今村聡の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(今村聡君) おはようございます。日本医師会の副会長を務めております今村聡と申します。
 本日は、大変貴重な場にお招きをいただきまして意見を述べさせていただくことを感謝申し上げたいと思います。
 それでは、早速、日本医師会のこの資料に基づいてお話を申し上げたいと思います。医療法、医師法改正案に対する日本医師会の見解ということで、資料をおめくりいただければと思います。右下にページ番号がございます。
 まず、改正法案に対する基本的な考え方ということでございますけれども、今国会に上程されている医師確保、医師偏在対策に係る医療法及び医師法改正案は、厚生労働省の医療従事者需給に関する検討会医師需給分科会、これ私も委員として参加させていただいておりますけれども、一年余に及ぶ議論の結果をまとめた第二次中間取りまとめ等を基としております。
 今回の対策の特徴は、一つは数値化、これは可視化、見える化をして、エビデンスに基づいて一歩踏み込んだ対策を打ち出していること、また強制的な対策を回避していること、三番目に、日本医師会・全国医学部長病院長会議の医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言というものを二〇一五年十二月に出させていただいておりますけれども、これを踏まえた対策が盛り込まれていることなど、一定の基本的な評価ができるものというふうに考えております。
 ページをめくっていただきまして、医師確保対策、もうこれは数から偏在対策へと移っているというふうに考えております。我が国の医学部入学定員、二〇〇七年度は七千六百二十五人でございましたけれども、二〇一八年度には九千四百十九人。千七百九十四人、二三・五%に達しております。二〇〇八年から実施された緊急医師確保対策や臨時定員増によって臨床研修を修了した医師が既に臨床の現場に輩出されて、今後も続々と地域医療の確保に貢献することが予想されております。
 このような状況に加えて、人口減少社会に突入した我が国の社会環境を考慮すれば、医師確保対策はマクロ的にその数の手当てを終了しておると。偏在対策に移行すべきであり、その意味からも、今回の法改正が速やかに承認されることが望まれております。
 ページをめくっていただきまして、改正法案の主な対策についてということで、一つ、医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設ということに関しまして、日本医師会・全国医学部長病院長会議緊急提言においても同様の仕組みを実は提案した経緯がございます。それは、医師のまずキャリア形成というものが非常に重要で、この支援を行うということで、キャリア支援センターの創設を前提としておりました。
 厚生労働省令で定める上記の病院の管理者については、医師需給分科会の第二次中間取りまとめのとおり、まずは地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院とすべきであると考えます。また、医師少数区域の設定などは一律に指標を当てはめるということではなくて、地域の実情が十分に反映される仕組みとする必要があると考えております。
 ページをおめくりいただきまして、二番目が、都道府県における医師確保対策の実施体制の整備ということであります。
 医療勤務環境改善支援センター、それから地域医療支援センター、これ従来から各県で設置されることになっておりますけれども、なかなか十分に機能していなかったという実態があるということも事実でございます。その連携とともに、医師のキャリア形成支援が今回の偏在対策に盛り込まれたということは極めて重要であると考えております。
 様々な検討の場が地域医療対策協議会に集約されると、これは各県で医療に関わる者について本当にいろんな種類の会がありまして、自分がどの会に参加しているかということもだんだん分からなくなるような状態があって、こういった形で一つの地域医療対策協議会に集約されて、大学、そして医師会、関係医療機関等の参画の下に実効ある合議体として運営されることが必要であると、国の適切な情報提供というものが求められるというふうに考えています。その上で、医師が自身の健康を守りながら誇りを持って働いていくことを支援していくということが必要であると考えます。
 ページをめくっていただいて、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実ということです。
 全ての医師養成過程を通じた医師確保対策が講じられることは有用であると考えます。特に地域枠、それから、もう本当に地元の県から出身した地元枠医師の活用というのは、これはデータからも定着率が非常に高いということが示されておりまして、こういった定着率の高さをエビデンスとしてその効果が期待されると思います。
