安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下議員にお答えをいたします。
私の言葉と面会要請についてお尋ねがありました。
行政をめぐる様々な問題や、この働き方改革を始めとする必要な政策等について、私の言葉で国民の皆様に御説明し、お伝えできるよう常に心掛けています。今後も一層努力してまいります。
過労死の悲劇を二度と繰り返さないという強い決意の下、罰則付きの時間外労働の上限を設けるなどを内容とする働き方改革関連法案を提出しております。
御指摘の面会の御要請については、法案に対する政策的な御意見であることから、法案の担当省庁である、その内容、経緯等を熟知している厚生労働省において承らせていただくこととしたものであります。
労働時間の調査についてお尋ねがありました。
委員御指摘の調査について、一度精査を行った後に更に訂正を行うこととなったことは遺憾であります。
しかし、厚生労働省において調査票の原票の確認等を行い、九千を超えるサンプルを再集計した結果、加藤厚生労働大臣が集計結果に大きな傾向の変化は見られないと答弁していると承知しております。御指摘の平成二十七年の私の答弁の根拠となったデータについても同様であると聞いております。
また、労働政策審議会では、この調査ではなく、様々な資料を確認しながら現場の実情に通じた労使の御意見を踏まえて議論が行われ、おおむね妥当との答申が取りまとめられたところです。答弁の撤回や法案の差戻しの考えはありません。
時間外労働の上限規制についてお尋ねがありました。
時間外労働の上限規制は、あくまで原則として月四十五時間かつ年三百六十時間です。
その上で、臨時的な特別の事情がある場合に該当すると労使が合意した場合に限り、上限は年七百二十時間とし、その上限内において、単月では百時間未満、複数月の平均では八十時間以内を限度とするものであります。
他方、単月百時間未満といった特例の時間外労働を安易に認めるということではなく、昨年三月に労使トップにより、月四十五時間、年三百六十時間の原則的上限に近づける努力が重要とする旨の合意がなされました。政府としては、これを受けた指針を新たに定め、労使に対し、必要な助言、指導を行ってまいります。
なお、御指摘のILO条約の批准については、国内法制との整合性についてなお検討すべき点があることから、慎重な検討が必要であると考えています。
高度プロフェッショナル制度の過労死についてお尋ねがありました。
高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を自ら選択することができる、高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度であり、成果主義をあおるとの御指摘は当たりません。
また、高度プロフェッショナル制度においても長時間労働を防止し健康を確保することは重要であり、在社時間等の把握、一定以上の休日の確保などを使用者に義務付けることとしています。
こうした措置を通じて、高度プロフェッショナル制度で働く方々の健康確保に遺漏なきを期してまいります。
なお、労災認定に当たっては、高度プロフェッショナル制度の方であっても、会社への入退館の記録や同僚への聞き取りなど、様々な方法により実態がどうであったかを調査し、認定を行っていくものと承知しております。
高度プロフェッショナル制度と長時間労働についてお尋ねがありました。
高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を自ら選択することができる、高い交渉力を有する高度専門職に限って、自律的な働き方を可能とする制度です。
その対象となった方についても、長時間労働を防止し、健康を確保することは重要であり、在社時間等が一定以上になった場合には、事業者に対し、医師による面接指導を罰則付きで義務付けるとともに、その結果に基づいた医師の意見を踏まえ、職務内容の変更や在社時間等を短くするための措置等の実施を義務付けています。
これらの措置を通じて、高度プロフェッショナル制度で働く方々の健康確保に遺漏なきを期してまいります。
なお、使用者が御指摘のような極端に長時間働くよう業務命令を出すような場合は、法令の要件を満たさず、高度プロフェッショナル制度の適用は認められないこととなります。また、この場合には、法定労働時間に違反するとともに、割増し賃金の支払義務が発生し、罰則の対象にもなるものであります。
高度プロフェッショナル制度の導入根拠と過労死への懸念についてお尋ねがありました。
高プロ制度は、産業競争力会議で経済人や学識経験者から制度創設の意見があり、日本再興戦略において取りまとめられました。その後、労使が参加した労働政策審議会で審議を行い、取りまとめた建議に基づき法制化を行ったものであります。
具体的に対象者は、法律上、次の三つの要件を満たす場合に限定されています。第一に、年間の賃金が平均的な労働者に対して著しく高いこと、具体的には、年間平均給与額の三倍を相当程度上回る水準、現状では千七十五万円以上の方であること。第二に、専門性があり、通常の労働者と異なり、雇用契約の中で職務の記述が限定されていること、いわゆるジョブディスクリプションがあること。第三に、何より本人が制度を理解して個々に書面等により同意していること。
また、健康確保のため、在社時間等を把握した上で、インターバル措置、健康管理時間の上限措置、二週間連続の休日、臨時の健康診断のいずれかを使用者に義務付けることとしており、これらの措置を講じなければ制度の導入はできないこととしております。
さらに、連合からの私への要請を踏まえて、年間百四日の休日確保の義務付けなど、健康確保措置を強化しております。これらの措置を通じて、高度プロフェッショナル制度で働く方々の健康確保に遺漏なきを期してまいります。
勤務間インターバルについてお尋ねがありました。
御指摘の勤務間インターバルについては、日本では少数の企業が導入しているのみであり、まずは制度の普及促進が重要です。
そのため、今回の法案では、その導入を努力義務として規定することとしています。さらに、制度を導入する中小企業に対する助成金の活用や好事例の周知を通じて、労使の自主的な取組を推進し、普及を図ってまいります。
同一労働同一賃金についてお尋ねがありました。
今回政府が導入しようとしている同一労働同一賃金制は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を埋めるものであります。
今回の法案には、同一労働同一賃金を表すものとして、雇用形態による不合理な待遇差を禁止する規定を明記しており、この規定に基づき、不合理な待遇差がある場合には、その是正を求める労働者が裁判で争えることを保障しています。
現在、我が国においては、パートタイム労働者は千六百万人程度、有期雇用労働者は千六百万人程度であり、これらの方々は、本法案により同一労働同一賃金の保護を受けることになります。
欧州諸国では既に同様の制度が施行されていますが、例えばドイツ、フランス、イギリスでは、パートタイム労働者の賃金水準はフルタイム労働者の七〇%台から八〇%台となっており、いかなる待遇差が不合理とされ、いかなる待遇差が合理的なものとして残るかは、産業構造の違いの影響などにより、国によって異なっています。
このため、本法案により、我が国においてパートタイム労働者と有期雇用労働者について、正規雇用労働者との待遇差がどの程度是正されるかをお答えすることは困難ですが、不合理な待遇差の解消を図ってまいります。
雇用対策法の改正についてお尋ねがありました。
労働力人口が減少していく中で我が国が持続的に成長していくためには、労働生産性の向上を通じた成長と分配の好循環を構築していくことが重要です。今回、雇用対策法の目的に加える労働生産性の向上は、この趣旨を明らかにしたものです。あわせて、一人一人の事情に応じた多様な働き方に対応するため、雇用の安定と職業生活の充実も同じく法の目的に明記をいたします。
これらを、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現などの働き方改革によって推進し、雇用政策の目指す完全雇用の達成と経済社会の発展を図ることとしたものであります。(拍手)
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