小河光治の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(小河光治君) 本日は、このような機会をいただきましたことを心からお礼申し上げます。
 今御紹介いただきました、私は子どもの貧困対策センター公益財団法人あすのばの代表をさせていただいております小河と申します。
 今スライドがございますので、スライドに沿いながらお話をさせていただきたいと思います。(資料映写)
 まず、私どもの団体、まだできて二年半程度の団体でございます。
 そもそも私は、このあすのばの前には、親を亡くした子供たちを支援しておりますあしなが育英会に長く勤務をしておりまして、一人親の世帯あるいは障害を持たれている御家庭のお子さんたちに、奨学金だとか心のケアの事業などに携わってまいりました。
 もう御存じのとおりですが、この子どもの貧困対策法という法律、議員立法によって全ての国会議員の皆さん御賛成いただいて、二〇一三年の六月十九日に成立いたしました。その際に、あしなが育英会の奨学金を受けている大学生たちがこの子どもの貧困対策の法律を作ってほしいという運動を進めておりまして、その後、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークの皆さん方々、いろんな方々が力を合わせてこの運動に携わってまいりまして、私も当時はあしながの職員の一人としてこの担当をしておりました。
 そういう経緯の中から、これは親を亡くした子供たちだけの問題ではなくて、一人親でも様々な理由がありますし、又は社会的養護の問題、住民税非課税世帯、生活保護世帯、そういう様々な状況の中で貧困状況に置かれている子供たちのための民間のセンターをつくりたいということで、私どもの団体をつくらさせていただきました。
 主に、三つの役割をしております。
 まず、少しあすのばの紹介をさせていただきますが、なかなか、まず子供の貧困見えにくいというところがあります。これをいかに見える化するか。今も調査をしております。後で少しお話しさせていただきますが、こういうデータ、エビデンスに基づいた政策提言などをしていくという事業が一つ。そして、今日、栗林さんもいらっしゃっていますが、子供食堂だとか、いろんな地域で子供を支援する民間の取組も大変今いろんなところで充実してきています。こういう活動をいかに支えていくかという中間支援的なもの。それから、直接子供たちにも支えていく事業として、今まさに入学、新生活を迎えるお子さん方に給付金を差し上げる事業だとか、あるいは子供たちのキャンプなどというような事業をさせていただいています。
 私たちの事業、小さな団体ですから、最終的には、この右と左の大きな矢がありますが、行政だとかあるいは議員の先生方にお願いをして子供を支える支援をいかに充実させるか。そして、先ほど申しましたように、NPOなどのそういう地域など民間の活動をいかに充実させていくか。支援活動、この両方の右と左の矢をいかに太く大きくするかというのが私どものミッションだというようなことで日々活動をさせていただいています。
 私どもの団体、もう一つの特徴は、子供がど真ん中、センターというところで、今ここにも理事六人おりまして、私を含め大人の理事が三人おりまして、あと、この青で書いてある部分は学生が理事になっています。子供たちの声を私たちも運営の中でも生かしたいということで、高校生以下の子供たちについては子ども委員会という組織もつくって、子供たちの声も直接運営に生かしたいというようなことで活動させていただいています。
 子供の貧困の今現状について、もう既に御理解いただいていると思いますが、少しデータ等でお伝えさせていただければと思います。
 現在の子供の貧困率、相対的貧困率は一三・九%、これ二〇一五年のデータで、その三年前に比べると、こちらに数字がありますように改善されているというものの、まだ七人に一人のお子さんが貧困状況にいるというところです。とりわけ一人親世帯の貧困については、こちらも下がってはいるんですけれども半数以上というようなところで、OECDの中では最悪レベル。この後、赤石参考人からも詳しいお話があるかと思います母子世帯についても、この二つのデータがありますように、今、一人親世帯、母子世帯、父子世帯合わせて百四十二万世帯、二百二十万人以上のお子さんたちがいるという推計ですが、厚労省の一人親の調査でもこういう実態が明らかになっています。
