安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 防災・減災対策についてお尋ねがありました。
 近年、災害が激甚化する中、御指摘のとおり、国民の命を守る防災・減災対策は、我が国の政治、社会にとって重要かつ喫緊の課題であります。そのため、政府として、全国で防災・減災、国土強靱化のための対策を年内に取りまとめ、三年間で集中的に実施していくこととしております。
 その中で大切なことは、行政による公助はもとより、国民一人一人が自ら取り組む自助、そして、地域、企業、学校、ボランティアなど互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、常に防災・減災の視点を持ってあらゆる自然災害に備える防災意識社会を構築していくことです。政府として、こうしたソフトとハードを組み合わせた対策を総動員して、防災・減災、国土強靱化に取り組んでまいります。
 被災地の復旧復興についてお尋ねがありました。
 政府としては、一連の災害に対し、関係自治体の復旧復興事業が進むよう、予備費を十分に活用して、発災後直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、応急仮設住宅の確保を含む生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてきたところです。
 今回の一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 被災者支援については、御指摘のとおり、被災からの時間の経過により絶えず変化する被災者の一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を切れ目なく行うことが重要であります。被災者が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、政府として、引き続き、被災者の方々の生活、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。
 ハード面の防災対策についてお尋ねがありました。
 台風に伴う高潮により関西国際空港が冠水し、地震により北海道全域にブラックアウトが生じるなど、一連の自然災害は、住民の生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。
 電力や交通など私たちの生活に欠かせないインフラが、災害時にしっかりとその機能を維持できるよう、平時から万全の備えを行うことが重要であると考えています。
 このため、現在進めているインフラの総点検の結果を始め、これまでの災害を通じて培ってきた経験や教訓を踏まえ、国土強靱化基本計画を年内に見直し、インフラの老朽化対策を含め、中長期的な目標や方針を明らかにするとともに、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するなど、必要な予算を確保した上で、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいります。
 災害におけるソフト対策、地域防災力の向上についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、被災者支援については、被災者一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を、国と地方公共団体が連携して、切れ目なく行うことが重要であります。
 今回の一連の災害においては、既に存在する空き家、空き室を応急仮設住宅として積極的に活用するとともに、その入居要件を半壊であっても入居できるようにするなど、困難な避難所生活から一日も早く移行できるよう、対応を行いました。
 また、被災者が必要な情報を取得するため、避難所や観光案内所等でスマートフォン等の充電ができるようにするとともに、住民はもとより、訪日外国人などの旅行者も含め、災害救助の対象としたところであります。
 地域全体の防災力を向上させるため、自主防災組織の結成等を促進するとともに、自主防災組織の活動の中心となるリーダー等の育成支援や、企業、大学等と連携した消防団への加入促進などを図ってまいります。
 学校における熱中症対策、ブロック塀の安全対策についてお尋ねがありました。
 本年六月十八日に発生した大阪府北部地震では、倒壊したブロック塀に挟まれた女子児童が亡くなるという大変痛ましい事故が起こりました。また、連日記録的な猛暑に見舞われるなど、安全、安心な学校施設の整備は待ったなしの状況です。
 政府としては、御党も訴えられてきた熱中症対策としての公立小中学校等へのエアコン整備と、学校のブロック塀の倒壊防止の安全対策を推進する経費を平成三十年度補正予算案に計上しているところです。早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
 このうちエアコン設置については、児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への新設を優先しつつ、地方自治体の実情に応じた対応を行ってまいります。
 また、通学路や一般道路に面している民間のブロック塀等について、まずは、ブロック塀等の安全点検のチェックポイントを公表し、安全性を確保するよう周知してきたところです。
 加えて、地方公共団体が指定する避難路に面するものについては、耐震改修促進法に基づき耐震診断を義務付けるとともに、ブロック塀の撤去費用等に対する支援の推進を検討しているところです。
