山口美和子の発言 (内閣委員会)

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○参考人(山口美和子君) いちょうの会の山口美和子と申します。
 本日は、大変貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
 初めに、私が所属しておりますいちょうの会の活動内容について、少し御紹介いたしたいと思います。
 当会は、サラ金による過酷な取立てによって、心身的、経済的に追い詰められ、自殺にまで追い詰められる被害者を個別に救済し、生活再建を図るとともに、このような被害者を社会から根絶することを目的としております。平成四年十一月に設置されました。そこから二十五年余りの活動の歴史の中で、活動の質やその内容は日々成長し、発展し続けております。
 現在では、一つの案件に対し複数の専門分野のエキスパートが様々な角度から意見を出し合っておりまして、行政及び他の団体、必要があれば社会福祉協議会も協働を図り、積極的な協働を図り、迅速かつ的確に具体的支援が提供されております。会員は今で、現在までに延べ数で八千五百名に達しております。この中には自助グループ、今までの当事者等も含まれることを御了承ください。
 なぜ今回いちょうの会より私が参考人に選出されたかといいますと、私の父と弟がギャンブル依存症に罹患し、私はその怖さをこの数年間実際に経験しております。また、相談に乗る間、ギャンブル依存症の方で苦しんでいる家族、私も実際にサポートに入っていて、その家族の方たちの思いも私を介して先生方に知っていただきたい、国を動かす先生方にその実態を知っていただきたいと思い、この場に出させていただきました。
 まず、私の父の一例になりますけれども、ギャンブル依存の、私が経験したことからちょっとお話をさせていただきたいと思います。
 私の父は造園業を営んでおりましたが、仕事がうまくいかなくなったときに、たまたま地元にできたパチンコ屋さんに足を踏み入れました。そこがきっかけで日増しにパチンコにのめり込むようになりました。仕事をすることもなくなり、血族や祖母、母、ありとあらゆる仕事関係の人からもお金を借りるようになりました。そこから、それでも足らず、サラ金に手を付けることもございました。とうとう資産も全てなくなり、家もピアノも、今まで裕福であった家具等も全てなくなり、六畳二間の市営住宅で五人暮らしが始まりました。
 その頃から、父は、もうとても母親の説得にも応じず、サラ金の、もうサラ金なのか闇金なのか、この人たち、素性の知らない、分からない人たちが昼夜問わず家の中に土足、本当に土足で当時は入り込んできて、いろんなものを嫌がらせで破壊して回りました。なので、私の母子手帳ももうありません。うちの兄弟のもの、私の大事にしていたもの全て破壊されましたので、一切私は幼少期のものを持っていません。また、追い詰められた母親が包丁で父親を切り付けた事件がございまして、これについても、幼少期、私はとてもショッキングな場面を目にしたと思い、今でもそれはトラウマになっております。
 シングルマザーとなって母は働き出したんですけれども、ちょうど、シングルマザーになって母が働くということは物すごく貧困なわけですよ。しかしながら、その貧困と引換えに、私たちは、サラ金とも知らない、闇金とも分からない、えたいの知れない人たちの迫害から解放されることになりました。それには一家離散という悲しい現実がございましたが、私は、母が私たちを連れて出てくれたこと、父が失踪してくれたことに心から感謝をいたしました。
 また、母子家庭となりましてから、私の中学三年生になった頃の進路の問題が発生しました。担任の先生からは、公立の高校は制服代や授業料が掛かるので、公立の受験はもう控えるようにと助言がありました。当時私に許された道はお礼奉公付きの看護学校。制服代、授業料、全て免除になる、その代わり学校の指定した病院で働くこと、二年ないしは四年間、お礼奉公という形で返すというのが条件でした。このとき私は、憲法で保障されている就職の選択の自由すら与えてもらうことはなかったんだなと今になってもつくづく思います。
 精神病院の方にお礼奉公で私は勤めることになったんですけれども、生まれ育った鹿児島の地を離れ、大阪の精神病院に就職することになりました。その頃からです。どこで聞き付けてきたか分からないんですけれども、音信不通だった父から突然連絡があり、そこから先は、うそにうそを重ねてのお金の無心が続きました。いい年をして娘の人生の門出にお金を無心してくる父親が私は本当に情けなく、心の底から父を憎みましたし、自分の心の置きどころもなくしました。
 これ、まだまだ父からの被害というものを私いっぱい持っているんですけれども、時間の加減でこの辺で終了させていただきたいと思います。
 また、就職先の精神病院におきまして、先ほど西村先生の方からも指摘がありましたとおり、ギャンブル依存症の患者さん、明らかにギャンブル依存で、ギャンブルが原因で問題行動を起こし措置入院してきた患者さんのカルテは、ギャンブル依存症とは載りません。躁うつ病や統合失調症が大半を占める状況であります。
