内閣委員会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成三十年六月十九日(火曜日)
午後二時開会
─────────────
委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
礒崎 陽輔君 豊田 俊郎君
六月十五日
辞任 補欠選任
大門実紀史君 田村 智子君
六月十九日
辞任 補欠選任
野上浩太郎君 こやり隆史君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 柘植 芳文君
理 事
藤川 政人君
和田 政宗君
西田 実仁君
矢田わか子君
委 員
有村 治子君
石井 準一君
江島 潔君
岡田 広君
こやり隆史君
山東 昭子君
豊田 俊郎君
野上浩太郎君
山下 雄平君
熊野 正士君
榛葉賀津也君
相原久美子君
白 眞勲君
田村 智子君
清水 貴之君
山本 太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 藤田 昌三君
参考人
慶應義塾大学総
合政策学部教授 渡邊 頼純君
九州大学大学院
農学研究院教授 磯田 宏君
農民運動北海道
連合会委員長 山川 秀正君
─────────────
本日の会議に付した案件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
係法律の整備に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────
この発言だけを見る →午後二時開会
─────────────
委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
礒崎 陽輔君 豊田 俊郎君
六月十五日
辞任 補欠選任
大門実紀史君 田村 智子君
六月十九日
辞任 補欠選任
野上浩太郎君 こやり隆史君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 柘植 芳文君
理 事
藤川 政人君
和田 政宗君
西田 実仁君
矢田わか子君
委 員
有村 治子君
石井 準一君
江島 潔君
岡田 広君
こやり隆史君
山東 昭子君
豊田 俊郎君
野上浩太郎君
山下 雄平君
熊野 正士君
榛葉賀津也君
相原久美子君
白 眞勲君
田村 智子君
清水 貴之君
山本 太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 藤田 昌三君
参考人
慶應義塾大学総
合政策学部教授 渡邊 頼純君
九州大学大学院
農学研究院教授 磯田 宏君
農民運動北海道
連合会委員長 山川 秀正君
─────────────
本日の会議に付した案件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
係法律の整備に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────
柘
柘植芳文#1
○委員長(柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、礒崎陽輔君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として豊田俊郎君及び田村智子さんが選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、礒崎陽輔君及び大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として豊田俊郎君及び田村智子さんが選任されました。
─────────────
柘
柘植芳文#2
○委員長(柘植芳文君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、慶應義塾大学総合政策学部教授渡邊頼純君、九州大学大学院農学研究院教授磯田宏君及び農民運動北海道連合会委員長山川秀正君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず、渡邊参考人、磯田参考人、山川参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手していただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず渡邊参考人にお願いいたします。渡邊参考人。
この発言だけを見る →本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、慶應義塾大学総合政策学部教授渡邊頼純君、九州大学大学院農学研究院教授磯田宏君及び農民運動北海道連合会委員長山川秀正君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
議事の進め方でございますが、まず、渡邊参考人、磯田参考人、山川参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手していただき、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず渡邊参考人にお願いいたします。渡邊参考人。
渡
渡邊頼純#3
○参考人(渡邊頼純君) 御紹介いただきました慶應義塾大学の総合政策学部教授をしております渡邊頼純と申します。今日は、この非常に重要な会議の席に参考人としてお呼びくださり、心から感謝申し上げます。大変光栄に存じている次第でございます。
私の話の前に、少し私自身について先生方に御紹介申し上げたいと思いますが、私、今は慶應義塾大学の教授をしておりますが、実は長い間、国際貿易の問題にずっと関わってまいりました。古くは一九八五年から九〇年まで、ジュネーブにございます日本政府代表部で、ウルグアイ・ラウンドの立ち上げからちょうど中間地点ぐらいまでを見ることができました。また、その後、外務省の専門調査員としまして、EU代表部、これブラッセルにございますが、そちらの方に参りまして、日・EUの経済関係も見てまいりました。そして、二〇〇二年から二〇〇四年は外務省経済局参事官ということで、日本とメキシコとのEPA交渉に首席交渉官として関わることができました。
そういう私にとりましては、ウルグアイ・ラウンド以来の国際貿易の流れ、まさにTPPあるいはTPP11ですね、これは私にとりましても、日本が国際貿易の世界に本当に積極的に関わっている非常に大きな象徴的存在だというふうに考えておりまして、そういう意味では、ある意味でTPPの議論を締めくくる今回のこの参議院の会議に出席できたことは、本当にこの分野を専門にやってきた人間としては非常に幸せに、また光栄に存ずる次第でございます。
そのようなことを申しまして、早速お話を始めたいと思います。
この最初の、私が用意させていただきました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるTPP11の意義と展望という資料を御紹介申し上げながらお話を進めていきたいと思います。
最初にこの一つの大きなポンチ絵みたいなものが出ておりますが、これは何を示しているかといいますと、現在の世界貿易が三つの大きな成長の極、これから成り立っているというふうに考えているということをまず示しております。
一つは、EU、欧州連合を中心としたヨーロッパですね。
それから、大西洋を渡りまして、北米自由貿易協定、NAFTA、アメリカ、カナダ、メキシコからできております。さらには、セントラルアメリカのFTAということでセントラルアメリカFTA、そして、南の方へ更に下りますとメルコスール、さらには、近年、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビアという四か国がつくっております太平洋同盟といったような地域の経済統合体がございます。
そして、太平洋を渡りますと、私どもの東アジアがございます。この東アジアでは、ASEAN十か国、それに日中韓三か国、さらにはインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた東アジアの枠組みであります包括的な経済連携の枠組み、いわゆるRCEPというのがあるわけでございます。
この三つは、世界の経済あるいは経済成長というものを引っ張る三つの大きな成長の極というふうに申し上げていいかと思います。そして、その成長の極では、それぞれ域内の統合というのが進行しているということでございます。
非常にこの二十一世紀に入って興味深いのは、地域と地域の間で地域間協力の枠組みが育ってきていることでございます。一九八九年にスタートいたしましたAPEC、アジア太平洋の経済協力会議、APECが一つその大きな代表でございます。また、一九九六年にスタートいたしましたアジア欧州会議、あるいはアジア欧州会合、ASEMというのもございます。そして、この大西洋を挟んで、EUと北米との間では環大西洋のパートナーシップというのもございます。
そういうわけでして、今、成長の極を結ぶ地域間の協力の枠組みがそういうわけで三つ、APEC、ASEM、そしてこのトランスアトランティックの枠組みと三つあるわけですが、二〇一〇年以降、それが更に進化してきております。それが、アジア太平洋におきましては、APECから出てきましたTPPでございます。このAPECの二十一の国と地域の中から、まず四か国ですね、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイという四か国が最初のTPPの原型をつくりました。そこからTPPが出てきております。現在では残念なことにアメリカが撤退をいたしまして十一か国でございますが、そのTPP十一か国でも、世界の貿易の相当部分、あるいはGDPで申しますと一五%弱を占めているという状況でございます。そして、この欧州連合と日本との間には、日・EUのEPAというのも合意ができております。
そういうわけでして、日本を軸に見ますと、太平洋におきましてはTPPあるいはTPP11、そして、欧州との関係でいいますと日・EUの経済連携協定ができているということでございます。これに更に欧州連合と北米地域との間の何らかの経済連携、何らかのFTAというものが加われば、非常に強い世界の貿易体制を支える軸ができてくる、あるいは面ができてくるというふうに考えることができます。
そういう形で、日本が関与している二つの大きなメガFTA、TPP、そして日・EU、さらにそこにRCEPというのもございます。そういうものをベースに、日本としてWTOを軸とした国際貿易体制というものを強化していく、これが非常に、今の日本のこれからの二十一世紀の通商政策の基本構図ではないかというふうに考えるわけでございます。
一枚この資料をめくっていただきますと、三枚目でございますが、アジア太平洋における地域統合ということで、今申し上げましたRCEP、いわゆる東アジア地域包括的経済連携、あるいはそのTPPの加盟国がそれぞれ出ておりますので、御参照をいただきたいと思います。
更に一枚めくっていただきますと、四枚目のスライドでございます。これは私が作成したオリジナルな図でございますけれども、左の方から右の方へフローチャートとして考えております。日本の二国間のEPAは、既に日・EUを含めますと十六件、この十五件のEPAについては既に発効を見ております。その日本の二国間のEPAをベースに、今後、日本はこの東アジア、そして環太平洋、その両方向に大きな経済連携の歩みを進めていくものと確信しております。
東アジアにつきましては、先ほどから言及しておりますRCEP、さらには日中韓のFTA、そして環太平洋ではTPPというのがあると思います。これらを行く行くはこのアジア太平洋の貿易圏である、つまりAPECの枠組みであるFTAAPの方へ流し込んでいくというのがこれからの大きな意味でのアジア太平洋地域における日本のEPA戦略というふうに言うことができると思います。
幸いなことに、日本はRCEP、日中韓のメンバーであると同時にTPPのメンバー、それも中心的なメンバーでございます。そういうわけで、このTPPにおきましてはより野心的、より高度なルール作りを行い、そしてRCEP、日中韓では、特にASEANの中でも発展のレベルが少し低いカンボジア、ラオス、ミャンマーといったような国々を含めた諸国に対する包摂的な統合といいましょうか、インクルーシブなインテグレーションというものを日本が中心になって進めていく。カンボジア、ラオス、ミャンマーに対してはいわゆるキャパシティービルディングであるとかあるいは貿易円滑化を通して彼らの成長というものを引っ張っていくということがとても重要だと考えているわけでございます。
このRCEP、日中韓と、そしてTPPというのは大いに補完的に機能し得るものでございまして、そして、それをもってこのFTAAP、つまりAPECワイドの自由貿易圏というものにつなげていく、これが非常に大きなグランドデザインではないかというふうに考えます。
そのAPECあるいはFTAAPについて一言申し上げます。
次のページを御覧ください。五枚目でございます。これを御覧になっていただきますと、関税撤廃、あるいは関税撤廃に加えて非関税障壁の削減というものを入れると、徐々に経済成長への寄与、あるいはGDPの成長率を高めていくことが可能であるということがお分かりになっていただけると思います。
もちろん、FTAAPはそんなに簡単にできるとは思っておりませんが、その言わば出発点としてTPPがあり、そしてそこにRCEPや日中韓を加えていって、そして行く行くはこのFTAAPというAPECワイドの自由貿易地域をつくっていくと、これがAPECで現在議論されているところのものでございます。
こういうふうに考えてまいりますと、TPPとRCEPというのは決して相対する関係ではなく、むしろ相互に補完的な役割を果たすということが考えられるわけでございます。
次、もう一枚ページを送ってください。六ページ目でございます。
六ページ目は、このFTAAPで鍵を握るメンバーエコノミーということで、GRIPSの川崎研一教授がはじき出した数値でございますが、御覧のように、このAPECワイドのFTAであるFTAAPをつくった暁には、実は中国が非常に大きく裨益をします。そして、アメリカが二番手に付けていて、日本は五番目というところに位置付けているわけでございます。これから御覧になっていただきましても、このFTAAPへ向けての動きというのは、中国ももちろん裨益いたします、日本もそうなんですが、アメリカも二番手に付けているというところがポイントでございます。
現在、アメリカはTPPから離脱をしておりますが、実はそれはアメリカにとって非常にマイナスのことでございまして、次、一枚めくっていただきますと、このTPP12の評価ということで、元々のTPPの評価が出ております。
