安倍晋三の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 労働法制に対する基本姿勢についてお尋ねがありました。
 労働法制は、立場の弱い労働者が劣悪な環境で働くことのないよう保護する観点から、契約自由の原則を修正するものであり、その意義は大きいと考えています。加えて、その時代の労働者の働き方の実態に応じて、その労働者をどのように保護することが適当か、見直す必要があります。
 人を大切にするという我が国の優れた、慣行の優れた点を大切にしながら、時代の変化を踏まえ、働く人々の視点に立った働き方改革を着実に進めてまいります。
 なお、平成二十七年に成立した労働者派遣法改正法については、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものです。施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。
 全国過労死を考える家族の会からの面会要請についてお尋ねがありました。
 御指摘の面会の御要請については、働き方改革法案に対する政策的な御要望であることから、政府としては、法案の担当省庁であり、その内容、経緯等を熟知している厚生労働省において承らせていくとしたものであります。私としては、法案を担当する厚生労働大臣からしっかりと承りたいと考えております。
 労働時間の原則についてお尋ねがありました。
 今回の働き方改革においては、史上初めて、労働界と産業界のトップの合意の下に、三六協定でも超えてはならない、罰則付きの時間外労働の上限を設けます。
 さらに、労使トップにより、月四十五時間、年三百六十時間の原則的上限に近づける努力が重要とする旨の合意がなされたことに鑑み、政府としては、新たに指針を定め、労使に対して必要な助言、指導を行ってまいります。
 本法案は、我が国の長時間労働の慣行を是正し、ワーク・ライフ・バランスの改善を図るものであり、こうした意味で、時間外労働の上限規制は、労働基準法第一条に規定されている労働条件の原則の考え方に沿うものと考えております。
 時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。
 時間外労働の上限規制は、あくまで、原則として月四十五時間かつ年三百六十時間です。
 その上で、臨時的な特別の事情がある場合に該当すると労使が合意した場合に限り、上限は年七百二十時間とし、その上限内において、単月では百時間未満、複数月の平均では八十時間以内を限度とするものであります。
 これは、私自らが議長となり、労使トップにお集まりをいただいた働き方改革実現会議の場で、計十回にわたり議論を行い、働く方の実態を最もよく知っている労使のトップが、実効性があり、かつぎりぎり実現可能なものとして合意したものであります。その労使合意に従って、法律案として立案したものであります。
 裁量労働制についてお尋ねがありました。
 裁量労働制についても、長時間労働により健康被害につながっているのではないかとの御指摘があることは承知しています。
 一方、政府の裁量労働制に関するデータは国民の皆様に裁量労働制の改正について疑念を抱かせることとなったため、法案から全面削除しました。
 今後、厚生労働省において実態をしっかりと把握し直すこととし、その上で、健康確保措置も含め議論をし直してまいります。
 高度プロフェッショナル制度の導入についてお尋ねがありました。
 高度プロフェッショナル制度は、産業競争力会議で経済人や学識経験者から制度創設の意見があり、日本再興戦略において取りまとめられたわけであります。その後、労使が参加した労働政策審議会で審議を行い、取りまとめた建議に基づき法制化を行ったものであります。
 具体的な対象者は、法律上、次の三つの要件を満たす場合に限定をされております。第一に、年間の賃金が平均的な労働者に対して著しく高いこと、具体的には、年間平均給与額の三倍相当程度上回る水準、現状では千七十五万円以上の方であること。第二に、専門性があり、通常の労働者と異なり、雇用契約の中で職務の記述が限定されていること、いわゆるジョブディスクリプションがあること。第三に、何より本人が制度を理解して個々に書面等により同意していること。
 したがって、本制度は、望まない方に適用されることはないため、このような方への影響はありません。このため、適用を望む人が何人いるから導入するというものではなく、多様で柔軟な働き方の選択肢として整備するものであります。
 成果の評価等についてお尋ねがありました。
 高度プロフェッショナル制度については、高度の専門職の方が従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない業務に就く場合に限って、自律的な働き方を可能とする旨を改正後の労働基準法第四十一条の二に規定することとしています。
 現行の労働時間制度では、同じ成果でも、働く時間の長さにより賃金が違ってくる場合があり、純粋に成果に見合った賃金を支払うことにはなりません。
 一方、高度プロフェッショナル制度では、時間と賃金の関係を切り離すことによって、事前に明確に定められた職務について、時間ではなく成果で評価することを徹底できることになります。
 なお、成果の目標や期限の設定については、それぞれの労使の話合いにおいて決められるものと考えています。
 高度プロフェッショナル制度の業務命令についてお尋ねがありました。
 高度プロフェッショナル制度については、その対象業務に関し、働く時間帯の選択や時間配分は、労働者自らが決定するものであることを省令に明記する方向で検討しています。
 したがって、使用者が、御指摘のような極端に長時間働くような業務命令を出すような場合は、法令の要件を満たさず、高度プロフェッショナル制度の適用は認められないこととなります。また、この場合には、法定労働時間に違反するとともに、割増し賃金の支払義務が発生し、罰則の対象になるものであります。
 高度プロフェッショナル制度についてお尋ねがありました。
 第四次産業革命の出現やグローバル化の下、活力ある日本を維持していくためには、高い付加価値を生み出す経済を追求していかなければなりません。
 付加価値の高い革新的な分野で、高度専門職の方であって、希望する方が、仕事の進め方等を自ら決定し、その意欲や能力を有効発揮することによって、新しい産業が発展し、ひいては日本全体の生産性向上につながっていくものと考えております。
 このような考え方の下、高い年収の確保、職務範囲の明確化等の要件を設定した上で、自律的に働くことができる高度プロフェッショナル制度を働き方の選択肢として整備することが必要です。
 同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。
 同一労働同一賃金と同一価値労働同一賃金は、論者、学者により様々な異なる解釈があると承知しています。
 いずれにせよ、大切なことは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の理由のない待遇差を埋め、どのような雇用形態を選択しても自分の能力が評価されているという納得感が得られ、働くモチベーションが高まる処遇を受けられるようにすることです。今回の法案により、これを実現してまいります。なお、同一労働同一賃金は、労使トップが合意した働き方改革実行計画に基づいて法案化したものです。
 また、ILO第百号条約は、加盟国に対し、男女労働者に対する同一報酬の原則の適用を求めているものであり、これは、男女間に賃金について差別のないことを要求するものであると承知しています。
 パワハラ対策についてお尋ねがありました。
 職場におけるパワーハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであり、あってはならないことと考えています。そのため、労使双方への周知啓発を進めているところです。
 さらに、職場のパワーハラスメント防止対策を強化するため、有識者や労使関係者が参加した検討会において、対策の在り方や論点等に関する報告書を本年三月に取りまとめたところです。今後、この報告書を踏まえて、労働政策審議会において具体的な対策について議論を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119615254X02520180604_018

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-06-04

院: 参議院

会議名: 本会議