 今後、将来人口推計等に鑑みて医学部入学定員がマクロで縮小されることがあっても、恒久定員枠の中で地域枠や地元枠医師が確保できる仕組みを検討することが必要だと考えます。専門医養成に係る厚生労働大臣の意見聴取、要請については謙抑的に運用されるべきだと考えています。
 次のページをおめくりいただきまして、地域での外来医療機能の偏在、不足等への対応です。
 地域の医療需要、医師需要の見える化について、医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言では、さらに、地域ごとの需給予測に関するデータを、医学生、そして若い医師に提供すべきであるとしております。患者数など医療需要のデータを基に、あるべき医師配置に自主的に収れんされていくべきであると考えます。また、地域医療構想と同様に、不足する外来機能が自主的に次第に充足されるようにするという視点で進めるべきであると考えております。
 七ページを御覧ください。都道府県知事への権限移譲です。
 改正法案の成立、施行によって、各都道府県において、医師少数区域における偏在対策等を内容とする医師確保計画の立案、あるいは臨床研修病院の指定、定員の設定などが実行されることとなります。その際に、地域の特性や実情が十分に反映される必要があると。そのためには、地域医療対策協議会について、その活性化を図るとともに、地域医療構想調整会議における協議の内容や結果を重視する仕組みも不可欠であると考えております。
 次のページです。臨床実習における医師法の規定の検討。
 日本医師会と全国医学部長病院長会議は、卒前卒後の医学教育改革のためのワーキンググループというのを設置をしております。その中で、卒前卒後のシームレスな医学教育を達成するために以下の骨子を取りまとめました。
 一つは、共用試験、CBT、OSCEを公的なものとする。二番目に、診療参加型臨床実習の実質化を図り、スチューデントドクターとして学生が行う医行為を法的にきちんと担保をする。国家試験を抜本的に見直す。すなわち、国家試験への出題は診療参加型臨床実習に即したものに限定して、いわゆる知識を問うことについては差別化をCBTと明確にすると。
 上記の一から三が確実に実施されれば必然的に臨床研修の在り方も大きく変革しなければならず、臨床研修を卒前教育、そして専門医研修と有機的に連動させるべく、その内容を見直す必要があると考えます。
 上記の二に示すように、臨床実習における医行為が安全性に配慮しつつ適切に実行される、違法性の阻却を法令で担保することが望まれるというふうに考えます。
 その他の事項といたしまして、厚生労働省には医師養成過程から専門研修に至るまで様々な審議会、検討会が設置をされています。私もその幾つかに参加をさせていただいておりますが、しかし、そうした会議間の整合性、それから議論内容の相互反映が必ずしも十分に図られているとは言えないと思っております。各会議体の所掌の明確化、会議間の連携、情報共有を図ることが必要だというふうに思われます。
 これからの医療には、地域で密着しながら地域包括ケアに携わる人材が求められます。さらに、医学、医療の発展には、ICT、AI、バイオテクノロジーなど様々な高度技術が不可欠である、それらを担う人材も不足している、それらの人材の育成も必要であるというふうに考えます。
 少子化で人口が減少し、働き手が減っていく中で、優秀な人材が医学だけではなく様々な分野で活躍していくように国としてのバランスを考えていただきたいというふうに考えます。
 働き方改革については、一つの仕組みを急激に変えることで全体に大変大きな影響を与えかねないと考えております。医師の偏在に悪影響が出ないような配慮が必要であるというふうに思います。
 結びとなりますが、改正法案と今後の対応について申し上げたいと思います。
 今回の制度改正、医師偏在の解消に向けたこれ第一歩であるというふうに思っております。これで完結するものではない。まずは、法案成立後の実施、そして運用が大変重要になると思います。まずは本法案等に規定する諸種の対策を進め、その効果を速やかかつ定期的に検証した上で、更なる必要な対策の有無を検討することが肝要であるというふうに考えます。
 また、対策の実行に当たっては、国から地域に対して丁寧な説明と的確な情報提供を徹底するということが重要だというふうに考えます。
 日本医師会としては、地域医療を守っていく立場から積極的に関わっていくということを改めて申し上げたいと思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 今村聡

speaker_id: 9710

日付: 2018-05-15

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会