高いレベルの自由化、そして新たな通商ルールを規定していく、その中には、国有企業に対するルール作り、労働、環境についての一定の規律を提供する、政府調達市場を開放していく、さらには、電子商取引などのように、現在WTOにおきましてはまだルールができていないところにルールを作っていくということがあったわけでございます。
さらに、TPPは、このビジネスに優しいルールということで、完全累積制度というものを原産地規則の中に織り込むなど、非常にビジネスがしやすい、日本の企業が東南アジアに多く進出しておりますが、彼らにとって非常に良好な関係をつくっていく、そういうルールを提供しております。また、中小企業への配慮、そしてその投資の促進、投資における最恵国待遇や内国民待遇の保障といったようなことも入っております。そして、非常に具体的なこととしては、この税関手続の簡素化あるいは迅速化で、急ぎの場合には六時間で貨物を引き取ることができるといったようなルールも作られたわけでございます。
そういうTPPだったわけでございますが、このTPPの地政学的意義は何だったのかというのが八枚目の紙でございます。
ここでは、グローバルな覇権交代が起こりつつあるということで、ブレトンウッズ体制の変容のプロセスの中でアメリカがどのようにその変容のプロセスを受け止めているかということで、TPPというのは、まさにそういう覇権国が移転していく中で、移り変わっていく中で、どのようなルールを作るかというところが問題だったということでございます。
さらに、中国にとってということで考えますと、中国にとりましても、実はこのTPPの問題というのは中国の発展のモデルをどうつくっていくかということと密接につながっております。中所得国のわなにはまったままの中国でいるのか、あるいはそこから更に伸びるのかというところが中国にとっても重要で、そのためには、RCEPとTPP、この両方を中国はにらんでいるというふうに考えます。もちろん、今すぐ今の中国にTPPに入るということは、これは不可能でございます。しかし、RCEPで投資について、あるいは競争政策について、あるいは国営企業についていろいろ交渉をしていく中でTPPに行く行く入ってくる、そういう発展的なパターン、あるいは段階的なパターンというのを中国の識者も考えているようでございます。
日本にとりましても、この三つ目のポイントですが、これは、日本がグローバルパワーにとどまるのか、あるいは太平洋地域、アジア地域のミドルパワーになってしまうのかということで、この選択を迫られている日本にとりまして、日本のプレゼンスを維持していく上で非常に重要というふうに考えるわけでございます。
もう一枚めくっていただきまして、九枚目でございます。日本の対応といたしましては、TPPから離脱をして損をするのはアメリカ自身であるということを先ほど申しましたが、そういう中で、日本としては、アメリカのTPP復帰を周到に準備してあげるということが重要だと思います。そのときの言い方としては、まさに今アメリカは日米FTAというのを日本に対して言ってきているわけでございますけれども、しかし、考えてみれば、TPP12というのはまさに事実上の日米FTAであるということでございます。この点をアメリカにしっかり分かっていただいて、早急にTPP12に戻ってくるということをアメリカに説得をしていく。
そのためにも、二つ目のポイントですが、TPP11というものを早急に発効させるということで、本委員会の役割も非常に大きいわけでございます。
そしてさらには、日本企業……
この発言だけを見る →私の話の前に、少し私自身について先生方に御紹介申し上げたいと思いますが、私、今は慶應義塾大学の教授をしておりますが、実は長い間、国際貿易の問題にずっと関わってまいりました。古くは一九八五年から九〇年まで、ジュネーブにございます日本政府代表部で、ウルグアイ・ラウンドの立ち上げからちょうど中間地点ぐらいまでを見ることができました。また、その後、外務省の専門調査員としまして、EU代表部、これブラッセルにございますが、そちらの方に参りまして、日・EUの経済関係も見てまいりました。そして、二〇〇二年から二〇〇四年は外務省経済局参事官ということで、日本とメキシコとのEPA交渉に首席交渉官として関わることができました。
そういう私にとりましては、ウルグアイ・ラウンド以来の国際貿易の流れ、まさにTPPあるいはTPP11ですね、これは私にとりましても、日本が国際貿易の世界に本当に積極的に関わっている非常に大きな象徴的存在だというふうに考えておりまして、そういう意味では、ある意味でTPPの議論を締めくくる今回のこの参議院の会議に出席できたことは、本当にこの分野を専門にやってきた人間としては非常に幸せに、また光栄に存ずる次第でございます。
そのようなことを申しまして、早速お話を始めたいと思います。
この最初の、私が用意させていただきました環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるTPP11の意義と展望という資料を御紹介申し上げながらお話を進めていきたいと思います。
最初にこの一つの大きなポンチ絵みたいなものが出ておりますが、これは何を示しているかといいますと、現在の世界貿易が三つの大きな成長の極、これから成り立っているというふうに考えているということをまず示しております。
一つは、EU、欧州連合を中心としたヨーロッパですね。
それから、大西洋を渡りまして、北米自由貿易協定、NAFTA、アメリカ、カナダ、メキシコからできております。さらには、セントラルアメリカのFTAということでセントラルアメリカFTA、そして、南の方へ更に下りますとメルコスール、さらには、近年、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビアという四か国がつくっております太平洋同盟といったような地域の経済統合体がございます。
そして、太平洋を渡りますと、私どもの東アジアがございます。この東アジアでは、ASEAN十か国、それに日中韓三か国、さらにはインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた東アジアの枠組みであります包括的な経済連携の枠組み、いわゆるRCEPというのがあるわけでございます。
この三つは、世界の経済あるいは経済成長というものを引っ張る三つの大きな成長の極というふうに申し上げていいかと思います。そして、その成長の極では、それぞれ域内の統合というのが進行しているということでございます。
非常にこの二十一世紀に入って興味深いのは、地域と地域の間で地域間協力の枠組みが育ってきていることでございます。一九八九年にスタートいたしましたAPEC、アジア太平洋の経済協力会議、APECが一つその大きな代表でございます。また、一九九六年にスタートいたしましたアジア欧州会議、あるいはアジア欧州会合、ASEMというのもございます。そして、この大西洋を挟んで、EUと北米との間では環大西洋のパートナーシップというのもございます。
そういうわけでして、今、成長の極を結ぶ地域間の協力の枠組みがそういうわけで三つ、APEC、ASEM、そしてこのトランスアトランティックの枠組みと三つあるわけですが、二〇一〇年以降、それが更に進化してきております。それが、アジア太平洋におきましては、APECから出てきましたTPPでございます。このAPECの二十一の国と地域の中から、まず四か国ですね、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイという四か国が最初のTPPの原型をつくりました。そこからTPPが出てきております。現在では残念なことにアメリカが撤退をいたしまして十一か国でございますが、そのTPP十一か国でも、世界の貿易の相当部分、あるいはGDPで申しますと一五%弱を占めているという状況でございます。そして、この欧州連合と日本との間には、日・EUのEPAというのも合意ができております。
そういうわけでして、日本を軸に見ますと、太平洋におきましてはTPPあるいはTPP11、そして、欧州との関係でいいますと日・EUの経済連携協定ができているということでございます。これに更に欧州連合と北米地域との間の何らかの経済連携、何らかのFTAというものが加われば、非常に強い世界の貿易体制を支える軸ができてくる、あるいは面ができてくるというふうに考えることができます。
そういう形で、日本が関与している二つの大きなメガFTA、TPP、そして日・EU、さらにそこにRCEPというのもございます。そういうものをベースに、日本としてWTOを軸とした国際貿易体制というものを強化していく、これが非常に、今の日本のこれからの二十一世紀の通商政策の基本構図ではないかというふうに考えるわけでございます。
一枚この資料をめくっていただきますと、三枚目でございますが、アジア太平洋における地域統合ということで、今申し上げましたRCEP、いわゆる東アジア地域包括的経済連携、あるいはそのTPPの加盟国がそれぞれ出ておりますので、御参照をいただきたいと思います。
更に一枚めくっていただきますと、四枚目のスライドでございます。これは私が作成したオリジナルな図でございますけれども、左の方から右の方へフローチャートとして考えております。日本の二国間のEPAは、既に日・EUを含めますと十六件、この十五件のEPAについては既に発効を見ております。その日本の二国間のEPAをベースに、今後、日本はこの東アジア、そして環太平洋、その両方向に大きな経済連携の歩みを進めていくものと確信しております。
東アジアにつきましては、先ほどから言及しておりますRCEP、さらには日中韓のFTA、そして環太平洋ではTPPというのがあると思います。これらを行く行くはこのアジア太平洋の貿易圏である、つまりAPECの枠組みであるFTAAPの方へ流し込んでいくというのがこれからの大きな意味でのアジア太平洋地域における日本のEPA戦略というふうに言うことができると思います。
幸いなことに、日本はRCEP、日中韓のメンバーであると同時にTPPのメンバー、それも中心的なメンバーでございます。そういうわけで、このTPPにおきましてはより野心的、より高度なルール作りを行い、そしてRCEP、日中韓では、特にASEANの中でも発展のレベルが少し低いカンボジア、ラオス、ミャンマーといったような国々を含めた諸国に対する包摂的な統合といいましょうか、インクルーシブなインテグレーションというものを日本が中心になって進めていく。カンボジア、ラオス、ミャンマーに対してはいわゆるキャパシティービルディングであるとかあるいは貿易円滑化を通して彼らの成長というものを引っ張っていくということがとても重要だと考えているわけでございます。
このRCEP、日中韓と、そしてTPPというのは大いに補完的に機能し得るものでございまして、そして、それをもってこのFTAAP、つまりAPECワイドの自由貿易圏というものにつなげていく、これが非常に大きなグランドデザインではないかというふうに考えます。
そのAPECあるいはFTAAPについて一言申し上げます。
次のページを御覧ください。五枚目でございます。これを御覧になっていただきますと、関税撤廃、あるいは関税撤廃に加えて非関税障壁の削減というものを入れると、徐々に経済成長への寄与、あるいはGDPの成長率を高めていくことが可能であるということがお分かりになっていただけると思います。
もちろん、FTAAPはそんなに簡単にできるとは思っておりませんが、その言わば出発点としてTPPがあり、そしてそこにRCEPや日中韓を加えていって、そして行く行くはこのFTAAPというAPECワイドの自由貿易地域をつくっていくと、これがAPECで現在議論されているところのものでございます。
こういうふうに考えてまいりますと、TPPとRCEPというのは決して相対する関係ではなく、むしろ相互に補完的な役割を果たすということが考えられるわけでございます。
次、もう一枚ページを送ってください。六ページ目でございます。
六ページ目は、このFTAAPで鍵を握るメンバーエコノミーということで、GRIPSの川崎研一教授がはじき出した数値でございますが、御覧のように、このAPECワイドのFTAであるFTAAPをつくった暁には、実は中国が非常に大きく裨益をします。そして、アメリカが二番手に付けていて、日本は五番目というところに位置付けているわけでございます。これから御覧になっていただきましても、このFTAAPへ向けての動きというのは、中国ももちろん裨益いたします、日本もそうなんですが、アメリカも二番手に付けているというところがポイントでございます。
現在、アメリカはTPPから離脱をしておりますが、実はそれはアメリカにとって非常にマイナスのことでございまして、次、一枚めくっていただきますと、このTPP12の評価ということで、元々のTPPの評価が出ております。
高いレベルの自由化、そして新たな通商ルールを規定していく、その中には、国有企業に対するルール作り、労働、環境についての一定の規律を提供する、政府調達市場を開放していく、さらには、電子商取引などのように、現在WTOにおきましてはまだルールができていないところにルールを作っていくということがあったわけでございます。
さらに、TPPは、このビジネスに優しいルールということで、完全累積制度というものを原産地規則の中に織り込むなど、非常にビジネスがしやすい、日本の企業が東南アジアに多く進出しておりますが、彼らにとって非常に良好な関係をつくっていく、そういうルールを提供しております。また、中小企業への配慮、そしてその投資の促進、投資における最恵国待遇や内国民待遇の保障といったようなことも入っております。そして、非常に具体的なこととしては、この税関手続の簡素化あるいは迅速化で、急ぎの場合には六時間で貨物を引き取ることができるといったようなルールも作られたわけでございます。
そういうTPPだったわけでございますが、このTPPの地政学的意義は何だったのかというのが八枚目の紙でございます。
ここでは、グローバルな覇権交代が起こりつつあるということで、ブレトンウッズ体制の変容のプロセスの中でアメリカがどのようにその変容のプロセスを受け止めているかということで、TPPというのは、まさにそういう覇権国が移転していく中で、移り変わっていく中で、どのようなルールを作るかというところが問題だったということでございます。
さらに、中国にとってということで考えますと、中国にとりましても、実はこのTPPの問題というのは中国の発展のモデルをどうつくっていくかということと密接につながっております。中所得国のわなにはまったままの中国でいるのか、あるいはそこから更に伸びるのかというところが中国にとっても重要で、そのためには、RCEPとTPP、この両方を中国はにらんでいるというふうに考えます。もちろん、今すぐ今の中国にTPPに入るということは、これは不可能でございます。しかし、RCEPで投資について、あるいは競争政策について、あるいは国営企業についていろいろ交渉をしていく中でTPPに行く行く入ってくる、そういう発展的なパターン、あるいは段階的なパターンというのを中国の識者も考えているようでございます。
