黒岩宇洋の発言 (本会議)

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○黒岩宇洋君 無所属の会の黒岩宇洋です。
 私は、無所属の会、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合六会派を代表し、ただいま議題となりました政府提案の平成三十年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を弁明いたします。(拍手)
 冒頭、本日の予算委員会での強行採決に対し、断固抗議をさせていただきます。
 予算という国民生活に直結する重要な議題を十分に審議せず、途上で打ち切るという手法は、国民に対する不誠実さのきわみであり、予算委員会における説明責任を放棄したも同然です。これこそ、安倍一強支配の弊害の産物であり、国民の声が届かない立法府の現状を象徴する対応であったと憤りを禁じ得ません。
 このような手段、プロセスで予算の衆院通過を図ることは、到底国民が納得しないということを強く指摘させていただきます。
 また、この強行採決という暴挙を是認した予算委員長の議事整理は、許されるものではありません。にもかかわらず、予算委員長解任決議案が否決されてしまったことも、甚だ遺憾であります。
 予算委員長は当然、与野党の別なく、公平な立場で委員会を運営することが責務であり、その責任を全うされなかったことにも改めて抗議し、今後このような委員会運営を厳に慎んでいただきますことを、この本会議場で訴えさせていただきます。
 次に、安倍総理みずから、今国会を働き方改革国会と銘打ったわけですが、その働き方改革の最大の柱であり、与野党間、労使間で最も課題が山積する裁量労働制に関する平成二十五年度労働時間等総合実態調査の不適切データ問題に関し、予算委員会での審議が余りにも不十分だったことについても、断固抗議をいたします。
 この問題は、予算委員会質疑初日の一月二十九日、安倍総理の答弁が改めて口火を切りました。
 厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもあるということは御紹介させていただきたいと思います、この答弁です。この日から本日まで丸一カ月、すなわち予算委員会質疑の冒頭から審議打切りまで、終始議論し続けられ、予算委員会の多くの時間を割くこととなりました。
 しかし、審議すれば審議するほど、議論が深まるどころか疑問は広がり続け、厚労省は、私ども野党が求める不適切データの実態、検証などの要請には全く応えず、今日を迎えております。
 そこで、この労働時間等総合実態調査をめぐる主な二つの問題点を指摘させていただきます。
 一番目の問題は、何といっても、比べてはいけないデータを比較してしまったことであります。さらに、その比較を、三年前、平成二十七年三月二十六日、当時の民主党厚労部会で公表したことです。ここから、一般労働者の一日の労働時間九時間三十七分、裁量労働企画業務型が九時間十六分で、裁量労働制の方が短いという結果と、そして数字がひとり歩きを始めました。
 本予算委員会を通じて判明いたしましたが、一般労働者については最長の者を選び、また労働時間の算出方法は、法定外労働時間に単純に法定労働時間八時間を足すというものでした。片や、裁量労働制については平均的な者の労働時間ということで、全く違う条件で得られたデータを比較したわけであります。
 この比較を民主党部門会議に提示した経緯と理由を予算委員会で厚労大臣に問うても、大臣は曖昧な答弁に終始してまいりました。しかし、予算委員会で、この実態調査の調査、集計、分析のどの作業においても、厚労省担当課の管理下で行われ、担当課が誰よりもこのデータの意味合いを理解していたことが明らかになりました。
 捏造とは、辞書によれば、実際になかったことを故意に事実のように仕立て上げることとあります。自民党幹部いわく、高校生でもわかる、やってはいけない比較を、その内容を最も熟知した厚労省が行ったことは、過失ではなく、明白に故意であります。これを捏造と言わずして、何を捏造と言うのでしょうか。
 二番目は、データの信頼性です。
 予算委員会当初は、一般労働者の法定時間外労働十五時間超、すなわち、一日の労働時間が二十四時間を超えるものが九件あること、一日の法定外時間と週と月の法定外労働時間の整合性がとれないという不適切事例が指摘されました。