 特に母子家庭が大変増えているというような状況があるということ、それで、なおかつ、先ほど申しましたように貧困状況に陥ってしまっている、そういう一人親の母子家庭特に多いというようなところが大きな今の問題、課題だというふうに言えるかと思います。
 一方で、御両親がそろっていても貧困状況にあるというような方も少なくないわけですね。非正規の雇用状況、もう御存じのとおりですけど、今四割近くまであって、こちらもかつてに比べると倍近く、三十年前の倍近くになっていると、倍以上になっている。また、外国にルーツを持つお子さんたちも増えている。いろいろな原因がこういう今子供の貧困、深刻な状況になっているんだろうというふうに思います。
 このグラフだけを見ると、今回、この三年、ずっと右肩で上がってきたものが貧困率下がっている。このトレンドのままずっと行くんだろうかというところが、これから注目しなければならないところだとは思います。しかしながら、実感として、実際に例えば一人親のお母さんたちが今、非正規だった人たちが正規になっているかというとなかなかそういうような実態はないということで、今まさにいろんな経済政策にもよって今経済の状況がいい中で、最低賃金も上げていただいたりだとかというようなことで、今景気がいい状況の中で所得も上がっている、そういう中での今この貧困率の改善という部分はあるのではないかと思いますが、これが、また逆に不況のような状況、不景気な状況になったときに果たして同じような状況が続いていくんだろうかということはこれからも注目しなければならない。率直に申し上げると、今後景気が悪くなった局面に入ってきたときには貧困率はまた悪い方向になっていくのではないかということをとても危惧しております。
 こういったデータのみならず、私どもが独自に行っているものから見えてきた実情を少しお話をさせていただければと思います。
 先ほど申しましたように、入学、新生活を迎える小学校に入る方、中学校に入る方、中学を卒業する方、高校を卒業する方などに三万円から五万円の給付金の制度を私ども初年度からやっています。ちょうど今、今度の春進学などをされるお子さんたちの今年度の分の審査の大詰めに来ておりますけれども、ここに書いてありますように、今年度に関しては、二千人の定員に対して六千人を超える、三倍以上の方が全国からお申出をいただいている、これだけニーズがあるということもまず一つあるかと思います。対象になるのは、ここに書いてありますように、生活保護を受けていらっしゃる方、住民税非課税世帯、あるいは児童養護施設などで今いらっしゃって、これから自立をされる方が対象なんですが、そういう方がたくさんいらっしゃるという現状があります。
 初年度にやりましたこの給付金の受給者の中で一例を少し挙げたいと思います。ちょっとここに書いてあるのを読まさせていただきます。母は介護施設で調理を担当し、パート勤務をしています、パートの収入と手当で三人の子供を育てているため経済的に厳しく、教育費も食費も大変です、今回二人の子供が入学するためその準備費用が出せない状況ですということで、私どもの給付金をもうわらにもすがるような思いで申し込まれたというようなところです。
 この方、この御家庭、お母さんは年収が税込みで七十五万円しかなくて、高二、高一、中一の三人のお子さんを持っている、公営住宅で二万五千円の家賃を払っていて、この方は生活保護を受けていらっしゃらないというような、当然受けられるような状況なんですけど、受けていらっしゃらないというような状況なんです。
 このお母さんから事務局に電話が掛かってきたんですね。最終的に非課税証明、この方は内定されたんですけれども、非課税証明の証明書類とか住民票を出してくださいということで、役所に行ってその書類を取っていただく、その手数料については、済みません、ちょっと立て替えていただきたいというふうにお願いしたんですが、そのお母さんから、ここにありますように、お電話が掛かってきて、この六百円が立て替えられないんだと。私ども、三月の末までにお金をお送りしたいので三月二十二日までにこれを送ってくださいと言ったら、二十五日の給料日まで何とか待っていただけませんかというような声があって、その六百円をどなたかにお借りするということもできないような、そういう厳しい状況があるということです。
 この方だけではなくて、毎年、これから内定をされた方が決まると、いつこのお金振り込まれるでしょうか、このお金で制服を買いたいんです、当てにしているんですけどというようなお問合せだとかが大変多いというような実態もあります。