日本にとりましても、この三つ目のポイントですが、これは、日本がグローバルパワーにとどまるのか、あるいは太平洋地域、アジア地域のミドルパワーになってしまうのかということで、この選択を迫られている日本にとりまして、日本のプレゼンスを維持していく上で非常に重要というふうに考えるわけでございます。
もう一枚めくっていただきまして、九枚目でございます。日本の対応といたしましては、TPPから離脱をして損をするのはアメリカ自身であるということを先ほど申しましたが、そういう中で、日本としては、アメリカのTPP復帰を周到に準備してあげるということが重要だと思います。そのときの言い方としては、まさに今アメリカは日米FTAというのを日本に対して言ってきているわけでございますけれども、しかし、考えてみれば、TPP12というのはまさに事実上の日米FTAであるということでございます。この点をアメリカにしっかり分かっていただいて、早急にTPP12に戻ってくるということをアメリカに説得をしていく。
そのためにも、二つ目のポイントですが、TPP11というものを早急に発効させるということで、本委員会の役割も非常に大きいわけでございます。
そしてさらには、日本企業……
柘
渡
渡邊頼純#5
○参考人(渡邊頼純君) はい。
これで終わりますが、日本企業が東アジアで構築してきた生産ネットワークの維持強化のためにRCEPを推進していく、また、日・EUの経済連携も早期に発効させることで、言わば保護主義に対する防波堤としてのTPP11の役割、これを明確に主張していくということが極めて重要であると考えるわけでございます。
どうも御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →これで終わりますが、日本企業が東アジアで構築してきた生産ネットワークの維持強化のためにRCEPを推進していく、また、日・EUの経済連携も早期に発効させることで、言わば保護主義に対する防波堤としてのTPP11の役割、これを明確に主張していくということが極めて重要であると考えるわけでございます。
どうも御清聴ありがとうございました。
柘
磯
磯田宏#7
○参考人(磯田宏君) 皆様の机の上に配っていただいたもう一つのホチキスで留めたものでございますけれども、これを全部紹介させていただくととても時間が足りませんので、ここの要点を少しはしょって意見の陳述にさせていただきます。
私は、農林水産業等への深刻な影響が予測され、発効後のリスクあるいは不透明な部分が著しく大きい、そのような性格を依然として持っているいわゆるTPP11、CPTPPの発効に向かうべきではないという観点から、その私としての根拠を五点ほどにわたってかいつまんで説明させていただきます。
一点目に、農産物等の市場開放に関する条文や譲許表はTPP12から変更がなされておらず、したがって、発効後に更に市場開放を迫られるメカニズムも組み込まれたままであるということであります。そういう意味で、変更がなされていないTPPには、現在、我々の目に触れている協定の条文や譲許表以上の市場開放を協議するメカニズムが幾重にも組み込まれております。
具体的には、そこに四つ挙げておりますけれども、そういったような、とりわけ三番目の、発効後七年たちますと、アメリカは当面おりませんけれども、その他の四輸出大国の要請で市場アクセス増大目的の協議が義務付けられるといったようなことを中心に、これらを通じて、現在の約束による農産物市場開放では済まされない危険が極めて大きい、そういうメカニズムを内包しているということでございます。
二番目に、このTPP11が発効され、それに伴って市場開放するということになると、少なくとも、トランプ政権におけるアメリカとの関係では、それにプラスして日米二国間の市場開放という二重の市場開放になる危険が大いにはらまれているということであります。TPP11の国内承認手続を早期完了、発効させることがむしろ米国の対日二国間交渉圧力を抑止するのに有効だという言説が出されておりますけれども、私の考えでは、むしろ逆に作用する危険が高いというふうに見ております。
TPP11は、御案内のように米国が離脱したにもかかわらず、そこに書きましたような大麦輸入のTPP枠であるとか、脱脂粉乳、バターのTPP枠、牛肉及び豚肉のセーフガードの発動基準数量、こういうものについて日本政府は削減の要求すらしておりません。
したがって、豪州、カナダ、ニュージーランドといった輸出大国でもってそれらのTPP枠やセーフガード発動基準数量に近づいてしまう可能性が高く、そのことがかえって米国との二国間協議において、本来の米国分け前というふうに米国が考えるところのもの、あるいはそれ以上のものの要求を誘発することになるだろうと。このTPP11の協定では確かに、米国復帰の見込みがない場合に市場開放の下方修正をすべく見直し条項を挿入されておりますけれども、今挙げたような輸出大国がそれに応じるということはおよそ想定し難いのであります。
逆に、仮に米国復帰があるとすれば、ダボス会議等の際にもトランプ大統領明言されておりましたように、TPPが米国にとってはるかに良い協定になればという話でございますので、逆に今の条項でもって現行以上の市場開放への見直しを迫られるのが必至なのではないかというふうに考えてきますと、米国復帰の見込みがあるなしのいずれの場合でも、結局はTPP11プラス日米二国間の市場開放に帰結する可能性が高いと。トランプ政権は、十一月に迫ってまいりました中間選挙向けの短期のタームでは手っ取り早い二国間市場開放の取引の成果を求め、それを乗り切って、中期的には日米自由貿易協定をという戦術というふうに考えられます。
三点目の根拠でございますけれども、農産物・食品の安全性確保等についても、現にある協定以外にも、将来にわたって追加的協議メカニズムによって発効後の規制措置等の確保は非常に不透明化すると、そういうリスクを内包しているということでございます。
一番目のTPPの衛生植物検疫措置、SPS条文については、非常に科学的証拠主義が、WTOのSPS協定よりも更に強められているということがありますけれども、加えて、そのTPPの中に置かれるSPS小委員会の目的が非常に抽象的に規定されているため、広範囲な輸出国側の関心事項等が協議されるのではないかというふうな危惧を非常に持っておる次第であります。
また、貿易の技術的障害、TBTに関しても、それ自体としても幾つかの問題をはらんでおって、例えば、包装食品、食品添加物について企業が占有する製法情報に対する政府の提出要求を制限したりとか、FAO、WHO等の下に置かれている食品規格委員会の基準ですら効果的でない、適当でないというふうに判断された場合は食品へのラベル記載を要求できないなど、現行でも問題ばらみなんですが。加えて、ここでも小委員会の検討、活動等が著しく広範囲に規定されているため、日本の規制、基準緩和や他国のものの承認や調和、それへの調和などが一層進められる危惧を抱かざるを得ないと。
また、米国に関してですけれども、ここでも、TPPから離脱した米国ではありますけれども、今後の日米二国間協議でこれらのTPP現行条文以上を求めるだろうことは、通商代表部の本年の外国貿易障壁報告書が、昨年施行された改正原料原産地表示制度に対する懸念を表明したり、米国産輸入牛肉の月齢制限の廃止を要求したりとか、食品添加物禁止の撤廃であるとか、ポストハーベスト防カビ剤の取扱いの撤廃であるとか等々を改めて要求していることからしても、今後、これらのことが日米二国間協議で強い要求となって現れてくるであろうことはほぼ明らかであろうかというふうに思っております。
それから四点目に、政府調達に関する問題でございまして、ここでは地域の農林産物に一応引き付けて申し上げますけれども、国産や地域産の農林水産物を政府調達に利用することが妨げられる、そういった危険も高まるということでありまして、TPPはそもそも、十五章の政府調達において、市場開放対象の政府調達については、国産、地域産農林水産物等の利用を課することを禁じているわけです。
さらに、現行の条文等に書かれている、あるいは附属書に書かれている市場開放対象政府調達の機関、範囲、基準額についても、その小委員会というものがここでも登場しまして、追加的な交渉によって範囲の拡大や基準額の引下げのための交渉をするということが定められております。
このことが現実化していきますと、政府調達の対象機関、現在では指定都市以外の一般市町村は対象外ですけれども、そういうものが対象に含まれてくる。あるいは、政府調達の種類の範囲としても、例えば、現在、地方自治体の学校給食サービスは政府調達の対象から外されておりますけれども、市場開放の対象から外されておりますけれども、こういうものが除外されるという今の取扱いが解消されるとか、そういったようなことを含めた追加的交渉が義務付けられていることになるということになりますと、国産材、地域産材を利用した公共建築や地産地消型学校給食の促進などは、その存立基盤を縮小、喪失する危険にさらされるという懸念を強く持つものであります。
五番目に、ISDS、投資家国家間紛争解決システムでございます。
一部には、今回のTPP11では凍結されているのではないかという理解もあるやに聞きますけれども、実は御案内のように、実際に凍結されるのは、投資に関する合意及び投資の許可、この二項目だけでございまして、及び、それから十一章、金融サービスのうちの、金融サービスに関わる市場開放等に関する待遇に関する最低基準という、そういう義務だけがISDSの対象外に今回凍結されたのであります。したがいまして、むしろ、投資の本体である投資財産のあらゆる権益保護及び、先ほどの金融サービスに関するその他の市場開放や待遇保証義務への違反は、全て引き続きISDSの対象になっているままでございます。
このISDSについての問題点というのはもうるる指摘されているところでありますので、時間の都合もありますので省略させていただきますけれども、一番私が特に今日強調したいのは、仲裁廷における裁定基準が、条文、附属書等における概念規定が不明確なものですから、結局は仲裁廷の裁量に丸投げにされてしまう、実際にそういう判例が数多く見られてきているというところでございます。
最後、以上のまとめ的な意味も込めて六点目でございますけれども、先ほど参考人の渡邊先生はメガFTA、EPAこそ進むべき道というふうにおっしゃられましたが、私は、むしろここで一旦冷静に立ち止まって、慎重に、それが本当に国民、地域住民、あるいは私の専門に引き付けて言えば農業分野等にとって本当のメリットになる道なのかどうかを再検討する、そういう時期に来ているんではないかということを結論的には申し上げたいということであります。
まず、政府によるTPP11等の生産額への影響が過小評価になっているのではないかという問題意識は幅広く共有されているところであります。例えば、輸出国側政府の試算と日本政府の生産減少額との差が大き過ぎるというような問題があり、その若干の例を今日机にお配りした方ではカナダ政府、それからニュージーランド政府の特定の産品についての試算との余りに大きなギャップについて紹介しておりますが、ここではその具体的な内容については省かせていただきますけれども。
日本政府試算のもう一つの非常に非現実的なロジックとして指摘できることは、そこでは輸出の増加が考慮されていないという前提になっております。その前提の上で、国内対策、今日のこの法案もそうですけれども、国内対策の結果、国内生産量も自給率も不変だ、変わらない、落ちないと、こういう結論でございます。ということは、これは簡単な算数でございまして、輸入量が全く増えないということを意味するわけであります。逆に、日本の人口減少とそれに伴う消費の減少がこのまま歯止めが掛からないとすれば、むしろ輸入が減りさえすることを意味するという、こういう結論に論理的になるわけでありまして、余りに非現実的であると言わざるを得ません。
日本政府は、メガ自由貿易協定、経済連携協定が切り開く大きなボーダーレス市場へ向けて輸出で成長産業化する農業を目指すとしておりますが、確かに、世界最高水準の品質や和食の健康的、文化的価値において競争力を有する、グローバルな富裕層向けの輸出農業分野に一定の成長の余地があることは私も否定いたしませんが、そのような分野は好むと好まざるとにかかわらず限られております。したがって、そうでない多くの農業分野はそのようなメガ路線の市場開放で大きく縮小せざるを得ず、例えば食料・農業・農村基本法がうたう国民への食料安定供給確保や多面的機能の発揮は失われていくし、国内農業と国民あるいは国内消費者も切り離されてしまうであろうことが深く懸念されているわけです。
そのような観点からも、メガFTA、EPA路線からの再検討、そこからの転換ということの検討が必要とされているというふうに考える次第でございます。
御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →私は、農林水産業等への深刻な影響が予測され、発効後のリスクあるいは不透明な部分が著しく大きい、そのような性格を依然として持っているいわゆるTPP11、CPTPPの発効に向かうべきではないという観点から、その私としての根拠を五点ほどにわたってかいつまんで説明させていただきます。
一点目に、農産物等の市場開放に関する条文や譲許表はTPP12から変更がなされておらず、したがって、発効後に更に市場開放を迫られるメカニズムも組み込まれたままであるということであります。そういう意味で、変更がなされていないTPPには、現在、我々の目に触れている協定の条文や譲許表以上の市場開放を協議するメカニズムが幾重にも組み込まれております。
具体的には、そこに四つ挙げておりますけれども、そういったような、とりわけ三番目の、発効後七年たちますと、アメリカは当面おりませんけれども、その他の四輸出大国の要請で市場アクセス増大目的の協議が義務付けられるといったようなことを中心に、これらを通じて、現在の約束による農産物市場開放では済まされない危険が極めて大きい、そういうメカニズムを内包しているということでございます。
二番目に、このTPP11が発効され、それに伴って市場開放するということになると、少なくとも、トランプ政権におけるアメリカとの関係では、それにプラスして日米二国間の市場開放という二重の市場開放になる危険が大いにはらまれているということであります。TPP11の国内承認手続を早期完了、発効させることがむしろ米国の対日二国間交渉圧力を抑止するのに有効だという言説が出されておりますけれども、私の考えでは、むしろ逆に作用する危険が高いというふうに見ております。
TPP11は、御案内のように米国が離脱したにもかかわらず、そこに書きましたような大麦輸入のTPP枠であるとか、脱脂粉乳、バターのTPP枠、牛肉及び豚肉のセーフガードの発動基準数量、こういうものについて日本政府は削減の要求すらしておりません。
