安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えいたします。
被災者の住宅となりわいの再建等についてお尋ねがありました。
東日本大震災による避難者数は五万六千人に減少しましたが、いまだ多くの方が仮設住宅での不便な生活を強いられています。また、平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震など、本年も多くの災害が生じており、これらの災害の被災者の方々が一日も早く安心できる生活を取り戻せるよう、被災自治体と連携して、地域の課題やニーズの把握に努め、被災者に寄り添いながら、住宅・生活再建に向けた支援やなりわいの再建に向け、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
被災者生活再建支援制度は、自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた方に対し、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものです。このような制度の趣旨からすれば、支給対象の拡大や支給額の引上げについては、国や都道府県の財政負担等の課題があり、慎重に検討すべきものと考えます。
ブロック塀等については、過去の地震による被害を踏まえ基準を強化していますが、現行基準に適合しない古いものであることから、安全点検のチェックポイントを公表し周知するとともに、避難路に面するものについては、耐震診断の義務付けや撤去費用等に対する支援を検討しているところです。
また、平成三十年七月豪雨では、小田川等がバックウオーター現象等に伴う越水等により堤防決壊し、尊い命が失われるなどの甚大な被害が生じました。今回の被害を踏まえて、抜本的な治水対策を進めるため、事業を集中的に実施し、再度の災害を防止することとしています。
今回の一連の災害で生じた被害の状況や地域ごとの復旧復興の進捗等に応じて必要な財政措置を講ずるため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
被災地の皆様の命を守り、安心を確保できるよう、引き続き検証を行い、防災対策をしっかりと進めてまいります。
北海道におけるブラックアウトの教訓についてお尋ねがありました。
今回の北海道胆振東部地震におけるブラックアウトと同様な事象を繰り返さないため、現在、電力インフラの総点検を実施しております。十一月中に対策パッケージを取りまとめ、災害に強い電力供給体制を構築してまいります。
原発政策に関連して、分散型への転換、再生可能エネルギーの普及、原発ゼロ基本法案についてお尋ねがありました。
現在、多くの原発が停止している中で、東日本大震災前に比べ、一般家庭で平均で約一六%電気代が上昇し、国民の皆様に経済的な大きな御負担をいただいている現実があります。こうした経済的なコストに加え、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。
様々な電源によるベストミックスを追求する中で電力の安定供給を維持するためには、それぞれの電源の特性を踏まえながら、あらかじめ決められたルールに基づき出力制御を実施することが必要であります。そうした中でも、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針であります。
また、分散型エネルギーは、非常時にも活用できるエネルギー供給源を確保する点や地域活性化にも資する点から重要と考えます。政府としては、これまでも地産地消型エネルギーシステムの構築に対する支援などを行ってきておりますが、今後も、自家発電設備や蓄電設備の整備を支援するなど、分散型エネルギーの普及を後押ししてまいります。
なお、議員提出法案の扱いについては、国会の運営に関わるものであり、国会がお決めになることであると考えます。
消費税率引上げの影響についてお尋ねがありました。
前回の二〇一四年四月の消費税率引上げの際には、耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じ、景気の回復力が弱まることとなりました。だからこそ、この間、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めてまいりました。その結果、消費は、一国全体を捉えるGDPベースで見て、実質で二〇一六年以降、前期比プラス傾向で推移し、二〇一三年の水準を上回るなど、持ち直しています。
来年十月に予定されている消費税率の引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
社会保障の財源とその負担の在り方についてお尋ねがありました。
社会保障の充実については、これまでも、消費税率の引上げに伴う増収により、持続可能性を確保しながら、待機児童の解消や低所得者の医療・介護保険料の軽減などを実施してきたところです。
来年十月に予定する消費税率引上げに際しては、その使い道を見直し、半分を国民の皆さんに還元します。子供たち、子育て世代に大胆に投資することで、来年十月から幼児教育を無償化いたします。
少子高齢化という国難に正面から取り組むため、お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換してまいります。
なお、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベースの拡大により、財源をしっかり確保しております。さらに、金融所得課税の見直し等を講じてきたところであります。
今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
インボイス制度の免税事業者への影響についてお尋ねがありました。
インボイス制度は、複数税率の下において適正な課税を確保する観点から導入するものであります。
他方、インボイス制度を導入すれば、免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があるのも事実であり、政府としては、免税事業者が課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を決めていただくよう、インボイス制度の導入までに四年間の準備期間を設けるとともに、そこから更に六年間、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることとしています。
外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度ですが、一部の監理団体や受入れ企業において労働関係法令違反や人権侵害が生じている等の指摘があることから、制度を見直し、昨年十一月に技能実習法が施行され、制度の適正化を図っているところです。
新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものです。
受入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対策をしっかり実行に移し、在留のための環境整備について関連施策を積極的に推進することとしております。
