安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えをいたします。
 答弁に先立ちまして、一昨日の本白根山の噴火により亡くなられた自衛官の方に心から哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 政府としては、本白根山について、新たに観測機器を設置し、観測体制を強化するなど、対応に万全を期してまいります。また、今後、火山の監視観測・研究体制の充実強化、登山者等の安全確保対策の推進など、火山防災対策の強化に取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。
 言うまでもなく、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。改正の必要性やその内容、発議の時期等のスケジュールについても、国会における御議論や国民的な議論の深まりの中で決まっていくものと考えております。
 私は、今、内閣総理大臣として答弁しており、自民党が検討している御指摘の四項目についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、今後、憲法審査会において、各党による建設的な議論が行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しております。
 憲法改正原案の発議及び国民投票についてお尋ねがありました。
 国民投票法では、国民投票は、国会の発議に係る日本国憲法の改正案ごとに行われることとされています。憲法改正の発議は、国会法の規定により、内容において関連する事項ごとに区分して行うこととされていますが、具体の発議をどのように行うかについては国会において判断されるものと考えています。
 国民投票における広告宣伝活動の規制についてお尋ねがありました。
 国民投票法は、平成十九年に議員立法で制定されたものですが、その際、各党各会派で様々な議論がなされた結果として、広告放送を含めた国民投票運動については、基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設けるとの結論に至り、現在の制度となったものと承知しています。
 法律制度後の事情の変化等、御指摘の問題意識については、本法律が制定された際の議論の経緯等を踏まえ、各党各会派で御議論をいただくべき事柄と考えております。
 働き方改革についてお尋ねがありました。
 働き方は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革です。働く方の健康の確保を大前提にワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など、様々な事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために労働時間法制の見直しが急務です。
 その中で、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するものであり、一つの法案でお示しすることが適当と考えています。
 同一労働同一賃金に関する説明義務についてお尋ねがありました。
 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正するためには、不合理な待遇差を禁止するだけでなく、待遇差に関して企業側しか持っていない情報を非正規雇用労働者も知ることができ、労使の話合いや訴訟において不利にならないようにする必要があります。
 このため、現在検討中の法案においては、非正規雇用労働者が事業主に求めた場合、正規雇用労働者との待遇差の内容、理由等の説明義務を事業主に課すとともに、説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することとしています。
 この待遇差に関する説明義務の対象となる項目は、基本給、賞与のみならず、全ての待遇差です。説明すべき具体的な内容については、非正規雇用労働者が必要な情報の開示を受けられるように検討していきます。
 また、非正規雇用労働者が待遇差について説明を求めたことを理由として事業主が不利益な取扱いを行った場合や、非正規雇用労働者が説明を求めたにもかかわらず事業主が説明をしないという場合には、都道府県労働局において指導、勧告等を行い、待遇差に関する説明が確実に受けられるようにします。
 解雇無効時の金銭救済制度等の働き方改革についてお尋ねがありました。
 働き方改革を進めるに当たっては、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するため、働く方の立場を十分に踏まえて検討する必要があります。
 解雇無効時の金銭救済制度については、金銭を支払えば自由に解雇できるといった、いわゆる事前型の制度は導入しないことを前提として、労働者の保護等の観点から検討を進めています。
 この仕組みについては、昨年十二月の新しい経済政策パッケージにおいて、労働政策審議会において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論を得て所要の制度的措置を講ずるとし、現在、専門的な検討を行う場を設置する準備を進めています。
 副業、兼業についても、新しい経済政策パッケージに基づき、労働者の主体的なキャリア形成を支援する観点から促進しています。このため、長時間労働を招かないよう留意しつつ、現行法令での留意点をまとめたガイドラインを策定します。
 また、職場のパワーハラスメント防止を強化するため、有識者や労使関係者による議論も踏まえ、対策を検討してまいります。
 さらに、企業が働く方に長時間労働を強いる背景には、取引先からの短納期発注や急な仕様変更に応えなければならないという業種ごとの商慣習や取引条件の問題があります。
 働き方改革を進めるに当たっては、こうした商慣習の見直しや取引条件の適正化について、それぞれの業界の実態に応じたきめ細かな対応に取り組んでまいります。
 特に、建設業については、適正な工期設定等に向けたガイドラインを策定し、政府自らが発注者になる場合も含めて徹底するなど、省庁横断的な取組を進めてまいります。
 所得税の控除の在り方等についてお尋ねがありました。
