田辺新一の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(田辺新一君) 本日は、参考人として意見を述べさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
早稲田大学の建築学科でも教育研究を行っております。私のモットーとして、快適で健康で生産性の高い環境を省エネで行うということが研究テーマでございます。また、公益社団法人空気調和・衛生工学会の今会長をさせていただいております。
表紙が黒い資料で説明をさせていただきます。
まず、開いていただいて、二ページを御覧ください。
日本全体の最終エネルギー消費量の動向を示した図です。最近では減少傾向にあります。図に年を入れておりますけれども、二〇〇八年のリーマン・ショックは、非常に実はエネルギー消費に大きな影響を与えています。また、二〇一一年三月十一日の東北地方太平洋沖地震によって起こった東日本大震災以降、また減少しています。二〇一〇年度は大変暑い年で、少し増えておりました。経済活動や気温は、エネルギー消費に大きな影響があります。二〇一三年度のところに矢印を引いておりますけれども、ここがエネルギーミックスの基準年になっております。
次のページを開けていただきたいと思います。
この資料は、国際エネルギー機関、IEAから出されたものを引用したものです。右のグラフは、二〇三五年までの世界の経済成長を示したものです。世界の経済成長の六五%は、何とこの非OECDアジアによって起こるというふうに予測されています。
そのため、アジア地域のエネルギー需要はますます旺盛になるというふうに推測をされておりまして、中国は二〇三五年に日本の九倍、インドは三倍以上になるというふうに予測されておりまして、エネルギー自給率が現在八%しかない我が国では、日本のことだけを考えていても駄目でございまして、エネルギーセキュリティーを常に考えておく必要があるというふうに考えています。
次の四ページを御覧ください。
この図は、いわゆる二〇三〇年度の長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスにおける省エネの位置付けを示したものです。前提として、経済成長により二〇三〇年のエネルギー需要は増加するとまず予測しています。
そこから五千三十万キロリットルを削減するということなんですけれども、五千三十万キロリットルは、もう大きいか小さいというのはいろいろ議論があると思うんですけれども、私は実は極めて大きいと思っていまして、どうしてかと申しますと、現在家庭で使われているエネルギー全部足すと四千九百五十万キロリットルなんですね。ですから、これをなくそうというので、今家で使われているテレビとかなんとか全部なくせというのと同じぐらいの努力をしなさいということを言っています。オイルショック後ほどの効率、効果はやっぱりやっていかないと、この五千三十というのは減らないというふうに思います。
それでは、五ページ御覧ください。
省エネは、今回の法改正の分野だけではなく、様々な分野で網羅的に行う必要がございます。本日、ちょっと時間も限られていますので、三点に課題を絞ってお話をしたいというふうに考えています。省エネ委員会の、私、メンバーでございますけれども、省エネ全般について議論はしております。
まず第一として、一番左の、産業・業務部門の企業間連携による省エネです。今回の法改正で対応するものです。第二として、荷主、輸送業者の連携強化です。これも今回の法改正で対応するものです。一番右側に、私の専門でもあります住宅、建築物の省エネについて、課題三としてお話をしたいというふうに思います。
開けていただいて、六ページを御覧ください。
これが課題一です。産業・業務部門はもう大丈夫だという御意見があるかもしれないんですけれども、ここ数年でエネルギーが減っているのは、多消費産業の生産が低調であること、気温要因などが実は影響しています。したがって、省エネ対策が必ずしも順調に進んでいるわけではないというふうに考えています。対策の強化が必要であるということです。さらに、原単位といいまして、物を作るときのエネルギーの量が必ずしも向上していないと。日本の産業構造が今後どうなるか、成長するのかということも含めて考えないといけないんですけれども、もちろんこういう部分もよく考えておく必要があります。
左の図は、企業経営が多様化して、もし上工程の工程をほかの会社に集めてしまって集約するようなときに、下の会社は今までですと増エネとなっていたんですけど、これを統合して省エネを考えることをできるようにしようというものです。また、右は、食物なんかを作ると、天候が悪いと余り売れないかもしれない、そういうものを天気予報などで予測してフードロスもなくそうと、こういったことについて考えています。設備投資に関する減税も行われるというふうに伺っております。
次の七ページです。
課題二ですけれども、私も、自宅とか大学で最近、ネット通販、Eコマース、大変利用することになりました。この新しいビジネスに対応する省エネが必要とされているんですけれども、右の図を見ていただくと、緑の部分は今まで省エネ法の網が掛かっていたんですが、赤いところは実は対象外でした。自分自身のことを考えてみると、ネットで商品を購入します。Eコマースの事業者の中にはその対象外が大手十社中五社あったんですが、それは、私が買うと荷主は私になってしまうんですね。ですから、大きな裾野に対して掛けたものということで、今回その荷主の定義を変えるということが大きなものでして、また、我々も再配送ないように極力少なくすることが必要ということで、人材不足にも対応できるということです。
八ページが、建築、住宅に関するものです。
この部分は、省エネ法から建築物に関する部分が取り出されて、いわゆる建築物省エネ法というものになりました。一番上に赤い枠があるんですけれども、ここが二千平米以上の非住宅の建築物です。ここは省エネ基準に適合しないと建築ができなくなっております。それから、三百平米から二千平米のビル、建物、住宅などは届出をしなさいということになっています。また、小規模な三百平米以下の建物は努力義務ですけれども、その中でも、年間百五十軒以上住宅を分譲している事業者には、住宅トップランナー制度といって、適合をちゃんと平均値で守ってくださいということをお願いをしているところであります。