 その後も、野党側のデータ精査によって次々と問題点が見つかり、厚労省も後手後手に回りながら、一般労働者の労働時間一日二十四時間超の件数が十五件、日と週と月の労働時間数でつじつまの合わない事例が百十七件、週と月の法定外労働時間が記入されているのに一日の最長の法定外労働時間がゼロの件数が二百三十三件と、不適切データを認めました。
 このほか、裁量労働制で平均な者と最長の者のうち、一日の労働時間が一時間以下のものが二十七件、一般労働者の日と週と月のいずれかに時間が記入されているのにもかかわらず、またいずれかがゼロとなっているという不自然なデータも五十件以上、野党から指摘されています。
 既にデータとしての信頼性は損なわれていますし、今後さらに荷崩れを起こす可能性が高いことは明らかでしょう。我々は、総理の答弁のみの撤回ではなく、データの撤回、ひいては実態調査そのものの撤回を求める次第であります。
 そこで、今動議においては、平成二十五年度労働時間等総合実態調査の再実施を含む裁量労働制についての全般的な再調査を行う歳出も計上いたしております。再調査を強く求め、裁量労働制については労政審での審議のやり直し、働き方改革法案からの切離し、出し直しを重ねて強く求めます。そのためには、安倍総理、総理の、立ちどまり、一歩後ろに戻る決断が必要なんです。これが働く現場からの声です。そして、多くの国民の願いなんです。
 それでは、ここから編成替えを求める理由を申し述べます。
 安倍総理はアベノミクスについて過去どう説明していたのでしょうか。五年前の予算委員会では、こう得意げにおっしゃっていらっしゃいました。「インフレ期待に変わっていくことによって、言わばお金を持っているよりも投資をしなければいけない、物の値段も上がっていきますから来年買うよりも今日買ってしまおうかと、こうやって消費もだんだん活発になっていくわけであります。デフレマインドをインフレマインドに変えるためには、これは絶対的に大胆な金融緩和が必要であると、こう考えたわけであります。」こうおっしゃっておられました。
 さて、結果はどうでしょう。
 毎月勤労統計調査によると、二〇一二年に一〇四・八であった実質賃金指数は、二〇一七年の速報値で一〇〇・五まで低下をしております。
 家計調査によると、世帯で見た収入、支出の実質指数も低迷しています。二〇一二年一—三月期から十—十二月期まで一〇三から一〇四の間で推移していた収入の実質指数は、二〇一六年十—十二月期から二〇一七年四—六月期まで一〇〇を割る水準を記録しました。二〇一二年一—三月期から十—十二月期まで一〇三から一〇六の間で推移していた支出の実質指数は、二〇一五年七—九月期から一〇〇を割り続け、それ以降、一〇〇を超えたのは二〇一七年四—六月期一回のみです。
 そのような中、消費は振るわず、特に個人消費は五年間横ばい、二〇一七年の名目経済成長率は一・四%、実質経済成長率は一・六%、直近の二〇一七年十—十二月期の経済成長率は、年率換算で、名目マイナス〇・一%、実質〇・五%にすぎません。これまで名目を強調してきた安倍総理も、最近は余り触れなくなっています。しかも、これは、GDPの基準改定により上げ底された数字です。
 誰も、物の値段が上がるから、来年買うよりもきょう買ってしまおうかとはならず、物の値段が上がるなら何とか節約しようとなり、物は売れず、消費は伸びず、物価も上がらないという結果になったわけです。五年もたってこのような状況なわけですから、総理の考えが物の見事に外れたことは明々白々であります。
 今こそ、アベノミクスからの経済政策の転換が必須です。人への投資と地域活性化を経済政策の柱に置き、国民一人一人の能力を最大限伸ばし、それを発揮できる環境を整えること、それぞれの地域の知恵を最大限発揮できるようにする仕組みづくりをしていくことが、今求められております。
 安倍政権は、人への投資を重視するかのようなことは言いますが、口先だけであり、箱物偏重の予算構造を変えようとはしません。また、政府提出予算案には、不要不急の事業や必要性の疑われる事業が多数見られます。代表的なものとしては、補正予算と当初予算を合計すると概算要求額すら上回る予算などが挙げられます。こうした予算を適正化し、人への投資に最大限、重点配分を行うべきです。
 次に、編成替えの概要を御説明いたします。
 第一に、人への投資に〇・四兆円程度の予算を振り向けます。
 具体的には、小中学校の給食費無償化に向けた負担軽減に〇・二兆円程度を計上いたします。
 昨今は、経済的な格差が教育の格差を生み、更に経済的格差を助長するという負の連鎖が問題視されております。小中学校という義務教育時においては、学校教育に不可欠な給食費を無償化することにより、家庭の教育費負担を軽減いたします。経済的格差を縮めることこそ教育格差を是正し、誰しもに安心して教育を受けられる環境を整備いたします。