LGBTに関する発言についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、LGBTと言われる性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならないことであります。多様性が尊重され、全ての人がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に政府としてしっかり取り組んでまいります。
国会招致と証人喚問についてお尋ねがありました。
行政プロセスが公正公平に行われたかについては、引き続き政府においてしっかりと説明責任を果たしてまいります。その上で、国会の運営については国会がお決めになることだと思います。
日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
これまで我が国が結んできた包括的なFTAでは、物品貿易に加え、サービス貿易全般の自由化を含むものを基本とし、さらに、知的財産、投資、競争など、幅広いルールを協定に盛り込むことを交渉を開始する段階から明確に目指してきました。
しかし、今回の日米共同声明では、サービス全般の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるものと考えています。
他方、FTAについて国際的に確立した定義が存在しないことも事実であるため、言葉遣いの問題として、今回の交渉についてFTAの一種ではないかとの御意見があることは承知しています。
そうした中で、私が、これまでFFR協議について、FTA交渉でもFTAの予備交渉でもないと申し上げてきた最大の理由は、国内の農林漁業者の皆さんにTPP以上の関税引下げが行われるものではないかとの懸念があったためであり、農林水産業は必ず守り抜くとの思いから申し上げてきたものであります。
そして、今回は、日米共同声明において、農林水産品については過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意しました。この点が最大のポイントであり、この前提の上に今後米国と交渉を行い、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
沖縄における選挙結果、国土交通大臣による執行停止決定、普天間飛行場の返還についてお尋ねがありました。
選挙の結果については真摯に受け止めています。その上で、地方自治体の首長選挙の結果について政府の立場で見解を述べることは差し控えたいと思います。
沖縄防衛局が行った審査請求及び執行停止の申立てについては、公有水面埋立法の所管大臣による国土交通大臣により、関係法令にのっとり執行停止の決定が行われたものと承知しています。これは、法治国家として法律に基づき必要な法的手続が行われたと認識しており、これを尊重すべきものと考えています。
住宅や学校で囲まれ、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
普天間飛行場を移設した上で全面返還するとの方針は、米国政府との間で累次にわたり確認しているものです。
政府としては、現在の日米合意に基づき、抑止力を維持しながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、全力で取り組んでまいります。
今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、沖縄の皆様の心に寄り添い、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
防衛白書の記述についてお尋ねがありました。
防衛白書における我が国を取り巻く安全保障環境に関する記述は、様々な情報を総合的に分析、評価した上で、極力客観的な記述に努めたものと考えています。
また、北朝鮮に関しては、金正恩委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を改めて文書の形で明確に約束した意義は大きいとも記述していると承知しています。
いずれにせよ、歴史的転換を無視しているとの御指摘は当たらないものと考えております。
米国製装備品に関するトランプ大統領とのやり取りについてお尋ねがありました。
本年九月に行った日米首脳会談において、私から、米国製の防衛装備品を含め、高性能な装備品を導入することが我が国の防衛力強化のために重要であると考えている旨をトランプ大統領に説明したところです。
日米首脳会談のやり取りの一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思いますが、防衛装備品の導入については、五か年計画である中期防衛力整備計画に基づき、米国製の防衛装備品を含め計画的に取得しており、今後とも、我が国の主体的な判断の下、防衛力の強化を行っていく考えです。
イージス・アショアについてお尋ねがありました。
我が国の防衛を考える上で、我が国を射程に収める数百発の弾道ミサイルが現実に存在するという事実から目を背けることはできません。
防衛装備品については、事態が切迫してから取得しようとしても数年間という長期間を要します。国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応し得るよう、平素から万全の備えを取ることは当然のことであると考えています。
イージス・アショアは、あくまでも我が国の主体的な判断により導入を進めているものです。
また、弾道ミサイルから国民の生命、財産を守る純粋に防御的なシステムであり、周辺諸国に脅威を与えるものではありません。地域情勢を悪化させるとの御指摘は当たらず、導入を中止することは考えていません。
もとより、イージス・アショアの配備に当たっては、地元の皆様の御理解をいただくことが大前提であり、様々な御懸念や御要望について一つ一つ丁寧に対応していく考えです。
北東アジア外交と憲法についてお尋ねがありました。
六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
同時に、国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な任務であり、いかなる事態にも対応し得るよう万全の備えを行ってまいります。
憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、お尋ねですので、あえて私が自民党総裁として一石を投じた考えを改めて申し上げるとすれば、現行の憲法第九条第一項及び第二項の規定を残した上で、自衛隊の存在を憲法に明記することによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じるものはないと考えています。
他方、現在、自民党の党内において行われている憲法改正をめぐる議論の状況や方向性についてお答えすることは差し控えたいと思います。(拍手)
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