林芳正の発言 (文部科学委員会)
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○林国務大臣 百九十六国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
現在、安倍内閣においては、人生百年時代やソサエティー五・〇の到来を見据えた経済社会を大胆に構想する中で、一億総活躍の旗を更に高く掲げ、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくため、内閣一丸となって人づくり革命を断行し、生産性革命を実現することを最大の使命としています。文部科学省が担う教育再生、科学技術イノベーション、スポーツ、文化の振興は、人づくり革命や生産性革命において中核を担うものです。
こうした基本認識のもと、何よりもまず、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い教育を受けられるよう、昨年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージに基づき、施策の具体化に向けて関係府省と十分に連携を図りつつ、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育の無償化、負担軽減を進めます。
幼児教育の無償化については、平成三十年度政府予算案において年収約三百六十万円未満相当世帯の保護者負担の軽減を図った上で、二〇二〇年度を目指し、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育を無償化すべく、一気に加速させます。また、幼稚園の預かり保育等の無償化措置の詳細について検討するため、有識者による検討会において本年夏までに結論を得ることとなっており、文部科学省としてもしっかりと検討に参画してまいります。
高等教育については、平成三十年度政府予算案において、授業料減免は一万七千人増、給付型奨学金は新たに二万人への支給を図ります。その上で、二〇二〇年度からは、真に支援が必要な子供たちの高等教育の無償化として、大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校を対象に、授業料減免を全ての意欲ある住民税非課税世帯の子供たちが対象となるよう拡充し、給付型奨学金は、支援を受けた学生が学業に専念できるよう、学生生活を送るのに必要な生活費を賄うため、支給額を大幅にふやします。また、住民税非課税世帯に準ずる世帯の子供たちについても、必要な支援を行います。
これらの措置は、支援を受けた子供たちが大学等でしっかりと学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようにすることを目的とするものです。詳細な制度設計については、新しい経済政策パッケージに基づき、本年夏までに結論を得るべく検討を進めます。
さらに、二〇二〇年度までに、年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化を実現します。また、高校生等の奨学給付金の充実にも取り組みます。
あわせて、リカレント教育や実践的な職業教育を拡充し、生涯にわたって学び続け、新しいチャレンジができる機会の確保を目指します。
安倍内閣が働き方改革を実行する中で、学校においても教師の長時間勤務の要因を見直し、働き方改革を実行するため、昨年末にまとめた緊急対策に基づき、教職員定数の改善充実等の取組を通じ、学校現場を積極的に支援してまいります。
ソサエティー五・〇の実現には、人工知能、ビッグデータ等の研究開発、活用に加え、社会を先導する人材やいかなる変化の中でもたくましく生き抜く人材の育成が不可欠です。具体的な社会像を描きつつ、文部科学省としていかに取り組むべきか議論し、実践に移してまいります。
また、第二期スポーツ基本計画を着実に実行し、全ての人々がスポーツをする、見る、支える機会を確保し、一億総スポーツ社会の実現を目指します。
さらに、文化資源を生かした社会的、経済的価値の創出を強力に実行し、文化芸術基本法の施行や京都への移転を機に、新文化庁へ向けた機能強化を図るため、今国会において所要の法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。
これらの施策を着実に実行するために、引き続き、再就職等規制違反の再発防止策の確実な実行、政策立案機能や広報機能の強化、業務改善や職員の意識改革などを進めるとともに、本年には、文化政策の総合的な推進のための機能強化や教育行政を総合的に推進するための機能強化などを目指して、文部科学省の組織再編を行います。
