安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大塚耕平議員にお答えいたします。
この夏の一連の災害に関して政府が把握している被害の全容及び北海道胆振東部地震に係る住宅の復旧、住民支援についてお尋ねがありました。
この夏の一連の災害により、全国各地で、多数の人的被害、家屋被害のほか、農林水産業や観光業等、地域の基幹産業にも甚大な被害が生じました。北海道、岡山県及び広島県においては、いまだ合計で約五百名の方々が避難所における不自由な生活を余儀なくされています。
特に、北海道においては、本格的な冬を迎える前に避難所等における生活から移行していただくことが重要です。現在、借り上げ型仮設住宅への入居が順次決定しているほか、建設型仮設住宅についても、十一月末までには約二百二十戸が完成予定です。また、今般の地震については被災者生活再建支援法が道内全域に適用されており、今後、随時、被災者への支援金の支払が行われる予定です。
今回、一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
被災者支援については、被災からの時間の経過により変化する被災者の一人一人のニーズを踏まえ、被災者に寄り添ったきめ細やかな支援を切れ目なく行うことが重要であります。政府として、被災者が一日も早く安心した生活を取り戻せるよう、被災者の方々の生活、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。
外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えておりません。移民や移民政策の概念は様々な文脈において多義的に用いられていると承知していますが、政府としては、例えば、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておらず、今回の制度改正はこの方針に沿ったものであります。
すなわち、新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。
現下の人手不足に対応することは喫緊の課題であり、これまで政府として、積極的、継続的に検討を重ねてきたものでありますが、異なる角度、視点から様々な御意見があることも承知しており、本制度の趣旨や内容について広く御理解いただけるよう取り組んでいきます。
外国人材の受入れ拡充に係る受入れ業種等についてお尋ねがありました。
新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものであります。
制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、真に必要な業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
受入れの規模に関しては、現在、農業、建設、宿泊、介護、造船など十四の業種について外国人材受入れの希望が示されており、受入れの見込み数を精査しているところであります。
外国人労働者と社会保障との関係、公的医療保険に関する調査についてお尋ねがありました。
医療保険や年金は、外国人労働者にも既に日本人労働者とひとしく適用されており、今回の新たな外国人材の受入れに伴い、こうした制度を見直すことは考えていません。
お尋ねの調査は、今般の出入国管理法の改正に関わりなく、医療保険の適正な利用の観点から、国民健康保険における外国人の被保険者数や保険給付の状況、市町村から入国管理局への通知件数や在留資格の取消し件数などを調べるものであります。調査の結果については、現在取りまとめを行っているところであり、本年中に公表したいと考えています。
今後、その結果も踏まえ、外国人の医療保険の適正な利用に向けた対応について検討を進めてまいります。
外国人労働者の受入れに当たっての賃金に関する認識についてお尋ねがありました。
我が国は二十年間デフレ状況が続いていましたが、政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い時間でデフレではないという状況をつくり出してまいりました。
我が国の企業は、過去最高収益を記録している一方で、将来リスクへの備え等様々な要因を背景として内部留保が積み上がる中で、これを賃上げにつなげるよう必要な対策を講じてまいりました。その結果、賃上げは五年連続で今世紀に入って最も高い水準となり、特に中小企業は過去二十年間で最高となる所得環境の改善が進んでいます。
また、新たな外国人材の受入れに当たっては、事業主に対する周知や外国人向け相談体制の強化を図ることなどにより、日本人と同等の報酬をしっかりと確保いたします。
今後は、一定の専門性、技能を有する外国人材に即戦力として活躍いただきながら、着実に回り始めている経済の好循環を更に力強いものとしてまいります。
外国人材の受入れ拡充に係る登録支援機関等についてお尋ねがありました。
新たな受入れ制度においては、受け入れた外国人材に対する支援の実施主体として、出入国在留管理庁長官の登録を受けた登録支援機関を設けることとしております。
登録支援機関は、支援計画に基づき、外国人材に対する職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を実施することが求められます。出入国在留管理庁は、実施状況に関する届出等を通じて、必要に応じて登録支援機関に対する指導、助言を行うほか、適切な支援を行わなかった場合等には登録を取り消すことができ、これらを通じて登録支援機関を適切に管理してまいります。