 また、所得制限なしの高校無償化を推し進めてまいります。
 民主党政権時導入された高校無償化を、自民党はばらまきと強く批判をしておりました。しかし、政権がかわっても、所得制限つきながら高校無償化が存続しているのは、その有用性を現政権も認めざるを得なかったからでしょう。高校進学率が九九%にも上る現在、どの家庭にとっても高校の無償化は喜ばれ、そして既に定着しております。
 ただ、所得制限がかけられているというのは財政上の理由でしょうが、高校の現場にはゆがみをもたらしているのです。授業料を納付するかしないかで、家庭の所得の違いが明らかになります。この状況は、多感な高校生にとって、よりよき環境とは言えないでしょう。私どもは、このゆがみを是正するべく費用を計上いたしました。
 そして、保育士等の給与引上げの拡充を実施するために〇・二兆円程度の費用を計上いたします。
 政府も保育士等の処遇改善に努めていることは承知しております。ただ、問題は二つあります。
 その一つは、政府が示す月額給与の処遇改善額ほど実際の給与が上がっておりません。
 政府は、平成二十五年度から二十八年度にかけて月額約二万六千円の処遇改善策を講じていますが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、平成二十四年の保育士の月給、給与は、平成二十八年までの四年間で約九千円しか上がっておりません。年収に換算しても、年額十一万七千円のアップにとどまります。すなわち、処遇改善策の月額二万六千円と大きな乖離が生じているのです。
 二点目は、処遇改善されても、全産業の平均給与との差は依然として大きいということです。
 平成二十八年で見ても、全産業に比べ、保育士の給与は月額十一万円も下回っています。これでは保育士等の確保がままならないのは当然です。結果、保育所はあっても、保育士が不足して子供を預けることができない。待機児童解消の大きな妨げになっています。
 これは、単に待機児童問題にとどまらず、多くの子供を抱える女性、そして男性の就労の妨げになっているのです。働き方改革にもつながる重要な課題であり、子育て中の方たち、特に女性、高齢者の労働市場参入が我が国の生産性を高める大きな方策ですので、保育士等の給与引上げはさらなる拡充が求められます。裁量労働制の対象拡大を図るより、はるかに効果的な生産性革命になるのではないでしょうか。
 第二に、一括交付金を〇・七兆円規模で復活させるとともに、見合いの交付金、補助金を廃止、縮減いたします。
 民主党政権下で導入した一括交付金は、霞が関支配、政官業の癒着の温床と指摘されてきたひもつき補助金から、地方自治体にとって自由度が高く創意工夫を生かしやすい交付金にかえることで、地域の知恵を最大限に発揮できる仕組みを導入するものでした。しかし、安倍政権になると、即座に一括交付金は廃止され、霞が関支配が復活いたしました。そこで、平成二十四年度の一括交付金の財源となっていた事業に関係する補助金、交付金を再び廃止、縮減し、一括交付金を復活させてまいります。
 平成の大合併を経て、地方自治体の数はほぼ半数となりました。それほど地方は自助努力をして、自治体規模を大きくし、行政能力や効率の向上を図ってきたわけです。そんな新たな時代だからこそ、地方自治体の権限を拡大し、地方自治体がみずからの地域に適した施策と予算の使い方を可能にするのが国の役割だと考えます。魅力ある地域づくり、国づくりのために、一括交付金を復活させようではありませんか。御理解いただきたいと願います。
 第三に、農業者戸別所得補償制度を〇・八兆円規模で復活させます。また、養豚経営安定化対策補填率引上げ、国庫負担率引上げの費用を計上いたします。その財源として、交付金等を廃止するとともに、土地改良事業費について、三十年度当初予算額水準までに抑制をいたします。
 民主党政権下で実施した農業者戸別所得補償制度は、再生産可能な農家所得を保障し、農業経営の安定を図り、営農が継続されることを通じて、多面的な機能の維持を図るものでした。しかし、安倍政権は、農業者戸別所得補償制度を縮減、廃止し、小規模農家を切り捨て、規模拡大と競争力強化のみを強調する余り、小規模農家を中心として離農が相次ぎ、担い手への集積よりも、むしろ担い手不足が深刻化し、耕作放棄地が増大するなど、日本の農業の根幹を崩し始めています。
