玉城デニーの発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○玉城デニー君 ハイサイグスーヨーチューウガナビラ。皆様、こんにちは。自由党の玉城デニーです。
きょうは貴重な機会をいただきまして、非常に光栄です。どうぞ、真摯に思いを述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
経済再生担当大臣茂木敏充君解任決議案につきまして、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党及び自由党の提出者を代表して、提案の趣旨を説明いたします。
その前に、ここで申し上げたいことがあります。それは、国会における法案審議の前提が著しく毀損されているということです。
国会に提出された公文書、財務省の決裁済みの文書の改ざん、厚生労働省のデータ偽装、防衛省・自衛隊の日々報告書の隠蔽などが白日のもとにさらされ、大臣及び政府参考人がこれまで国会で答弁してきたことについて多大な疑義が生じることになり、国会での審議における最前提であるはずの信憑性や信頼性が今成り立っていないということです。
真正のものではない全く別の資料を提出して空疎な議論を重ねさせられるということは、国民に対する冒涜とも言えるもので、絶対に許されるものではありません。
資料提出の期日についても、与党、野党の国会対策から財務省に幾度も確認、念押しをしたにもかかわらず、また先送りされている現状から鑑みるに、これは、政府による行政全体の管理監督責任が緩み切っていることの証左であると断じざるをも得ないのではないでしょうか。
国会で証人喚問を受けた佐川元理財局長は、刑事訴追のおそれを理由に、森友学園の公有地取引問題に関する内容及び自身の関与についての事実や詳細を明らかにしませんでした。他方、国会に証人喚問された籠池前森友学園理事長は、事の次第をでき得る限りお話ししようとなさっていました。その証言内容からするならば、公有地取引の全容解明について、いわゆる名誉校長を一時期就任なさっていた安倍昭恵総理令夫人を含めた関係者全員の国会招致を含めた事実の解明を図らなければなりません。
加計学園に関する件について、参考人として招致された柳瀬前首相秘書官は、記憶にない、メモはとっていない、総理への報告もないと答えましたが、これは、中村愛媛県知事側から物的証拠の提示によって、柳瀬氏の答弁と実際の状況報告との事実関係が大きく異なっていることが明らかにされました。柳瀬氏本人は否定していますが、首相案件という特別な計らいを示唆するかの発言もあったことが、これも面談の際の当事者のメモからも明らかとなっています。
あったことをなかったと言うのは、事実がゆがめられてしまうということです。国会での答弁でゆがめられている事実は、やはり国会の場で明らかにするしかないのではないでしょうか。
いつまで森友、加計やっているのかという国民の声は、国会における審議の前提が崩壊している現状を放置したままでいいと開き直るような安倍政権と、それを見過ごしている与党に向けられていることを、各世論調査が示しているとおりです。そして、うそはいつか白日のもとに明かされるときが必ず来るのです。
学校法人加計学園の獣医学部新設について、二〇一五年二月に学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と面会して学部新設の目標について説明し、首相が、新しい獣医学部の考えはいいねと返したと記録された愛媛県の文書が存在することがわかったと、昨日、五月二十一日、朝日新聞で報道がされました。そして、けさの全国紙、新聞各一面はこのことを大きく報じております。
愛媛県は二十一日、こうした内容を含む獣医学部関連の文書を参議院の予算委員会に提出いたしました。これまで安倍首相は、加計氏について、私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないと語っておりました。また、加計学園の獣医学部新設計画を知ったのは二〇一七年一月二十日と説明しています。しかし、文書には、二〇一五年二月の段階で加計氏から相談があったと記録されており、発言の整合性が問われることは間違いありません。
「愛媛県企画振興部地域振興局地域政策課 文書の提出について(回答)」。国政調査権に基づいて平成三十年五月十日付で参議院予算委員会理事会から依頼があり、五月十七日に電話で督促いただきました件について、県庁を挙げて調査したので、下記文書を提出いたします、なお、提出する文書には個人情報が含まれておりますので、その取扱いには御注意くださいますようお願いいたしますということで出された文書です。
