磯田宏の発言 (内閣委員会)

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○参考人(磯田宏君) 御質問ありがとうございます。
 まず、これは、そのまさにエキスパートでいらっしゃる参考人渡邊先生のいらっしゃるところで申し上げるのは僣越でありますけれども、国際間の貿易が生じる根底には、相対的に見て、それぞれの国の与えられた自然的、地理的条件あるいは歴史的な技術や資本の蓄積の条件等々に規定された、相対的にどの産業が優位性を持っているかということがまずあって、その相対的に優位な産業にそれぞれの国がより専門化する、特化していく、そのことが国際間の貿易を盛んにしていくという、まさに十九世紀の初頭に打ち立てられて、今日、いろんな方法論の違いはあっても、ほとんどの経済学者がその原理そのものは肯定している比較生産費説という議論がございますけれども、そこから言えることは、そもそも、現実的には、先ほどの中山間地域が多いであるとか、例えば、大規模化といっても、まあ北海道大規模ですけど、私がほぼ毎年のように足を運んでいるアメリカの中西部、穀倉地帯の大規模畑作経営と比べれば桁が全く違うと。私が向こうで見た最大級は八千ヘクタール、一経営で八千ヘクタール、トウモロコシ、大豆を八千ヘクタール作ると、こういうような経営があったりもしますので、そもそも、北海道といえども、アメリカ的水準から見れば、あるいは新大陸的水準から見れば小規模経営であると。こういうことがあり、それに加えて、中山間地域が四割以上を占めるという中では、そういう自然的、地勢的条件からして容易に分かることですが、農業が丸ごと、相対的に農業が丸ごと、日本の農業が丸ごと比較優位産業になるということはあり得ないわけですね。
 逆に、そういうことがもしあるとすれば、そのときは日本のほかの産業、例えば、今、日本では自動車産業がほぼ独り頑張っている、輸出で頑張っている、黒字を稼いでいる産業になりつつありますけれども、そういう産業がむしろ比較劣位化するということと裏返しでしかそういうことは生じないわけですね。アメリカが農業で比較優位だというのも、実はアメリカの製造業が劣位になっていることとセットで起きている状況ですから。
 そういう点からすると、やや理屈っぽくなって恐縮でありましたけれども、日本の農業が丸ごと輸出産業化できる、その根底としての国際的な比較優位産業になり得るということは理論的に考えてもあり得ないことであるし、また、日本の現実に即して見れば、より実感を持って明言できることではないかというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 磯田宏

speaker_id: 16864

日付: 2018-06-19

院: 参議院

会議名: 内閣委員会