東日本大震災や平成二十八年熊本地震等については、就学支援、児童生徒の心のケア、学習や学校再開への支援等を始め、復興を支える人材育成、大学、研究機関による地域再生への貢献、学校施設や文化財の復旧など、被災者の心に寄り添った復興を更に加速します。また、原子力損害賠償についても万全を期すとともに、除染や廃炉に関する研究開発や人材育成を着実に進めます。さらに、原発事故の避難者を始めとする東日本大震災により被災した児童生徒に対するいじめについては、関係機関とも連携して必要な取組を行ってまいります。
教育再生は、安倍内閣の最重要課題の一つです。教育再生実行会議のこれまでの提言を踏まえ、教育再生の実現に向けて必要な施策を推進するとともに、その進捗についてしっかりとフォローアップを行ってまいります。
我が国が持続的に成長、発展するには、一人一人の能力や可能性を最大限引き出し、多様な個性を伸ばす教育が不可欠です。これを実現すべく、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革に向け、業務の役割分担、適正化を進めるとともに、平成三十年度政府予算案において、小学校における質の高い英語教育のための専科指導等に必要な教職員定数の改善充実、部活動指導員等の専門スタッフや外部人材の配置拡充などを一体的に推進します。
急激な時代の変化に対応できる人材育成が求められている中、人づくりを担う教師の資質能力向上を図ることが必要であり、教師の養成、採用、研修の一体的改革を着実に進めます。
新しい時代に求められる資質、能力を子供たちに育むため、社会の変化を柔軟に受けとめていく、社会に開かれた教育課程の実現に向けて、幼小中の新学習指導要領等の趣旨を広く周知するとともに、今後、高等学校学習指導要領の改訂を行ってまいります。
また、教育の情報化を推進し、とりわけ、新学習指導要領を踏まえた主体的、対話的で深い学びの視点からの授業改善や、障害等により教科書での学習が困難な児童生徒の支援のため、必要に応じてデジタル教科書を通常の紙の教科書にかえて使用することができるよう、今国会において所要の法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。
また、質の高い幼児教育の提供、地域と学校の連携、協働の推進、四月からの特別の教科道徳の実施、いじめや不登校への対応、SNS相談体制の構築、フリースクールなど多様な場で学ぶ子供への支援、夜間中学の設置、充実、家庭教育支援の充実、学校安全の推進などにしっかりと取り組みます。
座間市の事件も踏まえ、児童生徒の自殺予防の取組やインターネットを通じたトラブル等を回避するための取組、スクールカウンセラー等の配置拡充などに取り組みます。
また、指導体制の充実を通じた学力課題解消へ向けた取組や福祉機関との連携強化、地域未来塾等による学習支援、地域における読書・体験機会の提供など、子供の貧困対策を推進します。
今後更に加速していくグローバル社会を見据え、外国語教育や在外教育施設における教育、外国人児童生徒等への教育、高等学校、大学等における留学生交流のさらなる充実、日本型教育の海外展開、持続可能な開発のための教育等のユネスコ活動、国際バカロレアなどを推進します。
学校施設は、子供たちの学習、生活の場であり、災害の避難所としても重要な役割を果たすことから、その安全性、機能性の確保は不可欠です。そのため、深刻な老朽化への対策、耐震化等の教育環境の整備を推進します。
国の知的基盤である大学においては、十八歳人口の減少を見据えた高等教育のシステム改革、イノベーション創出と生産性向上に向けた教育研究の質の向上、格差の固定化を阻止するための高等教育へのアクセス格差の是正の三つの改革を一体的に進めます。
また、グローバル人材の養成、指定国立大学法人による国際競争力の強化、地方創生を担う人材育成、高等専門学校や専修学校等における教育の充実、専門職大学等の創設に向けた取組を推進します。このためにも、国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成など基盤的経費を安定的に確保し、改革を進める大学を重点的に支援します。
さらに、高等学校教育、大学教育及び大学入学者選抜を一体的に改革する高大接続改革に取り組みます。
障害者が一生を通じてみずからの可能性を追求できるよう、福祉等の部局と連携した切れ目のない支援体制の構築や、障害のある子供の自立と社会参加に向けた特別支援教育の充実、障害者の生涯にわたる多様な学習活動の充実に取り組みます。