また、今般、出入国在留管理庁を新たに設置し、管理体制を抜本的に強化することとしており、具体的には、平成三十一年度概算要求において、法務省からは、新たな外国人材の受入れに伴う出入国在留管理庁の設置に伴うものとして、三百十九人の増員要求が行われています。
さらに、新たな受入れに当たっては、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかりと実行に移し、外国人児童生徒に対する教育環境整備についても、関連施策を一層積極的に推進してまいります。
現下の人手不足に対応することは喫緊の課題であり、これまで政府として積極的、継続的に検討を重ねてきたものでありますが、異なる角度、視点から様々な御意見があることも承知しており、本制度の趣旨や内容について広く御理解いただけるよう取り組んでまいります。
消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
五年半にわたるアベノミクスの取組により、政権交代後、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%増加し、過去最高となりました。消費についても、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で、二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。
消費税率については、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、来年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定です。
引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
具体的には、消費税率引上げ分の税収のうち半分を国民の皆様に還元します。子育て世代に大胆に投資し、来年十月一日から幼児教育を無償化します。
軽減税率を導入し、家計消費の四分の一を占める飲食料品については、消費税を八%のまま据え置きます。
引上げ後の一定期間に限り、中小小売業に対し、ポイント還元といった新たな手法による支援を行うなど、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じます。
自動車や住宅といった大型耐久消費財について、来年十月一日以降の購入にメリットが出るように、税制、予算措置を講じます。
二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講ずることとしており、その具体的な規模や内容等については、各年度の予算編成過程において検討してまいります。
軽減税率制度については、消費税の逆進性を緩和しつつ、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとの利点があることから実施することとしたものであります。軽減税率制度の財源として確保が必要となる一兆円程度のうち、総合合算制度の見送りで確保した以外に必要となる〇・六兆円程度については、年末に向けて、歳入、歳出の両面から対応を検討してまいります。
金融政策についてお尋ねがありました。
政府としては、二〇一三年一月に公表した政府・日本銀行の共同声明に沿って、成長力の強化と持続可能な財政運営に取り組んでまいりました。
引き続き、あらゆる政策を総動員し、デフレ脱却と経済再生を図りながら、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
日本銀行による国債やETFなどの買入れは、専ら日本銀行の判断の下に、物価安定目標等を実現するための金融政策の一環として行われているものと認識しております。その上で、日本銀行は、資産価格の動向を含む様々なリスク要因も十分に点検し、経済、物価、金融情勢を踏まえながら、黒田総裁のリーダーシップの下で適切に金融政策運営を行っていると理解しております。
また、日本銀行が保有する株式及びETFについては、平成三十年九月末時点において、それぞれ約一兆円、約二十二兆円保有していると承知しております。これらの株式及びETFの買入れは金融政策の一環として行われているものであり、特定の株価水準を念頭に置いて実施されているものではないと承知しております。
我が国の大手銀行グループは緩和的な金融環境の下で海外業務を拡大しているところ、リスク管理の状況については金融庁においてしっかりとモニタリングしてまいります。
財政健全化についてお尋ねがありました。
私の基本的な考え方は、経済再生なくして財政健全化なし。経済成長を実現し、税収を上げることで財政健全化も進めていくというものであります。
政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%、六十兆円増加し、過去最高となりました。同時に、歳出と歳入それぞれの面から改革を行うことにより、財政健全化に大きな道筋を付けてまいりました。国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
今般、少子高齢化を克服するため、消費税率引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資するとともに、社会保障の安定化にもバランスよく充当し、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換を図ることとしました。
