安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えいたします。
五年を超えた政権の今後についてお尋ねがありました。
総選挙からまだ三か月しかたっておりませんが、まずはこの通常国会において、総選挙で国民の皆様にお約束した政策を一つ一つ実行に移すことが私の責任であると考えております。その先のことは現時点では全く考えておりません。
少子高齢化、北朝鮮の脅威、国難とも呼ぶべき課題に真正面から立ち向かい、我が国の未来を切り開くため、昨年の総選挙で国民の皆様からいただいた大きな負託、その責任の重さを胸に刻み、一心不乱に取り組んでいく決意であります。
国会改革についてお尋ねがありました。
日程闘争やパフォーマンスにエネルギーを割くのではなく、政策論議こそが肝腎であるという片山議員の意見に全く同感であります。この国会においても、日本維新の会の皆さんと建設的な政策論議を行わせていただきたいと思います。
具体的な国会改革の在り方については国会がお決めになることであり、各党各会派においてしっかりと議論を行っていただくよう期待しております。
身を切るような改革についてお尋ねがありました。
我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然です。日本維新の会が、そうした観点から、具体的な行動に取り組んでおられることについては敬意を表したいと思います。
その上で申し上げるとすれば、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
大阪都構想についてお尋ねがありました。
大阪都構想については、大阪府と大阪市において、大都市地域特別区設置法に基づく特別区設置協議会が設置され、構想実現に向け協議が行われているものと承知しております。
政府としても、これまで、指定都市と都道府県との間の二重行政の解消や住民自治の拡充を目的として、都道府県から指定都市への権限移譲や、指定都市都道府県調整会議、総合区制度の創設等を進めてまいりました。
いずれも大都市制度改革の選択肢を地方に示すものであり、地方自治は住民の意思と責任に基づき行われるべきとの理念の下、その選択は、地域の実情に応じ、それぞれの地域が判断すべきものと考えます。
憲法改正についてお尋ねがありました。
憲法は、この国の形、理想の姿を示すものです。私たちは、時代の節目にあって、まさにどのような国づくりを進めていくのかという議論を深めるべきときに来ていると思います。
御党が憲法改正に熱意を持って取り組まれ、具体的な提言を行われていることに対して改めて敬意を表するところでありますが、国会の憲法審査会において議論される憲法改正の内容について、内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
今後、御党を始め各党による建設的な議論が憲法審査会において行われ、国会における議論が深まる中で、与党、野党にかかわらず幅広い合意が形成され、国民的な理解も深まっていくことを期待しております。
憲法に関し国民が直接主権を行使する機会がなかったとの御認識についてお尋ねがありました。
憲法は、この国の形、理想の姿を示すものであり、最終的にそれを決めるのは国民の皆様です。
自由民主党は、憲法改正を立党以来の党是としてきました。これまで一度も憲法改正を国民に問うことができずに現在に至っていることは、自民党総裁として誠に残念なことです。昨年五月に私が一石を投じる発言を行ったのも、こうした状況の中で議論を活性化したかったからであります。
今後、国会の憲法審査会において各党による建設的な議論が行われ、国民的な理解が深まっていくことを期待しています。
教育の無償化についてお尋ねがありました。
日本維新の会が、憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表します。私は今、内閣総理大臣として答弁しており、御党の改憲案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきます。今後、御党も含めて、各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。
その上で申し上げると、高等教育は国民の知の基盤であり、イノベーションを創出し、国の競争力を高める原動力でもあります。今後、連携、統合等の推進を含めた大学改革、アクセスの機会均等、教育研究の質の向上を一体的に推進し、高等教育の充実を図る必要があると考えています。
昨年取りまとめた新しい経済政策パッケージでは、消費税の使い道を見直すこととし、所得が低い家庭の子供たち、真に必要な子供たちに限った高等教育無償化を行うこととしました。高等教育無償化に向けた詳細な制度設計については、夏までに結論を出してまいります。
こうした人づくり革命を断行し、子供たちの誰もが夢に向かって頑張ることができる、そのことが当たり前となる社会をつくってまいります。
憲法改正のスケジュール感についてお尋ねがありました。
言うまでもなく、憲法改正は国会が発議し、最終的には国民投票により国民の皆様が決めるものであります。憲法改正の発議の時期等についても、国会における各党の御議論や国民的な議論の深まりの中で決まっていくものと考えております。
韓国との関係についてお尋ねがありました。
