磯田宏の発言 (内閣委員会)
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○参考人(磯田宏君) 御質問ありがとうございます。
基本的には先生御指摘のとおりでございまして、一つは、もう既に我々長いことある意味食べているというか、知らず知らずのうちに食べてしまっているわけですけれども、例えばいわゆる成長ホルモンを利用した牛肉、これについては、御案内のとおり、日本国内では事実上これは使えない状況にあります。現場の山川さんなどがより生々しく御存じかと思いますけれども、医療用の措置を除いては肥育用等には成長ホルモンが使えないと。これも、先生御案内のように、発がん性の疑いの報告も重ねてなされているところでございますけれども、例えば、これについては日本については国内では使用を事実上禁止しているにもかかわらず、輸入はフリーであると。したがいまして、現在ではオーストラリア産がトップになっておりますけれども、オーストラリアであれ、アメリカであれ、あるいはカナダであれ、そういうものは成長ホルモンを使用した牛肉が輸入されてきていて、我々の食卓、あるいは外食、そういうもので消費者の口に入ってしまっているわけですね。
ところが、まあこれも御案内のように、EUでは、域内でも使用を禁止すると同時に輸入も禁止していると。これは、WTOの紛争処理でアメリカが取り上げて、紛争処理パネルでEUにかなり不利な裁定がなされた。そういうこともありつつも、それを、新たな科学的な根拠なりをもう少し深めるという調査も行いつつ、今日に至るまで貫徹しているわけでございます。
ちょっと、その事例にだけ限らせていただきますが、時間の都合上余り長くお答えするなということでございますので。それが、この三のところで一番目に取り上げている衛生植物検疫措置、いわゆるSPSに関わって、予防原則ということがWTOのSPS協定には明確に位置付けられておりまして、TPPにおいてもそれが一応認められております。EUがまさに例えば今申し上げた成長ホルモンを使用した牛肉の輸入、流通を禁ずるという措置の正当性を主張するよすが、根拠になっているのもこのWTO・SPS協定の予防原則でありますし、であるからこそ、また逆にこのSPS協定における予防原則ということをEUは大変大事にしているところであります。
ところが、TPPでは、一応その権利、それを含めた権利義務関係を確認するということがうたわれているのでありますけれども、国際的な基準に適合していない場合、より高い規制水準を、つまり今の例でいえば、日本も、EU以外ではなかなかそういうことをやっていない、そういうスタンダードでもって成長ホルモンに新たに、成長ホルモン使用の牛肉の輸入に規制を掛けるというようなことを発動しようとすると、客観的で科学的な証拠に基づいていることを確保すると。
WTOではむしろ考慮するというような表現であったものがTPPでは確保するというような表現になっておりまして、より強い意味で言われるところの科学的証拠主義というものが求められてきて、そういう意味では、そういうものがなかなか入手が難しいからこそ予防原則というのがあるわけでございますけれども、その入手の難しい、厳格な、必ず有害であるという因果関係を証明したというような、そういう意味での、科学的な証拠がないものについての規制を続けるとか、あるいは新たに設けるとかいうことの困難性が増すということは多分に想像できるところでございます。