階猛の発言 (本会議)

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○階猛君 国民民主党の階猛です。
 ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対し、国民民主党を代表して質問いたします。(拍手)
 なお、政府側の答弁が不十分な場合、再質問をさせていただきます。
 さて、本法案は、ことし六月に閣議決定された、いわゆる骨太方針二〇一八の新たな外国人材の受入れの項目に記載された内容をほとんど変えず、法律の形式に整えただけの手抜き法案です。
 しかも、新たに設けられる在留資格である特定技能は、どんな業種で何人程度の外国人に付与されるのか、どの程度の専門性、技能があれば認められるのか、肝心な点が条文上明らかではありません。
 これでは特定技能というより不特定技能です。本法案は、骨と皮だけがあって筋も通っていない、骨皮だけの筋なし法案と言わざるを得ません。
 本法案が肝心な部分を法務省令に白紙委任し、法案成立後に法務省が実質的な立法権を行使しようとすることは、国会を唯一の立法機関とする憲法四十一条に照らしてみても問題であります。
 文書の改ざんや隠蔽で国会を欺き、審議を空転させた安倍政権の国会軽視の姿勢がここにもあらわれています。国会の権限を踏みにじる本法案については、政府として原案の早期成立にこだわるべきではありません。総理の見解を伺います。
 骨皮だけの筋なし法案につき、肉づけをし、血を通わせるためには、外国人を受け入れた後の生活支援が重要となります。外国人を単なる労働力として扱うのではなく、同じ人間として扱い、日本人と共生して地域社会になじんでいける体制を整える必要があります。そうでなければ、日本人と外国人との間に心理的、物理的な障壁ができ、国民の不安と不満が高まりかねません。また、そんな状況を放置すれば、将来的には、日本の経済界が幾ら望んでも、外国人の側が日本で働くことを選択しなくなる時代が来るかもしれません。
 その意味で、政府が年内にまとめるとされる外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の内容を充実させ、これを生かして政府は本法案を立案すべきでありました。そうしなかった理由について、総理の説明を求めます。
 骨太方針では、外国人労働者の受入れの前提条件として、「生産性向上や国内人材の確保のための取組(女性・高齢者の就業促進、人手不足を踏まえた処遇の改善等)」を行うことが明記されています。しかし、本法案では、そのような文言が見当たりません。
 こうした前提条件なしに外国人労働者を受け入れるならば、日本人の雇用の機会が奪われたり、処遇に悪影響が及んだりする危険があります。骨太方針の最も重要な骨が、本法案では欠落しています。
 業種ごと、受入れ機関ごとに外国人労働者の受入れの可否や人数を定めるに当たり、生産性向上や国内人材確保の取組を行ってきたかどうかを考慮するのか、総理の見解を求めます。
 また、仮に考慮するとした場合、総理や与党議員のお友達が優遇されるといった、行政手続の公正さが損なわれる事態を防がなくてはなりません。権力者と業界団体や個別企業等との癒着を防ぐため、業種ごと、受入れ機関ごとに外国人労働者の受入れの可否や人数を判断する客観的、具体的基準を法案の条文に明記すべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。
 外国人労働者の受入れ規模を単年度のフローの数字で示すことは当然ですが、それだけでは足りません。生産年齢人口の推移、労働参加率の動向、AIやICTによる省力化、行政サービスの供給能力も勘案し、中長期的なストック、すなわち、特定技能を含む就労可能な在留資格を有する外国人の総数の上限を政府として示すべきです。
 政府は、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を受け入れることを移民政策の要件として掲げた上で、移民政策をとらないと明言しています。それならば、将来的な外国人労働者の受入れ総数の上限を示した上で、総人口に占める比率が低水準にとどまることを説明するべきです。上限を示さないのであれば、移民政策をとらないとは言えないのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 本法案施行後は、技能実習生の多くが特定技能一号資格を取得し、日本で働き続けることが想定されます。
 本来、技能実習制度は、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う人づくりに協力することを目的にしています。本法案により、技能実習制度を日本の人手不足解消のために利用可能とすることは、制度の目的、趣旨からかけ離れています。技能実習生が本国に戻って活躍する必要がなくなるのであれば、技能実習制度の意味がありません。
 新たな外国人労働者の受入れ制度を始めるのであれば、技能実習制度を廃止すべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 そもそも技能実習制度では、最低賃金法や労働基準法などの労働法令違反や、セクハラ、パワハラなどの人権侵害により、技能実習生が劣悪な労働環境を強いられている事例が多々あります。
 きょうも、技能実習生の皆さんが傍聴に来られています。新たな外国人労働者の受入れ制度を始める前に、総理みずから技能実習生の声を聞くなどして、現状をしっかり把握すべきではないでしょうか。そして、新制度で同様の問題が生じないような制度設計をするべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。
 本法案で受け入れる外国人労働者には在留資格の範囲で転職の自由が認められる方針だと伺っています。転職によって都市部の待遇のいい企業に外国人労働者が集中し、地方の中小企業の人手不足は解消しないようにも思えます。
 外国人労働者の転職の自由と地方の中小企業の人手不足の解消をどのように両立させるのか、総理の答弁を求めます。
 本法案の立法理由としては、人手不足の深刻化が挙げられています。他方、政府は、次回一〇%への消費増税時には、飲食料品や新聞などにつき税率を八%に据え置く複数税率を導入しようとしています。
 関係する業界の中小零細事業者については、区分経理や顧客対応などで事務負担がふえ、必要な人手がふえます。これは、人手不足の解消を図る方向性と矛盾しているのではないでしょうか。財務大臣の答弁を求めます。
 同じく、本法案の立法理由として人手不足の深刻化を挙げつつ、政府は、外国人労働者の受入れ規模が決まる前から、法務省に外局を設け、定員を大きくふやそうとしています。
 これは、貴重な国内労働力を公務部門で吸収することにつながります。人手不足の解消を図る方向性と矛盾しているのではないでしょうか。法務大臣の答弁を求めます。
 以上述べましたとおり、新たな外国人労働者の受入れ制度を開始する前に検討すべき論点は数多くあります。本法案の審議は、法務委員会単独ではなく、関連委員会との合同審査を交え、丁寧に、時間をかけて行うべきです。
 政府提出の骨皮だけの筋なし法案を短期間で手つかずのまま国会で成立させるようなことがあれば、国会議員が国民から責任放棄のそしりを受けることは免れないでしょう。
 与野党の議員が知恵を出し合い、よりよい答え、新しい答えをつくり出していくべきです。政府としても、来年四月の施行にこだわる特段の理由はないはずです。最後にこの点について総理の見解を求め、私からの質問を終わります。
 以上です。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

speech_id: 119705254X00520181113_014

発言者: 階猛

speaker_id: 32961

日付: 2018-11-13

院: 衆議院

会議名: 本会議