 今般の個人所得課税の見直しにおいては、特定の収入のみに適用される給与所得控除等から、どのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振り替えることとしています。この見直しは、働き方の多様化を踏まえたものであり、働き方やライフスタイルに左右されない税制に向けた見直しであると考えています。
 また、基礎控除については、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいのではないかとの指摘を踏まえつつ、現行の所得控除方式から税額控除方式に変更した場合、負担の変動が急激なものとなりかねないこと等を考慮して、逓減・消失型の所得控除方式を採用することとしたところであります。
 給付付き税額控除を導入すべきとの御提案については、低所得者対策全体の議論の中で、生活保護制度など、同様の政策目的を持つ制度との関係を十分に整理することがまず必要と考えています。さらに、所得や資産の把握が難しいといった問題や、過誤、不正受給といった支給の適正性の確保など多岐にわたる課題があり、慎重な検討が必要と考えます。
 保育の受皿確保と保育の人材の処遇についてお尋ねがありました。
 待機児童の解消は待ったなしの課題であり、最優先で取り組んでいきます。子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分については、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して、保育の利用申込率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量を推計したものです。
 待機児童の解消に当たっては、保育の実施主体である市区町村が待機児童の状況や潜在ニーズを踏まえながら保育の受皿整備を行うことが重要であり、引き続き取組を加速してまいります。
 また、保育人材の処遇については、政権交代後、月額三万円相当の改善を実施し、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行っています。
 さらに、平成二十九年度補正予算案及び平成三十年度予算案に月額三千円の処遇改善を盛り込んでいるほか、新しい経済政策パッケージでは、二〇一九年四月から更に三千円の賃金引上げを行うことを盛り込んでおります。引き続き、保育人材の処遇改善に取り組んでまいります。
 教育無償化の対象範囲と子育て支援に関する考えについてお尋ねがありました。
 児童教育の無償化については、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めます。幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化対象範囲等については、専門家の声も反映する検討の場で議論を開始したところであり、この夏までに結論を出してまいります。
 大学、専門学校等の高等教育における授業料の減免措置については、住民税非課税世帯の子供たちに対して拡充するとともに、これに準じる経済的に厳しい家庭の子供たちにもしっかりと必要な支援を行います。
 また、今般の無償化の措置は、それぞれの制度の趣旨、目的やこれまでに進められてきた取組などを踏まえて設計したものです。
 幼児教育の無償化については、重要な少子化対策の一つであることに加え、幼稚園等が義務教育の基礎を培う場であり、子ども・子育て支援の場として広く利用されているほか、諸外国でも、就学前の教育の重要性を踏まえ、三歳から五歳については所得制限を設けていないと承知しており、所得制限を設けずに実施することとします。
 高等教育の無償化については、低所得者層の進学を支援し、格差の固定化を解消することが少子化対策になるとの観点から、対象を低所得者世帯に限定します。
 現行の高等学校等就学支援金について、幅広く教育を受けられるようにする観点から、年収五百九十万円未満世帯を対象に拡充を行い、私立高等学校を実質無償化します。
 こうした取組を通じて、子育てや教育に係る負担の軽減を図ってまいります。
 新しい経済政策パッケージにおける生産性についてお尋ねがありました。
 新しい経済政策パッケージは、生産性革命を実現することで、働く皆さんの賃金を持続的に上昇させていくことを目指しています。そうした観点から、今回は賃金に直結する労働生産性の上昇を目標として掲げたところです。
 大胆な投資などを行うことで、結果として一人一人の働く皆さんが生み出す付加価値をしっかりと高め、四年連続の賃金アップの流れを更に力強いものとしてまいります。
 IoTや人工知能といった分野で日本は優位性を持つのか、及び人工知能に係る施策についてお尋ねがありました。
 最先端分野であり、必ずしも全体的な統計は整っていませんが、IoT分野での国際競争力については、主要十か国・地域のうち、我が国が米国に次いで二位となっているとの調査もあります。しかし、こうした分野は日進月歩でイノベーションが起きており、現状の精緻な分析に終始するよりも、時代を先取りするような挑戦を果敢に続けることが重要と考えております。
 人工知能については、昨年三月、我が国初の人工知能技術戦略を取りまとめたところであります。そして、そのロードマップに基づき、平成三十年度予算では医療やインフラ分野において具体的な利活用プロジェクトを実施するなど、予算総額も昨年度予算の二倍近くへと大幅に拡充しています。
 今後とも、世界に先駆けたソサエティー五・〇の構築に向けて、更にスピード感を持って取組を進めてまいります。
 行政が保有する様々なデータの公開、民間開放についてお尋ねがありました。
 政府においては、各府省が保有するデータは原則公開とするとの方針の下、オープンデータに取り組んでいますが、個人及び法人の権利利益や国の安全等を損なうおそれがある情報を公開するものではありません。
 今後とも、官民データ活用推進基本法に基づき、個人情報の保護等に十分配慮しつつ、ビッグデータ時代に対応して、行政機能が保有する有益なデータの公開、民間開放を進めることで、新たな価値の創造につなげていきます。
 補正予算と当初予算の構造についてお尋ねがありました。
