畑野君枝の発言 (文部科学委員会)
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○畑野委員 日本共産党を代表して、著作権法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
現行著作権法は、権利制限の要件を個別具体的に列挙しています。しかし、改正案は、柔軟な権利制限規定を創設し、権利保護と著作物の利用とのバランスを確保してきたこれまでの法の枠組みを大きく変えるものです。
柔軟な権利制限規定は、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」などという抽象的なものでしかありません。これでは適法性の判断が困難になり、権利侵害や不公正な著作物の利用が助長されかねません。
電子計算機による情報解析などの著作物の利用は、現行法では、統計的な解析に限って無許諾で著作物の記録が許されています。しかし、改正案では、統計的にとどまらず、幾何学的、代数的な解析も無許諾で可能となるなど、権利制限の範囲を拡大できることになります。
権利者団体から、利用者が拡大解釈した権利侵害が横行し、いわゆる居直り侵害者の蔓延を招くなど、懸念の声が上がっています。
法案は、著作物の利用について、「軽微」、「必要と認められる限度」、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」などの規定を設けていますが、その判断は結局、司法に委ねられることになります。積極的に訴訟を提起する土壌のない我が国では、権利侵害に泣き寝入りせざるを得ない著作権者がふえるだけではありませんか。
今回の改正は、第四次産業革命を標榜する安倍政権のもとで、AI、IoT、ビッグデータを活用したイノベーションを創出しやすい環境の整備を求める産業界の都合を優先し、著作権者の権利を犠牲にするものにほかなりません。
質疑でも明らかになったように、現行の権利制限規定のもとで訴訟が増加するといった法改正を必要とする具体的事実は認められません。にもかかわらず法改正を推し進めるのは、新たなイノベーション創出のため、ビッグデータなど著作物を含む大量の情報の利用に際し、その都度著作者の許諾が必要となるリスクを回避したい産業界の要請にほかなりません。
権利保護と著作物の利用とのバランスを確保してきたこれまでの法の枠組みを、抽象的な権利制限規定で崩すことは許されません。
なお、改正案には、マラケシュ条約締結に必要な規定の整備が含まれていますが、これは当然の措置です。
以上、反対討論といたします。