報告 獣医師養成系大学の設置に係る加計学園関係者との打合せ会等について
平成二十七年三月 地域政策課
1 加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいとの申出があり、三月三日、同学園関係者と県との間で打合せ会を行った。
2 加計学園からの報告等は、次のとおり。
1二月二十五日に理事長が首相と面談(十五分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり。また、柳瀬首相秘書官から、改めて資料を提出するよう指示があったので、早急に資料を調整し、提出する予定。
2下村文科大臣が一歩引いたスタンスになっており、県においても、官邸への働きかけを非公式で実施いただけないかとの要望があったが、政治的な動きは難しい旨回答。
3検討中の大学附置施設(高度総合検査センター等)の設置には多額の費用が必要であるが、施設設置に伴う国からの補助がない中、一私学では困難であるので、国の支援が可能となる方策の検討を含め、県・市の財政支援をお願いしたい。
なお、三月四日には、同学園と今治市長が面会し、ほぼ同内容の説明があった。
3 おって、三月三日に開催された国家戦略特区諮問会議では、特区法改正案に盛り込む追加規制緩和案が決定されたが、新潟市の国家戦略特区(獣医学部設置に係る規制緩和)は、含まれていない。今後、二十六年度末までに出される構造改革特区提案(愛媛県・今治市)に対する回答と合わせて、国家戦略特区の結論も出される模様。
4 ついては、加計学園の具体的な大学構想が示されたことから、特区提案の動向を踏まえ、今後の対応方針について、今治市としっかりと協議を進めていきたい。
このように報告が上がっています。
二十七年三月 地域政策課
今治市と加計学園関係者との獣医師養成系大学の設置に係る協議(三月十五日、同市役所で実施)結果概要について、次のとおり報告があった。
(1)柳瀬首相秘書官と加計学園の協議日程について(二月二十五日の学園理事長と総理との面会を受け、同秘書官から資料提出の指示あり)
(学園)三月二十四日(火)で最終調整中である。
(2)柳瀬首相秘書官への提出資料について
ここは省略いたします。
(3)大学構想について
(学園)日本獣医師会の反対意見から考えて、今回提案したレベルのものでなければ難しいと思う。
(市)今回の構想の実現に関しては非常に巨額の資金が必要とのことであるが、今治市としては、五十億円の支援と用地の無償提供が限界である。その中で資金計画を練ってほしい。
また、県からも協力をいただけると思っているが、県としても厳しいとの話は受けている。加計学園からの反応なし。
(学園)構想実現のために、愛媛大学との共同大学院の開設や愛媛県の研究機関との連携を検討しているので、協力願いたい。
三月二十四日(火)、首相官邸において、柳瀬首相秘書官らと加計学園関係者(田丸相談役、渡邊事務局長)との間で、獣医師養成系大学の設置について協議した結果について、次のとおり今治市から報告があった。
柳瀬首相秘書官の主なコメント
獣医師会の反対が強い。
この反対を乗り越えるためには、地方創生特区の活用が考えられるので、県や今治市と一緒に内閣府の藤原地方創生推進室次長に相談されたい。
2 また、加計学園から内閣府の藤原次長との相談日程が四月二日十一時三十分に調整できたとの連絡があったと今治市から報告があった。
さらに、安倍総理と加計学園理事長が先日会食した際に、獣医師養成系大学の設置について地元の動きが鈍いとの話が出たとのことであり、同学園としては柳瀬首相秘書官に四月二日午後三時から説明したいので、県と今治市にも同行願いたいとの要請があったと今治市から連絡があった。
3 ついては、柳瀬首相秘書官に対し、県・今治市の獣医師系養成大学の設置に向けた取組状況を丁寧に説明するとともに、内閣府藤原次長から地方創生特区等について、情報収集をいたしたい。
内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談について
四月二日(木)の面談結果について下記のとおり概要メモを報告します。
内閣府 藤原次長
愛媛県と今治市からこれまでの取組を簡単に説明した後、今後の特区提案について下記のような話があった。