 平成二十九年度補正予算では、災害復旧約〇・三兆円のほか、保育の受皿整備など人づくり革命や、ソサエティー五・〇に向けたイノベーションの支援など生産性革命、昨年の九州北部豪雨災害等を受け実施した全国の中小河川の緊急点検の結果などを踏まえた防災・減災対策、総合的なTPP等関連政策大綱に盛り込まれた農林水産業の体質強化対策、新たな段階の脅威となった北朝鮮の核・ミサイル開発等に対応した自衛隊の運用態勢の確保など、いずれも緊要性の高い事業を計上しています。
 平成三十年度予算においては、土地改良事業を含む公共事業関係費を前年度同水準とする中、生産性向上のためのインフラ整備や、豪雨、台風災害等を踏まえた防災・減災対策などに重点化しています。また、保育の受皿の拡大や、幼児教育、高等教育の負担軽減の充実など、国民生活の向上に資する予算を計上するとともに、科学技術振興費を〇・九%増やしており、大型公共事業に偏重する傾向が強まっているとの御指摘は当たりません。
 予算の配分についてお尋ねがありました。
 我が国においては、これまでも、その時々の政策課題に対して必要な予算を配分してきており、平成三十年度予算においても、保育の受皿枠拡大、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、科学技術イノベーションの促進、生産性向上のためのインフラ整備や、防災・減災対策などの重要な政策課題に必要な予算措置を講じています。
 今後とも、めり張りのある予算編成により、経済再生と財政健全化の両立を図ってまいります。
 防衛装備品に関する会計検査院の指摘と平成三十年度予算の編成についてお尋ねがありました。
 FMSによる防衛装備品の調達等については、防衛大臣から直接米国に改善を申し入れるなどの問題点の改善を進めております。
 平成三十年度予算案については、会計検査院の指摘を踏まえ、F35Aの更なる価格低減を図るとともに、国内企業の製造参画を促進する等、所要の改善措置に取り組んだ上で予算編成を行っております。
 従来の延長線上ではなくの意味についてお尋ねがありました。
 防衛計画の大綱の見直しに当たっては、安全保障環境の現状が戦後最も厳しいと言っても過言ではない中、まずは何よりも、現実から目をそらすことなく、真正面から向き合うことが不可欠です。
 その上で、これまで進めてきた南西地域の防衛態勢や弾道ミサイル防衛の強化にとどまらず、サイバー空間や宇宙空間など新たな領域分野について本格的に取り組んでいく必要があると考えています。
 このような意味で、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく必要があると考えているものです。
 スタンドオフミサイル及びイージス・アショアと専守防衛との関係についてお尋ねがありました。
 まず初めに、脅威をつくり出しているのは北朝鮮の側であり、日本ではないということははっきりと申し上げておきたいと思います。我が国に対する脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、しっかり備えをしておくことは私たちの大きな責任であります。
 スタンドオフミサイルは、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を有効に防衛するために導入するものであります。
 イージス・アショアは、弾道ミサイルの脅威から我が国全土を二十四時間三百六十五日、切れ目なく防衛する能力を抜本的に向上させるものです。
 いずれの装備も、専守防衛の下、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものです。
 スタンドオフミサイルの導入が安全保障環境に緊張をもたらすとは考えていません。また、イージス・アショアの導入についても、周辺国に懸念を生じさせることがないよう、引き続き様々な機会を捉え透明性の確保に努めてまいります。
 平和安全法制の見直しと憲法改正の関係についてのお尋ねがありました。
 平和安全法制は、国権の最高機関である国会において二百時間を超える御審議をいただいた上で成立したものです。野党の皆さんからも複数の対案が提出されるなど、充実した深い議論が行われたものと考えています。
 憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解でお示しした憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであります。憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁判所であり、平和安全法制はその考え方に沿った判決の範囲内のものであり、憲法に合致したものです。
 平和安全法制は、その手続と内容のいずれにおいても、憲法の下、適切に制定されたものであり、見直すことは考えていません。
 憲法改正は、国会で発議し、最終的に国民投票で国民が決めるものです。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。
 民進党が提案している復興加速四法案に対する見解についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興については着実に進展しておりますが、切れ目のない被災者支援や住まいと町の復興、なりわいの再生を一層加速化させ、被災者の心に寄り添い、一日も早い被災地の復興に向けて全力を尽くしてまいります。
 これまで、住宅の再建、産業、なりわいの再生等、様々な取組を進めてきたところであります。その上で、民進党から提案している四法案が本当に必要なのかどうかについて国会で御議論いただければと思います。
 今国会におけるその他の論点として、北朝鮮問題、沖縄での米軍機事故、年金、医療、介護、財政健全化、森友学園、加計学園、スーパーコンピューター開発をめぐる疑惑への対応に対する基本的姿勢についてお尋ねがありました。
 様々な課題を指摘されましたが、いずれにせよ、政府としては、国民の負託に応えるため、国民の安全を守り、国民の幸せな暮らしを実現する一つ一つの政策を政府一丸となって着実に実行してまいる所存であります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119615254X00220180125_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議