鈴木達治郎の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○鈴木参考人 ありがとうございます。
 早速、お手元にあるパワーポイントを参考にしていただきたいと思います。
 私のきょうのお話は、使用済み燃料対策の総合評価が必要であるということについてお話ししたいと思います。
 では、スライドをお願いいたします。
 きょうの私のポイントは五つであります。
 御存じのとおり、日本は、使用済み燃料をごみではなく資源として考えてまいりまして、全ての使用済み燃料を再処理して、回収したプルトニウムとウランをリサイクルするという政策です。これは、高速増殖炉を念頭にしたもので、高速増殖炉が完成して初めて燃料サイクルは確立する、そういう前提で原子力政策を進めてまいりました。
 二番目のポイントですが、現実を見ますと、政策は変わっていませんが、実際に再処理した量はわずかに三分の一であります。残りは全部貯蔵されております。さらに、回収されたプルトニウムは約五十トンですが、実際に使われたのは、そのわずか六%の三トンしか使っておりません。その結果、四十七トンものプルトニウムがたまっています。現在のところ、使用済み燃料の貯蔵がほぼいっぱいになりつつあるということで、この対策が急務であります。再処理の必要性はむしろ薄れていると私は思います。
 三番目のポイントとして、再処理も、そもそも資源効率の向上ということが目的だったんですが、最近は廃棄物の減容及び有毒度の減少ということが言われていますが、これは科学的根拠は薄いということをきょうお話ししたいと思います。
 四番目。プール貯蔵が現在行われておりますが、これは規制委員会田中俊一前委員長もおっしゃっていましたが、できるだけ早く乾式貯蔵に移す、これが経済面でも安全面でも有利であるというのが四番目のポイントです。
 最後に、プルトニウムの在庫量問題。これは、原子力政策の枠を超えまして、安全保障問題として現在世界で考えられており、このためにもこれを減らしていくことが大事ですが、私がきょう国会にお願いしたいことは、こういうことを全部含めて、総合的で客観的な評価をぜひ国会でやっていただきたいというのが私の願いであります。
 では、次、お願いいたします。
 これは、一年三カ月前に私がここで発表したときのスライドなんですが、私が申し上げたいことは、脱原発かそうでないかにかかわらず、重要な課題として五つ挙げさせていただきまして、きょうは、この第一番目、国会事故調では未調査だった事項として、使用済み燃料、廃棄物問題、特に使用済み燃料の現在の処理の扱い方についてきょうお話ししたいと思います。
 では、次、お願いいたします。
 これは核燃料サイクルの絵なんですけれども、これはよくごらんになっていると思いますが、左側にあるのが、いわゆる、現在使われています、軽水炉を再処理してぐるぐる回すというものですね。右側にあるのが高速増殖炉のサイクルであります。
 ここで大事なことは、高速増殖炉があって初めて核燃料サイクルが確立するということでありますが、右手の高速増殖炉の方は、当初の目標が一九七〇年代後半だったのが、つい最近の経産省の報告では、二十一世紀後半まで延びてしまう。よく四十年以上も先延ばしされてしまって、どうなるかわからないという現状であります。
 そうなってきますと、左側になるんですが、左側は、現在、プルサーマルの目標が十三基から十八基という目標になっていますが、これも、現実、実現していません。その結果、使用済み燃料を再処理する、左側にありますが、日本の法律では、全量再処理のもと、使用済み燃料の直接処分が認められておりませんので再処理するしかないんですが、その結果、プルトニウムが余っているということであります。
 次、お願いいたします。
 それをちょっと定量的に見たものですが、過去四十年間ぐらいの日本の原子力、使用済み燃料の発生量が約二万六千トンなんですが、再処理したものは約八千六百トン。このうち、日本で、国内でやったのは千百トンしかございません。ほとんどがヨーロッパということですね、フランスとイギリスです。
 五十トン回収したプルトニウム、使ったのがわずか三トンしかなく、残りは使うめどが立っていない。それから、使用済み燃料、特に、プルサーマルをした後の、使用済みのMOX燃料、これの行き先もはっきりしていない。
