安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山尾議員にお答えいたします。
 技能実習制度の問題及びその解決策についてお尋ねがありました。
 技能実習制度は、技能等の移転による国際貢献を目的とする制度でありますが、一部の監理団体や受入れ企業において賃金不払いや長時間労働等といった労働関係法令違反等の問題が生じていると承知しています。
 そこで、昨年十一月に施行した技能実習法により設立した外国人技能実習機構のもと、受入れ企業等に対する実地検査や技能実習生に対する母国語相談対応等の取組を進めておりますが、今般新設する出入国在留管理庁のもとで、在留管理を抜本的に強化していくこととしております。
 これら取組を通じて、引き続き、技能実習制度の適正化及び技能実習生の保護を図ってまいります。
 失踪技能実習生からの聴取結果の取扱いについてお尋ねがありました。
 お尋ねの聴取票につきましては、失踪した技能実習生、すなわち入管法違反の容疑で刑事訴追を受けるおそれがある者から任意に聴取した内容を記したものです。今後の調査等への甚大な影響や個人のプライバシー保護の観点から、聴取票そのものの開示は困難であることを御理解いただきたいと思います。
 また、聴取票を取りまとめた結果の公表に関しては、調査項目及び調査結果の内容も踏まえ、公表を控えるべき項目の有無を含めて慎重に検討を行っているところです。
 技能実習生の失踪者等の問題については、昨年十一月に施行された技能実習法のもと、二国間取決めによる送り出し機関の適正化等による対策を進めておりますが、今般新設する出入国在留管理庁のもとで、在留管理が抜本的に強化される中で、しっかりと対応してまいります。
 移民の定義についてお尋ねがありました。
 移民という言葉はさまざまな文脈で用いられており、明確に定義することは困難ですが、安倍政権としては、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとするといった政策、いわゆる移民政策をとる考えはありません。
 こうした政策をとることは、我が国の将来の形や国民生活全体に関する問題として、国民の中にさまざまな御意見がある中で、これを行うべきではないと考えているからです。
 特定技能の永住許可についてお尋ねがありました。
 今回の受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れようとするものですが、特定技能の在留資格を得さえすれば我が国での永住が認められるというものではありません。
 我が国での永住が認められるためには、素行善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、引き続き十年以上我が国に在留していること、就労資格をもって引き続き五年以上在留していることなどの厳しい条件が課されています。
 御指摘の永住許可に関するガイドラインと新設する特定技能との関係については、永住許可の運用の問題であり、法務大臣において判断されるものでありますが、少なくとも、今回の新たな在留資格について永住許可要件を緩和するものではないものと承知しております。
 新たに受け入れる外国人材と、いわゆる単純労働との関係についてお尋ねがありました。
 外国人労働者の受入れに関し、これまで政府が示してきた基本方針は、専門的、技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れ、いわゆる単純労働者の受入れについては、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠というものですが、引き続き、政府としては、例えば、法務省が例に挙げるような特段の技術、技能、知識又は経験を必要としない労働に従事する活動を行う外国人を受け入れる政策については、これをとることは考えておりません。
 今回の新たな受入れは、あくまで、専門的、技術的分野を拡充し、一定の専門性、技能を有する外国人材を受け入れようとするものであり、従来の基本方針を変更するものではありません。
 新たな外国人材の受入れ要望の把握プロセスについてお尋ねがありました。
 本年六月の骨太の方針二〇一八において制度の基本的方向性が盛り込まれた後、法務省から関係省庁に対して広く意向確認をした結果、深刻な人手不足であるとして、業所管省庁から法務省に対して外国人材の受入れ対象業種としての希望が示されたものが現在十四業種と承知しています。
 具体的な受入れ対象分野については今後法務省と関係省庁において検討していくものと承知していますが、いずれにせよ、一連のプロセスにおける透明性と公平性にも十分配慮しながら、生産性向上や外国人材確保のための取組及び人手不足の状況等を総合的に勘案した上で、できる限り客観的な指標を用いて判断することが重要であると考えています。
 外国人材の分野別受入れ見込み数の提示時期、受入れの上限規制等についてお尋ねがありました。
 具体的な受入れ見込み数については、各業所管省庁において現在精査中ですが、今回の法案審議に資するよう、近日中に業種別の初年度と五年後の現段階での受入れ見込みの数をお示しする予定です。
 お示しする数字は、制度の趣旨に沿って、業界ごとに異なる雇用情勢、政策的な要素等、業界の特性、事情を踏まえ、さらに、当該分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を確保する実現可能性も勘案しながら受入れ見込み数を推計したものとなります。したがって、大きな事情変更がない限り、この数字を超えた受入れは行われないことから、その意味で、受入れ数の上限として運用することとなります。
 政府としては、法律に基づいて政府が策定することとされている分野別運用方針において、更に精査の上、五年ごとに向こう五年間の受入れ見込み数をお示ししていく予定です。
 分野別運用方針に明記する数字は、受け入れる業種における大きな経済情勢の変化、つまり各業種の雇用情勢全般にかかわる事項についての大きな変化が生じない限り、五年間は受入れ数の上限としてこれを維持することになります。
 新たに受け入れる外国人材の報酬確保についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度においては、受け入れる外国人材が同一業務に従事する日本人と同等以上の報酬であることを雇用契約の基準とします。
 また、今回の新しい制度は、深刻な人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要になる分野において、一定の専門性、技能を有する外国人材を就労の目的で受け入れるものであり、単に労働需要を満たすために外国人材を受け入れることができるという制度ではありません。したがって、外国労働者の受入れ拡大は労働者の賃金低下につながるという御指摘は全く当たりません。
 新たな外国人材の家族帯同等についてお尋ねがありました。
 新たに受入れの対象とする外国人に対しては、我が国で安定的に在留活動を行うことができるようにするため、その生活環境を確保するための各種支援を行う方針であるところ、このような外国人の家族をあわせて受け入れることとした場合、その家族に対する支援も検討する必要があり、その点については幅広い観点から国民的なコンセンサスを得る必要があるものと認識しています。
 そのため、まずは現下の深刻化する人手不足に対応することが喫緊の課題であることを踏まえ、特定技能一号については、家族の帯同を基本的に認めないこととしています。
 他方、健康保険と厚生年金の在外被扶養者の問題については、今般の出入国管理及び難民認定法の改正にかかわりなく、これまでも加入要件の確認の厳格化といった運用の改善を行ってきており、引き続き必要な対応を検討してまいります。
 また、今回の制度においては、受入れ分野で必要とされている人材が確保された場合には、外国人の新規入国を一時的に停止することができる措置も設けていますが、この場合であっても、既に在留する外国人材の在留を直ちに打ち切り、直ちに帰国させるということは考えていません。
 特定技能の在留資格は、外国人と受入れ機関との間で雇用契約が締結されていることが前提となっていることから、既に特定技能で在留中の外国人については、雇用契約が締結、継続していることなど、個別の在留状況をしっかりと把握した上で在留の許否を判断することとなります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-11-13

院: 衆議院

会議名: 本会議