 今必要なのは、欧米でも当然のように行われている直接支払い制度の復活です。特に、日本と同じような国土面積の国を抱えるEUでは、農業所得に占める直接支払い額は約八割を維持しています。これは、農業のみならず、食料生産は国民全体で支えるという共通認識、農業の多面的機能への理解のなせるすべではないでしょうか。
 民主党政権が農業者戸別所得補償制度を導入する以前の二〇〇六年、日本の農家所得に占める直接支払い額の割合は二八%だったものが、戸別所得補償導入後の二〇一〇年には四五%にはね上がりました。その後、自公政権となり、直接支払交付金となって姿を変え、縮減、廃止となり、確実に直接支払い額の割合は減少しています。
 稲作農家でいえば、ここ三年は米価が上昇しているのが幸いしていますが、いざ農作物の価格が急落したときの補償制度を確固たるものにしておくことこそが、日本の農業の競争力を高め、担い手へと継承していけるものと考えます。
 もちろん、耕作の土台である農地の整備は重要であり、土地改良事業の必要性を十分に認識しながら、農地中間管理機構への集積という数合わせに偏った予算配分を見直す必要があると考えます。
 第四に、安倍政治により著しく低下した国民の政治への信頼を取り戻すための経費を計上いたします。
 具体的には、冒頭申し上げたとおり、平成二十五年度労働時間等総合実態調査の再実施を含む裁量労働制についての全般的な再調査の経費を計上いたします。
 また、森友、加計問題を踏まえた公文書管理の適正化についても費用を計上いたします。
 このたびの森友、加計学園問題の本質は、安倍総理に近い人だけ得をするという不合理さにあります。国有財産の私物化という批判も多方面から聞こえてきます。そして、その不合理解明を阻む最大の要因が、行政上の重要書類、すなわち公文書の管理がずさんであった点です。
 公文書は役所のものではありません。国民の知的財産なのです。その視点に立ち返り、公文書管理の適正化を図っていく所存です。
 そして、政府提案の生活保護基準見直しの再考のための費用を計上いたします。
 この基準見直しで、推計六七%の世帯が生活保護費減額となります。特に、単身世帯で見ると七八%が減額という驚くべき数字となっています。
 五十歳未婚割合は年々増加の一途をたどり、二〇三五年には、男性で約三割、女性で約二割が五十歳まで未婚であると推計されています。すなわち、単身世帯が増加の一途をたどることとなるのが我が国の近未来の姿なのです。その状況下で、特段単身世帯の生活保護費を減額させることは、最後のセーフティーネットが寸断され、経済のみならず社会の不安定化を招きかねないかと懸念をいたします。そこで、基準見直しを再考し、安心できるセーフティーネットを提供できるよう、基準を再設計いたします。
 第五に、水漏れ予算を、〇・四兆円程度減額いたします。平成二十九年度補正予算額と平成三十年度当初予算額の合計が平成三十年度概算要求額を超える事業が数多く存在しています。安倍政権発足以来、巨額な補正予算と当初予算を一体的に運用する姿が目立ちます。補正予算は、あくまでも当初予算で賄い切れない特段の歳出を賄うことを目的に組まれるのではありませんか。その目的を逸脱し、当初予算漏れしたものをカバーするだけでなく、その分さえも上回る予算を計上するとは、およそ健全な内容とは言えないと考えます。
 それも、年末の選挙後に大型補正が組まれることに政治的な意味合いを指摘する予算委員会審議もございました。現下の厳しい財政状況の中で、このように不要不急と思われる事業に過度な予算配分を行うことは不適当であり、災害復旧復興関係予算を除き減額をいたします。
 以上、人への投資と地域活性化を経済政策の柱に置き、一・九兆円規模で平成三十年度予算を組み替えようというのが、無所属の会、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合の編成替え案の概要であります。
 与党の皆さんの中にも、アベノミクスに疑問を持っておられる方がいらっしゃることでしょう。まだまだアベノミクスの恩恵が実感できないという有権者の声も多く聞かれるのではないでしょうか。真に国民の暮らしに資する予算編成という観点から、編成替えを提案させていただきました。どうか多くの議員の皆様に本動議に賛成していただくことをお願い申し上げて、提案理由弁明とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119605254X00720180228_026

発言者: 黒岩宇洋

speaker_id: 24356

日付: 2018-02-28

院: 衆議院

会議名: 本会議