 現在、中間貯蔵されていますが、これを直接処分できないということで、例えば、むつは、むつに中間貯蔵施設をつくろうとしていますが、中間貯蔵の後どこへ持っていきますかと聞かれますと、再処理工場しかないと。としますと、再処理工場が動いていないと中間貯蔵もできないという、結局、中間貯蔵が進まない状況になっております。
 こういう状況で、しかも最終処分もまだ進んでいませんから、核燃料サイクルの現実は破綻していると言わざるを得ません。
 次、お願いいたします。
 これは経産省が資料としてよく配っているものでありまして、核燃料サイクルの意義として、資源の有効利用に加えて、高レベル放射性廃棄物の体積、それから放射性廃棄物の有害度ということを挙げまして、数値で、軽水炉では四分の一、高速炉では七分の一まで、それから、有害度の減少に約十万年かかるのが、八千年、三百年になるということを言っています。これの論理の、この仕組みをちょっとお話ししたいと思います。コストも一円と一・五円という数字になっていますが、これについてお話ししたいと思います。
 次、お願いいたします。
 実は、私が原子力委員会におりましたときに小委員会をつくりまして、核燃料サイクルの総合評価をやっております。その結果、原子力の推進派の方も、サイクルの推進派の方も反対派の方も加えて議論をさせていただいて、結論からいいますと、今経産省が言ったポイントの中で、資源効率は確かにリサイクルの方がいいですが、経済性や核拡散、セキュリティーリスク面では直接処分の方がすぐれている、先ほどの有害度と廃棄物の面ですが、安全性と廃棄物両面では差はないという結論を出しております。
 次、お願いいたします。
 これがその定量的な結果ですが、まずコストの面で、二・〇円と一・五円、キロワットアワー当たりのこの差を見ますと大した差がないように見えますが、実際に今後使っていく総費用を計算したものが右手のものであります。
 よく、過去これだけの投資をしたから、施設を使わないともったいないという議論が行われますが、そうではなくて、使えば使うほど費用が損をする、核燃サイクルの場合ですね。その今後の費用を計算したものが右手でありまして、十八兆円というのは、二〇三〇年までにかかる費用が十八兆円という数値であります。今直接処分にシフトしますと十四兆円で済む。これは二〇三〇年までの話ですから、四兆円の差が出る。
 これがそのときの数値ですが、もっと更に再処理のコストは上がっています。実は、廃炉、そして廃止措置費用ですね、これが東海再処理工場でも一兆円に上がると言っていますので、恐らく六ケ所の再処理工場は二兆円では済まないと思います。したがって、この差はどんどん広がっていく可能性があります。
 次、お願いいたします。
 廃棄物の量なんですが、左側が、経産省が言っている、ガラス固化体と使用済み燃料を比べたもので、確かに、一番左端のワンススルーと、右端のFBRそれから真ん中にあるLWR—FRサイクルというのを比べますと四分の一ぐらいになるんですが、実は、使用済みMOX燃料、これは高速炉が成立しないと捨てなきゃいけません、それを加えたものが左から二番目で、これをMOX限定リサイクルとそのとき呼ばせていただいたんですが、そうしますと、四分の一には減らないで、約半分になります。
 右手は何かといいますと、再処理から出てくる高レベル廃棄物以外の廃棄物、日本では低レベル廃棄物と呼んでいますが、再処理施設からも廃棄物が出てまいりますので、それを加えますと、確かに高速炉までいけば半分ぐらいになりますが、低レベル廃棄物を加えますと、むしろ軽水炉サイクルではふえてしまうという結果になっております。
 したがって、我々のそのときそのときの結論は、差異はないという結論になっております。
 次をお願いいたします。
 これは、よく、毒性の低減を示すグラフでありまして、確かに、有毒度、有害度を減らしていきますと、リサイクルした方が早く毒性は減っていきます。
 注意していただきたいのは、一番下にある文章であります。この文章を私は当時つけ加えさせていただきました。注一と書いているのが、普通の人はほとんど読まないものですが、高レベル廃棄物と人間との間の障壁は考慮されておらず、高レベル廃棄物の実際の危険性ではなく、潜在的な有害度を示している。これはどういうことかということを次の絵で説明したいと思います。
