山尾志桜里の発言 (本会議)
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○山尾志桜里君 立憲民主党の山尾志桜里です。
外国人労働者受入れ拡大を内容とする入管法改正案に対し、立憲民主党・市民クラブを代表して、反対の討論をいたします。(拍手)
国家の覚悟が問われる法案が、国会に提出されてみたら何も決まっていなかった。中身が決まっていない法案が通ったとき一体何が起きるのか、お話ししたいと思います。
決まっていない一点目。受入れ見込み数です。
外国人労働者の受入れ拡大法案ですから、何人拡大するかは議論の大前提です。閣議決定のとき、数字は示されていませんでした。閣議決定の後に、五年間で三十四万五千人という急ごしらえの数字が提示されました。その上、審議を始めたら、この数字は、法案が成立した後に分野別に計算し直す予定ということが明らかになりました。
法務大臣の答弁をかりれば、みずからが国会に提出した数字は素材にすぎないそうです。法案審議に素材を提出しないでいただきたい。立法府には正式な数字を出していただきたい。三十四万五千人を前提に議論しても、その後、四十万になるかもしれない、五十万になるかもしれない、百万になるかもしれない。素材の数字では責任ある質疑と採決はできません。
二点目。上限規制です。
今指摘したように、受入れ見込み数は決まっておりません。さらに、この見込み数は上限ではありません。法案を通した後に決める正式な数字を上限として運用したいとのことです。その運用スキームは、その一、受入れ数が見込み数に近づいた場合、法務大臣が関係省庁に注意喚起をする。その二、関係省庁の大臣が受入れ停止を求めたら、受入れを停止する。説明は以上です。
そもそも、人材不足に悩んでいる業界の所管省庁は受入れ停止を求めないんじゃないですか。そして、所管省庁が求めなければ停止しないなら、上限として機能しないんじゃないですか。
つまり、総理も法務大臣も受入れ数を上限として運用すると答弁しているのはごまかしで、正確には、上限として運用されたらいいなという願望ではありませんか。法案審議で願望をあたかも制度のように語らないでいただきたいと思います。
三点目。永住資格です。
新しい制度で受け入れる外国人の方々が永住者となっていくのか否か、今なお安倍内閣は判断を先送りにしています。総理いわく、法務大臣が決めるべき運用の問題だそうです。
労働者として受入れ業種と人数を大幅に拡大する制度の提案ですよ。そうした人々を潜在的永住者と位置づけるか否かは、国家の主権にかかわる重要な問題であり、国家のリーダーがなすべき厳しい政治判断そのものではありませんか。安倍総理自身が、批判も甘受する覚悟で政治判断をし、閣議決定をし、覚悟を持って立法府に問うべきです。法務大臣が後で決めますと言いわけをして厳しい政治判断から身を隠すのは、総理大臣として無責任です。
四点目。拡大する労働の範囲です。
単純労働には拡大しないといいながら、単純労働なるものの具体例は一つも出てきません。言いかえれば、これだけは外国人労働者に拡大しませんという労働は、この質疑の間を通じて一つも存在しておりません。土を右から左に動かすだけの仕事、あるいはティッシュ配り、最初の法務省の例示も法務大臣が撤回をいたしました。つまり、この法案の正体は、省令さえつくれば、およそあらゆる労働について外国人受入れを可能にする法律になってしまっているのではありませんか。
結局、今回の外国人労働者受入れ拡大法案は、およそあらゆる労働について、人数の上限なしに、潜在的永住者として外国人の受入れ拡大を可能とする法律として成立します。成立後、どんな枠づけをするかは時の法務大臣の采配一つです。賛成する与党の皆さんは随分法務大臣を信頼されているようですが、私たちは違います。立法府の一員として、外国人受入れ制度、すなわち日本政府以外の国際社会がおよそ移民政策と呼ぶものの根幹を法務大臣に丸投げすることはできません。
あわせて、政府が提案している新制度は、技能実習制度なしには成り立たない制度です。政府・与党は失踪者問題と本法案を切り離そうと必死ですが、法務大臣みずから、来年四月の施行を急ぐ理由に、おくれると何万人という技能実習生が帰国してしまう旨、きょうも答弁をしています。与党の議員も、宿泊業を技能実習に追加して特定技能の供給源とする駆け込み提案をしています。技能実習制度なくして新制度なしという制度設計をしたのは政府・与党ではありませんか。
この土台となる技能実習制度に、外国人の人権問題、労働問題という深刻な問題があり、虚偽データの発覚によってようやくその問題に光が当たり始めました。政府がなすべきは、データのコピーを認めて、与野党、政府が一体となって問題点の解決に当たる環境整備です。手書きを認めてコピーを拒絶し、事実上の拡散を最小限に抑えて、問題を再び闇に閉じ込めることはやめていただきたいと思います。
私たち立憲民主党は提案します。
まず、技能実習制度は、既に就労している技能実習生や適正な受入れ機関に不利益がないよう配慮しつつ段階的に廃止して、就労を正面から受けとめ受け入れる新しい制度に移管、統合していく道筋をつくるべきです。
また、丁寧に受入れ数をコントロールして初めて、来る側、受け入れる側双方の準備が整い、多文化共生社会に向かって一歩一歩前進することができます。だからこそ、受入れ総数には上限枠、総量規制を制度としてしっかり設けるべきです。
さらに、虚偽データの訂正すらおぼつかない法務省入国管理局に三百十九人も人員をふやして予算をつけて庁に格上げしても、在留含めた適切な管理ができるようになるとは思えません。そもそも、出入国の手綱を握る役所に在留中の暮らしの相談を安心してできるわけがありません。人員をつけて予算をつけて新しい役所をつくるなら、入国在留管理庁ではなくて、省庁横断機能を持つ多文化共生庁をつくるべきだと考えます。
また、今回、外国人の方々の働き方を通じて浮かび上がった問題点、残業代の未払いや最低賃金割れ、長時間労働やハラスメント、これらは実は、外国人であるか日本人であるかを問わず、現代の労働市場が抱える深刻な問題です。その上で、外国人の方々は、うまく言語が通じない、抱えた借金を返すまで正当な権利を主張できない、救済機関へのアクセスが難しいなど……(発言する者あり)