 今ちょうど、去年給付金をお渡しした方に本格的なアンケート調査を行っています。今回、あすのばが初めて、今、千五百人のお子さんと保護者を対象にした調査をしています。今、子供の貧困の調査についても各都道府県あるいは基礎自治体ではそれぞれ調査をされていらっしゃいます。それは、地域でどのような子供さんが今状況にいるかということは明らかになっている、これは大きなメリットがあるんですが、今、日本全体の子供の貧困がどういうふうになっているかという実態調査はまだ行われておりません。
 私どもも、当初から、この給付金をお届けするだけではなくて、その方々が今何にお困りで今どんなことがあるのかということをはっきりさせたいということで、今回、本格的な調査を第一回目やりました。ここの下にありますけれども、今度、来週なんですが、第一議員会館の多目的ホールの方でこの中間報告会、子どもの貧困対策推進議員連盟との共催で行わさせていただくということもございますので、ここで是非また詳しい調査結果も発表させていただきたいと思いますので、是非お越しいただければ有り難いというふうに思います。
 子供の貧困ということをちょっと二つの軸で考えてみたいと思います。言葉どおり貧と困ということがありますが、縦軸に貧、横軸に困、困り事というのを取ったときに、まさに貧困というのは、経済的に困っている、貧しい状況で、かつ困り事も多いという、この赤いところというような状況になっているかと思います。
 かつて私も、一人親世帯で育ちましたので本当にお金がなくて大変な状況だったんですけれども、私が子供の頃というのは、ここにありますが、どちらかというと貧乏、お金はないけれども地域の方々がいろいろおせっかいをしていただいたりとか、夏休みなんかだったら、うちで御飯食べなよとか海水浴へ一緒に連れていっていただいたりとか、あるいは学校の先生、退職された先生が勉強をうちで見てあげるよというようなことが、いろんな仕掛けがなくても、そういう地域の支え合いだとかで起きていた、あったということですね。なので、困り事は少なかったというようなことが言えるかと思います。
 じゃ、これをどうしていったらいいかということだと思いますが、まず貧に対するアプローチ、経済的な部分に対しては、まさに今、先ほど非正規の問題がありましたが、安倍総理ももう非正規という言葉をなくしたいというふうに強くおっしゃっていただいているとおりに、これをいかに安定した、雇用の安定を図っていくかというようなことはとても重要なことですし、世帯の所得をどうやって増やしていくかということも重要です。また、再分配もより強化していくという方向性も大事かと。一方で、お金が掛からないように、住居だとか教育費の部分のアプローチも必要だと思います。
 今度、困の方のアプローチですが、これはやはり、先ほど申しましたように、かつて地域ではそういうものが、支援が、支え合いがあったんですけど、なかなかそうはいかない。この後、栗林参考人から、まさに地域でのその困に対してどういうふうにアプローチをしている、具体的なお話があるかと思いますが、そういったものを横展開をどうやってしていくかということも大切なことなのかなというふうに思っています。
 具体的に、じゃ、どういったことが求められているかということについてお話をさせていただきたいと思います。
 これは、毎年私ども年末に、政府それから各党代表の方をお招きした全国集会を開かせていただいていまして、そのときに要望させていただいたことです。いろいろ今お手元の資料の中に、その要望のものにつきまして、こちらに資料ございますので、その中で、もう既に今、来年度の予算、あるいは今度二兆円の経済政策パッケージの中にも盛り込まれているものもたくさんございますけれども、まだまだ課題と思われるものをピックアップさせていただきました。
 今、高等教育に対する支援というのは本当に充実をしていただいていますが、これはとても有り難いことなんですけど、じゃ、高校以下のお子さんに対するいろんな支援は十分かというと、必ずしもそうではないというところがあるかと思います。
 高校の問題なんですが、高校生の給付型の奨学金、これも創設していただいているんですが、ここにありますように、非課税世帯に関しては第一子と第二子に格差がある、この格差を是非なくしていただきたいということ。それから、あと、高校に入るお子さん、小中学生のお子さんは就学援助がありまして、入学準備金制度がある。これも今、半数ぐらいの自治体では前倒し支給もしていただくようにもなりました。しかしながら、高校に入るときには、生活保護世帯に関しては入学のための準備金支援がありますけれども、それ以外の例えば住民税非課税世帯に対しては何の支援もないというようなところで、実は山梨県は、単費でこの住民税非課税世帯に五万円のこういう入学を支援する、そういう制度がございます。これを全国展開をしていただくというようなことも大切かというふうに思います。
