三橋恒夫の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○三橋参考人 それでは、この席からやらせていただきます。
 全国肢体障害者団体連絡協議会、通称全国肢障協、また障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、通称障全協に所属しております三橋恒夫でございます。本日は発言の機会をいただいて、ありがとうございました。感謝申し上げます。
 私は、三十五年間、地方公務員として働いてきました。私の障害は、子供のころからのポリオによる両下肢機能の障害と、働いている途中の五十歳時に関節リウマチが発病しまして、それのダブルで足と手に障害があります。現在、特殊な電動車椅子を使用しております。
 職場でのいろいろな体験等につきましては、そこに箇条書きに書いてございます。
 まず最初に申し上げたいことは、いわゆる水増し事件についてのことであります。
 我々障害者仲間では、水増しとは言わず、偽装と呼んでおります。
 全国の障害者が怒っています。この十一月十八日に東京で障全協の全国集会があり、全国から二百五十人の障害者と家族が集まりました。そこでも参加者の皆さんがこの偽装事件について怒っておりました。
 検証委員会の報告では、この問題がなぜ発生したのかという原因が明らかになっていません。意図的なものは把握できなかったと言いますが、意図がなくしてこれだけのことが長く継続できるでしょうか。検証の不十分さを感じざるを得ません。いまだに責任の所在が明らかになっておりません。
 障害者採用の別枠制度を導入している自治体も全国に多数あります。国の機関では、過去数十年間、どのように障害者採用のための工夫をしてきたのでしょうか。採用の方法、採用後の支援、そのほかの配慮を考えるよりも、雇用率対象者を組織内部に求め、その方が手軽であった、その手軽さを求めてきた結果が、このような偽装事件が長く温存、継続してきたのではないでしょうか。
 気になることが一つあります。
 今後一年間という短期間に四千人の障害者を雇用する計画ですが、これは簡単なことではありません。障害者一人一人の障害の特性などを配慮し、適職を見出すには時間がかかります。
 現在、国では職場環境の見直しというものは行われているのでしょうか。合理的配慮は検討されていますか。大量採用、しかし大量退職というふうにならないように万全を期していただきたいと願っております。
 障害者雇用を進めるには、幾つかの段階があります。
 採用試験の平等や採用後の配慮、合理的配慮、これはもう当然のことであります。大事なのは、第三番目、障害、性格等に配慮された新たな仕事を見つけることです。そのためには、現行業務を洗い直す、委託業務を見直す、業務の分割等により新しい作業を見出すこと、これが必要だと思います。また、農業部門における開拓も必要ではないでしょうか。
 そして、更に重要なのは、第四番目として、障害に配慮された新しい仕事をつくり出すということが重要です。障害者を職員として活用するために、新しい仕事を創設する。
 例えばの話ですが、事業所職員のための健康管理として、鍼灸師やマッサージ師等を配置する。あるいは、例えばですが、外出先で車椅子が故障したときなどに対応すべく、車椅子等の補装具の出張修理業務など、現在民間企業で行われていない不採算事業の展開などを国の機関でやってはどうでしょうか。
 障害者が働きやすい職場は誰もが働きやすい。新たな仕事の開発で社会を住みやすくする。障害者を取り巻く困難な課題が、それを解決する過程、その結果で、障害者のみならず、社会全体を前進させる事例がたくさんございます。
 当初、重度障害者のためにと設置された駅のエレベーターは、現在では、高齢者、ベビーカーなど、全ての国民の利便性の向上のために欠かせない存在になっています。
 障害者を社会の重荷として捉えるのではなく、その困難を克服する過程にこそ、未来を切り開くヒントがあるのではないでしょうか。
 気になることがもう一つあります。障害者の選考方法についてです。
 障害者募集条件に、自力で通勤できること、介助なしで勤務を遂行できることをつけることは、昔から実際には行われています。ところが、募集に条件をつけてはいけないとの大臣発言があり、私たちは、驚きとともに、勇気をもらいました。