したがって、豪州、カナダ、ニュージーランドといった輸出大国でもってそれらのTPP枠やセーフガード発動基準数量に近づいてしまう可能性が高く、そのことがかえって米国との二国間協議において、本来の米国分け前というふうに米国が考えるところのもの、あるいはそれ以上のものの要求を誘発することになるだろうと。このTPP11の協定では確かに、米国復帰の見込みがない場合に市場開放の下方修正をすべく見直し条項を挿入されておりますけれども、今挙げたような輸出大国がそれに応じるということはおよそ想定し難いのであります。
逆に、仮に米国復帰があるとすれば、ダボス会議等の際にもトランプ大統領明言されておりましたように、TPPが米国にとってはるかに良い協定になればという話でございますので、逆に今の条項でもって現行以上の市場開放への見直しを迫られるのが必至なのではないかというふうに考えてきますと、米国復帰の見込みがあるなしのいずれの場合でも、結局はTPP11プラス日米二国間の市場開放に帰結する可能性が高いと。トランプ政権は、十一月に迫ってまいりました中間選挙向けの短期のタームでは手っ取り早い二国間市場開放の取引の成果を求め、それを乗り切って、中期的には日米自由貿易協定をという戦術というふうに考えられます。
三点目の根拠でございますけれども、農産物・食品の安全性確保等についても、現にある協定以外にも、将来にわたって追加的協議メカニズムによって発効後の規制措置等の確保は非常に不透明化すると、そういうリスクを内包しているということでございます。
一番目のTPPの衛生植物検疫措置、SPS条文については、非常に科学的証拠主義が、WTOのSPS協定よりも更に強められているということがありますけれども、加えて、そのTPPの中に置かれるSPS小委員会の目的が非常に抽象的に規定されているため、広範囲な輸出国側の関心事項等が協議されるのではないかというふうな危惧を非常に持っておる次第であります。
また、貿易の技術的障害、TBTに関しても、それ自体としても幾つかの問題をはらんでおって、例えば、包装食品、食品添加物について企業が占有する製法情報に対する政府の提出要求を制限したりとか、FAO、WHO等の下に置かれている食品規格委員会の基準ですら効果的でない、適当でないというふうに判断された場合は食品へのラベル記載を要求できないなど、現行でも問題ばらみなんですが。加えて、ここでも小委員会の検討、活動等が著しく広範囲に規定されているため、日本の規制、基準緩和や他国のものの承認や調和、それへの調和などが一層進められる危惧を抱かざるを得ないと。
また、米国に関してですけれども、ここでも、TPPから離脱した米国ではありますけれども、今後の日米二国間協議でこれらのTPP現行条文以上を求めるだろうことは、通商代表部の本年の外国貿易障壁報告書が、昨年施行された改正原料原産地表示制度に対する懸念を表明したり、米国産輸入牛肉の月齢制限の廃止を要求したりとか、食品添加物禁止の撤廃であるとか、ポストハーベスト防カビ剤の取扱いの撤廃であるとか等々を改めて要求していることからしても、今後、これらのことが日米二国間協議で強い要求となって現れてくるであろうことはほぼ明らかであろうかというふうに思っております。
それから四点目に、政府調達に関する問題でございまして、ここでは地域の農林産物に一応引き付けて申し上げますけれども、国産や地域産の農林水産物を政府調達に利用することが妨げられる、そういった危険も高まるということでありまして、TPPはそもそも、十五章の政府調達において、市場開放対象の政府調達については、国産、地域産農林水産物等の利用を課することを禁じているわけです。
さらに、現行の条文等に書かれている、あるいは附属書に書かれている市場開放対象政府調達の機関、範囲、基準額についても、その小委員会というものがここでも登場しまして、追加的な交渉によって範囲の拡大や基準額の引下げのための交渉をするということが定められております。
このことが現実化していきますと、政府調達の対象機関、現在では指定都市以外の一般市町村は対象外ですけれども、そういうものが対象に含まれてくる。あるいは、政府調達の種類の範囲としても、例えば、現在、地方自治体の学校給食サービスは政府調達の対象から外されておりますけれども、市場開放の対象から外されておりますけれども、こういうものが除外されるという今の取扱いが解消されるとか、そういったようなことを含めた追加的交渉が義務付けられていることになるということになりますと、国産材、地域産材を利用した公共建築や地産地消型学校給食の促進などは、その存立基盤を縮小、喪失する危険にさらされるという懸念を強く持つものであります。
五番目に、ISDS、投資家国家間紛争解決システムでございます。
一部には、今回のTPP11では凍結されているのではないかという理解もあるやに聞きますけれども、実は御案内のように、実際に凍結されるのは、投資に関する合意及び投資の許可、この二項目だけでございまして、及び、それから十一章、金融サービスのうちの、金融サービスに関わる市場開放等に関する待遇に関する最低基準という、そういう義務だけがISDSの対象外に今回凍結されたのであります。したがいまして、むしろ、投資の本体である投資財産のあらゆる権益保護及び、先ほどの金融サービスに関するその他の市場開放や待遇保証義務への違反は、全て引き続きISDSの対象になっているままでございます。
このISDSについての問題点というのはもうるる指摘されているところでありますので、時間の都合もありますので省略させていただきますけれども、一番私が特に今日強調したいのは、仲裁廷における裁定基準が、条文、附属書等における概念規定が不明確なものですから、結局は仲裁廷の裁量に丸投げにされてしまう、実際にそういう判例が数多く見られてきているというところでございます。
最後、以上のまとめ的な意味も込めて六点目でございますけれども、先ほど参考人の渡邊先生はメガFTA、EPAこそ進むべき道というふうにおっしゃられましたが、私は、むしろここで一旦冷静に立ち止まって、慎重に、それが本当に国民、地域住民、あるいは私の専門に引き付けて言えば農業分野等にとって本当のメリットになる道なのかどうかを再検討する、そういう時期に来ているんではないかということを結論的には申し上げたいということであります。
まず、政府によるTPP11等の生産額への影響が過小評価になっているのではないかという問題意識は幅広く共有されているところであります。例えば、輸出国側政府の試算と日本政府の生産減少額との差が大き過ぎるというような問題があり、その若干の例を今日机にお配りした方ではカナダ政府、それからニュージーランド政府の特定の産品についての試算との余りに大きなギャップについて紹介しておりますが、ここではその具体的な内容については省かせていただきますけれども。
日本政府試算のもう一つの非常に非現実的なロジックとして指摘できることは、そこでは輸出の増加が考慮されていないという前提になっております。その前提の上で、国内対策、今日のこの法案もそうですけれども、国内対策の結果、国内生産量も自給率も不変だ、変わらない、落ちないと、こういう結論でございます。ということは、これは簡単な算数でございまして、輸入量が全く増えないということを意味するわけであります。逆に、日本の人口減少とそれに伴う消費の減少がこのまま歯止めが掛からないとすれば、むしろ輸入が減りさえすることを意味するという、こういう結論に論理的になるわけでありまして、余りに非現実的であると言わざるを得ません。
日本政府は、メガ自由貿易協定、経済連携協定が切り開く大きなボーダーレス市場へ向けて輸出で成長産業化する農業を目指すとしておりますが、確かに、世界最高水準の品質や和食の健康的、文化的価値において競争力を有する、グローバルな富裕層向けの輸出農業分野に一定の成長の余地があることは私も否定いたしませんが、そのような分野は好むと好まざるとにかかわらず限られております。したがって、そうでない多くの農業分野はそのようなメガ路線の市場開放で大きく縮小せざるを得ず、例えば食料・農業・農村基本法がうたう国民への食料安定供給確保や多面的機能の発揮は失われていくし、国内農業と国民あるいは国内消費者も切り離されてしまうであろうことが深く懸念されているわけです。
そのような観点からも、メガFTA、EPA路線からの再検討、そこからの転換ということの検討が必要とされているというふうに考える次第でございます。
御清聴ありがとうございました。
柘
山
山川秀正#9
○参考人(山川秀正君) それでは、最後に私の方から意見を述べさせていただきたいと思います。
お二人は大学で専門的にTPPを研究している、そういう立場からの発言でしたけれども、私自身は現場で実際に農業を行っている農民の立場から、TPPについて反対の立場で意見陳述をしたいと考えております。
私自身は、北海道十勝管内、帯広市の隣ですけれども、音更町で畑作農業経営を営んでおりまして、経営内容は、十三ヘクタールの小麦、大豆五ヘクタール、てん菜六ヘクタールなど、四十ヘクタール耕作をしております。
今、北海道の販売農家戸数は約三万八千戸となっておりまして、私自身が農業を継いだときには十三万五千戸もありました。この十年間で一万五千戸、四十年間で十万戸も減少したことになります。今頑張っている北海道の農業者は幾多の試練を乗り越えてきた言わばつわものと言える農業者ですが、TPP11で更に大きな網のふるいに掛けられるのではないか、多くの農家が懸念を抱いております。
政府の試算でも、TPP11によって農産品だけで六百二十億円の関税収入が減少し、その対策も示しておりません。関税収入の減少の内訳は、牛肉が二百七十億円、国家貿易によるマークアップは、麦で二百二十七億円、乳製品は二十五億円、砂糖調整金十六億円となっており、北海道農業に及ぼす減収は百五十億円以上になると予測されております。
これらの関税やマークアップの財源によって、牛のマルキンや麦やてん菜の数量支払、生乳生産者補給金の財源に充てられてきました。私自身も、経営に大きなウエートを占める小麦のマークアップが四五%削減されることになれば、小麦の販売価格がその分引き下げられるのではないか、強く危惧を抱いております。北海道では約十二万ヘクタールに小麦を作付けしていますが、TPP11が発効して、現在の作付面積や生産量が確保できる法整備を明確にすべきであります。
また、牛肉の関税収入の減少が最終的には二百七十億円と試算していますが、これでも牛マルキンが維持されるのか。九割補填にすることはTPP11発効前にも措置すべきと考えますが、果たして財源が確保されるのか。牛・豚マルキンの維持と経営安定対策の交付金の維持を担保するのであれば、法制化を図ることを提案したいと思っております。さらに、TPP12で示された牛肉などのセーフガードや乳製品の低関税輸入枠も凍結されないまま承認されており、その影響は避けることができません。
北海道では十万ヘクタールの水田があります。アメリカが抜けたことから約七万トンの米の輸入が回避され、オーストラリアのみとなりました。しかし、米の生産国で国際的にも最も価格の安いタイが参加を表明しております。タイ産米の輸入拡大を拒否できるのか、明確にできないのであれば、関連法案は判明するまで採決すべきではないと考えます。
さらに、食の安全についても、検疫時間の短縮や遺伝子組換え表示の変更など、心配は尽きません。
また、TPP受入れを前提に体質強化策が講じられてきていますが、支援の対象が規模拡大一辺倒であり、現状維持で経営を続けようとしている私たち農業者は、大きな支援、これを受けることは全くありません。現状維持で経営を続けようとしている農家も支援の対象にすべきではないでしょうか。
また、牛肉の関税収入の減少が最終的に二百七十億円と試算していますが、これでも牛のマルキン制度が維持されるのか。九割補填にすることはTPP11発効前にも処置すべきですが、果たして財源が保障されるのか、大変不安であります。
さらに、私たちが生産した小麦の国内価格、六十キロ三千円であります。これは国家貿易品目であることから、国が一元的に輸入し、その輸入差益としてキロ当たり十七円を徴収しています。この輸入差益分が四五%削減されますと、六十キロに換算して四百六十円となります。この分が道産小麦の価格に連動することになれば、生産者にとっては大きな打撃です。輸入差益の上限はキロ四十五円となっていますから、上限の四五%にすべきではないかとも考えます。
現在の小麦の販売価格は政府の輸入小麦販売価格と同じような水準ですから、約三千円の販売価格では生産費を維持することはできません。生産した小麦は農協で調製をし、その経費が約千円、販売経費や価格変動猶予金を含めると千円になります。農家の手取りは出来秋には千円程度しかなく、これでは経営が成り立つはずがありません。それを補填するために、経営安定対策の数量支払で六十キロ六千八百九十円の交付金を受けています。
この交付金の主要な財源は、輸入差益、マークアップであります。政府の試算であれば、TPP11が発効すれば初年度で二十五億円減少し、最終年度には二百二十七億円の減少としています。財源が減少しても現在の経営安定対策が維持される、交付金が維持されるのか、そのことが極めて心配するところであります。政府は措置すると言いますが、小麦生産の減少を見込んでいるのではないかと思わざるを得ません。
北海道農業は今、農業を輸出産業に、その典型としてもてはやされております。しかし、食料自給率三八%の国が目指すべき方向でしょうか。EUとのEPAも暫定発効が心配でありますが、EUでは昨年十一月、共通農業政策、食料と農業の未来の中で、家族農業経営、食料安全保障、農業の多面的機能の維持、そして農業には完全な自由貿易化に耐えられない部分があることを強調しております。日本の農政理念の根本的転換にかじを切る議論も求めておきたいと思います。
最後になりますが、TPP事後対策の一環として出されたと、このように私は受け取りますが、今年四月、米や麦、大豆の種子法、これが廃止されました。そういう現状の中で、今、北海道では、パン向けの秋まき小麦、キタノカオリの採種が困難となり、生産が危機に立たされております。種を農家が手に入れるまでには原原種、原種、採種と三年費やしてようやく四年目で私たちが播種することができるわけでございますけれども、その根本が、法律が廃止され、キタノカオリにこだわった製造店からも不安の声が上がっており、種子法の復活、このことも最後に求めて、私の意見とさせていただきます。
大変御清聴ありがとうございました。
この発言だけを見る →お二人は大学で専門的にTPPを研究している、そういう立場からの発言でしたけれども、私自身は現場で実際に農業を行っている農民の立場から、TPPについて反対の立場で意見陳述をしたいと考えております。
私自身は、北海道十勝管内、帯広市の隣ですけれども、音更町で畑作農業経営を営んでおりまして、経営内容は、十三ヘクタールの小麦、大豆五ヘクタール、てん菜六ヘクタールなど、四十ヘクタール耕作をしております。
今、北海道の販売農家戸数は約三万八千戸となっておりまして、私自身が農業を継いだときには十三万五千戸もありました。この十年間で一万五千戸、四十年間で十万戸も減少したことになります。今頑張っている北海道の農業者は幾多の試練を乗り越えてきた言わばつわものと言える農業者ですが、TPP11で更に大きな網のふるいに掛けられるのではないか、多くの農家が懸念を抱いております。