構造改革特区として提出されているが、突破口を開くという意味では国家戦略特区で申請することも考えられる。
今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うことになった。国家戦略特区では広く全国レベルの制度改革提案というものであり、一般的な話にはなるものの、やはり風穴をあけた自治体を特区として指定するというのは十分に考えられる。
今後四月末か五月の連休明けには提案を募集するので、それにぜひ応募を。
総理は一次産業にも熱心である。申請の軸として獣医学部のみならず水産、養殖といった他産業についても盛り込むことも考えられるが、そのあたりは自治体に任せる。
事前相談も対応する。むしろ熱心な自治体ほどもってきているといった感じがある。言い換えると自治体にどれくらいの熱意があるか、というところが重要になってくる。
公衆衛生の観点、公務員獣医の確保といったこれまでの獣医学部ではなかったようなものを提示することも重要である。加計学園の名前は公式なペーパーには出ていないそうだが、実際の事業者と具体的な話ができている、といった点でかなりプラスであると思う。
申請するにあたっては、二、三枚の分量で具体的かつインパクトがあるものを。資料を作成されたら、早めに相談してもらいたい。
今治市からは、「現在二十六次特区申請を行っているところだが」と質問。藤原次長は、「特区申請を一体化するという理由から現在審議を止めているところ。」
愛媛県から、「新潟市から国家戦略特区で追加申請があったかと思うが」という質問。藤原次長、「一時期は打診があったが、現在はそうでもない。具体性があるかどうかでいえば、今治市のほうが上だと思われる。」
これが最後です。
獣医師養成系大学の設置に向けた県の取組みについて
二十七ページの報告書の二十七ページはこう書いてあります。
柳瀬首相秘書官説明用
○今治新都市への獣医師養成系大学の設置の必要性
危機管理事象が発生時の四国ブロックとしてのゾーニング対応が必要
愛媛県が全国一位である海面養殖の技術革新
本県畜産物のブランド化や安全確保
獣医師の卒後教育、地域動物医療の二次診療拠点施設
公務員獣医師・産業動物獣医師の育成・確保
地域産業活性化
○愛媛県と今治市による獣医学部新設にかかる規制緩和のこれまでの取組
平成十九年十一月から、十五回(第二十六次提案)にわたり、共同で構造改革特区提案を行う
当初は「特区対応不可」、平成二十二年からは「提案の実現に向けて対応を検討」という状況が続く
国に対し本県の最重点項目として要望を行う
平成二十一年度からは、本県と徳島県の提案により四国知事会でも提言
平成二十五年度には愛媛県議会も要望書を採択
文部科学省には、副知事と今治市長が事務次官らを訪問し、獣医大学構想と地元定着策を説明。
文部科学省からの地元の要望が大きな要素との助言を受けて、県と今治市で四国三県や各県獣医師会、四国経済連合会にも協力要請
○今後の対応
日本獣医師会の強い反対、その意向を踏まえて愛媛を除く四国三県獣医師会や四国他県の積極的な協力が得られない状況
賛同が得られるよう、各県の獣医師会等へ粘り強い働きかけを行う
二十七ページのうち、抜粋して読み上げただけでも、このように、間違いなく総理がかかわっていた、首相補佐官がかかわっていた、れっきとした文書として記されている実物が存在いたします。
新聞にはそれぞれ、加計ありきであるという表現、あるいは、最初からつくることが国家戦略特区の中で織り込まれ、国家戦略特区が、規制改革の名のもとに、そして岩盤規制に穴をあけるというその名目のもとで、行政が行うその正しかるべき公文書の、その期日と、そしてその提出を政府側が拒んでいるという実態は、看過されるべきではありません。
それでは、趣旨の説明をいたします。
去る五月八日の衆議院本会議において、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案の提案趣旨説明が茂木経済再生担当大臣によってなされました。これに先立つ四月十七日、本法案の協定にかかわる部分が外務委員会に付託され、審議が始まっていましたが、本来は、協定の締結とそれに伴う国内法の整備は総合的、一体的に捉えられねばならず、外務委員会、内閣委員会と担当を分けて審議しようとした茂木大臣の姿勢に大きな瑕疵があったものです。