 であるならば、国は、障害者採用後に通勤介助者、職場介助者をつけるのでしょうか。それとも、条件をつけずに募集をし、選考の結果不採用になりましたというようなことになるのでしょうか。まさかそういうことにはならないとは思いますけれども、非常に心配しております。受入れ可能な合理的配慮の準備はあるのか。真の解決を目指しているのでしょうか。障害者、国民の信頼を失わないようにしていただきたいと思います。
 民間事業所で活用できる、通勤介助や職場介助への助成制度があります。しかし、障害者総合支援法では、通勤介助や職場介助、営業活動等への介助は認められていません。
 今般出された障害者雇用の基本方針の中に、テレワークのことが触れられています。テレワークというのは在宅で勤務することですが、テレワーク中は就業しているということになりますので、今の制度では介助は受けられません。また、障害者職業訓練校への通学も、現在では自立通学が前提となっております。このような制度を変える必要があります。
 どのような場面でヘルプを活用するかにかかわらず、障害者個人に対するヘルプ制度、パーソナルなヘルプを創設する必要があります。障害者雇用支援に関する官公庁、民間事業所、障害者福祉、この三制度の関係を整理して、就労支援制度とも連携した、縦割りでない障害者の雇用を進める必要があるのではないでしょうか。
 そこで、一つ提案があります。
 障害者の雇用の促進は、人材を広く事業所の外に求め、障害者の働く場を拡大し、社会全体の中で就労する障害者を一人でも多くふやすことが大きな目的となるべきです。そのためには、障害者新規雇用率を導入し、雇用率と並び重視する必要があるのではないでしょうか。
 もちろん、その場合、労働者が障害を負った場合に、労災であるか否かを問わず、まずはその事業所での継続雇用に努力すべきは当然の前提であります。
 国は、障害者を組織内部に求めず、新しく採用するという姿勢に転換していただきたいと思います。
 もう一つ、社会全体が障害者雇用に積極的になるために提案します。
 第一、民間のお手本になるように、官公庁で積極的な障害者採用が行われること。これは当然なことであります。第二、官公庁が、物品調達、土木請負など、大小を問わず、契約、入札に際し、障害者雇用率を満たしていない企業とは契約しないこと。難しい面も多々あるかもしれませんが、効果は大きいのではないでしょうか。第三、毎月末の障害者雇用率を公表し、官公庁事業所入り口等に掲示する。組織単位の雇用率をホームページ等に掲載すること。これは、すぐにもできることですし、国民の関心も高いと思います。
 そして、最後の提案ですが、障害者雇用促進法を障害者の働く権利を保障する障害者雇用法とし、憲法に定める勤労の権利を実現し、障害者権利条約の実現を目指していただきたいと考えます。
 雇用率計算上のダブルカウントなどはやめてください。ハラスメント等に悩む障害者職員の相談を受け、的確な対応がとれる部門を設けることも重要です。
 数年前、私のところに、国家公務員で肢体障害者の方が相談に来ました。職場でパワハラを受けている、しかし相談する場所がない、どこに相談しても、上司と相談しなさいと言われたと。上司からパワハラを受けているのに、上司と相談はできません。その方は一生懸命個人的に努力して、県のいろいろな相談機関等にも相談しましたが、やはり、らちが明かず、私どもの団体に相談に来ました。
 それで、そこで私が体験したことは、公務員である障害者がこういう問題で悩んだときに、それを相談する部門がないんですね。私は、厚生労働省にも行きました。その職員が、言っちゃいかぬのかな、その職員がお勤めするその本省にも行きました。しかし、ないんです、そういう相談部門が。
 ですから、今後のためには、ぜひ、ハラスメント等に悩む障害者の相談を受ける、的確な対応がとれる部門を設けていただくことが重要だと思います。
 以上でございます。失礼します。(拍手)

発言情報

speech_id: 119704260X00320181121_010

発言者: 三橋恒夫

speaker_id: 34959

日付: 2018-11-21

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会