政府の試算でも、TPP11によって農産品だけで六百二十億円の関税収入が減少し、その対策も示しておりません。関税収入の減少の内訳は、牛肉が二百七十億円、国家貿易によるマークアップは、麦で二百二十七億円、乳製品は二十五億円、砂糖調整金十六億円となっており、北海道農業に及ぼす減収は百五十億円以上になると予測されております。
これらの関税やマークアップの財源によって、牛のマルキンや麦やてん菜の数量支払、生乳生産者補給金の財源に充てられてきました。私自身も、経営に大きなウエートを占める小麦のマークアップが四五%削減されることになれば、小麦の販売価格がその分引き下げられるのではないか、強く危惧を抱いております。北海道では約十二万ヘクタールに小麦を作付けしていますが、TPP11が発効して、現在の作付面積や生産量が確保できる法整備を明確にすべきであります。
また、牛肉の関税収入の減少が最終的には二百七十億円と試算していますが、これでも牛マルキンが維持されるのか。九割補填にすることはTPP11発効前にも措置すべきと考えますが、果たして財源が確保されるのか。牛・豚マルキンの維持と経営安定対策の交付金の維持を担保するのであれば、法制化を図ることを提案したいと思っております。さらに、TPP12で示された牛肉などのセーフガードや乳製品の低関税輸入枠も凍結されないまま承認されており、その影響は避けることができません。
北海道では十万ヘクタールの水田があります。アメリカが抜けたことから約七万トンの米の輸入が回避され、オーストラリアのみとなりました。しかし、米の生産国で国際的にも最も価格の安いタイが参加を表明しております。タイ産米の輸入拡大を拒否できるのか、明確にできないのであれば、関連法案は判明するまで採決すべきではないと考えます。
さらに、食の安全についても、検疫時間の短縮や遺伝子組換え表示の変更など、心配は尽きません。
また、TPP受入れを前提に体質強化策が講じられてきていますが、支援の対象が規模拡大一辺倒であり、現状維持で経営を続けようとしている私たち農業者は、大きな支援、これを受けることは全くありません。現状維持で経営を続けようとしている農家も支援の対象にすべきではないでしょうか。
また、牛肉の関税収入の減少が最終的に二百七十億円と試算していますが、これでも牛のマルキン制度が維持されるのか。九割補填にすることはTPP11発効前にも処置すべきですが、果たして財源が保障されるのか、大変不安であります。
さらに、私たちが生産した小麦の国内価格、六十キロ三千円であります。これは国家貿易品目であることから、国が一元的に輸入し、その輸入差益としてキロ当たり十七円を徴収しています。この輸入差益分が四五%削減されますと、六十キロに換算して四百六十円となります。この分が道産小麦の価格に連動することになれば、生産者にとっては大きな打撃です。輸入差益の上限はキロ四十五円となっていますから、上限の四五%にすべきではないかとも考えます。
現在の小麦の販売価格は政府の輸入小麦販売価格と同じような水準ですから、約三千円の販売価格では生産費を維持することはできません。生産した小麦は農協で調製をし、その経費が約千円、販売経費や価格変動猶予金を含めると千円になります。農家の手取りは出来秋には千円程度しかなく、これでは経営が成り立つはずがありません。それを補填するために、経営安定対策の数量支払で六十キロ六千八百九十円の交付金を受けています。
この交付金の主要な財源は、輸入差益、マークアップであります。政府の試算であれば、TPP11が発効すれば初年度で二十五億円減少し、最終年度には二百二十七億円の減少としています。財源が減少しても現在の経営安定対策が維持される、交付金が維持されるのか、そのことが極めて心配するところであります。政府は措置すると言いますが、小麦生産の減少を見込んでいるのではないかと思わざるを得ません。
北海道農業は今、農業を輸出産業に、その典型としてもてはやされております。しかし、食料自給率三八%の国が目指すべき方向でしょうか。EUとのEPAも暫定発効が心配でありますが、EUでは昨年十一月、共通農業政策、食料と農業の未来の中で、家族農業経営、食料安全保障、農業の多面的機能の維持、そして農業には完全な自由貿易化に耐えられない部分があることを強調しております。日本の農政理念の根本的転換にかじを切る議論も求めておきたいと思います。
最後になりますが、TPP事後対策の一環として出されたと、このように私は受け取りますが、今年四月、米や麦、大豆の種子法、これが廃止されました。そういう現状の中で、今、北海道では、パン向けの秋まき小麦、キタノカオリの採種が困難となり、生産が危機に立たされております。種を農家が手に入れるまでには原原種、原種、採種と三年費やしてようやく四年目で私たちが播種することができるわけでございますけれども、その根本が、法律が廃止され、キタノカオリにこだわった製造店からも不安の声が上がっており、種子法の復活、このことも最後に求めて、私の意見とさせていただきます。
大変御清聴ありがとうございました。
柘
柘植芳文#10
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
和
和田政宗#11
○和田政宗君 自由民主党・こころの和田政宗でございます。
参考人のお三方の貴重な御意見を誠にありがとうございました。
私は、渡邊頼純参考人を中心にお聞きをしていきたいというふうに思っております。
渡邊教授は、通信社等のインタビューで、TPPに復帰しないで困るのは日本ではなく米国であるというようなことを述べていらっしゃいますけれども、これはどういった意味なのか、詳しく教えていただけますでしょうか。
この発言だけを見る →参考人のお三方の貴重な御意見を誠にありがとうございました。
私は、渡邊頼純参考人を中心にお聞きをしていきたいというふうに思っております。
渡邊教授は、通信社等のインタビューで、TPPに復帰しないで困るのは日本ではなく米国であるというようなことを述べていらっしゃいますけれども、これはどういった意味なのか、詳しく教えていただけますでしょうか。
渡
渡邊頼純#12
○参考人(渡邊頼純君) 和田先生、どうも御質問ありがとうございました。
確かに、私は、TPPに戻ってこないで困るのはアメリカであるということを申し上げております。
幾つかございますけれども、まず一つは、TPPの持っているその戦略的意義というのがあると思います。やはりこのTPPというのは、ある意味でTPPの議論の中で隠されたアジェンダの一つは、中国をどう取り扱うかということ、あるいは中国との関係をどうするかということであったかと思います。
先ほど少し申し上げましたが、中国自身も、当初はTPPが中国を除外するものだというような懸念を持っておりまして、このTPPに対して相当反発する部分がございました。そして、自らはTPPではなくてRCEPでいくんだと、こういうようなことも言った時期もございました。
ただ、アメリカが徐々に、その後、二〇一四年、一五年というふうに交渉が進んでいきます中で、当時のアメリカの国務次官であった、ブリンケンスという国務省のアメリカの幹部の一人が、決してTPPというのは中国を囲い込むものではない、新たな中国囲い込み政策ではないんだと、中国もそのメンバーとして迎え入れる用意はある、それは全て中国次第であるといったような言い方をするようになりました。
このことは非常に中国にもいいメッセージとして伝わりまして、私どもが日頃から交流のある中国のFTA政策の識者、貿易政策の識者たちも徐々に、RCEPとTPPというのは決して対立するものではない、そして、今すぐは無理だけれども、中国もいつかTPPに入ることによって中国を更に発展させることができるということを考え始めました。
また、アメリカの方でも、やはり中国のような国がTPPの厳しいルールに従うことによって、そして中国のマーケットを開くことによって、あるいはハイスタンダードなルールに従うことによって、アメリカにとっても利益があるというふうなことを考えるようになったわけでございます。
ですから、そういう意味で、戦略的なTPPの価値ということになりますと、アメリカが抜けたことによって、実は、中国の中でより高度なルールとかより高度なマーケットアクセスに移行していかなければならないと考えていた進歩的な中国の人たちを、むしろ中国国内で抑え込む結果になってしまっている。そして、現在の中国は一帯一路でありますとかそういうところに邁進していっているわけなんですね。そのことは、アメリカのやはりグローバルな存在感というものを非常に低くしてしまうことになります。ですから、やはりTPPから離脱したというのは、そういう戦略的な意義において一つアメリカにとってマイナスだったということであります。
それからもう一つは、実利的な意味で非常に損だと思います。
既に先生方も御案内のように、今、日本のワインの市場で数量ベースで一番売れているのはチリワインになりました。これは、日本とチリとのEPAが二〇〇七年に発効して十年間の間にワイン関税がゼロになっているわけですね。そういう中で、従来強かったフランスワインを抜いてチリワインが先頭に躍り出ました。これはやっぱりEPAの効果だと思います。同じようなことが、もしEUとのEPAが発効すれば起こりますし、オーストラリアとのEPAは既に二〇一五年一月からスタートしていますので、徐々にオーストラリア産のワインに対するワイン関税も落ちていっています。それがオーストラリアワインにとっては追い風になっている。
そういうふうに考えましたときに、アメリカのTPP復帰が遅れれば遅れるほど、それはアメリカの農業にとって、例えばワインであるとか、例えば今申し上げました牛肉もそうだと思いますし、その他の産品においてアメリカが後塵を拝するというような状況になります。これは非常に実利的な意味でアメリカにとって損でありまして、そのことが、アメリカ国内でも農業団体をしてトランプ政権に対してTPPへの復帰を促す、そういう契機にもなっているわけでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
この発言だけを見る →確かに、私は、TPPに戻ってこないで困るのはアメリカであるということを申し上げております。
幾つかございますけれども、まず一つは、TPPの持っているその戦略的意義というのがあると思います。やはりこのTPPというのは、ある意味でTPPの議論の中で隠されたアジェンダの一つは、中国をどう取り扱うかということ、あるいは中国との関係をどうするかということであったかと思います。
先ほど少し申し上げましたが、中国自身も、当初はTPPが中国を除外するものだというような懸念を持っておりまして、このTPPに対して相当反発する部分がございました。そして、自らはTPPではなくてRCEPでいくんだと、こういうようなことも言った時期もございました。
ただ、アメリカが徐々に、その後、二〇一四年、一五年というふうに交渉が進んでいきます中で、当時のアメリカの国務次官であった、ブリンケンスという国務省のアメリカの幹部の一人が、決してTPPというのは中国を囲い込むものではない、新たな中国囲い込み政策ではないんだと、中国もそのメンバーとして迎え入れる用意はある、それは全て中国次第であるといったような言い方をするようになりました。
このことは非常に中国にもいいメッセージとして伝わりまして、私どもが日頃から交流のある中国のFTA政策の識者、貿易政策の識者たちも徐々に、RCEPとTPPというのは決して対立するものではない、そして、今すぐは無理だけれども、中国もいつかTPPに入ることによって中国を更に発展させることができるということを考え始めました。
また、アメリカの方でも、やはり中国のような国がTPPの厳しいルールに従うことによって、そして中国のマーケットを開くことによって、あるいはハイスタンダードなルールに従うことによって、アメリカにとっても利益があるというふうなことを考えるようになったわけでございます。
ですから、そういう意味で、戦略的なTPPの価値ということになりますと、アメリカが抜けたことによって、実は、中国の中でより高度なルールとかより高度なマーケットアクセスに移行していかなければならないと考えていた進歩的な中国の人たちを、むしろ中国国内で抑え込む結果になってしまっている。そして、現在の中国は一帯一路でありますとかそういうところに邁進していっているわけなんですね。そのことは、アメリカのやはりグローバルな存在感というものを非常に低くしてしまうことになります。ですから、やはりTPPから離脱したというのは、そういう戦略的な意義において一つアメリカにとってマイナスだったということであります。
それからもう一つは、実利的な意味で非常に損だと思います。
既に先生方も御案内のように、今、日本のワインの市場で数量ベースで一番売れているのはチリワインになりました。これは、日本とチリとのEPAが二〇〇七年に発効して十年間の間にワイン関税がゼロになっているわけですね。そういう中で、従来強かったフランスワインを抜いてチリワインが先頭に躍り出ました。これはやっぱりEPAの効果だと思います。同じようなことが、もしEUとのEPAが発効すれば起こりますし、オーストラリアとのEPAは既に二〇一五年一月からスタートしていますので、徐々にオーストラリア産のワインに対するワイン関税も落ちていっています。それがオーストラリアワインにとっては追い風になっている。
そういうふうに考えましたときに、アメリカのTPP復帰が遅れれば遅れるほど、それはアメリカの農業にとって、例えばワインであるとか、例えば今申し上げました牛肉もそうだと思いますし、その他の産品においてアメリカが後塵を拝するというような状況になります。これは非常に実利的な意味でアメリカにとって損でありまして、そのことが、アメリカ国内でも農業団体をしてトランプ政権に対してTPPへの復帰を促す、そういう契機にもなっているわけでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
和
和田政宗#13
○和田政宗君 それに関連してお聞きをいたしますけれども、そうすると渡邊教授は、TPPというものは、例えば日米を中心にする太平洋において自由貿易圏を形成をして、また中国がその一帯一路を始めとする対抗的な要素というよりも、中国をTPPに引き入れていくというようなことであるというようなことだというふうに思うんですけれども、これは、もう少し補足いただきたいんですけれども、中国を自由で公正な貿易、こういった大きな圏内にしっかりと呼び込んでいく、こういった考えであるということなんでしょうか。
この発言だけを見る →渡
渡邊頼純#14
○参考人(渡邊頼純君) ありがとうございます。
まさにそういうことでございます。以前、中国をしてレスポンシブルステークホルダーという言い方が一時期はやったことがあるかと思います。つまり、責任ある大国にしていく。まさに、中国の躍進、中国の経済的成長、これは抑えようがない勢いで今進行中でございます。これと別に感情的に対抗軸になろうということを目指すのは必ずしも適切ではない、むしろその中国の勢いをアメリカも日本も取り入れて、そしてアジア太平洋全体で繁栄と安定というものをつくり出していくということが重要だと思います。