さきのTPP12にあっては、少なくとも、協定とその対策、関連法整備は特別委員会において関係大臣出席のもと、総合的に行われ、そのマイナス面の影響を最小化しようとする姿勢だけはありました。逆に言えば、しっかりした対応をとらねば、この協定の副作用は余りに激甚で、日本の社会も文化も暮らしもそれに耐えられないという国民からの強い懸念の声に押されて、そうせざるを得なかったのかもしれません。
衆議院で約七十時間に及んだ審議はそれでも不十分で、農業対策についてはある程度審議に時間がかけられたものの、重要なISDS、ISD条項やラチェット条項ほかの非関税障壁分野では、著作権や食の安心、安全分野が一部論じられた以外は、まだまだ疑念と激しい対立を残したまま、TPP12とその対策法が二〇一六年十二月に成立しました。
それからわずか一カ月後に、米国トランプ大統領は永久にこの協定から離脱することを表明して、TPP12は完全に宙に浮く中で、残る十一カ国との広域FTA、すなわちTPP11の調整に乗り出したのが甘利大臣にかわる茂木大臣であり、各国の事情も、交渉から見えてきたTPP11の姿も、実は最も認識している方でもあります。
すなわち、TPP11とは何か、アメリカが去った今、当初の目的と役割は何であるのかを国民にわかりやすく示す責任が茂木大臣にはあります。
しかし、茂木大臣の我々国会議員に対する答弁は、言葉こそ流暢ですが、アジア太平洋を挟んだ十一の国々がなぜ広域FTAを結ばねばならないのか、その答弁からはさっぱり理解ができません。アメリカを待ちながら、いつアメリカが帰ってきても対応できるよう、とりあえず十一カ国でスタートさせる協定の意味とは何なのか。
そして、その中途半端な協定であるという認識ゆえに、いまだ発効していない協定、TPP12を取り込んだ形で、次の協定、TPP11の二つがともに承認も求められ、それに対する関連整備法は一つという、いびつとも異形とも思える関連法の成立が図られようとしています。
国民に対して不誠実なばかりか、関連整備法としても真剣に考えられた内容とは言いがたいことは、茂木大臣が答弁の中で、米国抜きでもTPPを早期に発効させる重要性があると述べたことや、二十一世紀型の新しいルールづくりを日本がリードする意味合いは非常に大きいと答えたことにもあらわれているのではないでしょうか。
いびつな法案のその中身や詳細な方向性について質疑を求め、TPPは米国抜きではあり得ないと安倍総理が答えた意味をなすのかなど、更に詳しく追及する必要があると考えていました。
ところが、内閣委員会で慎重審議がされるどころか、わずか三日足らずの質疑でこの関連法の審議を終了し、採決が行われようとしていることは、到底認められません。国民への説明責任を踏まえれば、当然、十分かつ慎重審議する必要がそこかしこにある法案であることは疑う余地なしです。委員会としても、広く国民や有識者からの声を聞くための中央及び地方公聴会の開催、関係委員会との集中審議、テーマ別の集中審議、総理出席の審議を複数回行うことなども重ねた上で、茂木大臣には真摯に説明を尽くしていただかなければならないのではないでしょうか。
関連整備法案のわずか三日間の審議の中で、参考人質疑がたった一回行われました。
東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘参考人の意見及び資料は、このような内容でした。
TPP11はTPP12より悪い。アメリカ抜きのTPP11を進めるということは、セットで、TPP12のとき以上のアメリカからの対日要求に応えるということになり、TPP11を進めれば、TPP12のとき以上に日本は打撃を受けるということも、そもそも最初から想定して受け入れていると言わざるを得ない。
なぜTPPをアメリカが否決したのかについて、日本では議論が全くない。アメリカ国民の八〇%が、TPPをやってもグローバル企業の経営陣がもうかるだけで、賃金は下がる、失業がふえる、国家主権の侵害だ、食の安全性が脅かされるということで、大統領候補の全てがTPP反対と言わざるを得なくなった。これは保護主義との闘いではなく、アメリカは、自由貿易からの反省でTPPを否定せざるを得なかった。新自由主義経済が、現実を説明できないし改善できないとして急速に見直されている。
国家戦略特区に象徴される規制改革は、ルールを破って特定企業に便宜供与する国家私物化であり、TPP型協定に象徴される自由貿易は、国境を越えたグローバル企業への便宜供与で、世界の私物化である。お友達への便宜供与である。
アメリカのハッチ共和党議員がTPPを進めたのはどういうことなのか。これは、製薬企業から二年で五億円の献金をもらって、患者さんが死んでもいいから、ジェネリック医薬品をつくれないように新薬のデータ保護期間を二十年に延ばしてくれと主張した。これがある意味でTPPの本質なのである。