平昌五輪の成功に向けて、最近、南北間で対話が行われていることは評価しますが、その間も北朝鮮は核・ミサイル開発を継続しています。北朝鮮とは対話のための対話では意味がありません。北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で核・ミサイル開発を放棄させるべく、圧力を最大限まで高めていく必要があります。
慰安婦問題をめぐる日韓合意は、日韓両国が様々な分野で協力を進め、未来志向の日韓関係を構築していく上で欠くべからざる基盤です。韓国側が一方的に更なる措置を求めることは、全く受け入れられません。日韓合意は国と国との約束であり、政権が替わっても、約束を守ることは、国際的かつ普遍的に認められた原則です。日本側は、約束したことを全て誠意を持って既に実行しています。韓国側にも引き続き約束を実行するよう強く働きかけてまいります。
諸般の事情が許せば、平昌五輪の開会式に出席をし、文在寅大統領と会談を行って、慰安婦問題に関する日韓合意について、日本政府としての立場を直接明確に伝え、韓国側も約束を誠実に履行していくよう強く働きかけてまいります。北朝鮮問題についても、北朝鮮に政策を変更させ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていくとの方針からぶれてはならないことを直接伝え、日米韓でしっかりと連携していく必要性を改めて確認してまいります。
史実に基づかない碑文や慰安婦像への対処についてお尋ねがありました。
御指摘のような動きは、我が国政府の立場と相入れない極めて遺憾なことと受け止めています。我が国としては、事実の歪曲や日本に対するいわれなき主張に対しては、正面から反論し、正しい事実を力強く訴えてまいります。
北朝鮮問題のミサイルに関連した措置についてお尋ねがありました。
北朝鮮の核・ミサイル開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威です。我が国に対する脅威から国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、しっかり備えをしておくことは私たちの大きな責任であります。このような観点から、今般、イージス・アショア及びスタンドオフミサイルの導入を決定したところです。
さらに、年末に向けて防衛計画の大綱の見直しを進めてまいります。専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく考えです。
イージス・アショア及びスタンドオフミサイルといわゆる敵基地攻撃についてお尋ねがありました。
イージス・アショアは、弾道ミサイルの脅威から我が国全土を二十四時間三百六十五日、切れ目なく防護する能力を抜本的に向上させるものです。スタンドオフミサイルは、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を有効に防衛するために導入するものです。
いずれの装備も、専守防衛の下、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものです。
いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存しており、政府としては、今後とも、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。
弾道ミサイルが我が国領海内に着弾した場合の対処についてお尋ねがありました。
一般論として、弾道ミサイルが我が国の領土、領海に飛来するおそれがある場合には、自衛隊法に基づき、弾道ミサイルの破壊措置を講じることとなります。
北朝鮮の今後の挑発行為を予断してお答えすることは差し控えますが、日米の緊密な連携の下、高度の警戒態勢を維持し、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
ミサイルの我が国への着弾に備え、国民の避難、在韓邦人等の保護、拉致被害者の救出や武装難民対策などについてお尋ねがありました。
国民の命と平和な暮らしを守るため、いかなる事態にも対応できるよう、様々な準備を行うことは国の責務です。
政府としては、弾道ミサイルを想定した避難訓練の実施、避難場所の指定の促進に取り組むとともに、朝鮮半島において在留邦人や旅行者の保護や退避が必要になった場合など、平素から様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っています。
あらゆる事態において拉致被害者の安全を確保することは極めて重要であり、半島有事の際は同盟国たる米国との協力が特に重要です。政府としては、これまでも米国に対し拉致被害者に関する情報提供をしてきており、拉致被害者の安全が脅かされるような事態に至った場合に、拉致被害者の安全確保のため、協力を米国政府に対して依頼しているところです。
また、我が国に避難民が流入するような場合の対応については、避難民の保護に続いて、上陸手続、収容施設の設置及び運営、我が国が庇護すべき者に当たるか否かのスクリーニング、検疫といった一連の対応を想定しています。これらの対応を適切に行うべく、引き続き関係機関による緊密な連携を図ってまいります。