そういうときに、こういう十一か国とか十二か国で交渉に交渉を重ねて作ったルール、この中に中国を統合していくということ、これが極めて重要で、行く行くは中国も含めてルールメーキングを一緒にやっていく、そして、一緒に作ったルールだからそのルールを一緒に守りましょうということを中国にもその中で諭していくということが可能だと思います。
私は、中国のWTO加盟のときも、相当中国に行って、中国にWTOの意味とかルールとかをいろいろレクチャーしてまいりました。そのときに私が見たのは、中国は、一旦WTOに入ると決めたら、上が決めたら下まで一気通貫でまさにWTOに入る準備をしたわけでございます。それはロシアのWTO加盟のときとは大分違います。ですから、私は、中国は、国際的なルール、多国間のルールというものにコミットするという方針が上部でできた場合には、それが確実に実行される国だと思います。
ですから、そういう意味で、まずはRCEPで中国と交渉をし、あるいは日中韓FTAで交渉し、そしてその次のステップでこのTPPに中国を引き込んでいくという、そういうレスポンシブルステークホルダーとしての中国を中国と一緒に形成していくというのがクリエーティブな通商戦略というふうに考えるわけでございます。
以上です。ありがとうございました。
この発言だけを見る →まさにそういうことでございます。以前、中国をしてレスポンシブルステークホルダーという言い方が一時期はやったことがあるかと思います。つまり、責任ある大国にしていく。まさに、中国の躍進、中国の経済的成長、これは抑えようがない勢いで今進行中でございます。これと別に感情的に対抗軸になろうということを目指すのは必ずしも適切ではない、むしろその中国の勢いをアメリカも日本も取り入れて、そしてアジア太平洋全体で繁栄と安定というものをつくり出していくということが重要だと思います。
そういうときに、こういう十一か国とか十二か国で交渉に交渉を重ねて作ったルール、この中に中国を統合していくということ、これが極めて重要で、行く行くは中国も含めてルールメーキングを一緒にやっていく、そして、一緒に作ったルールだからそのルールを一緒に守りましょうということを中国にもその中で諭していくということが可能だと思います。
私は、中国のWTO加盟のときも、相当中国に行って、中国にWTOの意味とかルールとかをいろいろレクチャーしてまいりました。そのときに私が見たのは、中国は、一旦WTOに入ると決めたら、上が決めたら下まで一気通貫でまさにWTOに入る準備をしたわけでございます。それはロシアのWTO加盟のときとは大分違います。ですから、私は、中国は、国際的なルール、多国間のルールというものにコミットするという方針が上部でできた場合には、それが確実に実行される国だと思います。
ですから、そういう意味で、まずはRCEPで中国と交渉をし、あるいは日中韓FTAで交渉し、そしてその次のステップでこのTPPに中国を引き込んでいくという、そういうレスポンシブルステークホルダーとしての中国を中国と一緒に形成していくというのがクリエーティブな通商戦略というふうに考えるわけでございます。
以上です。ありがとうございました。
和
和田政宗#15
○和田政宗君 そうしますと、それについてお聞きをいたしますけれども、日本の役割です。
TPP12については、日本が入ったことによって、これは渡邊教授も述べておられますけれども、日本がゲームチェンジャーになって、例外なき関税撤廃において例外が認められたというようなことで、これTPP12についても、日本はこの中で主導的な役割を果たしたわけでございます。
そこで、このTPP11においての日本の役割についてどういうふうに評価をしているか、また、今後、アメリカ、また中国を引き入れていく中で、日本の役割がどうあるべきか、この点の御意見を聞かせていただければと思います。
この発言だけを見る →TPP12については、日本が入ったことによって、これは渡邊教授も述べておられますけれども、日本がゲームチェンジャーになって、例外なき関税撤廃において例外が認められたというようなことで、これTPP12についても、日本はこの中で主導的な役割を果たしたわけでございます。
そこで、このTPP11においての日本の役割についてどういうふうに評価をしているか、また、今後、アメリカ、また中国を引き入れていく中で、日本の役割がどうあるべきか、この点の御意見を聞かせていただければと思います。
渡
渡邊頼純#16
○参考人(渡邊頼純君) ありがとうございます。
TPP12にも言及をくださいまして、ありがとうございました。まさにゲームチェンジャーということで、日本は例外なき関税化と言っていたところに例外をつくり得たわけですね。その代わり、日本も痛みを引き取った。例えば、自動車については、十五年間据置きで、十六年目にやっと例えばアメリカの関税が二・五がゼロになるといったような痛みも背負ったわけでございますが、確かにゲームチェンジャーとしてその役割を果たしたと思います。
そのTPP11につきましては、日本はまさにこのTPP11の立て役者であったと。TPP11というものが、TPP12でつくられた自由化と、それから開かれた貿易、透明性のある貿易というものをつくっていこうとする、そういうアジア太平洋地域に一旦広がったモメンタム、勢いというものを消さないようにする、そういう役割を日本は見事に、特に二〇一七年のこの一年間の中でその役割を大きく果たしたと思います。
そしてそのことは、特に、トランプ政権の中でアメリカ自身の通商政策がどんどん内向きになり、アメリカ・ファーストになり、そして保護主義的になっていく中で、日本がこのTPP11を非常に献身的な努力をしてつくり上げたということは、これは単にアジア太平洋にとどまらず、それ以外の地域にとっても、この自由貿易の灯を途絶えさせないという、消さないという非常にはっきりとした意思表明になったんだろうと思います。
そういう意味では、辛うじてまだこのともっている自由貿易の灯というのを守り続けたという、そういう意味がTPPにはあったと、特にその中における日本の役割として私は高く評価されるべきではないかと考えております。
以上です。ありがとうございます。
この発言だけを見る →TPP12にも言及をくださいまして、ありがとうございました。まさにゲームチェンジャーということで、日本は例外なき関税化と言っていたところに例外をつくり得たわけですね。その代わり、日本も痛みを引き取った。例えば、自動車については、十五年間据置きで、十六年目にやっと例えばアメリカの関税が二・五がゼロになるといったような痛みも背負ったわけでございますが、確かにゲームチェンジャーとしてその役割を果たしたと思います。
そのTPP11につきましては、日本はまさにこのTPP11の立て役者であったと。TPP11というものが、TPP12でつくられた自由化と、それから開かれた貿易、透明性のある貿易というものをつくっていこうとする、そういうアジア太平洋地域に一旦広がったモメンタム、勢いというものを消さないようにする、そういう役割を日本は見事に、特に二〇一七年のこの一年間の中でその役割を大きく果たしたと思います。
そしてそのことは、特に、トランプ政権の中でアメリカ自身の通商政策がどんどん内向きになり、アメリカ・ファーストになり、そして保護主義的になっていく中で、日本がこのTPP11を非常に献身的な努力をしてつくり上げたということは、これは単にアジア太平洋にとどまらず、それ以外の地域にとっても、この自由貿易の灯を途絶えさせないという、消さないという非常にはっきりとした意思表明になったんだろうと思います。
そういう意味では、辛うじてまだこのともっている自由貿易の灯というのを守り続けたという、そういう意味がTPPにはあったと、特にその中における日本の役割として私は高く評価されるべきではないかと考えております。
以上です。ありがとうございます。
和
和田政宗#17
○和田政宗君 そうしましたら、これ最後の質問にしたいというふうに思いますけれども、保護主義という言葉が今、渡邊教授のフレーズでございました。まさに、さきの大戦に向かう流れということを考えた場合に、欧米の宗主国を中心とする植民地ブロック経済、こういう囲い込みによって争いが起き、大きなあの悲惨な戦いに向かう大きなきっかけになってしまったわけでございます。
この保護主義に対抗する中でより広い自由貿易圏を形成をしていくというのは、これは、世界平和への寄与、経済のみならず、そういった地域の安定、また世界全体の安定という意味でも大きな寄与があるというふうに考えますが、その点は渡邊教授はいかがでしょうか。
この発言だけを見る →この保護主義に対抗する中でより広い自由貿易圏を形成をしていくというのは、これは、世界平和への寄与、経済のみならず、そういった地域の安定、また世界全体の安定という意味でも大きな寄与があるというふうに考えますが、その点は渡邊教授はいかがでしょうか。
渡
渡邊頼純#18
○参考人(渡邊頼純君) ありがとうございます。
まさに和田先生がおっしゃったとおりでございます。FTAとか経済連携協定というのは二国間、三国間のものですので、どうしてもアウトサイダーをつくってしまうわけですね。アウトサイダーというのは、中の域内国は優遇するけどアウトサイダーの域外国は冷遇されるわけで、ここに差別が生じます。そういうバイのFTA、EPA、日本はこれまで十五、十六と数を重ねてまいりましたが、TPPというのはそれを更に包括的にしていくわけです。それで、ある意味でそういう差別性とか排他性をできるだけ薄めて、いろんな生産ネットワークとかバリューチェーンというものを域内で広げていくという、そういう役割を担っているんだと思います。
ですから、日本が今考えているTPP11とかRCEPとか、そして日・EUのEPAとか、こういうものを積み重ねていくことによりまして、自由貿易のFTAに潜在的にある排他性とかあるいは閉鎖性というものを打破して、より広い国と地域に自由で開かれた貿易を広げていく、こういう今方向性に日本の通商政策は位置付けられていると思います。
ですから、まさにそういう意味で、日本の今の通商政策というのは、この保護主義と対峙する、そういうツールとして世界的にもこれを自信を持って提示していっていいのではないかと考えている次第でございます。
この発言だけを見る →まさに和田先生がおっしゃったとおりでございます。FTAとか経済連携協定というのは二国間、三国間のものですので、どうしてもアウトサイダーをつくってしまうわけですね。アウトサイダーというのは、中の域内国は優遇するけどアウトサイダーの域外国は冷遇されるわけで、ここに差別が生じます。そういうバイのFTA、EPA、日本はこれまで十五、十六と数を重ねてまいりましたが、TPPというのはそれを更に包括的にしていくわけです。それで、ある意味でそういう差別性とか排他性をできるだけ薄めて、いろんな生産ネットワークとかバリューチェーンというものを域内で広げていくという、そういう役割を担っているんだと思います。
ですから、日本が今考えているTPP11とかRCEPとか、そして日・EUのEPAとか、こういうものを積み重ねていくことによりまして、自由貿易のFTAに潜在的にある排他性とかあるいは閉鎖性というものを打破して、より広い国と地域に自由で開かれた貿易を広げていく、こういう今方向性に日本の通商政策は位置付けられていると思います。
ですから、まさにそういう意味で、日本の今の通商政策というのは、この保護主義と対峙する、そういうツールとして世界的にもこれを自信を持って提示していっていいのではないかと考えている次第でございます。
和
和田政宗#19
○和田政宗君 時間が参りましたので、これで終わります。
磯田参考人、山川参考人に質問できませんでした。申し訳ございませんでした。渡邊参考人、ありがとうございました。
この発言だけを見る →磯田参考人、山川参考人に質問できませんでした。申し訳ございませんでした。渡邊参考人、ありがとうございました。
熊
熊野正士#20
○熊野正士君 三人の参考人の皆さん、今日は本当に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。
私の方からは、まず山川参考人の方にお尋ねをしたいと思います。
本当に農業の現場から声を聞かせていただきました。具体的に小麦などの例を取っていただきまして、ダメージの大きさということで非常に分かりやすく御説明をいただきました。そういったものも踏まえまして、いわゆるTPP11ということで影響が出てくると。先ほども、交付金といいますか補助金といいますか、そういったものが減らされるんじゃないかという御懸念もございましたけれども、そういった、今後どういったことを支援としてより求めるのかということをお教えいただければと思います。
この発言だけを見る →私の方からは、まず山川参考人の方にお尋ねをしたいと思います。
本当に農業の現場から声を聞かせていただきました。具体的に小麦などの例を取っていただきまして、ダメージの大きさということで非常に分かりやすく御説明をいただきました。そういったものも踏まえまして、いわゆるTPP11ということで影響が出てくると。先ほども、交付金といいますか補助金といいますか、そういったものが減らされるんじゃないかという御懸念もございましたけれども、そういった、今後どういったことを支援としてより求めるのかということをお教えいただければと思います。
山
山川秀正#21
○参考人(山川秀正君) それでは、私の方からただいまの質問に対して考えを述べさせていただきたいと思います。
どういった支援ということでございますけれども、まず第一点として、先ほどちょっと触れましたけれども、今、TPP発効を前提とした様々な対策が打たれております。しかし、その対策の中で、今現場でどういう声が起きているかといいますと、例えば産地パワーアップ事業等々もそうですけれども、その支援対象、これが一〇%の経営拡大、費用削減、そういうスタンスのみなんですよね。
当然、北海道、先ほど三万八千戸の農家があると言いましたけれども、その中には、規模拡大を志向する方もいらっしゃいますけれども、今の、現状のままで農業を続けたいんだと、後継者もそう言っていると、そういう人たちが、例えば施設を更新したい、機械を更新したい、こういう希望をたくさん持っているわけですけれども、これらに対して何ら支援策がないわけです。
規模拡大一辺倒では地域社会も地域経済も疲弊してしまうことは明らかでないか、このことをまず求めたいと思いますし、当然、経営所得安定対策等々手は打たれておりますけれども、私どもは、価格保障、所得補償、そういう領域の中で再生産が可能な様々な補助事業確かにあった方がいいかもしれませんけれども、それよりも、農家が生産した生産物を販売してそのお金で施設の更新も機械の更新もできると、そういう政治を望んでおります。
以上です。