九ページ見ていただくと、ちょっと国交省の資料を私の方でアレンジしたものなんですけれども、年間の着工棟数とエネルギー消費を示しています。
赤い部分がさっきの二千平米以上の非住宅に当たります。数は大体年間二千九百六十四棟、三千棟ぐらいです。数では、日本で建っている家とか含めて、〇・六%しか数ではありません。ところが、左の図を見ていただくと、この部分が三三・七%エネルギー使っていますから、数が物すごく少ないけれども使っているので、この部分はやっぱり規制的にきちんとやっていただく必要があるのではないかと。青い部分が三百平米から二千平米以上の建築物で、棟数では七・五%で、約三万七千棟ぐらいあります。この部分が二八・五%のエネルギーを使用しています。黄色い部分は三百平米以下の建築物で、多くは住宅です。数では九一・九%、約四十六万棟ぐらいあります。ここが三七・八%のエネルギー消費をしています。
この中で、先ほど申し上げた住宅トップランナーの対象が、大体五万棟ぐらい一年間に建っています。ここの方々は、いわゆる比較的安めの住宅を提供されている方なんですけど、制度が五、六年前始まったときは三割ぐらいしか適合していなかったのが、実は九十数%今適合していまして、非常に大きく適合しています。
それから、二〇一六年度にはゼロエネルギーハウスが三万四千棟建てられています。これらによって窓とか断熱材のマーケットが非常に変わってきていまして、かなり安く手に入るようなことになっています。この部分まで義務化するかというのは、行政のコストなども考えながら慎重に考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
十ページでございます。
十ページは、単純に基準に適合するというだけでは、先ほど申し上げた省エネにはちょっと不十分であります。更に進んだものを建設していこう、あるいは改修していこうというのがゼロエネルギービル、ゼロエネルギーハウスです。
二〇一五年に、先ほど御紹介した学会のガイドラインを基盤としまして、ZEB、ZEHと言われる定義を決めたことで非常に認知をされることになってきました。設計ガイドライン等も公開しておりまして、三万件ぐらいのダウンロードがあります。単に、こういうものを建てていきますと、我慢の省エネから賢い省エネ、冬のお風呂で亡くなるとか夏の熱中症なども少なくなっていくんじゃないかと思います。
この中で、ZEHに関しては、最近、経産省だけではなく、国交省、環境省、同じ目標に向かって連携してタッグを組んでいってくださるということをされています。ZEBに関しては、完全にゼロにするのは少し、四階建て、五階建て以上になると難しいので、半分にエネルギーをしたものをZEBレディーと呼んでいまして、ここを広い意味のZEBというふうに呼んでおります。
十一ページは、アメリカでは、国会議事堂の前で大学対抗で省エネ住宅、ゼロエネルギーハウスを建てて、コンテストをやっています。二〇〇二年からなんですけど、アメリカの大学教育には非常に大きな影響がありまして、ここからイノベーションなどもできております。
日本では二〇一四年からエネマネハウスのコンテストが始まっておりまして、早稲田は三回出しておりまして、去年十二月に大阪で、この下の住宅を建てまして、これ、改修でゼロになって更にエネルギーも売れるような住宅というのを建てさせていただいています。
十二ページが日本の住宅ストックです。
日本の家というのはどうなっているかということなんですが、日本の家は大体今、五千二百十万戸あります。そのうちの持家と借家というのでは六対四なんですね、戸数では。ところが、面積で見ると、持家は八、二ぐらいになります。
緑のところ見ていただくと、ここ戸建てなんですけど、戸建ての持家が実は日本の住宅のほとんどだということです。この住宅の三八%が無断熱なので、エネルギーを考えるときはこのストックをどう考えるかというのは非常に重要です。
断熱強化しても、欧米のように画期的に暖房が減るわけじゃないんです。元々使っている量が少ないのでなかなか減らないので、こういう健康面とか長寿社会ですとか百寿社会ですとか、こういうことも考えて政策を行っていく必要があるのではないかと思います。
そして十三ページです。
これまでの省エネは、つくると書いていますが、つくられたものが送られて使うというのが我々の今までで、使うところを少なくするのが省エネと言われていました。ところが、再生可能エネルギーをもっともっと使っていかないといけませんから、これを操る技術が必要になってきています。これがスマートグリッドであったりスマートハウスやスマートコミュニティーでありまして、早稲田では林泰弘先生中心に研究グループを組みまして、いろんな実証ですとかこういう分野の研究をしています。操るというのが新しい省エネの概念になっているということです。
次は、早稲田の実証センターに、ディマンドレスポンスのサーバーですとか系統電力のシミュレーターですとか、こういったものを住宅とつなげたりするとどういうふうになるのか、再生可能エネルギーを入れていかれるのかと、こういった研究を行っております。
最後、いただいて、十五ページでまとめたいと思います。
日本の最終エネルギー消費量は減少傾向にあるんですけれども、これは、エネルギーの多消費産業の生産の低調さですとか機器効率の向上はございますけれども、気温要因などもあります。したがって、省エネ対策が必ずしも順調に進展しているわけではないということです。
産業・業務分野においては、原単位の改善が必要とされています。今回の法改正では、企業の連携による大規模投資のエネルギーマネジメントのようなIoTを活用したものを促すとともに、荷物を送る人、受ける人、また輸送業者の連携を強化して省エネ対策の進展を加速しようとするものです。
住宅、建築物の対策については、支援措置を活用するとか、不動産価値、ESG投資と言われていますけれども、こういうものを活用していくことが重要であろうと思います。
再生可能エネルギーの利用拡大を考えると、これまでの省エネの概念とは異なる新しい省エネの概念構築が必要になっているのではないかというふうに思います。
以上でございます。
御清聴ありがとうございました。