これにより、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となりました。ただし、日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は決して下ろさず、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
米国や中国との通商外交についてお尋ねがありました。
米国の通商拡大法第二百三十二条に基づく鉄鋼、アルミへの追加関税賦課については、日本は、WTOセーフガード協定上のリバランスの権利を保留しています。我が国としては、引き続き、米国との話合いを続け、本件の早期解決に努めてまいります。日本としては、ルールに基づく多角的貿易体制を重視しており、いかなる貿易上の措置もWTO協定に整合的であるべきと考えており、WTO協定に整合的ではない合意はするつもりはありません。
九月の国連総会に際する日米首脳会談では、世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認しつつ、日米物品貿易協定の交渉を開始することで合意しました。日米共同声明の内容に沿って、攻めるべきは攻め、守るべきは守るとの観点から今後の交渉を進めたいと考えており、いずれにせよ、国益に反するような合意を行うつもりはありません。
先般の訪中においても、私と習近平主席及び李克強総理との間で、自由で公正な貿易を発展、進化させていくことで一致しました。同時に、過剰生産につながる補助金や知的財産、技術移転を含む問題について、中国側が更なる改善を図っていくことが重要である旨指摘しました。
米国の中国に対する追加関税措置及び通商拡大法第二百三十二条に基づく輸入制限措置等についてお尋ねがありました。
米国による中国への追加関税については、我が国も関心を持って緊密にフォローしていますが、個別品目がいかなる理由で除外されたかについては、第三国間のやり取りであることからコメントは差し控えます。
いずれにせよ、GDP世界第一位、第二位の経済大国である米中両国が世界経済の安定的な成長と発展につながる関係を構築することが、我が国を含むアジアのみならず、世界全体にとっても重要であると考えています。
米国・メキシコ・カナダ協定、USMCAの合意の下での通商拡大法第二百三十二条に基づく自動車等への追加関税や、御指摘の諸国に対する鉄鋼及びアルミニウムに関する追加関税賦課の内容については、米国通商代表部の発表等を通じて把握しており、それに至った経緯についても関心を持って情報収集していますが、第三国間のやり取りであるのでコメントは差し控えます。
今般、日米物品貿易協定の交渉開始で合意するに当たり、協議が行われている間は、我が国の自動車に米国通商拡大法第二百三十二条に基づく追加関税が課されることはなく、共同声明の精神に反する行動は取らないことをトランプ大統領と確認いたしました。ルールに基づく多角的貿易体制を重視する日本としては、いかなる貿易上の措置もWTO協定に整合的であるべきと考えており、いかなる国ともWTO協定に整合的ではない合意をする考えはありません。
今後の米国との交渉について、現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、いずれにせよ、我が国として国益に反するような合意をするつもりはありません。
戦後外交の総決算についてお尋ねがありました。
所信表明演説で述べた戦後外交の総決算については、我が国に駐留する在日米軍を撤退させることを意図したものでは全くありません。米国との間では、平和安全法制に基づく取組等を通じて日米同盟の強化を図るとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に向け協力し、地域や世界の平和と繁栄に貢献してまいります。
北東アジアでは、冷戦時代の構造が今なお残されたままとなっています。北朝鮮との間では、相互不信の殻を破り、拉致、核、ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。ロシアとは、領土問題を解決し、平和条約を締結します。中国とは、首脳間の往来を重ねると同時に、あらゆるレベルで両国民の交流を強化し、日中関係を新たな段階に押し上げてまいります。
これが私が所信表明演説で述べた戦後外交の総決算であります。
行政不服審査法に基づく審査請求等についてお尋ねがありました。
選挙の結果については真摯に受け止めています。その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣による国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。
住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
沖縄県における県民投票条例についてお尋ねがありました。
地方自治体における独自の条例に関わる事柄について、政府として見解を述べることは差し控えたいと思います。
いずれにせよ、安倍政権としては、基地負担軽減のため、できることは全て行う、目に見える形で実現するという方針の下、取り組んでいます。
今後とも、抑止力を維持しながら、沖縄の皆様の心に寄り添い、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
片山地方創生担当大臣に関する報道についての事実関係及び任命責任についてお尋ねがありました。
閣僚の任命責任は、もとより内閣総理大臣たる私にあります。その上で、政治活動については、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家が、その事実関係を含め、国民に不信を持たれることのないよう、常に襟を正し、説明責任を果たすべきものと考えております。(拍手)