相原久美子の発言 (本会議)

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○相原久美子君 立憲民主党・民友会の相原久美子です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 討論に入る前に、国民の負託を受けた立法府の一員として、この間の森友問題、加計問題、自衛隊の日報問題に関わる政府の対応について指摘せざるを得ません。
 森友学園に関わる国有地売却問題では、国民の財産がそんたくと言われる不当な値引きで売却され、あまつさえ、その事実を隠蔽するために財務省の行政文書改ざん、そして、国家戦略特区における獣医学部新設は総理のお友達ありきだったのではないか。これらの問題に対する指摘等に一年以上にわたり関係者が国会で、記憶がない、記録がないなど虚偽答弁を繰り返してきたと思える事実が明らかになりました。
 多くの国民の皆さんが、これら疑念、疑惑に対する政府の対応に不信の念を持っており、説明責任が一向に果たされていないことは世論調査で明々白々です。国民の皆さんへ真相を明らかにすることが、三権分立の立法府の一員として求められています。これ以上の見苦しい言い訳に終止符を打ち、行政、政治への信頼を取り戻す姿勢が求められていることに党派を超えて協力していくべきであることを申し上げます。
 さて、本題に入らせていただきます。
 反対の理由の一番は、政府の説明不足です。
 そもそも、安倍総理がTPP12協定の交渉参加を表明した際の二〇一三年に、衆参両院の農林水産委員会において、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」と決議を行いました。
 確かに、一昨年のTPP12では衆参両院に特別委員会を立ち上げ、協定案と併せ関連法案に関し計百三十時間以上の審議が行われましたが、その際にも、衆議院における附帯決議において、「TPP協定の内容及び効果について広く国民の理解を得て、その不安を払拭するため、引き続き情報提供を積極的に行うとともに、わかりやすく丁寧な説明に努めること。」、国会の意思が示されていました。
 政府は、影響があるのは事実だが、総じて国民にとってプラスとなる、攻めるべきは攻め、そして守るべきは守ることができたと繰り返しますが、何が影響され、何がプラスとなるのか、守られたもの、守られなかったものは何なのか、そこがいつまでたっても釈然としないから不安や懸念が払拭されないのです。
 国会審議や説明会等で丁寧に説明を行ってきたと何度も繰り返し述べられておりますけれども、説明を受けた相手から、丁寧に説明していただいたので理解ができたと言われるのが丁寧な説明と言えるのではないでしょうか。
 懸念事項は山積しています。ISDS条項による国家の主権侵害に対する懸念、食の安全や医療等に影響が出て私たちの暮らしや健康を損なわないのか、そして、今後行われていくアメリカとの貿易交渉はどうなっていくのか、アメリカのTPP不参加が確定的となった場合のために政府は協定に見直し規定を設定していると説明されていましたが、総理の言うところの、参加国の様々な利害関係を綿密に調整して作り上げたガラス細工のような協定を見直す保証が取れているのか、結局、最後まで分からずじまいでした。
 かつてない大幅な市場開放を迫られる農林水産業への影響は、政府の試算が果たして正しいのか、多くの審議時間が割かれましたが、質疑者も含め関係者は皆さん理解できないと言っています。
 そもそも、一番大きな影響が出ると思われる農林水産物の生産額への影響について、国内対策を打った後の試算を出していますが、TPP発効によって影響額がこれくらいになるので、それに対応する国内政策をというのが本来であり、政府の影響評価では、我が国に与える影響額が不明瞭です。これでは、農家の方々の懸念は払拭されるよりむしろ膨らむばかりです。
 様々な政策によってようやく上向きになってきた食料自給率や木材自給率が打撃を受けても、必要ならば輸入すればよいとおっしゃるのでしょうか。
 農林水産分野における人手不足に拍車が掛かれば、山里荒れ、農地が荒れ、水源が荒れる。結果として、総理のお好きな美しい日本の衰退につながるばかりか、この国で暮らす国民に大きな影響を与えます。総理は、TPPをまさに国家百年の計と言われていますが、百年後のこの国をどなたが保証するのでしょうか。
 このTPP11は、一体全体、誰のための何のためのルールなのでしょうか。多国籍企業や投資家のみを利することになってしまうのではないでしょうか。
 TPPは私たちにチャンスをもたらします、意欲あふれる地方の皆さん、若者の皆さんには、是非TPPという世界の舞台でこのチャンスを最大限生かしてほしいと説明されますが、全員が全員、世界の舞台に立ちたいわけでもありません。生活を維持するために、この仕事が好きだからと言われる人もいるでしょう。また、全ての人が勝ち組になることもあり得ない話です。
 努力した結果、チャンスを勝ち取ることを否定するものではありません。しかし、政治は、全ての人々に居場所と出番のある社会と国民の安心生活を保障するのが役割です。
 また、TPP協定においては、第十九章に労働項目を置き、一九九八年にILOで採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言とそのフォローアップについて規定されています。
 政府は、TPP協定に労働規定を置く効果として、これらの規定により各締約国で労働者の権利保護が進めば、公正公平な競争条件の確保につながり、ひいては、我が国企業の相対的な競争力強化につながることが期待され、TPP協定締約国における労働環境水準の向上を図ると説明しています。
 しかし、ILOが締結を求めている八本の条約のうち、日本は、強制労働の廃止に関する条約、百五号条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約、百十一号条約が未批准のままです。その理由として、厚生労働省は、協定ではILO条約の批准を義務付けていない、条約の義務を締結国に具体的に課すものでないと答弁しています。政府が繰り返し宣伝するように、日本がTPP11協定を率先して実施する必要があるのであれば、他国の労働に関する規律となるべく、率先して未批准のILO条約を批准し、国内法の整備を図るべきです。
 参議院は熟議の院と言われてきました。十分な議論をし、不安を抱える皆さんに納得のいく結果を出すことが私たちの仕事です。
 TPP11協定によるメリット、デメリット、そして対応策について、いま一度丁寧に政府から説明をいただき、これなら大丈夫、自分たちの暮らしも良くなる、生産力アップのチャンスとなるといった理解を得た上で、改めて発効手続のための関連法案の成立を図ること、それこそが国益につながると申し上げて、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)

発言情報

speech_id: 119615254X03120180629_013

発言者: 相原久美子

speaker_id: 34291

日付: 2018-06-29

院: 参議院

会議名: 本会議