そもそも、TPP破棄で一番怒ったのはアメリカの農業団体である。我々にとって日本にあんなにおいしい約束をさせたのにそれができなくなると怒った。だから、日本は相当なことをやってしまっていたということですが、アメリカの農業団体のすごいのは、ここの切りかえの速さだ。TPPも不十分だったのか、要はそれ以上の要求を二国間ですればいいと。
それを見越して、日本は準備を当然どんどん進めています。アメリカへの要求にどう応えるかというリストも、実は全部できています。例えば、TPP枠でアメリカに七万トンの米の輸入枠をつくったが、それが実現できなくなるかというと、実は日本は、SBS米という、一万トンくらいしかアメリカの米を買ってなかったのを六万トンまでふやしています。このように、いろいろな手だてでアメリカの要求に応える用意をしているわけです。
TPP11にするときに、凍結したい項目が、最初八十もの項目が出てきました。それから二十二まで絞り込まれたけれども、その中で、日本だけが、私は何も外したい項目はありませんと言いました。
ここまでアメリカと同調する姿勢をとったのに、今、ISDSについて何が起きたかというと、あれだけ、グローバル企業が人の命や環境を痛めつけてでも自分たちの利益を損害賠償してでもとってやるというISDSはいかぬという議論があったのに、日本とアメリカだけが主張し、ほかの国は全部反対でした。EUは、こんなものは死んだものだと言っていました。
ところが、その中で、日本はアメリカに追従して絶対にやらなきゃいけないと言ってまいりましたが、今、アメリカが世論に押されて、これは国家主権の侵害だということで、NAFTAの交渉からアメリカは、ISDSはもうやらないと言い始めています。これは入れないんだと。ISDSをアメリカが拒否し、今、日本だけが宙に浮いて、ISDSに固執しているという異常な状況になっている。TPP11から、ISDSは当然凍結ではなく削除するべきです。
ここまでアメリカに追従してはしごを外されるということの繰り返しをやめないと非常に危険であるということが、ここからもわかると思います。
TPP11で、早く決めてしまおう、成果を出そうということで何をやったかというと、アメリカを含めて決めたことを、アメリカはいなくなったのに、ほかの国にそれを譲ってしまったということです。オーストラリア、ニュージーランドは大喜びです。乳製品の輸出がアメリカの分まで全部できるぞと。それで、最強のオセアニアの農業国から我々は攻められなければならないことになります。
しかし、そうすると、今度はアメリカが黙っているわけはありませんから、俺の分はどうしてくれるんだと要求される。そして、それ以上のものをやってくれという話になるわけだから、結局、TPP12以上の打撃を農林水産業、食料が受けるということをわかっていて進めています。
ここは本当に戦略を考えないといけません。日本は、チーズについても、TPPでアメリカから、ハード系のチーズは得意だからゴーダとかチェダー、関税を撤廃してくれと言われ、はい、わかりました、でもカマンベールは守りましたと言っていました。ところが、EUとの協定もTPPレベル以上にやっていいぞということになったものだから、EU側からカマンベールの関税は撤廃してくれと言われて、ソフト系も実質関税撤廃してしまいました。気がついたら、チーズの関税が完全全面撤廃になっていたわけです。
カナダは、日本の米に匹敵する酪農を絶対死守するということで、TPPでも、EUとカナダとの協定でも、一切乳製品の関税には手をつけていません。こういう戦略というものが日本にあるのかということが問われています。
その影響と対策については、影響がないように対策するから影響がないと言います。対策はどうなっているのかという問題なんです。
TPP11で、加工原料乳はキロ八円下がります。それでも、生産量も所得も影響ないと言います。チーズ向けの奨励金をふやしただけで八円の差額がふえるのか。畜産クラスター事業をやれば八円のコストが下がるのか。そうであるとするならば、そのことをきちんと説明する必要と責任があります。
牛肉、豚肉については、今回の法案でも、マルキンという仕組みを九割補填にし、豚肉は生産者負担を二五%まで、牛肉と同じにすると強化しました。法制化もすると。これは評価される方向性だと思いますが、だからといって、牛肉や豚肉の生産や収入がそのままのわけにはいかないと見なければなりません。牛肉では、最大規模階層二百頭以上が赤字を免れ、豚肉でも、最大規模階層二千頭以上だけが赤字を免れます。それだけの効果なのだということは押さえておかないといけません。
