安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉川沙織議員にお答えいたします。
日米の民主主義と政略主義についてお尋ねがありました。
他国についての言及は控えますが、我が国の民主主義を絶えず発展させていく、これは私たち政治家全員の責任であります。政治家が激しい言葉で互いの批判に終始したり行政を担う公務員を萎縮させても、それが民主主義の発展に資するとは考えません。それぞれが国民の皆様の前にしっかりと政策の選択肢を示すこと、そして建設的な議論を通じて政治を前に進めていくことこそが民主主義の王道であると考えます。
長い民主主義の歴史を持つ英国のチャーチル首相がかつて最悪の制度と評したように、民主主義に完璧などありません。それでもなお、私たち政治家は責任を果たさなければならない。現状への不満を言い募るよりも、より良い民主主義を求めて共にたゆまぬ努力を重ねていくべきであります。
お尋ねの政略主義という考え方については、立憲民主党の皆さんほど詳しく研究したことはありませんが、全ては国民のため、いかなるテーマについても逃げることなく議論を行わさせていただきたい。与党、野党の立場を超えて、国民の負託に応える建設的な議論をさせていただきたいと考えています。
審議時間と採決の在り方についてお尋ねがありました。
国会の運営については、国会において適切に決められるものと考えております。
政府としては、国会からの求めがあれば誠実に審議に対応すべきものであると考えており、今後とも丁寧な対応に努めてまいります。
国家戦略特区の成果とアベノミクスの現状の総括についてお尋ねがありました。
国家戦略特区は、岩盤規制改革の突破口として、企業による農地取得などの農業改革や、都市公園内での保育園設置の特例による待機児童対策、都市計画手続や航空法の高さ制限の特例による都市再生など、これまで長年にわたって実現できなかった規制改革を実現することで、地方創生や経済成長に大きく寄与しています。
こうした取組の中で、例えば、首都圏の特区を活用した都市再生プロジェクトについては、東京都は八兆五千億円の経済効果があると試算しています。また、福岡の都市再生開発プロジェクトは、市の試算によれば八千五百億円の経済効果が見込まれるなど、その地域の経済成長につながっています。
さらに、農業、医療、エネルギー分野などにおける規制改革、法人税を引き下げ二〇%台を実現、TPP、日EU・EPAといった経済連携の推進など、この五年余り、大胆な成長戦略を実行してまいりました。
こうしたアベノミクス三本の矢によって、名目GDPは一二・二%増加し、過去最高となりました。生産年齢人口が四百五十万人減る中、雇用は二百五十万人増加し、正社員の有効求人倍率は、調査開始以来、初めて一倍を超えています。さらに、五年連続で今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現し、この春の中小企業の賃上げ率は、過去二十年間で最高になっています。こうした中で、先般の内閣府の調査でも、現在の生活に満足と回答した方々の割合は、七五%と過去最高となりました。
今後、更にアベノミクス三本の矢を力強く放つことで、更なる景気回復、所得の向上とデフレ脱却の実現を目指してまいります。
国の行政機関における障害者雇用についてお尋ねがありました。
国の行政機関において雇用している障害者数の計上については、一部の機関に誤りが見られたことから、厚生労働省において点検を開始し、八月二十八日に全ての機関における状況を公表したところです。
その上で、その実態の検証を行うことを目的として関係府省連絡会議の下に検証委員会を設置し、同委員会の報告も踏まえた上で、去る十月二十三日に公務部門における障害者雇用に関する基本方針を決定しました。
その際、私から、各大臣は、今回の事態を深く反省し、真摯に重く受け止め、組織全体として基本方針に基づき再発防止にしっかりと取り組むよう強く指示しました。
基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と障害のある方が活躍できる場の拡大に向け、政府一体となって取り組んでまいります。
外国人材の受入れ拡充と就職氷河期世代の就労支援についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、いわゆる移民政策を取ることは考えておりません。新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を、期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。
制度の運用に当たっては、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種に限るとともに、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の検討を進め、在留のための環境整備について、関連施策を積極的に推進することとしております。
いわゆる就職氷河期世代であって、現在も就労に関し様々な課題に直面している方々には、今後の我が国の社会経済を支える人材として活躍していただけるよう、マンツーマンによる相談支援などの就労支援に全力で取り組んでまいります。
就職氷河期世代の方々の社会保険給付への影響と就労支援についてお尋ねがありました。
平成三十年五月二十一日の経済財政諮問会議において、政府は、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年頃を見据え、社会保障給付や負担の姿を幅広く共有するため、議論の素材として、二〇四〇年までの社会保障全体の給付と負担に関する見通しをお示ししました。
これは、全世代を対象に人口、経済について一定の前提を置いた長期的な推計であり、御指摘のような特定世代の例えば退職といった一時の局面に限った試算は含まれておりません。
