安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 古本伸一郎議員にお答えをいたします。
消費税率引上げの延期判断についてお尋ねがありました。
消費税率八%への引上げによって、個人消費が落ち込むなど、予想を超えた影響を及ぼしたことから、一〇%への引上げについて、二〇一四年に一回目の延期判断を行いました。
また、二〇一六年の二回目の延期判断については、当時、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を総動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取組に万全を期すべきであることから、延期を判断したものであります。
消費税率を引き上げた結果、経済が腰折れをしてしまっては元も子もありません。失業率が上がり、新卒者が就職の機会を失えば、本人は将来にわたって大きな困難を抱えることになりますし、また社会にとっても大変な損失であります。私たちは、二度と就職氷河期をつくるわけにはいきません。
これまで二度、引上げを延期してまいりましたが、この間、しっかりと三本の矢の政策を進めてきた結果、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが四年連続で実現し、消費も、GDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移するなど、持ち直しております。また、正規の有効求人倍率も過去最高となっています。
このような中、今回の消費税率の一〇%への引上げに当たっては、その使い道を見直し、子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当することとしました。そのことについては、さきの総選挙で信を問い、国民の理解をいただいたところです。
こうした経済を全体として見れば、延期の判断が誤りであったとは考えていません。
消費税の使い道についてお尋ねがありました。
社会保障と税の一体改革における三党合意については、少子高齢化が進展する中で、社会保障の持続可能性確保と財政健全化と同時に達成する観点から、合意がなされたものです。
政府としては、消費税法で定められたとおり、消費税収を社会保障四経費に充て、具体的な使い道について、毎年度の予算として、国会の場で与野党の皆様に御議論をいただいて決定してきました。その上で、今般、急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行することとしました。
このため、消費税の使い道を見直すこととし、幼児教育の無償化や、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を拡充するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。
この見直しは、社会保障と税の一体改革の延長と位置づけられているものであり、さらに、国民の皆様に信を問い、理解を得たものです。国民の皆様とお約束したこれらの政策の実現に万全を期してまいりたいと考えております。
幼児教育の無償化と介護の充実についてお尋ねがありました。
幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要です。幼児教育が将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすことを示す、世界レベルの著名な研究結果もあります。
さらに、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由です。
こうしたことから、今般、所得制限を設けることなく、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとしております。これらについては、同じ理由から、全国で実施することが必要であると考えます。
大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。また、幼児教育に係る負担軽減措置を講じることは、重要な少子化対策の一つであると考えています。このため、今回、国民の信を問い、理解を得た上で、消費税の使い道を見直すこととしました。
介護については、介護離職ゼロに向けて、二〇二〇年代初頭まで、五十万人分の介護の受皿を整備します。また、その大きな目標に向かって、介護人材確保への取組を強化します。さらに、他の産業との賃金格差をなくしていくため、介護人材のさらなる処遇改善を進めてまいります。
こうした取組により、子育て、介護など、現役世代が抱える大きな不安を解消し、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へと改革することにより、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての日本人がその可能性を存分に開花できる一億総活躍社会を実現してまいります。
社会保障と税の一体改革に関する三党合意についてのお尋ねがありました。
社会保障と税の一体改革は、三党合意を経て成立した各般の法律の枠組みに沿って、社会保障の充実、安定化と同時に重点化、効率化を進めるなど、着実に実施してきています。
その上で、今般、少子高齢化を克服するため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図ることとしました。
これは、少子高齢化が進展する中で、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化と同時に達成することを目的とする社会保障と税の一体改革の延長と位置づけられ、三党合意において与野党間で共有された大きな考え方と共通しているものと考えています。
給与所得控除の見直しと金融所得課税等についてお尋ねがありました。
給与所得控除については、主要国の概算控除額と比べて過大となっていること等を踏まえ、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げることとしました。ただし、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっています。
御指摘のサラリーマンの経費認定に関し、特定支出控除制度については、これまでも、特定支出が給与所得控除額の二分の一を上回る場合には控除できるようにするなど、使いやすくするための見直しを行ってきたところですが、更に、今般の見直しに際し、控除できる特定支出の範囲を拡充することとしたところです。
給与所得控除を含め、今後の個人所得課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、個人の負担に直結するものであることから、累次の改正の影響も見きわめつつ、国民の理解を得ながら、引き続き丁寧に議論を進めていくとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えております。
御指摘の金融所得に対する課税のあり方については、平成三十年度与党税制改正大綱において、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討するとされているところであり、丁寧に検討する必要があると考えています。
また、資産課税については、再分配機能の回復を図るため、平成二十七年から相続税の最高税率を引き上げるなどの見直しを行ったところです。今後のあり方については、これまでの改正の効果を見きわめるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