 これは、左手に虎が二匹、右に虎が一匹いますが、二匹と一匹の虎はどちらが危険かと言われますと、当然二匹の虎の方が危険度が高い。これが潜在的危険度と呼ばれるものですね。ところが、枠の、おりの中に入っている虎二匹と放し飼いの虎一匹を比較したらどっちが危険か。これは放し飼いの虎一匹の方が危険なわけですね。これを我々はリスクと呼んでいます。
 再処理をしますと、このわなの中に、使用済み燃料の中に閉じ込めているプルトニウムを取り出してリサイクルするわけですから、確かに使用済み燃料の中にある毒性は減りますが、出てきた、野放しになっているプルトニウムのリスクがふえるということまで考えなければいけません。これを経産省の表現では出てきません。
 次をお願いいたします。
 これはちょっと見にくいですが、実は、総合的な被曝線量の評価を核燃料サイクルで比較したものでありまして、確かに、ウランが節約されますので、リサイクルのウランの被曝量は減りますが、再処理の被曝量が圧倒的に高くなりますので、両方を加えますと、先ほど申しましたように、プルトニウムを地上で回すときのリスクというのを考えますと、燃料サイクルでは、むしろワンススルーよりもリサイクルの方が高くなるということになります。
 以上の結果、我々は、サイクルした方がリスクは減るということではないというふうに考えております。
 次をお願いいたします。
 では、使用済み燃料をどうするかということですが、現在のプール貯蔵は、御存じのとおり、福島事故でありましたように、電気が、電源が必要であります。電源がなくても安全に貯蔵できるのが、真ん中の、乾式貯蔵と呼ぶ、これは福島の第一原発の乾式貯蔵でありまして、津波で建屋が壊れております、でも、しっかりと電気がなくても十分に安全が担保されておりまして、これをぜひ進めていくのが大事である。右手にありますのはドイツのものですが、世界ではこの乾式貯蔵が主流であります。したがって、使用済み燃料をまずこの乾式貯蔵で貯蔵していくことが一番安全であり、経済的であると私は考えております。
 次をお願いいたします。
 最後に、プルトニウムの国際安全保障上の問題についてお話ししたいと思います。
 世界でどれぐらい核兵器に使われる核物質があるかというのを、我々長崎大学では毎年ポスターとして発表しております。高濃縮ウランが千三百トンで、広島型原爆に直しますと約二万一千発分、プルトニウムは五百十八トンで、長崎型原爆にしますと八万六千発分で、合計十万発以上の核物質が世界に存在します。
 問題なのは、高濃縮ウランは減ってはいるんですが、プルトニウムは依然増加しております。そのほとんどは、高濃縮ウランはほとんどが軍事用ですが、プルトニウムの場合は、民生用、発電所から出てくるものが増加しているということが、これは再処理によって増加しているというのが問題であります。
 次をお願いいたします。
 このプルトニウムの増加量に対して、安全保障の観点も含めて、ようやく政府は、ことしのエネルギー基本計画並びに原子力委員会の方で、プルトニウムの保有量の削減に取り組むということを発表いたしました。これは大変進歩だと私は思いますが、全量再処理政策を変更しないと、またプルトニウムが発生されますので、これではなかなか減っていかないのではないか。本来、プルトニウムを減らすためには再処理政策を変える必要があると私は思います。
 最後に、これは、再処理等拠出金法の法律が通るときに、国会の附帯決議であります。この中で二つ重要なポイントをきょうお話ししたいと思います。
 三番、もしこのプルトニウムバランスがうまくとられない場合は、経済産業大臣が認可する方針になっていますので、これを認可してはならないということを国会がちゃんと要求しております。
 五番目、ここがきょうお話ししたいことです。再処理事業が及ぼす影響というのは、国際安全保障も含め、あるいは地元の方々、地域の経済にも関係します、全てのそういう社会経済的な側面も含めて、「総合的・大局的な観点から評価する仕組みを構築すること。」ということを国会で附帯決議されております。ぜひこれを実現していただきたいというのが私からのお願いです。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 鈴木達治郎

speaker_id: 33395

日付: 2018-12-07

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会