進していただくことでありますとか、さまざまな取組を既に進めてきていただいておりますが、ぜひとも、今後ともその取組を大いに進めていただきたい、そのように考えるところです。
 もとより、私ども県といたしましても、この新たな仕組み、森林経営管理法案に基づく新たなシステムの展開に当たって、一生懸命努力をさせていただきたいと思っています。
 七ページにございますように、私ども県といたしましても、既に、林地台帳システムを県が整備して市町村へ提供するでありますとか、さらには人材育成に大いにかかわるでありますとか、努力をいたしております。今後、代替執行につきましても積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えておるところでございます。
 森林経営管理法案に大変期待をさせていただくという立場から御意見を述べさせていただきました。
 貴重な機会をいただきまして、まことにどうもありがとうございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 尾崎正直

speaker_id: 13440

日付: 2018-04-12

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会