安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 藤田議員にお答えをいたします。
 積極的平和主義と抑止力についてお尋ねがありました。
 国際協調主義に基づく積極的平和主義は、我が国の国家安全保障の基本理念です。我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安全を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に関与していくというものであります。
 その内容は国家安全保障戦略にも透明性を持って示されており、その戦略的アプローチとしては、まず外交努力の強化を述べた上で、防衛面のみならず、法執行やテロ対策の強化を含む幅広い総合的な施策を示したものです。このように、積極的平和主義は、軍事的手段による平和、戦争手段の優越さの競争であるとの議員の御指摘は全く当たりません。
 抑止力に関しては、国際社会には核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった脅威が存在するなど、引き続き不透明、不確実な要素が存在します。
 そのような中、我が国としては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠であり、その信頼性の維持強化のために米国と緊密に連携していくとともに、あわせて、我が国自身の取組により適切に対処する必要があると考えています。
 尖閣諸島への日米安全保障条約第五条の適用についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しており、我が国の施政の下にあります。
 昨年二月の日米首脳共同声明を始め米国は累次の機会に、日米安全保障条約第五条は尖閣諸島にも適用され、尖閣諸島に対する日本の施策を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対するとし、日米安全保障条約の下での米国の条約上の義務へのコミットメントを確認してきています。
 国防の基本方針と国家安全保障戦略についてお尋ねがありました。
 国防の基本方針は、戦後初めて我が国の防衛政策の基礎となる文書として策定されたものであり、政府が国防に関する考え方を透明性を持って文書で示したことは、対外的信頼の観点を含め、様々な観点から意義があったものと認識しています。
 国家安全保障戦略は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、国防の基本方針にある国防の観点に加え、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で国家安全保障のための方策に取り組む必要があるとの考え方の下、国家安全保障に関する基本方針として策定したものです。
 このように、国家安全保障戦略は、安全保障環境を踏まえ、国防の基本方針の内容を包含し、それに代わるものとして策定されたものです。
 戦争と平和主義についてお尋ねがありました。
 国家安全保障戦略にあるとおり、我が国は戦後一貫して平和国家としての道のりを歩んできており、我が国の平和国家としての歩みは国際社会においても高い評価を得てきています。我が国としては、これをより確固たるものにしていかなければなりません。
 一方、我が国の平和と安全は、我が国一国では確保できません。我が国としては、平和国家としての歩みを引き続き堅持しながら、同時に、国際社会の主要なプレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保のために積極的に関与していく必要があります。
 国家安全保障戦略の策定以来、かかる考え方に従い努力を行ってきた結果、日米同盟はかつてなく強固になり、積極的平和主義についても世界各国から多大な支持と評価を得ています。我が国としては、今後とも、かかる考え方に立ち、平和国家としての歩みをより確かなものとしていきます。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 まず指摘しておきたいのは、挑発を行っているのは北朝鮮の方であり、私も、世界中の誰一人としても、紛争などを望んでいません。
 米国の行動について予断することは差し控えますが、政府としては、他の国・地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはありません。
 北朝鮮を抑止する上での手のうちを明らかにすることはできませんが、昨年十一月のトランプ大統領訪日の際には、十分な時間を掛けて北朝鮮情勢を分析し、今後の方策について完全に意見の一致を見ました。
 北朝鮮が暴発するかもしれないとの議論もありますが、これに乗ること自体、北朝鮮の交渉力を高めてしまうことになります。
 日米間では、南北対話を受けた対応を含む対北朝鮮政策について緊密なすり合わせを行ってきており、引き続き日米両国は北朝鮮問題に関し一〇〇%共にあります。
 今後とも、日米の協力を一層緊密にし、同盟の抑止力を高め、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしを守り抜いてまいります。
 在韓邦人の救出と国連との調整についてお尋ねがありました。
 海外で邦人が危機にさらされたとき、邦人の保護、救出に全力で当たることは国としての当然の責務であります。
 政府としては、平素から在韓邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、関係国や関係機関とも連携しながら必要な準備、検討を行っていますが、具体的な内容については、邦人の安全確保に重大な影響を及ぼし得ることから差し控えます。
 近隣諸国との関係についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核・ミサイル開発の進展など、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としては、日米韓で緊密に協力し、中国、ロシアを始めとする近隣諸国との連携を進めてまいります。
 中国とは、本年が日中平和友好条約締結四十周年であり、日中関係が大きく改善したと両国の国民が認識できるような一年にしたいと考えています。
 韓国とは、これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で新たな時代の協力関係を深化させてまいります。
 ロシアとは、北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結するとの基本方針の下、粘り強く交渉を進めてまいります。
 米軍ヘリの事故についてお尋ねがありました。
 米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。トランプ大統領には私から直接しっかりと伝え、大統領と地元の方々の懸念を軽減する重要性を再確認しました。
 ヘリの事故については、マティス国防長官からも謝罪があり、再発防止について重要な課題として取り組むとの表明がありました。
 普天間飛行場周辺の全ての学校上空の飛行を最大限可能な限り避けるとの方針については、米国に対してしっかりと遵守するよう求めるのみならず、日本側においてもその状況の確認に努めているところです。
 今後とも、安全の確保については最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
 日米地位協定についてお尋ねがありました。
 日米地位協定については、安倍政権の下で、日米地位協定締結から半世紀を経て初めて、環境及び軍属に関する二つの補足協定の策定が実現しました。