 それから、一人親の問題でいうと、これ一人親の中でも非常に今格差があるということがあります。ここにありますように、婚姻歴のない一人親の方ですね、今、寡婦として認められていないということで、今回、厚生労働省も様々な保育料だとかそういったものをみなし適用するということで、かなり大きな第一歩だと思いますが、そもそも税制上の部分の寡婦控除は受けられない。これによって、今、日本の、給付型奨学金にしても何にしてもですけれども、住民税非課税というところで一つの線が引かれてしまう。本来、もし未婚の一人親の人もこの寡婦控除が受けられたら非課税世帯になるのに、ならないために非課税にならない。いわゆるいろんな恩恵が受けられないというような不利益も今あるというところです。ここも是非なくしていただきたいというふうに思います。
 生活保護世帯の世帯分離ほか、ここにも幾つか挙げておりますけれども、こういった内容についても是非前向きに検討していただければ有り難いなというふうに思っております。
 それから、最後になんですけれども、先ほど冒頭で申しました子どもの貧困対策法、この法律が成立して今度の六月で満五年というふうになります。それから、その法律に基づきまして、子供の貧困対策大綱、これ閣議決定されてまた五年ということになるわけですね。ですので、それぞれ、法律につきましても、それから大綱につきましても、五年をめどに見直しをするというふうに見直し規定を入れていただいています。
 今幾つか申しましたが、しかしながら、私もここにずっと関わってきて、この五年間の間に、実は法律で書かれてあること、あるいは大綱の中で書かれていることよりも、実質的に具体的な施策がもう前に進んでいるということもかなりたくさんあります。五年前に、今度、大学だとか専門学校の給付型の奨学金がこれだけ大きなレベルで充実する、実現するなんということは思ってもいなかった。あるいは、児童扶養手当、一人親の児童扶養手当についても、この大綱の中では検討ということも言葉としてなかなか入れていただけなかったんですが、しかしながら、二人目以降の見直しというのも三十六年ぶりに増額をされたというような事実がもうあるんですね。
 むしろ、今の実態よりも、実際の制度よりも大綱だとか法律がまだ後ろ側にいるというような現状もあります。もちろん、更にこれを前に進めていくという意味でも、これは本当に全ての国会議員の皆さんで法律をそもそも作っていただいたというようなこともございますので、是非この見直しということについても今後議論をしていただければなというふうに思います。
 具体的なところで少しだけ申し上げますと、今この貧困の連鎖を断ち切るという部分についてはもちろん大切なことなんですけど、今困っていることについては、この法律の中ではなかなかまだはっきり書いていない。今の困り事についてもしっかりと向き合うということについて、是非理念的な部分では入れていただきたいということ。
 それから、この法律の中では、教育の支援ということについては大変踏み込んで法律も大綱も両方なんですがあるんですが、四つの柱の中の生活支援、就労支援、経済的支援という部分についてはまだなかなか十分ではないという部分もあるかと思います。
 指標に関しても、今有識者会議の中でも検討されていますけれども、ただ貧困率だけではなくて、いろんな分野の多様な指標をしっかりと定めていただいて、それをどうやって良くしていくかというようなことについても是非入れていただきたい。
 都道府県の子どもの貧困対策計画、これ自治体ごとの計画というのもすごく重要で、これ努力義務というふうになっていますが、実際、もうこれも実は既に全ての都道府県で計画できています。なので、これは是非義務に上げていただきたいと思いますし、問題なのは、あとはいかに基礎自治体の中で子供の貧困対策を前に進めていただくかというのも重要なポイントになってきますので、こちらについても是非計画を盛り込んでいただきたいというような点についても是非お願いをしたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 小河光治

speaker_id: 12305

日付: 2018-02-07

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会