 引き続き、ブロック塀等の安全の確保について徹底した啓発を行うとともに、規制や支援制度を総動員して、ブロック塀等の安全対策に全力で取り組んでまいります。
 生涯現役社会についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化は我が国にとって大きなピンチでありますが、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんの経験や知恵を社会でもっと生かしてもらうことで、日本はまだまだ成長できる。人生百年時代の到来は大きなチャンスであります。
 既に、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保や、中途採用、キャリア採用の拡大など、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。その上で、予防、健康へのインセンティブ措置の強化や年金の受給開始のタイミングを自ら選択できる範囲を広げるなど、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を行う考えです。
 高齢者の皆さんが、年齢にかかわらず、元気で、学び、働くことができる生涯現役社会をつくり上げていく考えです。
 地方創生についてお尋ねがありました。
 山口代表の御指摘のとおり、若者を中心に地方への人の流れをつくっていくことが、美しく、伝統あるふるさとを守り、次の世代に引き渡していくための鍵であると考えています。
 こうした観点から、安倍内閣では、これまで、全国に人材拠点を設置し、都市部の人材と地域の中堅・中小企業のマッチングを進めてきました。既に、四千人を超える人材がこの枠組みで地域の中堅・中小企業で活躍しています。また、地域おこし協力隊を大幅に拡充してきました。現在、政権交代前の十倍以上、五千人の若者たちが協力隊として地方の新しい活力となっています。
 これに加え、地方から東京圏への転入超過数の九割以上が二十九歳以下の若者であり、大学進学や就職がそのきっかけとなっていることから、さきの国会において、きらりと光る地方大学づくりを支援するための法律を成立させたところであります。今後、さらに、UIJターンにより地方で起業、就職する若者たちを支援する新しい制度を来年度からスタートさせる予定です。
 地方にこそチャンスがあると、若者たちがそう考え飛び込んでいくことができる、自らの未来を託すことができる地方をつくり上げることで、まさに人が生きる地方創生を実現してまいります。
 幼児教育の無償化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、これまで幼児教育の無償化を段階的に進めてきましたが、今般、消費税率引上げ分の使い道を変更して、子供たち、子育て世代に大胆に投資することでこれを一気に進めることとしました。
 具体的には、三歳から五歳までの子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとしました。現在、担当府省と地方自治体とで実務に関する議論を行う機会を設けるなど、様々な意見を伺いながら検討を進めていきます。
 引き続き、来年十月の実施に向け、地方自治体の皆様の御意見を丁寧に伺いつつ、準備を加速してまいります。
 消費税率引上げに係る対応策についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
 軽減税率制度については、今後も、引き続き、関係民間団体等とも緊密に連携しつつ、制度の周知、広報等に努めるとともに、来年十月の実施に向けて、事業者の準備状況等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、制度の円滑な実施につなげていきたいと考えております。
 ポイント還元といった新たな手法による支援については、現在詳細を検討中ですが、消費者に対しては、キャッシュレス対応の多様な選択肢を準備するとともに、端末の導入の支援や手数料の引下げに向けた取組などにより、中小・小規模事業者の皆さんが利用しやすい環境を整え、現場に混乱が生じないよう取り組む考えであります。
 自動車や住宅といった大型耐久消費財についても、来年十月一日以降の購入等にメリットが出るように、税制、予算措置を講じます。
 所得の低い方を中心に支援措置を検討する必要があるとの御指摘については、その御趣旨を十分に踏まえ、具体的内容を検討してまいります。
 自由貿易推進の意義と国内農業への対策についてお尋ねがありました。
 戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは、自由貿易体制のおかげです。
 世界で保護主義の動きが広がる中、年内の発効が確実となったTPP11の拡大や日EU経済連携協定の早期発効、さらには、東アジア地域包括的経済連携交渉の早期妥結などを通じて、今後とも、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
 TPP11や日EU・EPAの交渉に当たっては、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、実際に国内生産に影響が出るかどうかということについてしっかりと注目しながら交渉し、結果として、農業者が再生産可能となるような措置を勝ち取ったものと考えています。
 さらに、それでもなお残る不安や懸念にもしっかり向き合い、政府として、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、産地パワーアップ事業や畜産クラスター事業等に加え、国産チーズの競争力強化対策、地理的表示の活用による輸出促進など、きめ細やかな対策を講じてまいります。