 刑事分野でも様々な改善の取組を行ってきており、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米軍人・軍属の拘禁について、平成七年に、起訴前の拘禁の日本側の移転を可能とする合意を達成し、これに基づき、実際に起訴前の拘禁の移転が行われてきています。
 今後とも、事案に応じた最も適切な取組を積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいります。
 AIIBについてお尋ねがありました。
 膨大なアジアのインフラ需要に効果的に応えていくことは重要な課題です。AIIBが国際金融機関にふさわしいスタンダードを備えることにより、アジア地域の持続的な発展に資する機関として役割を果たすことを期待しています。
 AIIBは設立から二年足らずであり、運営の初期の段階にあります。したがって、我が国としては、引き続き、AIIBが公正なガバナンスを確立できるのか、借入国の債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されているかについて、運用を注視していきたいと考えております。
 経済認識等についてお尋ねがありました。
 五年間のアベノミクスにより、日本経済は足下で二十八年ぶりとなる七四半期連続プラス成長となり、四年連続の賃上げにより経済の好循環は着実に回り始めており、民需主導の力強い経済成長が実現し、デフレ脱却への道筋を確実に進んでいます。
 消費支出については、世帯当たりの消費を捉える家計消費では、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっていますが、一国全体の消費を捉えるGDPベースでは、実質で二〇一六年以降前期比プラス傾向で推移するなど、持ち直しています。
 家計の世帯当たり年間収入については、高齢化の進む中、二〇一二年以降横ばい圏内で推移していますが、一国全体で見たGDPベースの家計の可処分所得は三年連続で増加しています。
 また、一人当たりの名目GDPは、円ベースで見れば過去最高の水準です。
 非正規や年収二百万円以下の方々が増加しているとの御指摘でありますが、正規雇用者数は二〇一五年に八年ぶりにプラスに転じ、二〇一六年と合わせた二年間で七十九万人増加。この増加幅は非正規を上回っています。
 年収二百万円以下の給与所得者の数は御指摘のとおり増加していますが、これは、景気が緩やかに回復する中で、パートで働く方が増加したことによるものと考えられます。
 また、給与所得者数は全ての所得階層で増加しており、二百万円以下では二三・九%から二三・三%に減少していることも申し上げたいと思います。
 今後も、あらゆる政策手段を総動員して、デフレ脱却、力強い経済成長を目指してまいります。
 なお、株価に関するコメントは差し控えますが、日本銀行によるETFの買入れは、物価安定目標を実現するため金融政策の一環として行われているものであり、特定の株価水準を念頭に置いているものではないと承知しております。また、年金積立金の運用は、法律に基づき、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとされております。
 地方の医療・福祉施設や従事者に対する支援についてお尋ねがありました。
 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、どこに住んでいても適切な医療や介護を安心して受けられる地域包括ケアシステムの構築を進めることが重要です。
 このため、平成三十年度の診療報酬、介護報酬同時改定においては、診療報酬本体はプラス〇・五五%、介護報酬はプラス〇・五四%と、いずれもプラス改定を行うとともに、地域包括ケアシステムの構築を第一の柱とし、具体的な改定内容の議論を進めています。
 さらに、基金の活用による施設整備や人材確保を行っております。特に介護職員については、来年秋から、リーダー級の職員の皆さんを対象に更に八万円相当の給与増を行えるような処遇改善を実現することとしております。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下、これまでアベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋を付けてきました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
 急速に進む少子高齢化という国難に立ち向かうべく、人生百年時代を見据え、人づくり革命を断行しなければなりません。
 大きな改革には大きな財源が必要になります。財源の目当てがないままでは、改革の中身それ自体が小さくなるおそれがあります。このため、今回、国民の信を問い、理解を得た上で、消費税の使い道を見直すこととしました。失政隠し、政治的思惑との御指摘は全く当たりません。
 これにより、プライマリーバランス黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、財政健全化の旗は決して下ろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持してまいります。
 この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までにプライマリーバランスの黒字化の達成時期と、裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を策定してまいります。
 私の政治手法についてのお尋ねがありました。
 藤田議員御指摘の言葉については、不勉強で存じ上げておりません。また、ファシズムの政治手法についても、藤田議員のようにつまびらかではないことから、比較してお答えすることはできません。
 政治において重要なことは、民意にしっかりと耳を傾けた上で、評論ではなく、やるべき政策を実行し、結果を出すことであります。三か月前の総選挙で国民の皆さんからいただいた力強い負託、その責任の重さを胸に刻み、これからも全力で結果を出す政治を進めてまいります。
 森友学園への国有地売却に係る国会招致等についてお尋ねがありました。
 森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明を果たしていかなければならないと考えています。
 文書の管理、保存については、各行政機関が責任を持って行っており、また、報道された音声データを含め、現場でのやり取りについてもこれまでも説明してきたところですが、今後、国会の場において財務省など関係省庁からしっかり説明させていただきます。
 国有地は国民共有の財産であり、その売却に当たっては国民の疑念を招くようなことがあってはなりません。
 私としても、国有財産の売却について業務の在り方を見直すことが必要と考えており、関係省庁において今後の対応についてしっかりと検討させているところです。
 職員への対応については、国家公務員法上、所管大臣がこれを行うものとされており、関係省庁において適切に判断されるものと承知しております。
 また、国会における審議の在り方については国会においてお決めいただくことだと認識しております。
 なお、私や妻がこの国有地払下げに、もちろん事務所も含めて、一切関わっていないことはこれまでも申し上げてきたとおりであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119615254X00320180126_016

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-01-26

院: 参議院

会議名: 本会議