安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田博美議員にお答えをいたします。
 デフレ脱却及び経済成長への決意についてお尋ねがありました。
 政権交代前、日本にはまさにデフレマインドが蔓延し、諦めという名の壁が立ちはだかっていました。しかし、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出すことができました。
 五年間のアベノミクスにより、日本経済は足下で二十八年ぶりとなる七四半期連続プラス成長となり、四年連続の賃上げにより経済の好循環は着実に回り始めており、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。
 この好機を逃さず、デフレ脱却に向けあらゆる政策手段を総動員してまいります。働き方改革を断行し、誰もが生きがいを感じて、その能力を思う存分発揮できるようにする、人づくり革命を力強く進め、人生百年時代を見据えて経済社会の在り方を大胆に改革していく、世界で胎動する生産性革命をリードし、二〇二〇年までを集中投資期間と位置付け、賃金上昇、景気回復の波を全国津々浦々へと広げていく、こうした政策により、成長と分配の好循環をつくり上げ、デフレ脱却と力強い経済成長を目指してまいります。
 人づくり革命と社会保障の持続可能性についてお尋ねがありました。
 人づくり革命については、経済の成長軌道を確かなものとし、最大の課題である少子高齢化の克服に向けて、昨年十二月に新しい経済政策パッケージを閣議決定しました。
 これに基づき、待機児童解消を目指す子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受皿整備を進めます。また、保育士や介護職員について、他産業との賃金格差を踏まえた更なる処遇改善を進めます。さらに、これまで段階的に進めてきた幼児教育の無償化を一気に進めるとともに、給付型奨学金や授業料の減免措置を大幅に拡充することにより、真に必要な子供たちの高等教育無償化を実現します。
 子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、国民の皆様とお約束をしたこれらの政策を一つ一つ実行していくことで、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型の制度へと大きく転換してまいります。
 社会保障制度の持続可能性の確保は、成長と分配の好循環を実現していく上で不可欠なものです。不断の改革を行い、国民の理解と安心が十分に得られるように取り組んでまいります。
 具体的には、医療、介護の提供体制改革や保険者のインセンティブ改革を通じた予防、重度化防止の強化等に取り組むとともに、公平な負担の在り方についても検討し、社会保障制度の持続性確保に向けた改革を進めてまいります。このように、社会保障を全世代型へと転換するとともに、制度の持続可能性に対する不安に応えていくことが消費を活性化することにもつながると考えております。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 今般、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。
 これにより、プライマリーバランス黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
 この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までにプライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。不退転の決意で改革を進めてまいります。
 働き方改革関連法案についてお尋ねがありました。
 安倍政権は、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでおり、その最大のチャレンジが働き方改革です。働き方改革は、社会政策にとどまるものではありません。成長戦略そのものであります。
 高度成長時代の猛烈社員のように、長時間働いたことを自慢するような社会は根本から改めなければなりません。欧州諸国と比較して、我が国の年平均労働時間は長く、かつ、時間外労働を行っている労働者の割合も高くなっています。長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者が仕事に就きやすくなり、男性も子育てを行う環境が整備されます。
 今回、史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の限度を設けます。戦後の労働基準法制定以来、七十年ぶりの大改革であります。安倍政権として、働き方改革関連法案を早期に提出し、法案の成立に全力を傾注していきます。
 この際、取引関係の弱い中小企業・小規模事業者は、発注企業からの短納期要請や顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちです。全国四十七都道府県に働き方改革推進支援センターを設置し、中小企業・小規模事業者の個別相談に当たることとし、労働基準監督署にも中小企業・小規模事業者の相談に対応する特別チームを編成します。また、商慣習の見直しや、取引条件の適正化を一層強力に推進してまいります。中小企業・小規模事業者に十分配慮してまいります。
 社会資本整備の進め方についてお尋ねがありました。
 昨年十二月、吉田議員より、少子高齢化が進行する我が国において、地域を活性化し、経済成長を続けていくためには、社会資本の整備が重要との御指摘をいただきました。
 社会資本の整備は、未来への投資により、次の世代に引き渡すしっかりとした資産を形成するものであり、これまでも、地方を含め、我が国の経済成長を支えてきたものと認識しています。
 少子高齢化に立ち向かい、生産性向上による経済成長を実現するため、また、一昨日の本白根山の噴火によって改めて認識させられた自然災害が起こりやすい環境にある我が国において、国民の生命と財産を守るため、今後の社会資本整備は、中長期的な見通しの下、効率化を図りながら計画的に推進していくことが必要です。
 既存施設やソフト施策の最大限の活用を図りつつ、国土強靱化、防災・減災対策、老朽化対策、国際競争力の強化などの分野について、選択と集中の下、効果が最大限発揮されるよう戦略的な取組を進めていきます。
 日米同盟の強化についてお尋ねがありました。
