遠山信一郎の発言 (法務委員会)
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○参考人(遠山信一郎君) おはようございます。
お手元にある私が作りました参考人陳述骨子に従って陳述させていただきます。
まず、済みませんが、図一、負のスパイラルという図解をちょっと見ていただきたいと思います。
成年年齢引下げによる子供に対する悪影響というものについて、マイナス、負のスパイラルがあるんじゃないかということで図解をしてみました。真ん中の下辺りから、離婚後の一人親家庭の困窮化というところから、児童虐待の要因、それから子供の教育機会の喪失、ワーキングプア化というふうな記述がありますが、これは我が国の深刻な現実だというふうに私は考えています。
この離婚後の一人親家庭の困窮化に対して、図でいうと上の方から、成年年齢の引下げ、離婚後の養育費の支払終期の繰上げ、それから養育費支払総額の減少という形での影響がマイナスに働くのではないかと考えております。この養育費支払総額の減少については、現実というよりは、現実性が極めて高い危機的な状況であるというふうに私は認識しております。
今、政府の方は、一人親家庭の支援については、子育て・生活支援策、それから就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策の四本柱を提示しています。ということは、養育費自体が国策、政府の政策の中の柱の一つになっているという状況なのですが、離婚の際の養育費については、取り決めていない、取り決めても低額、取り決めても支払わないという課題が、実に私が若い頃から、つまり新人の弁護士さんの頃から未解決で、そして山積み状態にあります。ということは、成人年齢の引下げは、そのまま今の脆弱な養育費が更に少なくなることが危惧されるということでございます。
済みません、お手元にある図二を見てください。
この養育費の支払義務の終期については、理屈が結構ややこしい話になります。つまり、成年年齢という形式と成熟年齢という実質が別物なのですが、これは理屈上そうなっているんですが、残念ながら、国民の意識というか実務は、どうしてもこの終期を形式的な年齢の方に傾きます。理由を述べると長くなりますので述べませんが、現実の主流は、今二十歳が主流だと思います。これが、成年年齢が十八になれば、まず、ほぼ間違いなく終期は十八の方に収れんするだろうということは予想されます。
ということで、こんなリスクをどうやって回避したらいいんだろうということを私なりに、これは、どっちかというと弁護士というよりも経験値から考えているのは、まず、家庭の守護神を期待されている家庭裁判所の組織の拡充、機能の拡大。ちょっと抽象的に言いました。できれば、養育費の算定ルール、基準をかなりアップ・ツー・デートに世間に公表するなりしてルールを作ってほしい、実務ルールを作ってほしいというふうに考えています。その背後にあるのは、法は家庭に入らずという時代から、家庭にも法の支配をという時代へ多分転換しているんだろうというふうに考えている次第です。
さらに、養育費の確保のための制度アイデア、制度の拡充をみんなで考えていこうということが大事だと思っています。一例を、済みません、思い付きで挙げたのですが、国の方で最低金額を決めて、それを履行を強制しちゃえ、しまおうというような制度設計もありかなというふうに思っている次第です。
さらに、資料を、ちょっと済みません、見ていただきたいのですが、読売新聞の記事が参考資料の三というところに付けさせていただきました。
これは、私の問題意識を要するにジャーナリズムの方が引き受けてくれて発表していただいた記事なのですが、ここでは、やはり、大学を目指す人、それから大学生という方々が、実に養育費との影響力が事例として紹介されています。ここにも書いてあるとおり、親に道を閉ざされたくないという表題にあるということが、ここにあるその物語、エピソードは、レアケースではなくてワン・オブ・ゼムというふうに考えてよろしいんじゃないかなというふうに思っていまして、こういった立場にある、勉学によって自分の未来を切り開こうという人たちの支援について、親に道を閉ざされちゃったのであれば、国が道を開いてあげようというふうに考えてあげるのがよろしいのかなというふうに思っています。
その意味では、子供は親を選ぶことができませんので、どんな環境に生まれたとしても十分な教育を受ける権利はひとしく保障されるように、優しい気持ちで政策をつくっていただけたらというふうに思っております。
ちょっと話を変わって申し訳ないのですが、図三を見ていただきたいのですが、これちょっと説明させていただきますと、我が国の人口構造は、かつてピラミッド構造から、今どきはひつぎ型というふうに言われています。このまま行くと逆ピラミッドになってしまうかもしれません。
そうしますと、未成年者時代、成年者時代、高齢者時代というふうにざっくり分けたときに、今この引下げというのは未成年者時代を短くする。私のような高齢者については六十出発で、高齢者は七十にしちゃうとか八十にしてしまうということになると、このひつぎの中に入っている引下げ、引上げの矢印を広げることによって、形式的には社会の担い手、ちょっときれい事を言いますと、市民社会のフルメンバーシップ層、自立、自律した家庭人、消費者、労働者、事業者層を拡大するということになると思います。これ自体はもうこの国の今の状況からすると仕方がないのかなと実は思っておるんですが、問題は、形式的にこの社会の体幹というべき市民社会のフルメンバーシップ層を広げたときに、さらに、その実質、社会の体幹を力強く健常化するというか頑健化するために、未成年者、特に未成年の未成熟者に十分な自立力を付けさせるための支援策がとても重要だなというふうに思っている次第です。
とりわけ、今日の私のテーマでいいますと、繰り返しになりますけれども、勉学によって自分の未来を切り開こうとしている若年層の人たちに教育の機会を保障するような政策を、多様なエビデンスに基づく政策立案をしていただくということを期待したいと思います。
以上です。