いかなる事態にあっても、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に万全を期していく考えです。
日中関係についてお尋ねがありました。
日本と中国は、北朝鮮問題を始め、アジアの平和と繁栄に大きな責任を共有しています。経済的には、中国の平和的発展は日本にとってチャンスです。一帯一路を含め、中国が地域の平和と繁栄に貢献していくよう、様々なレベルの対話を通じて働きかけていきます。
同時に、日本の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの安倍内閣の決意に揺るぎはありません。その決意の下、尖閣諸島をめぐる状況については毅然かつ冷静に対処していきます。
本年は、日中平和友好条約締結四十周年であり、日中関係が大きく改善したと両国の国民が認識できるような一年にしたいと考えています。引き続き、戦略的互恵関係の考えの下、大局的な観点から、あらゆる分野で協力と交流を推し進めてまいります。
そのためにも、早期に日中韓サミットを開催して李克強首相を日本にお迎えし、その後、私が適切な時期に訪中し、その後には習近平主席に訪日していただきたい。このようなハイレベルの往来を重ねる中で、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたいと考えております。
働き方改革についてお尋ねがありました。
安倍政権は、高齢者も若者も、女性も男性も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組んでおり、その最大のチャレンジが働き方改革です。働き方改革は、社会政策にとどまるものではありません。成長戦略そのものであります。
いわゆる終身雇用などを含め、我が国企業の人事、雇用慣行には、人を大切にするという優れた点があります。そうした点を失うことなく、様々な事情を抱える皆さんが意欲を持って働くことができ、誰もがその能力を発揮できるよう、柔軟な労働制度の選択を可能とする改革を進めます。
さらに、長年議論だけが繰り返されてきた同一労働同一賃金、いよいよ実現のときが来ました。雇用形態による不合理な待遇差を禁止し、非正規という言葉をこの国から一掃してまいります。
安倍政権として、これらの内容を含む働き方改革関連法案を早期に提出します。新しい時代を切り開く働き方改革に向け、活発な御議論をいただければと考えております。
高齢化対策についてお尋ねがありました。
御指摘のように、人生百年時代を見据え、意欲と能力がある高齢者の方々に活躍していただける環境を整えることは重要であります。安倍内閣としても、高齢者の方々の働き方改革を推進するため、年齢に関わりなく働き続けることができる企業などに対する支援の充実を行うことなど、一億総活躍社会の実現に向けた施策を進めています。高齢者の方々が年齢に関わりなく生涯現役で活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。
経済政策パッケージの財源についてお尋ねがありました。
安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。また、例えば、社会保障関連費の伸びを四年連続で実質五千億円以下に抑制するなど、歳出削減努力を続けてきたところであり、今後とも、徹底的な重点化、効率化など、歳出削減努力に取り組んでまいります。
行政改革についても、これまでも行政事業レビューなどの取組を不断に進めてきたところであり、引き続き行政改革に取り組んでいきます。
他方、急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行しなければなりません。大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。
このため、今回、消費税の使い道を見直すこととし、子育て安心プランの前倒しによる保育の受皿確保や、保育士や介護職員の更なる処遇改善、幼児教育の無償化、真に必要な子供たちの高等教育無償化など、人への投資を拡充することにより、あわせて、社会保障の安定化にもバランスよく充当することで財政健全化も確実に実現してまいります。
財政健全化についてお尋ねがありました。
繰り返しになりますが、安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。その結果、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標を達成しています。また、行政改革の取組も不断に進めてきたところであり、補正予算についても、緊要性の高い支出を計上するなど、重点化、効率化を図っております。
今般、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当することとしました。
これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までにプライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏付けとなる具体的かつ実効性のある計画をお示ししてまいります。(拍手)
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