 中小企業施策についてお尋ねがありました。
 多くの中小・小規模事業者の皆さんが深刻な人手不足に直面する現在、生産性向上に向けた投資を力強く促すことで、ピンチをチャンスに変える発想が必要です。
 そのため、本年度から、固定資産税ゼロのかつてない制度を創設したところですが、御指摘のあったものづくり補助金の当初予算化も含め、今後、中小・小規模事業者の皆さんの投資促進策の強化に向けて検討を進めてまいります。
 そうした中で、中小企業経営強化税制を始め、今後の中小企業に対する税制の在り方についても、来年度税制改正に向けて、与党における議論を踏まえながら検討していく考えです。
 安倍内閣では、これまでも、近年の下請いじめの実態を踏まえ、下請法の運用基準を十三年ぶりに抜本改定するなど、下請取引の条件改善に取り組んでまいりました。
 今後、大企業の働き方改革や消費税率引上げに当たって、そのしわ寄せが下請企業に及ぶことがないよう、下請Gメンの体制強化やヒアリング調査の拡充によって関係法令の厳格な運用を行ってまいります。その上で、調査結果を踏まえ、更なる商慣行の見直しや取引条件の適正化にも取り組んでまいります。
 こうした施策を通じて、雇用の七割を支え、日本経済の屋台骨を担う全国三百八十万者の中小・小規模事業者の皆さんを力強く応援してまいります。
 日本外交の基本方針と国際社会における日本の役割についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、世界で保護主義の動きが広がる中、我が国は、自由貿易の旗手として、新しい時代の自由で公正な経済のルール作りをリードしていきます。
 国際社会が直面する課題については、パリ協定の着実な実施を通じ国際的な気候変動対策に貢献するとともに、海洋プラスチックごみ対策、防災といった課題について、問題解決のための世界全体での取組を主導してまいります。
 持続可能な開発、すなわちSDGsについては、人間の安全保障の理念に基づき、誰一人取り残さない社会を実現すべく、教育や保健の分野を始めとして、国際社会の取組をリードし、SDGsの達成に向け貢献してまいります。
 引き続き、地球儀を俯瞰する外交を積極的に展開し、国益を守り、地域や世界の平和と繁栄に貢献していく決意です。
 日中関係についてお尋ねがありました。
 山口代表には、連立与党のパートナーとして、九月に訪中された際にも、私の習近平主席への親書をお持ちいただき、多くの要人と精力的に会談するなど、これまで与党交流を通じた日中関係の発展に尽力いただいており、改めて感謝申し上げます。
 今回の私の訪中は、日中平和友好条約の締結四十周年という節目の年に日本の総理大臣として七年ぶりの公式訪問となり、習近平主席や李克強総理との間で長い時間を掛け大変率直で有意義な会談を行うことができました。
 国際スタンダードの上に競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、そして、自由で公正な貿易体制を発展させていく。習近平主席、李克強総理と、これからの日中関係の道しるべとなる三つの原則を確認しました。そして、この原則の上に、共に世界の平和と繁栄に建設的な役割を果たしていくことで一致しました。
 隣国ゆえに様々な課題はありますが、この大局的な観点から首脳同士が率直に語り合うことで、そうした課題もマネージしていく、日中関係の新しい時代を切り開く訪中となったと思います。
 五月の李克強総理の訪日、今回の私の訪中に続き、次は習近平主席を日本にお招きし、首脳同士の相互訪問を通じて、政治、経済、文化、青少年交流、地方交流など、あらゆる分野で交流、協力を一層発展させていきたいと思います。
 北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
 六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
 今回の訪中では、習近平主席、李克強総理との間で、朝鮮半島の非核化に向けて引き続き緊密に連携していくことを確認し、拉致問題に関する日本の立場について理解と支持を得ました。
 次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。
 北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、拉致、核、ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を目指します。
 外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
 新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものであります。これまで、政府として、既存の在留資格の課題への対応や地域社会との関わり、外国人の方の人権への配慮等について、これまで積極的、継続的に検討を重ねてきたものです。
 制度の運用に当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかりと実行に移し、外国人との共生社会の実現に向け、環境整備を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石井啓一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119715254X00320181031_003

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2018-10-31

院: 参議院

会議名: 本会議