これらの教育再生に向けた取組を着実に実現するため、今後五年間を計画期間とする第三期教育振興基本計画を策定し、これに基づく施策を実行するとともに、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実に努めてまいります。
我が国が将来にわたって成長と繁栄を遂げるためのかなめは、科学技術イノベーションです。我が国の科学技術イノベーションの中核を担う文部科学省として、第五期科学技術基本計画に基づき、世界で最もイノベーションに適した国を目指します。基本計画で掲げる政府研究開発投資目標の達成に向け、科学技術予算の確保に努めます。
科学技術イノベーションを担い、未来を切り開くのは人材です。国際的研究活動の重要性を踏まえ、すぐれた若手研究者の育成、確保や、将来を担う人材の育成、女性研究者の支援等に取り組みます。
持続的なイノベーションの創出には、その源となる学術研究、基礎研究が極めて重要であり、これを強力に推進します。また、物質科学等を支える最先端の研究基盤を始めとする大型研究施設等の整備、共用を促進するとともに、光・量子技術等の新たな価値創造のコアとなる分野の研究開発を進めます。加えて、特定国立研究開発法人を始めとする国立研究開発法人を中核として、世界最高水準の研究活動を進めます。
人材、知識、資金の好循環システムの構築に向けて、大学等のマネジメント機能強化や産学官共創の場の構築によるオープンイノベーション、地域のイノベーション創出、革新的、挑戦的な研究開発を進めます。
ポスト「京」などの情報科学技術や、我が国が強みを持つナノテクノロジー・材料等の研究開発、再生医療や感染症等の研究開発、地震、津波、火山等の防災・減災に関する研究開発、環境・エネルギーに関する研究開発、ITER計画等の核融合研究などを進めます。
さらに、先日開催した国際宇宙探査に関する閣僚級会合ISEF2において取りまとめた東京原則に沿って、今後の国際協調による宇宙探査を進めるとともに、H3ロケットの二〇二〇年度初号機打ち上げを目指した実機製造を含め、宇宙・航空分野の研究開発や、海洋・極域、原子力に関する研究開発など、国主導で取り組むべき基幹技術を推進します。
「もんじゅ」については、廃止措置計画等に基づき、地元の声にしっかりと向き合いながら、安全、着実かつ計画的に廃止措置を進めてまいります。
スポーツには、体を動かし楽しむだけでなく、人を夢中にさせ感動させる力があります。また、文化は、我が国のアイデンティティーを形成する源であり、世界に誇る重要な資源です。
平昌冬季オリンピック・パラリンピックでは、日本人選手が大いに活躍し、特にオリンピックでは、冬季大会として過去最高の獲得メダル数となりました。我が国で開催される二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、国際競技力向上やドーピング対策、新国立競技場の着実な整備など大会に向けた取組を強力に進めることはもとより、スポーツの機運が高まる中、次世代に誇れるレガシーを創出する視点で、スポーツを通じた健康増進やスポーツの成長産業化、地域活性化、障害者スポーツの振興、学校体育の充実、国際協力、貢献等に取り組みます。また、スポーツの価値を損なう事案が相次いでいますが、関係団体と連携しながら教育、啓発等を推進し、クリーンでフェアなスポーツの実現に努めてまいります。
文化芸術は、無限の可能性を秘めています。二〇二〇年東京大会の成功に向け、文化プログラムを全国で展開し、日本遺産等のさまざまな文化資源を活用しながら、伝統文化から現代芸術まで幅広い文化による国づくりをオールジャパンで推進します。また、文化財を町づくりに生かしつつ、地域社会総がかりでその継承に取り組むことができるよう、地域における文化財の計画的な保存、活用の促進等を図るため、今国会において所要の法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。さらに、文化経済戦略や文化芸術推進基本計画を着実に実行します。
デジタルネットワーク化の進展に対応すべく、著作権制度において柔軟な権利制限規定や教育の情報化に対応した権利制限規定を整備するため、今国会において所要の法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。
本年は、明治元年から満百五十年に当たる節目の年です。私としては、来るべき新しい時代をつくるため、文部科学行政全般にわたり、信頼の回復に努めつつ、人づくりを始めとした諸課題の解決に着実に取り組む考えです。
引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)