磯田宏の発言 (内閣委員会)

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○参考人(磯田宏君) 御質問ありがとうございます。
 TPP11と12との比較ということを含めつつ、そこで米国の対日交渉圧力というものが強まるということのメカニズムといいますか、そういうことをもう少しという御質問であったかと理解いたします。
 先ほど冒頭でも申し上げたことではございますけれども、一つは、確かにトランプ政権というものの、先ほど渡邊先生もおっしゃっていましたけれども、TPP12を、元々四か国の小さな自由貿易協定、経済連携協定であったものにアメリカが乗り込んで、そこで主導権を握って12をオバマ政権の下でずっと発揮してきたものが、トランプ政権への交代によって12が11になったということが生じたわけであります。
 そのことには、そういう意味で、トランプ政権の登場というのは、一面では、そういう多国間交渉よりも二国間交渉の方が、徐々に弱まっているとはいえ、アメリカの圧倒的な経済、政治、軍事力を背景として相手国から譲歩を引き出しやすいという、いわゆるディール論というものがあろうかと思いますが、もう一つ私としては見落とすべきでないと思うのは、むしろ行き過ぎた現代的な自由貿易主義、正確には、物の貿易というよりも、投資、資本、金融、そういったようなものの自由主義というものが中心になっているのが現代の言われるところの自由貿易あるいは新自由主義というものの核心だと思うんですけれども、そういうものを余りにも進め過ぎたと。グローバリゼーションを行くところまで進め続けた結果、アメリカ国内での雇用の喪失、貧困の増大、格差の拡大、そういったような問題、あるいはマクロ経済的にも貿易収支、経常収支の赤字が肥大化していく、国家の財政赤字も肥大化していく、そういうような矛盾にある意味では耐え切れなくなった、それがいろんな形での民意となってトランプ大統領を生み出してきたと、そういう側面も同時に見ておく必要があると思います。
 という意味で事を考えますと、トランプ政権は、決してそういうものを、民意に沿って、あるいは格差を解消するとかいう立場で現在の通商政策を進めているとは必ずしも私も理解しているわけではございませんけれども、そういう民意が一方では背景があるがゆえにこそ余計に、そういう雇用の喪失あるいは賃金の低下、とりわけかつての基幹産業である製造業の主要部門での衰退、そういったものを目に見える形で取り返したいという形の圧力が、この日米二国間に限りませんけれども、NAFTAの再交渉でも米韓FTAの再交渉でも同様に現れておりますけれども、そういう形で現れてきているというふうに理解をしているところであります。
 したがいまして、ちょっと重複になりますけれども、トランプ政権固有の、あるいはトランプ大統領のパーソナリティーからくる極めて攻撃的な対日圧力の増加という側面と、しかし同時に、より大きな意味で、大きなコンテクストとして、行き過ぎたグローバリゼーション、新自由主義化の矛盾にアメリカ自身が耐え難くなってきている、そのことの反映が余計に、そのことの反映がTPP12とTPP11との違いとなっている背景にありまして、そのこともまたアメリカの対日圧力が非常に先鋭化しているということの背後にあるというふうに理解をした方がよろしいのではないかと考えている次第です。

発言情報

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発言者: 磯田宏

speaker_id: 16864

日付: 2018-06-19

院: 参議院

会議名: 内閣委員会