安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 橋本聖子議員にお答えをいたします。
将来の災害対応についてお尋ねがありました。
この夏、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生しました。私自身、被災現場を視察し、自然災害の猛威を改めて実感しました。災害から人命、財産を守るため、防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題であると痛感しています。
中でも、北海道胆振東部地震においては、ブラックアウトが発生し、住民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。私たちの生活に欠かせないインフラが災害時にしっかりとその機能を維持できるよう、平時から万全の備えを行うことが重要であると考えています。
このため、現在、電力や交通インフラはもとより、災害時に拠点となる病院や警察、自衛隊の施設、さらには酪農や乳業といった施設などの総点検を実施しているところであり、十一月末を目途に取りまとめることとしております。
その点検結果を始め、これまでの災害を通じて培ってきた経験や教訓を踏まえ、国土強靱化基本計画を年内に見直すとともに、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するなど、必要な予算を確保した上で、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいります。
森林・林業についてお尋ねがありました。
我が国の森林は、戦後植林されたものが本格的な利用期を迎えていますが、十分に利用されず、また適切な森林管理も行われていないという課題に直面しています。
このため、森林バンクを創設し、意欲と能力のある経営者に森林を集約するとともに、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的に管理することなどを通じ、間伐を始めとする森林管理をしっかりと加速させていきます。あわせて、山崩れや流木を防ぐ治山事業についても、今後三年間で集中的に推進していきます。
安倍内閣では、こうした林業改革により、切って、使って、植えるというサイクルを定着させることで、災害に強い森づくりを推進し、次世代へ豊かな森林を引き継いでまいります。
日中関係についてお尋ねがありました。
今回の訪中では、東シナ海、南シナ海等の海洋の問題について、私から日本側の強い懸念を改めて伝えました。
その上で、海洋安全保障分野において、五月に合意した防衛当局間の海空連絡メカニズムの初の年次会合の年内開催、防衛大臣、国防部長の相互訪問や艦艇の相互訪問を含む防衛当局間の交流、対話、海上法執行機関間の交流の推進、日中海上捜索救助協定への署名、資源開発に関する二〇〇八年合意の実施に向けた交渉の早期再開に向けた意思疎通の一層の強化等で一致しました。
日中間には隣国ゆえに様々な課題はありますが、大局的な観点から首脳同士が率直に語り合うことで、そうした課題もマネージしていくことが重要であります。五月の李克強総理の訪日、今回の私の訪中に続き、次は習近平主席を日本にお招きし、首脳同士の相互訪問を通じて、あらゆる分野の交流、協力を推し進め、日中関係の新しい時代を切り開いてまいります。
北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら朝鮮半島の完全な非核化を目指してまいります。
次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。
北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決するとの決意で、引き続き全力で取り組んでまいります。
日ロ関係についてお尋ねがありました。
御指摘の共同経済活動については、日ロが共に北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという新しいアプローチであり、その実現に向けた取組を通じ、北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えています。
北方四島におけるロシア軍による軍備の強化は、これら諸島に対する我が国の立場と相入れず、政府としては、ロシア側に対して累次にわたり抗議を行ってきています。
こうした問題の根本的解決のためには、北方領土問題それ自体の解決が必要です。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉を進めてまいります。
全世代型社会保障制度の実現と、それに向けた消費税率引上げの必要性についてお尋ねがありました。
少子高齢化が急速に進む中、これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠です。
今こそ、少子高齢化という国難に正面から取り組まなければなりません。お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換し、同時に、財政健全化も確実に進めていきます。
このため、消費税率については、法律で定められたとおり、平成三十一年十月一日に、現行の八%から一〇%に二%引き上げる予定です。
この際、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子供たち、子育て世代に大胆に投資します。二兆円規模の予算により、来年十月から幼児教育を無償化するとともに、再来年四月から真に必要な子供たちへの高等教育を無償化いたします。
今後三年掛けて、子供から若者、子育て世代、現役世代、そして高齢者まで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めてまいります。
海洋プラスチックごみについてお尋ねがありました。
海洋プラスチックごみによる汚染は、生態系などへの悪影響も懸念される地球規模の課題です。
その解決のためには、G7のような先進国のみならず、プラスチックごみを多く排出する途上国も含めた世界全体での取組が不可欠です。
我が国は、3Rの考え方に基づき、国内の法制度を整え、技術を磨き、循環型社会を築いてきました。今後、我が国として更なるプラスチックごみ対策に取り組むと同時に、我が国のこのような経験と技術を、アジアの近隣国を始め世界各国と共有し、世界全体の取組へとつなげていくことが重要です。来年のG20大阪サミットも見据えながら、廃棄物処理インフラの導入支援など、実効性ある国際協力を推進してまいります。
産業界や国民の皆様の協力も得ながら、海洋プラスチックごみに関する国際的取組を我が国が力強くリードし、豊かな海を次の世代へとしっかりと引き渡していく決意であります。
日本の食材の輸出についてお尋ねがありました。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、和食や我が国の高品質な食材を提供し、世界にアピールする大変良い機会であります。
このため、東京オリンピック・パラリンピックの関連イベントを始め、あらゆる機会を活用して我が国の食文化やすばらしい食材について発信を行い、その魅力を世界に積極的に伝えていきたいと考えています。
また、大会の選手村等で提供される食材に求められるGAPの認証取得については、二〇二〇年の東京大会までに現状の三倍以上に、さらに、大会後の二〇三〇年までにはほぼ全ての産地でGAPが実施されることを目指して、しっかりと推進してまいります。
農林水産物の輸出は五年連続で過去最高を更新し、昨年八千億円を超えました。東京オリンピック・パラリンピックを起爆剤として、更なる輸出拡大につなげていく決意であります。
地方創生への決意についてお尋ねがありました。
元気な地方なくしてアベノミクスの成功はありません。その思いの下に、景気回復の実感を全国津々浦々にお届けするため、安倍内閣は、地方創生の旗を高く掲げ、政策を総動員してまいりました。
その結果、農林水産物の輸出は五年連続で過去最高を更新し、生産農業所得は過去十八年間で最高となっています。そうした中で、四十歳代以下の若手新規就農者が初めて四年連続で二万人を超えました。
かつて、年間八百万人で頭打ちとなっていた外国人観光客は、五年連続で過去最高を更新し、昨年は三倍以上、二千八百万人が日本を訪れました。観光立国は地方の新しい活力となっています。
地方経済を支える中小企業の皆さんの倒産も、政権交代前から三割減少し、この四半世紀で最も少なくなりました。
このように、景気回復の温かい風が地方にも届く中で、史上初めて四十七全ての都道府県で有効求人倍率が一倍を超えました。地方の法人関係税収も、政権交代前と比べ、ほとんどの都道府県で四割から五割増加し、地方税収は過去最高です。
この地方創生のうねりをもっと力強いものとするため、安倍内閣はこれからも全力を尽くしてまいります。
地方には、豊かな自然、特色あるふるさと名物、地場企業のオンリーワンの技術力、固有の歴史、文化、伝統など、それぞれの強み、魅力があります。その地方ならではの魅力を最大限に引き出すため、地方の皆さんの情熱、独自の創意工夫を全力で後押ししてまいります。
そして、地方にこそチャンスがある、若者たちがそう考え、飛び込んでいくことができる、自らの未来を託すことができる地方をつくり上げてまいります。
橋本議員を始め皆さんと共に、美しく伝統あるふるさとを必ずや守り抜き、次の世代へと引き渡していく決意であります。(拍手)