初鹿明博の発言 (本会議)

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○初鹿明博君 立憲民主党・市民クラブを代表して、ただいま議題となりました水道法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論いたします。(拍手)
 ついに水までもか、我々の命の源である水まで商売の種にしないでくれ、これが多くの国民の思いではないでしょうか。
 この法案は、さきの通常国会において、大阪北部地震の対応を理由に十分な審議なく衆議院を通過し、参議院に送られ、継続審議となっていたものです。
 この後、法案の中に、水道事業の運営権を民間企業に譲り渡すコンセッション方式の導入が規定されている事実が広がるにつれ、マスコミも大きく取り上げるようになり、国民の不安の声も強くなってきています。
 地方議会においても、野党系の発案に自民党会派が賛成して成立した新潟県議会を始め、多くの地方議会で今回の改正案に反対する意見書を採択しています。
 このような反対意見の高まりや参議院審議で明らかになった問題点などを考えると、衆議院においても、十分な審議時間をとり、改めて議論を行うべきであります。
 しかしながら、与党は数の力で、午前中に参議院を通過したその日に、野党からの審議要求を無視して委員会採決を強行しました。審議を行えば行うほど、問題点が明らかになり、反対の世論が大きくなることを懸念したのでしょうか。与党の側が審議拒否をして採決を強行したことに強く抗議いたします。
 さて、安倍政権発足後、政府の政策決定のプロセスが大きく変わりました。首相官邸のもとに置かれた経済財政諮問会議、産業力競争会議、規制改革会議、未来投資会議などの安倍総理のお友達中心に集められた民間委員による会議体で発案されたものが、関係省庁において積み上げられてきた議論を飛び越えて法案化され、国会に提出されるようになったのです。
 そして、その多くが、外資系企業を含む多国籍企業の参入を可能とする規制緩和を行うものであり、我が国の文化や慣習、産業、そして国民生活の安定を脅かすようなものばかりであります。
 今国会で成立した漁業法の改正、外資規制のないPFI法、卸売市場に民間参入をできるようにする卸売市場法の改正、民間企業が種子産業に参入しやすくするための主要農産物種子法の廃止、そして高度プロフェッショナル制度の導入を決めた働き方改革関連法、そして、きわめつけはカジノを解禁するIR実施法など、当事者や関係者の声を無視する一方で、主に海外の巨大企業の利益を優先し、国民生活をないがしろにする法案を安倍政権は続けざまに成立させてきております。
 そして、今回、私たちの命の源である水を供給する水道事業を民間企業、それも外資系企業に売り渡すことにつながるコンセッション方式の導入を行おうとしているのです。
 先ほど例示した法案の多くは、与党、自民党内でも反対の意見が強くあったと聞いています。しかし、残念ながら、与党の議員の皆さんは、官邸の意向に逆らうことができずに成立を容認しております。中には、良心の痛みに苦しんでいる議員の方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
 憲法第四十一条には、国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関であると規定されています。しかし、現状は、官邸のもとにつくられた、選挙で選ばれていない民間委員の案がそのまま法案となり、与党議員も疑問に思いながらも追認し、国会の審議も十分に時間の確保がされず、野党からの問題点の指摘にも正面から答えることもせずに、成立に至っています。
 このような、国民から選ばれた国民の代表たる国会議員の意見が軽視され、選挙で選ばれてもいない民間委員の意見が優先される事態は、民主主義を冒涜するものであり、議会制民主主義の否定につながります。
 私たち立憲民主党は、立憲主義に基づき、健全な民主主義を守る上で、安倍政権が発足してからの政府の政策決定プロセスのあり方に強く抗議するとともに、抜本的な見直しを図るよう求めるものであります。
 さて、我々立憲民主党・市民クラブは、今回議題となっております水道法の一部を改正する法律案に全て反対しているわけではありません。