一方、酪農についてはそのようなものが全くない。ことしの夏から国産牛乳は全く飲めなくなるかもしれないということが業界では大きな話題になっています。このことを国民が認識しなければいけません。ことしの夏から、小売の店頭から牛乳が時々消えるかもしれないということです。
酪農はトリプルパンチです。TPP11と日・EUのFTA、そして指定団体の解体、酪農協の解体が決まりました。世界で、牛乳については、量を把握して消費者に届けないときちんと届かないということで、全量出荷の原則を全ての国がとっています。それを日本は法律で、全量出荷を義務づけてはいけない、二股出荷でも受け付けるという、世界で唯一、例のないことをやってしまいました。このことは大変な事実です。そういう不安もあって、都府県酪農を中心に生産がどんどん減り、ことしの夏から牛乳が足りなくなるといいます。
酪農については、牛肉、豚肉のようなマルキンをきちんと入れなければいけないという議論があってしかるべきなのに、そういうことがないままである。
今回は酪農、畜産に影響が大きいということになっているが、米と関係がないということではありません。米の生産も減っていきます。しかし、生産より消費の方が減り方が大きいので、十五年後には米が七十万トン余り、餌米をやらなければならなくなります。ところが、このまま酪農、畜産が五割、六割と減っていくとすると、餌米をどう消費するのかということになります。そのことに対する整合性をどうとるのかが問題になってきます。
さらには、安い食品が入ってきます。食の安全基準が緩められていくということを続けていった場合、輸入食品の検疫でひっかかるものがふえてきます。あり得ないような化学薬品が出てきています。だが、検査率は全体の七%で素通りし、それを食べています。日本人は、安いものが食べたいから、現地へコストを下げてくれと要求します。しかし、同時に、安全性に対するコストも低くなり、危なくなってきている現実があります。
輸入農産物は、成長ホルモンの問題、成長促進剤の問題、除草剤、遺伝子組み換え、防カビ剤などのリスクが、危機が満載の状況です。だからこそ、国内で安心、安全の食材をつくっている農家さんのことを今考えておかないと、牛乳でことしの夏から起こりそうな事態がどんどん広がっていき、気がついたときには国内の自給率が一割台になっていて、もはや商品を選ぶことすらできないという事態が目の前に来ているのです。
国民の命を守り国土を守るには、どんなときにも安全、安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、国家安全保障のかなめです。国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは世界の常識です。
食料自給は独立国家の最低条件です。日本の産業が過保護であるというのはマスコミにつくり上げられたうそです。農業所得に占める補助金の割合は、日本三〇%、スイス一〇〇%、イギリス、フランスでも九十数%です。ヨーロッパは、幾たびの戦争で、食糧難と国境の危機にさらされました。命を守り、環境を守り、地域を守って国土を守るための産業は、みんなで支えるのは当たり前であると認識されています。しかし、それが当たり前でないのが日本であるということになります。食料自給率という言葉を死語にしてしまうような流れに歯どめをかけないといけません。
欧米諸国が、所得の一〇〇%近くを税金で払っても、自分たちの国境、国土、地域を徹底して守っている、そのようなときに、我が国は、民間活力の最大限の活用とか、企業参入が全てであるとか、自由貿易が全てであるという名目のうちに、気づいたら、安全性の懸念が大きい輸入農水産物に一層依存し、国民の健康がむしばまれる、資源、環境、地域社会、そして国民の主権さえもが実質的に奪われかねないような状況をもたらす政策をあらゆる形で組み合わせて今進めようとしているのではないか、ここが問われているわけです。
イタリアの水田地帯では、こう言われています。田んぼにオタマジャクシがすめる生物多様性、ダムのかわりに貯水できる洪水防止機能、水をろ過してくれる機能、こうした機能にみんなお世話になっているが、では、きちんと値段に反映できているか。できていないのならみんなでお金を集めて払おうじゃないかということで、EUでは、農業の持つさまざまな多面的機能、環境機能について指標化し、それを国民がどれだけ支えていくかという壮大な環境支払いシステムをつくり上げています。だから、国民は納得して払えるし、生産者は誇りを持ってつくっていけるわけです。