 北朝鮮情勢を始め、地域の安全保障環境がますます厳しさを増す中、トランプ大統領との強固な信頼関係の下、日米の協力を一層緊密にし、同盟の抑止力を高め、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
 さらに、自由で開かれたインド太平洋戦略を日米で主導して推進し、この考え方に賛同していただける関係国と連携しながら、地域及び世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
 経済関係については、双方にとってウイン・ウインの成果を得るべく、麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話で建設的に議論を進めてきており、今後とも、日米両国で協力して、貿易、投資における高い基準をアジア太平洋地域に広げ、地域ひいては世界の経済成長を力強くリードしてまいります。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、北朝鮮が非核化の約束をほごにしてこれまで核・ミサイル開発を進めてきた経緯を踏まえれば、北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄させるため、安保理決議の完全な履行を始め、あらゆる方法で圧力を最大限に高めてまいります。
 諸般の事情が許せば平昌五輪の開会式に出席し、その機会に文在寅大統領と会談を行って、北朝鮮問題に関する日米韓の緊密な協力を改めて確認したいと考えております。
 拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。北朝鮮に対する国際社会の圧力をてことしつつ、私が司令塔となって北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。
 沖縄の負担軽減と普天間飛行場の全面返還についてお尋ねがありました。
 戦後七十年以上を経た今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を背負っていただいております。到底是認できるものではありません。この事実を重く受け止め、国を挙げて基地負担の軽減に一つ一つ結果を出していかなければなりません。
 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故があってはなりません。安全の確保は、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、御指摘のとおり、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 辺野古への移設が実現すれば、飛行経路が海上となることで、安全性は格段に向上し、騒音も大幅に軽減され、住宅防音が必要となる世帯は一万数千からゼロになります。
 その上、辺野古に移るのは、普天間が有する三つの基地機能のうち、オスプレイなどの運用機能に限定されます。空中給油機の運用機能については、既に十五機全て岩国飛行場への移駐を実現しました。緊急時における航空機受入れ機能についても、九州の自衛隊基地へ移すことを決定しています。残るオスプレイについても飛行訓練の本土への移転を進めており、機体の定期整備は千葉県の木更津駐屯地で行っています。
 辺野古への移設は最高裁判所の判決に従って進めているものです。引き続き、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきます。
 今後とも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしてまいります。
 今後の沖縄振興についてお尋ねがありました。
 沖縄は、成長するアジアの玄関口に位置し、出生率が日本一高いなど、大きな優位性、潜在力を有しています。そして、現在、有効求人倍率が十四か月連続で一倍超を記録しているほか、入域観光客数も五年連続で過去最高を更新するなど、経済は好調です。
 このような中、平成三十年度の沖縄振興予算案は、厳しい財政状況の下、三千十億円を確保しました。基地の跡地である西普天間住宅地区における健康医療拠点の整備や人材育成推進のための予算を新たに計上するとともに、沖縄科学技術大学院大学の規模拡充、産業の創出、離島の活性化、子供の貧困緊急対策のための予算を増額しています。
 これら予算の有効活用を通じ、引き続き、国家戦略として沖縄振興を総合的、積極的に推進してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。御指摘のとおり、私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。憲法改正を立党以来の党是とする自由民主党において、現在、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消の四項目について熱心な議論が行われていますが、言うまでもなく、憲法改正は国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。
 今後、憲法審査会において、自由民主党を始め各党による建設的な議論が行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しています。
 天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に向けた取組についてお尋ねがありました。
 天皇陛下の御退位は憲政史上初めての事柄であり、そのために準備が必要となる事項は、御退位後の補佐組織やお住まい、元号の改正、式典の準備など多岐にわたります。
 これらの事項については、関係省庁が連携して準備を進めており、来年度予算案にも所要の関係経費を計上しているところです。
 式典の準備については、先般、官房長官を長とする式典準備委員会を設置し、今年度内に基本方針を取りまとめるべく検討を進めています。
 政府としては、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の皆様の祝福の中でつつがなく行われるよう、全力を尽くしてまいります。(拍手)

発言情報

speech_id: 119615254X00220180125_006

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議