この発言だけを見る →どういった支援ということでございますけれども、まず第一点として、先ほどちょっと触れましたけれども、今、TPP発効を前提とした様々な対策が打たれております。しかし、その対策の中で、今現場でどういう声が起きているかといいますと、例えば産地パワーアップ事業等々もそうですけれども、その支援対象、これが一〇%の経営拡大、費用削減、そういうスタンスのみなんですよね。
当然、北海道、先ほど三万八千戸の農家があると言いましたけれども、その中には、規模拡大を志向する方もいらっしゃいますけれども、今の、現状のままで農業を続けたいんだと、後継者もそう言っていると、そういう人たちが、例えば施設を更新したい、機械を更新したい、こういう希望をたくさん持っているわけですけれども、これらに対して何ら支援策がないわけです。
規模拡大一辺倒では地域社会も地域経済も疲弊してしまうことは明らかでないか、このことをまず求めたいと思いますし、当然、経営所得安定対策等々手は打たれておりますけれども、私どもは、価格保障、所得補償、そういう領域の中で再生産が可能な様々な補助事業確かにあった方がいいかもしれませんけれども、それよりも、農家が生産した生産物を販売してそのお金で施設の更新も機械の更新もできると、そういう政治を望んでおります。
以上です。
熊
熊野正士#22
○熊野正士君 ありがとうございました。
続いて、磯田参考人にお伺いしたいと思います。
先ほど五つにわたって、TPP11の問題点といいますか課題をお示しをしていただきました。その中で、二番目として、TPP11市場開放プラス日米二国間市場開放となる危険が大きいというお話がございました。
元々これ、TPP12ということでおととしから国会でも審議をしてきました。今回、アメリカが離脱をしたような形でTPP11となったわけですけれども、このTPP12とそれからTPP11とで比べて、そのダメージといいますか、ここに書いてある、日米の二国間の圧力が強まるのでより大きなダメージが日本にあるんじゃないかというふうなことをおっしゃっておりますけれども、その辺をちょっともう少し、TPP11とTPP12と比較しながらお話をしていただいてよろしいでしょうか。
この発言だけを見る →続いて、磯田参考人にお伺いしたいと思います。
先ほど五つにわたって、TPP11の問題点といいますか課題をお示しをしていただきました。その中で、二番目として、TPP11市場開放プラス日米二国間市場開放となる危険が大きいというお話がございました。
元々これ、TPP12ということでおととしから国会でも審議をしてきました。今回、アメリカが離脱をしたような形でTPP11となったわけですけれども、このTPP12とそれからTPP11とで比べて、そのダメージといいますか、ここに書いてある、日米の二国間の圧力が強まるのでより大きなダメージが日本にあるんじゃないかというふうなことをおっしゃっておりますけれども、その辺をちょっともう少し、TPP11とTPP12と比較しながらお話をしていただいてよろしいでしょうか。
磯
磯田宏#23
○参考人(磯田宏君) 御質問ありがとうございます。
TPP11と12との比較ということを含めつつ、そこで米国の対日交渉圧力というものが強まるということのメカニズムといいますか、そういうことをもう少しという御質問であったかと理解いたします。
先ほど冒頭でも申し上げたことではございますけれども、一つは、確かにトランプ政権というものの、先ほど渡邊先生もおっしゃっていましたけれども、TPP12を、元々四か国の小さな自由貿易協定、経済連携協定であったものにアメリカが乗り込んで、そこで主導権を握って12をオバマ政権の下でずっと発揮してきたものが、トランプ政権への交代によって12が11になったということが生じたわけであります。
そのことには、そういう意味で、トランプ政権の登場というのは、一面では、そういう多国間交渉よりも二国間交渉の方が、徐々に弱まっているとはいえ、アメリカの圧倒的な経済、政治、軍事力を背景として相手国から譲歩を引き出しやすいという、いわゆるディール論というものがあろうかと思いますが、もう一つ私としては見落とすべきでないと思うのは、むしろ行き過ぎた現代的な自由貿易主義、正確には、物の貿易というよりも、投資、資本、金融、そういったようなものの自由主義というものが中心になっているのが現代の言われるところの自由貿易あるいは新自由主義というものの核心だと思うんですけれども、そういうものを余りにも進め過ぎたと。グローバリゼーションを行くところまで進め続けた結果、アメリカ国内での雇用の喪失、貧困の増大、格差の拡大、そういったような問題、あるいはマクロ経済的にも貿易収支、経常収支の赤字が肥大化していく、国家の財政赤字も肥大化していく、そういうような矛盾にある意味では耐え切れなくなった、それがいろんな形での民意となってトランプ大統領を生み出してきたと、そういう側面も同時に見ておく必要があると思います。
という意味で事を考えますと、トランプ政権は、決してそういうものを、民意に沿って、あるいは格差を解消するとかいう立場で現在の通商政策を進めているとは必ずしも私も理解しているわけではございませんけれども、そういう民意が一方では背景があるがゆえにこそ余計に、そういう雇用の喪失あるいは賃金の低下、とりわけかつての基幹産業である製造業の主要部門での衰退、そういったものを目に見える形で取り返したいという形の圧力が、この日米二国間に限りませんけれども、NAFTAの再交渉でも米韓FTAの再交渉でも同様に現れておりますけれども、そういう形で現れてきているというふうに理解をしているところであります。
したがいまして、ちょっと重複になりますけれども、トランプ政権固有の、あるいはトランプ大統領のパーソナリティーからくる極めて攻撃的な対日圧力の増加という側面と、しかし同時に、より大きな意味で、大きなコンテクストとして、行き過ぎたグローバリゼーション、新自由主義化の矛盾にアメリカ自身が耐え難くなってきている、そのことの反映が余計に、そのことの反映がTPP12とTPP11との違いとなっている背景にありまして、そのこともまたアメリカの対日圧力が非常に先鋭化しているということの背後にあるというふうに理解をした方がよろしいのではないかと考えている次第です。
この発言だけを見る →TPP11と12との比較ということを含めつつ、そこで米国の対日交渉圧力というものが強まるということのメカニズムといいますか、そういうことをもう少しという御質問であったかと理解いたします。
先ほど冒頭でも申し上げたことではございますけれども、一つは、確かにトランプ政権というものの、先ほど渡邊先生もおっしゃっていましたけれども、TPP12を、元々四か国の小さな自由貿易協定、経済連携協定であったものにアメリカが乗り込んで、そこで主導権を握って12をオバマ政権の下でずっと発揮してきたものが、トランプ政権への交代によって12が11になったということが生じたわけであります。
そのことには、そういう意味で、トランプ政権の登場というのは、一面では、そういう多国間交渉よりも二国間交渉の方が、徐々に弱まっているとはいえ、アメリカの圧倒的な経済、政治、軍事力を背景として相手国から譲歩を引き出しやすいという、いわゆるディール論というものがあろうかと思いますが、もう一つ私としては見落とすべきでないと思うのは、むしろ行き過ぎた現代的な自由貿易主義、正確には、物の貿易というよりも、投資、資本、金融、そういったようなものの自由主義というものが中心になっているのが現代の言われるところの自由貿易あるいは新自由主義というものの核心だと思うんですけれども、そういうものを余りにも進め過ぎたと。グローバリゼーションを行くところまで進め続けた結果、アメリカ国内での雇用の喪失、貧困の増大、格差の拡大、そういったような問題、あるいはマクロ経済的にも貿易収支、経常収支の赤字が肥大化していく、国家の財政赤字も肥大化していく、そういうような矛盾にある意味では耐え切れなくなった、それがいろんな形での民意となってトランプ大統領を生み出してきたと、そういう側面も同時に見ておく必要があると思います。
という意味で事を考えますと、トランプ政権は、決してそういうものを、民意に沿って、あるいは格差を解消するとかいう立場で現在の通商政策を進めているとは必ずしも私も理解しているわけではございませんけれども、そういう民意が一方では背景があるがゆえにこそ余計に、そういう雇用の喪失あるいは賃金の低下、とりわけかつての基幹産業である製造業の主要部門での衰退、そういったものを目に見える形で取り返したいという形の圧力が、この日米二国間に限りませんけれども、NAFTAの再交渉でも米韓FTAの再交渉でも同様に現れておりますけれども、そういう形で現れてきているというふうに理解をしているところであります。
したがいまして、ちょっと重複になりますけれども、トランプ政権固有の、あるいはトランプ大統領のパーソナリティーからくる極めて攻撃的な対日圧力の増加という側面と、しかし同時に、より大きな意味で、大きなコンテクストとして、行き過ぎたグローバリゼーション、新自由主義化の矛盾にアメリカ自身が耐え難くなってきている、そのことの反映が余計に、そのことの反映がTPP12とTPP11との違いとなっている背景にありまして、そのこともまたアメリカの対日圧力が非常に先鋭化しているということの背後にあるというふうに理解をした方がよろしいのではないかと考えている次第です。
熊
熊野正士#24
○熊野正士君 ありがとうございます。
今のお話で、トランプ大統領のパーソナリティーとかもあるかもしれませんけれども、アメリカ自体の国内事情もあって日本に対する圧力が強まるんじゃないかというふうなお話だったと思います。
ここで、渡邊参考人に伺いたいと思います。
先ほど和田委員からの質問にもございましたけれども、アメリカにとってこのTPPに参加しないと損なんだというふうなお話が、具体的なワイン等のお話もしていただきながらお話をいただきましたけれども、実際、今回、午前中の連合審査でも問題になりました、アメリカが帰ってこれるようにTPPの11の枠組みというのは変えていないんだというふうなお話もございました。
先生から見て、アメリカは損なんだと、ただ、片や、先ほど磯田先生おっしゃるように、かなり圧力も強くなっているというふうな状況の中で、アメリカがこのTPPに復帰する見込みといいますか、その辺をどのようにお考えになっていらっしゃるか、意見を是非伺いたいと思います。
この発言だけを見る →今のお話で、トランプ大統領のパーソナリティーとかもあるかもしれませんけれども、アメリカ自体の国内事情もあって日本に対する圧力が強まるんじゃないかというふうなお話だったと思います。
ここで、渡邊参考人に伺いたいと思います。
先ほど和田委員からの質問にもございましたけれども、アメリカにとってこのTPPに参加しないと損なんだというふうなお話が、具体的なワイン等のお話もしていただきながらお話をいただきましたけれども、実際、今回、午前中の連合審査でも問題になりました、アメリカが帰ってこれるようにTPPの11の枠組みというのは変えていないんだというふうなお話もございました。
先生から見て、アメリカは損なんだと、ただ、片や、先ほど磯田先生おっしゃるように、かなり圧力も強くなっているというふうな状況の中で、アメリカがこのTPPに復帰する見込みといいますか、その辺をどのようにお考えになっていらっしゃるか、意見を是非伺いたいと思います。
渡
渡邊頼純#25
○参考人(渡邊頼純君) 熊野先生、どうもありがとうございました。
このアメリカがTPPに復帰する見込み、これはなかなか難しいですね。余り私は賭けが上手じゃないので、そのオッズはとても申し上げられないんですけれども、ただ、一つ言えることがあるとしますと、やはり今アメリカが日本に対して二国間のFTAをやりたいと言ってきているということは、いろいろ新聞報道等でも出ているところでございます。また、私もアメリカの大使館の幹部たちと交流する機会もございますが、彼らが言っているのは、日本がなかなか二国間のFTAの話に乗ってきてくれない、非常にフラストレーションを感じている、一体なぜかと、こういったようなことを聞かれることもございます。ただ、私はそのときに申し上げるようにしておりますのは、まず、もうこの時代に二国間のFTAというのは古いんですということをアメリカの大使館の方たちにも申し上げています。
つまり、今、日本の産業の展開というのは多国間に及んでおります。アジア太平洋だけ見ても、ASEAN十か国から、そして中国、韓国、台湾、広いところで生産ネットワークを組み、そこからバリューを生むバリューチェーンをつくっています。ですから、今更日本とアメリカでFTAをつくって自由貿易といっても、それはこのアジア太平洋地域に今広がっているダイナミックな、躍動的なダイナミズムといいますか、これを捕捉するには、この二国間の枠組みでは捕捉し切れないんだと思います。ですから、そのことをアメリカに対してやっぱり率直に申し上げることが重要で、やはり日米共にベストなのは、これはよく安倍総理がそう言われますけれども、やっぱり日米共にベストなのは、アメリカも入った多国間の枠組みというのをアジア太平洋でつくっていくということだろうと思います。
ですから、そういう意味では、もうTPP12のあの交渉の中で日本政府はアメリカとFTA交渉をやったんですね。ですから、私がアメリカの大使館のハガティ大使にも申し上げましたが、日米FTAやりたいんだったら、それはもうTPP12の中に入っているということなんですね。日本は、あの中で農業関税の八一・二%まで行く行くは関税撤廃すると約束いたしました。これは日本のEPAの歴史の中でも一番高い水準ですね、農業産品の八一・二%。その代わりに一九%ぐらいの例外をつくることもできたわけですね。その一九%の例外の代わりに、日本は自動車で涙をのんでいます。つまり、二・五%のアメリカの自動車関税ゼロにするのに十六年掛かる、トラックは三十年掛かると、ほとんど冗談みたいな時間が掛かるわけですね。
ですから、これは何を意味しているかというと、日本とアメリカはもう既に日米FTA交渉をTPP12の中でやって、そして、そこではぎりぎりのラインで交渉した結果、日本のセンシティビティーとしての農業を例外をつくる代わりに、向こうの、アメリカ側のセンシティビティーである自動車について例外をつくってあげたわけです。ですから、このセンシティビティーとセンシティビティーの交換、これが日米FTA交渉としてTPP12の中のマーケットアクセス交渉でできたわけですから、あれ以上のことをアメリカはできるんですかと私聞いたんです。できないと言いました。アメリカができないんだったら日本もできない、だったらTPP12こそ日米FTAではないかと、こういう議論をアメリカの大使館の連中としたわけなんですね。
私は、そういう意味で、是非アメリカに今申し上げたようなことを言ってTPP12にアメリカが戻ってくるようにさせるということが非常に重要だと思っています。