そのようなシステマチックな支援体制をつくり上げた上で、政策として十分納得して進めていけるのか。食を外国に握られることは、国民の命を握られ、国の独立を失うことであることを常に念頭に置いて、安全保障戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策を、政党の垣根を越え、省庁の垣根を越えた国家戦略予算として再構築するべきであるという、多岐にわたり、そして大変貴重な意見を陳述していただきました。
茂木大臣に繰り返し問いただしたいことは、米国抜きのTPPは意味をなすのか、なさないのか、そのことについて国民が納得できる言葉で答えるべきです。
アメリカがTPPを離脱するまでの政府のアジア太平洋地域における経済戦略というのは、米国を含む十二カ国でハイスタンダードのTPPをつくり、それを基礎として、APECにおいてFTAAP、アジア太平洋自由貿易圏をつくるというものでした。果たして、米国抜きTPP11はハイスタンダードとなるのでしょうか。米国が入ってきたら凍結を解除する項目が二十二ありますが、高い要求項目を出していたアメリカが入ってこなければ、大臣には期待外れのハイスタンダードになってしまうのではないでしょうか。
希望的観測以上にファンタジー、幻想を振りまく説明では、激しく変わりつつあるアジア太平洋地域を前に、日本は茫然と立ちすくみ、現実の対応や将来に向けたビジョンを描けぬまま、日本独自の通商外交を放棄することになります。
TPP11を初めての広域FTAであると豪語する茂木大臣は、アメリカ抜きでもやれる確信やそのときの展望も、ファンタジーではない現実的な通商の姿として国民に語る立場にあるのです。
元農林水産大臣の山田正彦氏は、以前御自身が畜産農家であった経験を踏まえ、TPP協定の議論が始まった当時から、この協定に対する各界各層からの丹念な調査と、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどの関連各国の研究者の方々とともに、この壮大なグローバル企業優先協定に強く警鐘を鳴らしていたお一人です。
TPP関連の著書も幾つか上梓している中から、参考までに一文を紹介したいと思います。
NAFTAのときに、メキシコの農家三万戸が倒産した。その結果、二百万人もの移民が職を求めて米国内に流入し、それによって米国民が五百万人も失業した。これから私たち日本人の失業がどんどんふえていくことは目に見えている。
米国ではこの二十年の間に、四万二千の工場がメキシコに出ていき、製造業の二五%が空洞化したと言われる。日本からもこれから企業のベトナムなどへの工場進出は加速される。既に日本でも有数の造船所がベトナム進出を決め、工場建設に取りかかっている。
こうして考えると、私たち日本人の給料は、TPPに加入後、どんどんと引き下げられていくことを覚悟しなければなりません。ただでさえ給料は下がっている。十五年前にサラリーマンの平均給与が約四百六十七万円だったのが、現在では四百八万円にまで下落した。これが加速されることになるかもしれません。米国がNAFTAの締結以降どんどん給料が下がり続けて、二十年の間に一九七二年の水準まで下がってしまったように。
例えば、為替が円安にぶれて、食料品、燃料が上がり続けて、更に追い打ちをかけるように消費税が上がっていくと、本当に生活できないことになる。恐ろしい話です。
現在、日本でも、一%の多国籍企業と富裕層だけで国の三〇%の富を持っていると言われているが、TPPによって貧富の差は更に広がってしまうだろうと述べていらっしゃいます。
安い外国からの食品が流通すると、国内企業の生産性が下がってしまい、現場の給料が支払えないため、職員の皆さんはやむなく離職する。立ち行かなくなった会社や工場は、再建のめどが立たなければ倒産する。農林水産、畜産業への影響のみならず、ごく普通に暮らしていた日常の大激変がやってくるかもしれません。特に、中小零細企業への圧力となって重たくのしかかってくることに、果たしてどれくらいの国内企業がそれに耐えられるだけの底力があるのでしょうか。