一方、就職氷河期世代の方々については、高齢者世代になる前に安定した職を得て、自立を図る支援を行うことが重要と考えています。
政府としては、就職氷河期世代の方々がより安定した仕事に就くことができるよう、雇用失業情勢の改善が着実に進んでいるこの時期を捉え、マンツーマンによる相談支援、個々のニーズに即した職場体験、就職後の定着、ステップアップ支援などの就労支援を行っていきます。
二〇四〇年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
消費税率引上げに関する対策についてお尋ねがありました。
五年半にわたるアベノミクスの取組により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%増加し、過去最高となりました。
消費についても、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。
来年十月に予定されている消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員することが必要と考えております。もちろん、無駄な歳出等を行うつもりは全くありません。御指摘の駆け込み需要や反動減といった経済変動を可能な限り抑制するためにも、万全を期す必要があります。
二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講じることにより、消費税率引上げによる経済的影響を平準化するとともに、引き続き、経済再生を図りながら、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度の国、地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化を確かなものとしてまいります。
補正予算の編成のタイミング、大規模災害時の情報の取扱い及び被災情報の公表についてお尋ねがありました。
まず、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生しました。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
政府としては、一連の災害に対し、関係自治体の復旧復興事業が進むよう、予備費を十分に活用し、発生後、直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてきたところです。こうした対策は、予備費の積み増しを主たる内容とする補正予算を編成した熊本地震の際の対応と比較しても十分なものであったと考えております。
今回、一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
災害時における国と地方公共団体の役割分担については、災害対策基本法及びそれに基づく災害基本計画等により定められておりますが、いずれにしても、国と地方公共団体が緊密に連携した対応が重要であると認識しています。
政府として、被害規模の早期把握の観点から、警察庁、消防庁等からの報告を取りまとめ、把握した被害状況を公表してきたところです。今後は、都道府県が公表した被害状況も踏まえ、より正確な情報発信に努めてまいります。
憲法改正と憲法遵守義務についてお尋ねがありました。
憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、その上で、お尋ねでございますのであえて申し上げますと、憲法は、主権者たる国民が、その意思に基づき、国家権力の行使の在り方について定め、これにより国民の基本的人権を保障するものでありますが、同時に、国の未来、理想の姿を語るものでもあります。二十一世紀の日本の理想の姿を私たち自身の手で描くという精神こそ、日本の未来を切り開いていくことにつながっていくと考えています。
また、内閣総理大臣は、憲法第六十三条の規定に基づき議院に出席し、国会法第七十条の規定に基づき、議院の会議又は委員会において発言しようとするときは、議長又は委員長に通告した上で行うものとされています。
憲法第六十七条の規定に基づき国会議員の中から指名された内閣総理大臣である私が、議院の会議又は委員会において、憲法に関する事柄を含め、政治上の見解、行政上の事項等について説明を行い、国会に対して議論を呼びかけることは禁じられているものではなく、三権分立の趣旨に反するものではないと考えています。
憲法第九十九条が憲法遵守義務を定めているのは、日本国憲法が最高法規であることに鑑み、国務大臣その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない趣旨を定めたものであって、憲法の定める改正手続による憲法改正について検討し、あるいは主張することを禁止する趣旨のものではないと考えています。
法律案の束ね又は実施命令の根拠規定の取扱いについてお尋ねがありました。
政府においては、従来から、二つ以上の法律の改正を提案しようとする場合においては、一般に、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められるとき、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められるときは、一つの改正法案として提案することができると考えています。
また、法律等を実施し、又は施行するため必要な事項のうち、罰則を設け、実質的に義務を課し、又は権利を制限する内容を含まない細目的事項について定める実施命令は、憲法、国家行政組織法等の規定により、個別の法律等による特別の委任がなくても制定することができるとされております。
したがって、これらの取扱いを変える必要はないと考えています。(拍手)
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