この発言だけを見る →このアメリカがTPPに復帰する見込み、これはなかなか難しいですね。余り私は賭けが上手じゃないので、そのオッズはとても申し上げられないんですけれども、ただ、一つ言えることがあるとしますと、やはり今アメリカが日本に対して二国間のFTAをやりたいと言ってきているということは、いろいろ新聞報道等でも出ているところでございます。また、私もアメリカの大使館の幹部たちと交流する機会もございますが、彼らが言っているのは、日本がなかなか二国間のFTAの話に乗ってきてくれない、非常にフラストレーションを感じている、一体なぜかと、こういったようなことを聞かれることもございます。ただ、私はそのときに申し上げるようにしておりますのは、まず、もうこの時代に二国間のFTAというのは古いんですということをアメリカの大使館の方たちにも申し上げています。
つまり、今、日本の産業の展開というのは多国間に及んでおります。アジア太平洋だけ見ても、ASEAN十か国から、そして中国、韓国、台湾、広いところで生産ネットワークを組み、そこからバリューを生むバリューチェーンをつくっています。ですから、今更日本とアメリカでFTAをつくって自由貿易といっても、それはこのアジア太平洋地域に今広がっているダイナミックな、躍動的なダイナミズムといいますか、これを捕捉するには、この二国間の枠組みでは捕捉し切れないんだと思います。ですから、そのことをアメリカに対してやっぱり率直に申し上げることが重要で、やはり日米共にベストなのは、これはよく安倍総理がそう言われますけれども、やっぱり日米共にベストなのは、アメリカも入った多国間の枠組みというのをアジア太平洋でつくっていくということだろうと思います。
ですから、そういう意味では、もうTPP12のあの交渉の中で日本政府はアメリカとFTA交渉をやったんですね。ですから、私がアメリカの大使館のハガティ大使にも申し上げましたが、日米FTAやりたいんだったら、それはもうTPP12の中に入っているということなんですね。日本は、あの中で農業関税の八一・二%まで行く行くは関税撤廃すると約束いたしました。これは日本のEPAの歴史の中でも一番高い水準ですね、農業産品の八一・二%。その代わりに一九%ぐらいの例外をつくることもできたわけですね。その一九%の例外の代わりに、日本は自動車で涙をのんでいます。つまり、二・五%のアメリカの自動車関税ゼロにするのに十六年掛かる、トラックは三十年掛かると、ほとんど冗談みたいな時間が掛かるわけですね。
ですから、これは何を意味しているかというと、日本とアメリカはもう既に日米FTA交渉をTPP12の中でやって、そして、そこではぎりぎりのラインで交渉した結果、日本のセンシティビティーとしての農業を例外をつくる代わりに、向こうの、アメリカ側のセンシティビティーである自動車について例外をつくってあげたわけです。ですから、このセンシティビティーとセンシティビティーの交換、これが日米FTA交渉としてTPP12の中のマーケットアクセス交渉でできたわけですから、あれ以上のことをアメリカはできるんですかと私聞いたんです。できないと言いました。アメリカができないんだったら日本もできない、だったらTPP12こそ日米FTAではないかと、こういう議論をアメリカの大使館の連中としたわけなんですね。
私は、そういう意味で、是非アメリカに今申し上げたようなことを言ってTPP12にアメリカが戻ってくるようにさせるということが非常に重要だと思っています。
熊
熊野正士#26
○熊野正士君 今日は、三人の参考人の方に貴重な御意見を賜りまして、大変にありがとうございました。これからの審議にしっかりと生かしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →ありがとうございました。
矢
矢田わか子#27
○矢田わか子君 今日はありがとうございます、お忙しいところお越しくださいまして。国民民主党・新緑風会、矢田わか子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、改めて磯田先生からお話を伺いたいと思いますが、磯田先生のお話をお聞きして、このままTPP11に突入すると、やはり大きな懸念が幾つも残っているんだということを実感をいたしております。五つ大きな根拠を示されたんですが、まず一つ目として、先ほどのお話にありました四重の追加的協議メカニズムについてお伺いをしたいと思います。
このまま突入した場合に、この追加的に発効する協議メカニズム、日本にとってどういった影響を及ぼすのかということでかなり懸念を示されていたと思いますけれども、であるのであれば、何らかの形でこれを防ぐような方策がないのかどうかということについて御示唆をいただけたらというふうに思います。
この発言だけを見る →まず、改めて磯田先生からお話を伺いたいと思いますが、磯田先生のお話をお聞きして、このままTPP11に突入すると、やはり大きな懸念が幾つも残っているんだということを実感をいたしております。五つ大きな根拠を示されたんですが、まず一つ目として、先ほどのお話にありました四重の追加的協議メカニズムについてお伺いをしたいと思います。
このまま突入した場合に、この追加的に発効する協議メカニズム、日本にとってどういった影響を及ぼすのかということでかなり懸念を示されていたと思いますけれども、であるのであれば、何らかの形でこれを防ぐような方策がないのかどうかということについて御示唆をいただけたらというふうに思います。
磯
磯田宏#28
○参考人(磯田宏君) 御質問ありがとうございます。
最初の問題、問題点一の中の追加的な協議メカニズムが少なくとも四重に組み込まれているということでございますが、読み上げの方ではというか、冒頭の発言の方ではかなりはしょって申し上げましたけれども、机の上に配付していただいた配付用の方では若干詳細を書かせていただいております。
一番目の、第二の十八条に定められている物品の貿易に関する小委員会というのは、これは農林水産物に限ったものではございません。工業製品等々物品全般ではございます。しかし、そこで取り扱われる問題のうち、関税撤廃時期の繰上げであったりといったような問題は、日本に引き付けた場合は、日本はもう工業製品は御案内のとおり関税ゼロでいっておりますので、どうしても農林水産物が実質的には対象になってくる。あるいは、関税撤廃を表明した、約束したものについても、かなり長期のもの、十年、十五年という長期のものを残しているということから、どうしても日本に引き付けていった場合、この委員会の対象は農林水産物が相当重点にならざるを得ないと。
それから、二番目の、二の二十五条はまさに農業貿易に関する小委員会でございますから、そのものがピンポイントになってくると。
それから、最大の懸念材料は、もうTPP12のときから種々議論されてきたことかと思いますけれども、日本国の関税率表、すなわち譲許表の注釈の中でわざわざ、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、それからアメリカがいた際にはアメリカも含めた五か国のいずれかが要請すれば、発効後七年目以降にあくまでも市場アクセスの増大を目的とした関税や関税割当て及びセーフガードの適用、ですから、関税が、まだ残すと、あるいは削減はするけれども撤廃はしない、あるいは撤廃をするけれどもかなり先の話だと、これらについて市場アクセスを増大させる目的での協議を義務付けられていると。あるいは、セーフガード、先ほど豚肉、牛肉について、TPP12から11に、アメリカを抜かしたにもかかわらず、そういうものをちっとも減らしていないことの懸念についても申し上げましたが、そういうセーフガードの発動数量、あるいは発動期の戻す税率、こういうものについても市場アクセス増大目的での協議を義務付けられていると。
こういうことが、特により具体的に申し上げますと、将来に向けて、しかも七年目ということになりますと、もうスケジュールがかっちり切られているわけですので、確実にその時期がやってくるという意味で非常に重大な懸念を抱かざるを得ないという根拠をもう少し子細に申し上げますと、以上のようなことでございます。
これを食い止めるすべはあるのかということですが、この協議が始まること自体は、今申し上げたような意味では、それぞれの条項で定められておりますし、あるいは、四か国条項についてはもう期限まで切られておりますので、協議が始まることは、もうこれは発効してしまえば日本が食い止めることはできません、協議に応じることは義務になってきてしまいますので。
したがいまして、一番の予防措置は、発効しない、あるいは日本が発効する段階ではその場にいないということが最大の予防線になるのではないかというふうに根本的には考えますけれども、仮に発効するということになるんだとすれば、まあ私も賭けは極めて不得手でございますけれども、その協議の場で日本の実情を丁寧に説明して理解を求めると。ただし、その理解に相手が応じてくれるかどうかの確率といいますか、これについては私は極めて、何というか、弱気にならざるを得ないというのが正直なところでございます。
この発言だけを見る →最初の問題、問題点一の中の追加的な協議メカニズムが少なくとも四重に組み込まれているということでございますが、読み上げの方ではというか、冒頭の発言の方ではかなりはしょって申し上げましたけれども、机の上に配付していただいた配付用の方では若干詳細を書かせていただいております。
一番目の、第二の十八条に定められている物品の貿易に関する小委員会というのは、これは農林水産物に限ったものではございません。工業製品等々物品全般ではございます。しかし、そこで取り扱われる問題のうち、関税撤廃時期の繰上げであったりといったような問題は、日本に引き付けた場合は、日本はもう工業製品は御案内のとおり関税ゼロでいっておりますので、どうしても農林水産物が実質的には対象になってくる。あるいは、関税撤廃を表明した、約束したものについても、かなり長期のもの、十年、十五年という長期のものを残しているということから、どうしても日本に引き付けていった場合、この委員会の対象は農林水産物が相当重点にならざるを得ないと。
それから、二番目の、二の二十五条はまさに農業貿易に関する小委員会でございますから、そのものがピンポイントになってくると。
それから、最大の懸念材料は、もうTPP12のときから種々議論されてきたことかと思いますけれども、日本国の関税率表、すなわち譲許表の注釈の中でわざわざ、オーストラリア、カナダ、チリ、ニュージーランド、それからアメリカがいた際にはアメリカも含めた五か国のいずれかが要請すれば、発効後七年目以降にあくまでも市場アクセスの増大を目的とした関税や関税割当て及びセーフガードの適用、ですから、関税が、まだ残すと、あるいは削減はするけれども撤廃はしない、あるいは撤廃をするけれどもかなり先の話だと、これらについて市場アクセスを増大させる目的での協議を義務付けられていると。あるいは、セーフガード、先ほど豚肉、牛肉について、TPP12から11に、アメリカを抜かしたにもかかわらず、そういうものをちっとも減らしていないことの懸念についても申し上げましたが、そういうセーフガードの発動数量、あるいは発動期の戻す税率、こういうものについても市場アクセス増大目的での協議を義務付けられていると。
こういうことが、特により具体的に申し上げますと、将来に向けて、しかも七年目ということになりますと、もうスケジュールがかっちり切られているわけですので、確実にその時期がやってくるという意味で非常に重大な懸念を抱かざるを得ないという根拠をもう少し子細に申し上げますと、以上のようなことでございます。
これを食い止めるすべはあるのかということですが、この協議が始まること自体は、今申し上げたような意味では、それぞれの条項で定められておりますし、あるいは、四か国条項についてはもう期限まで切られておりますので、協議が始まることは、もうこれは発効してしまえば日本が食い止めることはできません、協議に応じることは義務になってきてしまいますので。
したがいまして、一番の予防措置は、発効しない、あるいは日本が発効する段階ではその場にいないということが最大の予防線になるのではないかというふうに根本的には考えますけれども、仮に発効するということになるんだとすれば、まあ私も賭けは極めて不得手でございますけれども、その協議の場で日本の実情を丁寧に説明して理解を求めると。ただし、その理解に相手が応じてくれるかどうかの確率といいますか、これについては私は極めて、何というか、弱気にならざるを得ないというのが正直なところでございます。
矢
矢田わか子#29
○矢田わか子君 ありがとうございます。
おっしゃっているとおり、この交渉の過程が今透明化しておりませんので、どういう交渉をしたのかということのやり取りを大臣ともさせてはいただいているんですが、どうしても信頼に基づいてちゃんとやっているからというふうな御答弁が多く、記録的なもの、議事録も含めて、何も残っていないというふうに今おっしゃられていますので、せめてそういったところで、紙できちっと残していただくとかということも含めて、私たちも求めていきたいなというふうに考えております。
〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕
続いて、食料の安全性についても少しお聞きしていきたいんですが、三つ目の項目でおっしゃられた食料の安全性、これも生活者としては極めて不安が残る要素であります。
今後、遺伝子組換えの商品だとか、食品添加物でも日本で許されていないようなものが入ってくるという可能性がやはりあるということなのでしょうか。特に、発がん性がある物質等も、日本ではまだこれ可能性としてですけれども、指摘されているような物質等もアメリカやそれから諸外国で使われているケースもあるという報告もされておりますので、そんなものも含めて、もし何かお知りのことがあれば教えていただければと思います。
この発言だけを見る →おっしゃっているとおり、この交渉の過程が今透明化しておりませんので、どういう交渉をしたのかということのやり取りを大臣ともさせてはいただいているんですが、どうしても信頼に基づいてちゃんとやっているからというふうな御答弁が多く、記録的なもの、議事録も含めて、何も残っていないというふうに今おっしゃられていますので、せめてそういったところで、紙できちっと残していただくとかということも含めて、私たちも求めていきたいなというふうに考えております。
〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕
続いて、食料の安全性についても少しお聞きしていきたいんですが、三つ目の項目でおっしゃられた食料の安全性、これも生活者としては極めて不安が残る要素であります。
今後、遺伝子組換えの商品だとか、食品添加物でも日本で許されていないようなものが入ってくるという可能性がやはりあるということなのでしょうか。特に、発がん性がある物質等も、日本ではまだこれ可能性としてですけれども、指摘されているような物質等もアメリカやそれから諸外国で使われているケースもあるという報告もされておりますので、そんなものも含めて、もし何かお知りのことがあれば教えていただければと思います。