 今回の法改正が、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤強化を図るためのものであり、これらの点においては必要性があると我々も理解しています。
 しかしながら、水道事業の運営権を民間企業に譲り渡すコンセッション方式の導入については、以下の三点で、断じて認めるわけにはいかないのです。
 反対の第一の理由は、日本を取り戻すと宣言されてスタートした安倍政権において、まさに言行不一致と言える、日本を売り渡す、先ほど示した一連の売国法案の総仕上げとも言える法案であるからです。
 我が国において、水道事業はこれまで公営で行われてきました。それがゆえに、国内企業で水道事業の運営をするノウハウを持っている企業はほぼ存在しておりません。海外で実績のある、水メジャーと呼ばれる特定の企業がコンセッションに参入していることは間違いないのです。
 国会審議の中で明らかになりましたが、フランス水メジャー、ヴェオリア社の日本法人から内閣府に社員が出向しておりました。官房長官の補佐官がフランス出張の際には、ヴェオリア社の副社長と食事をともにし、水メジャー、スエズ社から、移動のための車を提供してもらうなど、利益相反が疑われる事態も明らかになっております。
 水メジャーがこのような便宜供与を行う理由は、法改正が行われれば一定の利益を得ることができると考えているからこそであり、今、国と契約関係にないから利益相反には当たらないとはとても言えないのではないでしょうか。
 このように、水道事業を特定の外資系企業に譲り渡すことにつながる、つまりは日本を売り渡すことになるような法律を認めるわけにはまいりません。
 二つ目の理由は、海外では民間委託が失敗に終わり、再公営化の流れが加速している中で、周回おくれでコンセッション方式を導入する理由が理解できないからです。
 英国とEUの会計検査院が既にコンセッションは非効率であると指摘しているように、コンセッション方式を導入することで水道事業の効率化は図れません。コストカットのつもりがコスト増になる可能性は否定できないのです。
 世界の民営化水道の実態を調査している公共サービスリサーチ連合によると、世界三十七カ国、二百三十五水道事業が再公営化されております。
 今回の法改正で海外の再公営化の流れに反してコンセッション方式を導入する理由があるとすれば、再公営化によって海外での契約を失った水メジャー企業のために、我が国の水道事業を開放し、穴埋めしてあげようということ以外には考えられません。
 また、一旦民間に運営権を譲ってしまうと、問題があっても公営に戻すことが非常に困難になります。なぜなら、民営化することで自治体に水道事業を担うことのできる人材が枯渇したり、債務不履行で民間事業者から訴訟を提起される可能性があるからです。
 海外の再公営化した事例から学ぶべきところでありますが、残念ながら、再公営化した事例について調査したのはたった三例で、再公営化しようとしたけれどもできなかった事例や訴訟を提起された事例については件数も把握していないというずさんさも明らかになりました。
 つまりは、一旦民営化してしまうと、失敗だとわかっても戻ることができない片道切符になる可能性もあり、水道料金の高騰という形で返ってくる可能性が高いのです。このことも、反対の大きな理由です。
 そして、三番目の理由は、今求められているのは安心、安全な水道事業の継続であって、民営化や運営権の売却ではないからです。
 近年、全国各地で災害が頻発しております。災害時に、水道事業者相互間で協定を結び、給水車を派遣するなど、協力体制をとっています。このような、自社の利益に直接ならないことを民間企業が行うか疑問です。また、災害により被害を受けた施設をもとどおりに修復するのかも疑問が残ります。
 今やるべきことは、蛇口をひねれば水が出て、その水をそのまま飲める、安全かつ安価な水を今後も守っていくことです。そのためには、老朽化施設の更新に加えて、人材の育成や技術の伝承を確実に行えるよう、水道事業を地方自治体のみならず国も責任を持って支援していく必要があるのです。少なくとも、外資系企業に水道事業の運営権を譲り渡すことではありません。
 国民の命の源である水を守るために、コンセッション方式の導入には断固反対を表明して、反対討論といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 初鹿明博

speaker_id: 16301

日付: 2018-12-06

院: 衆議院

会議名: 本会議