小野瀬厚の発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 現行の八百四十二条七号でございますけれども、雇用契約によって生じた船員の債権について船舶先取特権を認めております。法制審議会における議論の過程では、この債権の範囲に関する解釈、それから改正の在り方について激しい意見の対立がございました。
 この点につきまして、船舶先取特権は特定の船舶と債権との間に牽連性がある場合に認められていて、この債権の範囲も、船員の労務によって当該船舶の価値が維持された部分に限定すべきであること、また、船舶の先取特権及び抵当権に関する一九九三年の国際条約、こういったものでは、船員の債権について、その船舶への雇入れに関連して受け取るものとの限定がされていること、こういったことなどを理由に、今御指摘いただいたような見解、すなわち、この債権の範囲は、雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権のうち当該船舶への乗組みに関して生じたものに限られると解されるし、これを規定上も明確化すべきであると、こういった意見がございました。
 これに対しましては、この債権の範囲について明文上の限定はなく、給料の後払いとしての性格を有する退職金債権も保護すべきであること、老朽化した船舶の代わりに新たな船舶が建造された場合に船員の船舶先取特権が失われることは相当でない、こういったことなどを理由に、この債権の範囲は雇用契約によって生じた全ての債権と解されるし、民法の雇用関係の一般先取特権について平成十五年改正により適用対象が拡張された中で、今回の改正により過酷な労務に従事する船員の保護を後退させるべきではない、こういったことなどを理由として、現行法の規定を維持すべきであると、こういう意見がございました。
 この問題につきましては最高裁判所の判断はございませんで、昭和五十二年に異なる方向性の二つの控訴審の判断がされ、また、かつ、公刊された裁判例自体が少ない状況にとどまっております。このような状況の下では、この点については当面は引き続き解釈に委ねるのが相当であると考えられますため、改正法案では現行法を現代語化する改正にとどめることとしたものでございます。

発言情報

speech_id: 119615206X01120180517_019

発言者: 小野瀬厚

speaker_id: 17320

日付: 2018-05-17

院: 参議院

会議名: 法務委員会