石橋哲の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○石橋参考人 石橋哲と申します。
二〇一一年十二月の八日に発足しました国会事故調に参画をしまして、事務局で全体工程のプロジェクトマネジメントを担当させていただいておりました。
二〇一二年七月五日の委員会解散後は、福島県、首都圏、近畿の高校生、大学生、社会人の方々と一緒に「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」というサークル活動を御一緒させていただいております。国会事故調報告を出発点として、社会のシステムについて世代を超えて学び合って、教訓を共有するという場をつくることを目指しております。
次のスライド、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
先生方御承知のとおりですけれども、国会事故調では、国民の国家に対する信頼の再建、再構築に向けて、七つの提言を行いました。いずれも大変大がかりなプロジェクトになりますので、民間における巨大プロジェクトの遂行の例に倣い、実施計画の策定と進捗状況の公表を国会に期待するとさせていただいております。事務局の方からお配りいただいております国会事故調報告書のダイジェスト版がございますけれども、それの九ページ目の右側の「提言の実現に向けて」というところの冒頭にこちらの記載がございます。
昨年六月十二日にこの原子力問題調査特別委員会において私が発言の機会を頂戴した際に、この実施計画についての御議論をお願いいたしました。その後、ほぼ丸一年半ぐらい経過をしております。事故から七年超、国会事故調の活動報告は実質半年ほどでございましたけれども、そこから丸六年ほど経過をしております。
この実施計画についての御議論はどのようにこれまで進捗がございましたでしょうか。既に実施計画の公表はされておりますでしょうか。まだであれば、それはいつでしょうか。若しくは、議論もないままに、国会事故調の提言は放置されることというふうに決まったのでしょうか。
特別委員会の先生方、本委員会御担当の衆議院事務局の皆様、私、石橋哲は、国民としてぜひ御教示を賜りたいというふうに強くお願い申し上げたいと思います。
次のスライドをお願いします。
ことし、二〇一八年二月二十六日、国際赤十字・赤新月社連盟による東日本大震災復興支援国赤十字・赤新月社会議二〇一八が東京で開催されました。世界各地で日々さまざまな災害の対応に直面、対応されておられる約二十カ国の各国の赤十字・赤新月社の皆様が参集されました。
日本赤十字社様からお声がけを賜り、私が参加しておりますサークル活動「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」学生チームのメンバーであります福島県立福島高校の生徒六名が、高校生の目から見た福島第一原発の事故についての考察を通して、事故に至る根本原因が、我々の身近な至るところに、私たちの心の中に潜んでいることを発見したという報告をさせていただきました。
各国赤十字・赤新月社の皆様からは、私たちも日々同じ現象に直面している、私たちは同志だという趣旨のたくさんの共感のお言葉を頂戴いたしました。
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さて、その根本原因とは何でしょうか。
国会事故調報告の最も重要な点はどこかということをもし問われた場合には、私は、今ごらんいただいていますところの記載であるというふうに考えます。これも、先ほどごらんいただきましたダイジェスト版に出ておるところでございます。
ちょっと読み上げます。
「問題解決に向けて」「本事故の根源的原因は「人災」であるが、この「人災」を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民の信頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)であった。」「当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。」
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福島事故に伴うさまざまな現象は、その根源的原因である制度的問題、ここでは規制のとりこという言葉になっておりましたけれども、さらに、その背景にある思考停止を時系列で考えてみたいと思います。
二〇一一年三月十一日、東日本大震災が発生いたしました。事故の直接的な原因により、国民の生活に重大な影響を及ぼした福島原発事故が発生しました。
被災地にお住まいであった方々や、さまざまにかかわりのある方々、あるいは地域に及ぼす事態や環境への影響はいずれも、深く、広く、そして大きく、今も続いております。これらは非常に大きな課題です。さまざまなメディアで活発に交わされる言葉群や政治や国会での御議論は、三月十一日以降の現象に集中しています。
同時に、このような事態をもたらした制度的な欠陥、すなわち、「自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組み」、さらには、「世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思い込み、常識)」は二〇一一年三月十一より前に存在しました。ただ、ここについての御議論が見られることは、かつても今もほぼないように私には見えております。国会事故調は、ここにこそ本当の根源的な原因があるというふうに記載しております。
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さきに述べました高校生たちも発見したこの根源的原因は、私たちの中にあります。私たちはその中に生きています。実際に、ことしも、この根源的原因の帰結とも言えるさまざまな不祥事などの事態が表面化してきております。取り除くのは、長く険しい道のりです。しかし、再発防止に向けた責務を負っているのは福島原発事故を起こした私たちの世代です。
国会事故調は、根源的原因の除去には透明性の確保と公開性の担保が不可欠であると考えました。七つの提言は、その制度的な具現化の提案です。
ことし四月、さきの原子力委員会委員長の田中俊一先生と黒川清先生の対談が福島県飯舘村で行われました。その様子は、東洋経済オンラインの「飯舘村から考える日本の政治の欠陥と処方箋」という記事に掲載されています。そこで田中先生は次のように述べておられます。
「議論をオープンにしていると、理不尽な力が入り込むことが非常に難しくなる。そういう意味では、フルオープンでやることの力を、規制庁の職員も含め、みんなが体験的に学びました。 わたし自身もこんなにすごいものだとは思わなかったけれども、強力ですよ。世の中、みんなが見ているところでは、良識がきちっと働きます。そういうふうに日本がなっていくといいなと思っています。」
皆様、先生方はもう既に御承知ですけれども、今ごらんいただいていますのが七つの提言の構造です。
事故の再発防止には、透明性の確保と公開性の担保が不可欠であり、かつ有効です。国会事故調報告の七つの提言は、その制度的な具現化の御提案です。
根源的原因をなくすためには、透明性の確保、公開性の担保を阻むさまざまな制度、法令、議院規則を含むさまざまな規則、先例集などを含む慣例など、抜本的に見直す必要があると考えます。
具現化に向けた不断の改革の努力を尽くす使命は、国民から未来を託された国会議員、議院事務局を含む国権の最高機関たる国会のみならず、私たち国民一人一人が負っていると国会事故調は記載しております。
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委員会の先生方、衆議院事務局の皆様、ぜひ実行計画の御議論をお願いいたします。
衆議院原子力問題調査特別委員会が、国民からの国家に対する、また世界からの日本に対する信頼を再建するプロジェクトマネジメントの場として機能して、科学技術のあり方について社会的な合意形成を行う公共空間として、世界への範となることをぜひお願いしたいと思います。
以上です。(拍手)