猪口邦子の発言 (外交防衛委員会)

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○猪口邦子君 引き続き、この基金の充実のために寄与していただけるようお願い申し上げておきます。
 最後なんですけれども、私は、ここで国際社会における認識形成ですね、どうやって認識は形成されるのか、そして国際条約に着地するのかということについて考えを述べ、大臣のお考えもまたお伺いしながら、お願いしたいことがあります。
 それは、そもそもオゾン層保護のためのウィーン条約採択の契機となった、オゾン層がディプリシエートしている、破壊されているという、この観測事実があるわけです。この観測は、一般的に世界では、カリフォルニア大学のローランド教授等がこの仮説及び観測に基づく仮説を訴えたということが有名なのですけれども、実はこの観測は日本の気象庁職員によってなされています。我が国の気象庁は優れたその水準を当時持っていて、そしてその観測を世界に先駆けて行ったという事実があります。
 国際的には、今申し上げましたとおり、ローランド教授等が、クロロフルオロカーボンによってそれが破壊され、生態系や人間に悪影響を生じさせるという仮説、これが世界的に速い速度で浸透して条約採択に、これが発見されてから条約採択、そして更に議定書採択というのが、もう今までの多国間条約にない速さで進んだというのがその特徴なんですね。
 ここで現出していると言われているのがいわゆる認識共同体という表現で、これエピステミックコミュニティーと国際的に言います。エピステモロジーは認識という表現なんですけれども、それは、所属は政府にいたり、大学にいたり、国際機関にいたり、民間企業の技術者や研究者であるかもしれない。であっても、高度な科学技術力や知見、そして最先端の研究や観測をしている職業人がいるということなんですね。その人たちが強く連帯して、そして、ある認識を世界的に形成して法的な対処、これにつなげていくという、こういう流れがあるという、政策決定における新たな力学があるという指摘が国際的にもあり、私としても感じております。
 かつて、その気象庁職員がオゾン層破壊を世界で最初に発見した。その時代において、国際発信をサポートする機運が我が国には十分になかったのではないかと考えられます。オゾン層問題は、今申し上げたようなエピステミックコミュニティーが国際政策決定に影響する先行事例とも言われています。科学的観測、仮説、知見、これが人間の認識形成に影響し、政策決定で重要になると、こういう流れの中で、国境や職業を超えて形成されやすい認識、そこにおいて中心性を確保する、そういう個人や国家はどこなのかという、そういうゲームでもあると思います。よくルールメーキングにおいて役割を果たすということがありますが、認識形成はその前段階の更に重要な部分ではないかと思います。
 実際に、ウィーン条約、それからモントリオール議定書、この採択過程では、国家間の駆け引きが相対化されてしまいまして、知識先導型の条約形成過程が現出したというふうにも分析されています。その時間も非常に短かったし、そして、ゆえに先ほども申し上げました普遍化も完全無比の水準でなされる結果となっているということです。
 ですから、やはり認識形成というのはすごく大事だということで、大臣にもお願いしたいんですけれども、日本には優れた研究や観測、知見の水準があると思います。今後、日本こそが世界の認識形成に影響を及ぼす能力と発信力、これをサポートして、またそれが発揮しやすい環境整備の努力をしないとならないと思うんですね。ですから、優れた先駆的な知見、観測、観察、もう官民問わず、また職業分野も横断的に存在するものなので、まずはその価値を日本政府こそが、大臣こそが受け止めて、認めて、発信を奨励してサポートしてやると、そのような外交も重要になるのではないかと。
 このモントリオール議定書改正の機にそれを指摘し、またお願い申し上げておきたいんですけれども、大臣のお考えを伺います。

発言情報

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発言者: 猪口邦子

speaker_id: 4512

日付: 2018-06-28

院: 参議院

会議名: 外交防衛委員会