TPPから離脱した米国との間で、政府は昨年、麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話を立ち上げ、その下部機関とも言えるFFRをスタートさせることで合意していますが、TPP11協定の発効が早ければことし中とも報じられる中、では、我が国と米国との自由貿易制度のあり方はどうなるのか、FFR及び日米経済対話が今日的に何を目指しているのか、茂木大臣は明確に答弁をしていません。米国輸出に係る幅広い日本の障壁を除去することを求めていくとした米国の強硬姿勢の前に、日本自身から、国益、国民の暮らし、文化、雇用を守るという覚悟が伝わってまいりません。
加えて、米国は、大統領令の中で、米国の産業を促進し、アメリカ人の労働者を守り、アメリカ人の賃金を上げるためにTPPから永久に離脱すると述べる一方で、これからは二カ国間の貿易交渉を開始すると宣言していますから、米国が主張する日米FTAに対しての態度も曖昧にはできません。
米国が加わっていたTPP12交渉の段階から、米国は、米韓FTAを参考にして、それ以上ハイレベルなものにすると言っていた経緯からしても、日本、米国の二国間による協定の内容がTPPを上回るような要求が出されないとも限りません。米韓FTAで国内法をことごとく変えさせられた韓国の前例から考えても、決して安閑としていられる場合ではないと強く認識するべきです。それについても、茂木大臣からその認識は全く伝わってまいりません。
茂木大臣から明確にされないままでは、本年六月からは日米経済対話が本格化するのですから、国民はやはり納得できていません。
そして、政府は、TPP12からアメリカの離脱によりTPP11となって以降、基本的にはアメリカの復帰を待つ姿勢をとりながら、再交渉の可能性について、従来のように、米国から求めがあっても応じる考えはないと主張できるんでしょうか。
茂木大臣は、一部のみを取り出して再交渉する、変えることは極めて困難と答弁し、再交渉に余地を残しているかの発言ですが、凍結二十二項目を解凍させるなど、もし政府方針が変わるのであれば、それを明確にしておくべきです。
TPP12はTPP11に変わり、そこからまたもとに戻すことが前提であれば、今回このTPP11をつくる意味はどこにあるのか。国内準備法の内容は二〇一六年時点のまま、施行日だけをTPP11の発効の日とするだけの極めて技術的な変更のみで、中身についての精査は全く必要としない、国民への説明も要らないかのような茂木大臣の対応は、極めて不誠実と言わざるを得ません。
ゆえに、TPP12並びにTPP11に関する整備法の審議はそれぞれその土台を欠いており、データの開示以前の問題であります。
加えて、安倍内閣の常として、情報開示には後ろ向きです。TPP12とは異なり非公開とはされていない以上、可能な限りの交渉経過が明らかにされねばなりません。
しかしながら、政府並びに茂木大臣の対応は、相手国の事情を盾に、公開したのは交渉経過の概要とその都度の記者ブリーフや記者会見のコピーのみでした。これは交渉経過の説明にはなり得ません。もしそれをして情報公開というのなら、一つ一つの判断がなぜとられたのかは闇の中になってしまいます。この交渉にかかわった議事録、メモ等の公文書は果たして今後どのように公開されるのでしょうか。
この交渉の結果、十年、二十年後、トランプ大統領が指摘したと同じように、産業が衰退し、雇用が減り、賃金が下がったとき、あるいは、農業が破滅的になり、食料自給率が更に下がり、海外からの食料輸入の道も途絶えるような事態が生じたら、今回の判断を記した交渉録がじっくりと検証されるでしょう。
責任者は幾人かわれども、そこにいた責任、それを進めた責任まで変わってしまうわけではないのです。茂木大臣に、国民の命のもとを守ろうという責任者たる姿勢がかいま見えないのは実に残念です。
さきに読み上げた愛媛県による調査報告文書のように、事実は事実として記録され、後年後日、一つの事案に関連する問題が惹起したとき、その文書に記された事実の経過が事の真相を語るわけです。ある事実から一つの真実になるのです。そして、国民は、その説明責任を全ての当事者が果たした後、みずからの出処進退を明らかにする姿勢を見て、職務の責任を全うしたと初めて認めるわけです。政治の責任のあり方、とり方によって、政治への信頼が戻ってくるわけです。国民の命、暮らしがかかっているものであれば、なお言うまでもありません。
以上申し上げましたとおり、茂木大臣には、所管大臣として職責を担うに甚だ適正とは認められず、辞任を求めるものであります。
以上、私の説明とさせていただきます。
ニフェーデービタン。ありがとうございました。(拍手)
—————————————