 これにつきましては、先ほど西村先生もおっしゃったように、早急に、もうギャンブル依存症という造語ではなくて、実際にギャンブル依存症という症状や特徴というのはもう特定されてきていると思います。また、そういう方たちが日に日に増えてきているのも実情で、私たちの方でも相談記録等もございますので、是非ここは国の方でギャンブル依存症の方の枠組みをきっちりと整備していただきたいと思います。
 ギャンブル依存対策でございますが、ギャンブル依存対策には大きく二つあります。
 第一に、依存症を生まない対策、つまり、あるいはギャンブルの規制です。新たにカジノをつくるなどとんでもなく、絶対にやめていただきたい。私たちは、日々、ギャンブルや借金で自死をする人たちを防ぐために活動をしております。そこを本当にあざ笑うかのようにカジノを持ってくるなんて、私は到底認めることはできませんし、私たちの自助グループも、いちょうの会としましては断固反対させていただきます。
 第二に、依存症になってしまった人への対策ですが、これも先ほど、ちょっと重複しますけれども、市町村の窓口、あと消費者センター、もっと身近にギャンブル依存症の相談ができる窓口をつくっていただきたい。これにつきましては、専門性を持った病院であるだとか、依存症に詳しいお医者様、看護師、そこを投入するに当たって、今のうつ病や精神障害の方に対しては自立支援医療というものが使うことが可能となっております。また、障害福祉手帳の方から移動支援という制度も使うことが可能となっております。
 私は、ギャンブル依存症の方にもこのような移動支援や作業療法あるいは訪問看護を用いて、ある程度の伴走型の支援ができると考えております。今、私たちがそれをやっております。とても予算も足りませんし、ずっとパチンコに行かないように見張らなければならない。見張るという言い方をしたらとても失礼なんですけれども、その方がほかに何か興味を持つもの、ほかに何か熱中できるものを一緒に探して、その時間はそれをやっていてもらう。これは本来でしたら国の方で作業療法士が担うところであって、私たちも言っても素人でございます。ですので、これは是非、国の責任において作業療法士なり訪問看護師を活用する障害手帳の適用に認めていただきたいと存じます。
 あと、パチンコ、既存の競馬、競輪場などについても、もうギャンブル依存症の注意という張り紙や注意喚起をしたとしても、なかなかそれを見るということもないです。なぜならば、ギャンブル依存に陥った方はもう競馬しか見えていないからです。ですので、ここにつきましても、既存のものにつきましてももうちょっと具体的な規制を掛けるなり、年収を、カジノ法案のときは年収だ何だを入場制限に掛けますとかということをおっしゃっていたけれども、既存のものにももうすぐに、今すぐにでも掛けていただきたい。
 自己責任論についてですけれども、いつでも、自己責任じゃないかとか、あの人はだらしないというふうな言葉が聞かれます。それはとっても私たちにとりましては、実際に支援をしている方に対しても、とてもとても失礼な表現でありまして、自己肯定感も下げますし、その方も病気になりたくてなったんじゃないんです。病気になりたくてなる人ってまずいらっしゃらないですよね。ギャンブル依存というのはもう自分では制御できません。その時点で私たちは疾病だと。疾病だという概念で接すると、幾らでも支援の方法も出てくるんです。実際にその支援を当てはめていくと、その方が回復していくんです。しかしながら、少しずつです。油断はできません。少しでも油断すると、また再発してすぐにパチンコに行ってしまうということも多々ありました。
 競馬や競輪、パチンコに、うちの父もそうですけれども、だらしないとか自己責任、そう、ちまたの人は言いました。じゃ、その子供や家族、本人よりも家族や周りの者が首をつるんです。死んでいくんです。そこについて、子供に向かって、あなたは誰々さんの家に生まれたんだからあなたの自己責任ですと、子供に向かって皆さん言えるでしょうか。子供や配偶者は一切関係ありません。子供は親を選べないんです。じゃ、あなたはそこの何々さんのギャンブル依存の子供に生まれたんだから、一生お父さんにお金を貢ぎ続けて、就職して立派に働けるようになったら、全額競馬だ、パチンコだ、全部お父さんのために使いなさいと、私は言えません。お父さんを断ち切って、あなたは自分は自分の道を行きなさいと背中を押してあげるのが私たち周りの大人の責任ではないでしょうか、私は強くそう思います。
 もう時間が来ましたのでそろそろ終了しようと思いますけれども、最後に、先ほども強く言いましたけれども、私たちいちょうの会は、カジノの誘致には断固反対をいたします。不幸な子供をつくってはならない、もうこの一点に絞らせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 山口美和子

speaker_id: 27990

日付: 2018-07-03

院: 参議院

会議名: 内閣委員会