磯田宏の発言 (内閣委員会)

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○参考人(磯田宏君) 農業を始め農林水産業への全般的な影響あるいは打撃というものをどの程度深刻に考えるべきかどうかという御質問であったかというふうに理解いたします。
 それにつきましては、一つは、政府が、EUとのEPAの妥結、それからTPP11の妥結、そういうものを踏まえまして総合対策大綱を改訂したわけですね。それが農林水産業・地域の活力創造プランというものにも引き継がれていく、成長戦略にも含まれていくと、こういう流れで日本の農林水産政策の中核を成しているところでありまして、それが、今先生も御指摘になりました、あるいは先ほど山川さんからも現場実態とのそごの側面なども御指摘があった大規模化とコスト削減ということでございます。それからもう一つが、参考人渡邊先生がおっしゃった、高品質、安全、安心という他国にないアドバンテージをしっかり生かした輸出の強化、輸出を通じた成長産業化ということでございます。
 しかしながら、先ほど私、申し上げたことでもあるんですが、そういう条件に恵まれた、先生がおっしゃったように、例えば、低コスト化が相当程度進み得る非常に大規模平たん部であったりとか、あるいは非常に高品質な米であったりとかあるいは和牛であったりとか、あるいは私の地元の福岡、私の在住している福岡でいいますれば、栃木辺りにもまたありますけれども、今アジア地域のマーケットで非常に好評だと言われているイチゴであったりとか、そういう高品質な、世界最高品質と呼ばれるような農産物を生産する条件があり、したがって、またそれを、コストは高いけれども海外に打って出るということが可能な地域はありますが、それはいかんせん、先生も御指摘になられたように、日本の農耕地の四割強は中山間地域にあるわけでございまして、そもそもそこではそういったような大規模化、コスト削減ということが不可能でありますし、それから、実は成長産業化ということで、例えば米も成長産業化するために、一方ではそういう高品質や安全性に一層磨きを掛けつつ、しかし、これは成長戦略でも首相を先頭に目標として掲げられているところでありますけれども、そのコストを、担い手層の米のコストを全体平均から比べて四割まで削減すると。これ、具体的には玄米六十キロ当たり約九千六百円という水準になるわけですけれども、これは北海道でよく見られるような平均数十ヘクタール以上の非常に大規模な経営にとっても容易に実現できないコスト削減でございます。
 ところが、他方で、いかに日本のコシヒカリだったりあきたこまちであったり、最近は更に多様な品種が、高品質、良食味品種が登場しておりますが、そういうものが海外の一部の富裕層あるいは富裕国でのマーケットでそれなりに好評を得ているとはいえ、一方で、例えばアメリカのカリフォルニアでもカリフォルニア産のコシヒカリ、あきたこまち、こういうものがどんどんと海外市場に輸出されているわけでありまして、これと価格競争するためには、ずっとそれこそバリューチェーンを日本の産地までたどっていくと、日本の米の生産者の手取り価格、六十キロ玄米八千五百円じゃないと、例えばカリフォルニア米、カリフォルニアから出てくる最高品質のカリフォルニア産あきたこまち、コシヒカリとは勝負できないということになりますと、九千六百円というそれだけでも大変な野心的な目標なんでありますけれども、更にそれを八千五百円まで下げるということになりますと、より一層そういうことが可能な地域、経営、産地というものは極めて限定的になってくる。
 ということから考えますと、一方で、こういうTPP11を始めとするメガFTA、メガEPAでもって最大限国境措置を低減して、関税も削減、撤廃して、言わばどんどん着物を脱いでいって丸裸に近い状況になっていった上で、高品質なり、それと低コスト化を兼ね備えた輸出産業化で、そういう状況の下でも生き残っていくということにはかなり限定されてきて、その他の部分については相当深刻な打撃を受けざるを得ないんではないかということを申し上げたかったところでございます。

発言情報

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発言者: 磯田宏

speaker_id: 16864

日付: 2018-06-19

院: 参議院

会議名: 内閣委員会