安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
災害情報の伝達についてお尋ねがありました。
災害発生時の避難については、住民一人一人自らの判断で避難行動を取ることが第一義的に重要であり、行政はこうした住民の避難行動に資するように避難勧告等により早めの避難を促すこととしています。
しかしながら、例えば平成三十年七月豪雨では、行政が発信した避難に関する情報や防災気象情報が、受け手である住民に確実に伝わり、正しく理解されていたかなど、様々な問題があったと考えています。
このため、現在、中央防災会議の下にワーキンググループを設置し、防災気象情報と地方公共団体が発令する避難勧告等の連携、防災情報の確実な伝達など、七月豪雨を教訓とした避難対策の強化について検討を進めており、年内を目途に検討結果を取りまとめ、必要な対策を講じることとしております。
政府としては、発生した災害から学べるものは全て学び、以後の対応に生かしてまいります。
電力の安定供給体制、再生可能エネルギーも含む分散型エネルギーの重要性についてお尋ねがありました。
今回の北海道胆振東部地震におけるブラックアウトと同様な事象を繰り返さないため、現在電力インフラの総点検を実施しており、国の責任において十一月中に対策パッケージを取りまとめ、災害に強い電力供給体制を構築してまいります。
また、再生可能エネルギーを含む分散型エネルギーは、非常時にも活用できるエネルギー供給源を確保する点や地域活性化にも資する点から重要と考えます。政府としては、これまでも、地産地消型エネルギーシステムの構築に対する支援などを行ってきております。
今後、さらに、固定価格買取り制度の開始以降に導入された再生可能エネルギーの九割以上が太陽光となっている現状の見直しも含め、風力、地熱、バイオマスなど、バランスの取れた再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、自家発電や蓄電設備の整備など、分散型エネルギーの普及を後押ししてまいります。
身を切る改革についてお尋ねがありました。
我々政治家は、政策を実現するために真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。国民の皆さんに様々な御負担を求める以上、我々政治家も常に自らを省みる必要があることは当然であります。日本維新の会が、こうした観点から、議員歳費の二割削減やペーパーレス化等具体的な提案を国会の場にしておられることにつきましては、敬意を表したいと思います。
その上で、政治に要する費用の問題は、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であることから、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていかなければならない問題であると考えております。
憲法改正についてお尋ねがありました。
日本維新の会が憲法改正について具体的な考え方を示し、各論に踏み込んで真摯に議論されていることに、まずもって敬意を表したいと思います。
憲法改正の内容については、内閣総理大臣として、今後国会の憲法審査会において議論されるであろう御党の提案についてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、お尋ねですのであえて申し上げるとすれば、憲法の改正について国民的議論を深めるためには、まずは具体的な条文案を示す必要があると考えています。
憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により決められるものであります。憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで国民の皆様の理解を深める努力を重ねていくことは、私たち国会議員の果たすべき重要な役割ではないかと考えております。
財政健全化についてお尋ねがありました。
私の基本的な考え方は、経済再生なくして財政健全化なし。経済成長を実現し、税収を上げることで財政健全化を進めていくというものであります。
政権交代後、アベノミクスにより、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一二・二%、六十兆円増加し、過去最高となりました。
同時に、歳出と歳入、それぞれの面から改革を行うことにより、財政健全化に大きな道筋を付けました。国、地方を合わせた税収は約二十四兆円増加し、新規国債発行額は約十一兆円減っています。
来年十月に予定されている消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員することが必要と考えています。
もちろん、無駄な歳出等を行うつもりは全くありませんが、駆け込み需要や反動減といった経済変動を可能な限り抑制するためにも、万全を期す必要があります。
二〇一九年度、二〇二〇年度の当初予算において臨時特別の措置を講じることにより、消費税率引上げによる経済的影響を平準化するとともに、引き続き、経済再生を図りながら、社会保障制度を含めて、歳出と歳入、それぞれの面からの改革を続け、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化、同時に、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいります。
消費税の軽減税率と富裕層への課税強化についてお尋ねがありました。
軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している、酒類及び外食を除く飲食料品等の税率を八%に据え置くことにより、買物の都度、痛税感の緩和を実感できるとともに、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和できる有効な制度であると考えています。
軽減税率制度の財源として、総合合算制度の見送りで確保した以外に必要となる〇・六兆円程度については、年末に向けて、歳入、歳出の両面から対応を検討してまいります。
また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや、金融所得課税の見直し等の施策を既に講じてきたところです。
今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ、検討する必要があるものと考えています。
消費税率一〇%以上への引上げについてお尋ねがありました。
消費税率については、法律で定められたとおり、来年十月一日に、現行の八%から一〇%に二%引き上げる予定です。また、その後について検討を行っていることはありません。
外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
政府としては、いわゆる移民政策を取ることは考えておりません。政府としては、例えば、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策を取ることは考えておらず、今回の制度改正はこの方針に沿ったものです。
すなわち、新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、真に必要な業種に限り、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を期限を付して我が国に受け入れようとするものであります。
制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、真に必要な業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
また、受入れに当たっては、日本人と同等の報酬をしっかりと確保するとともに、社会の一員としてその生活環境を確保するため、現在検討を進めている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策をしっかり実行に移し、外国人材の円滑な受入れの促進や、不法滞在者、偽装滞在者対策を含む犯罪防止に向けた取組を進めることにより、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備に努めてまいります。
日米物品貿易協定に関し、サービス、為替、自動車、農産品の扱いについてお尋ねがありました。
まず、今般の日米共同声明では、協議が行われている間は、共同声明の精神に反する行動は取らないこと、すなわち、我が国の自動車に対する米国通商拡大法二百三十二条に基づく追加関税が課されることはないこととされております。この点については、日米首脳会談の場で私からトランプ大統領にも明確に確認したところです。
また、農林水産品については、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意いたしました。我が国がこれまでに締結した経済連携協定の中で、農産品について最も水準が高いものはTPPであると理解しており、その前提の下に、今後、農林水産業に携わる皆様の不安な気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。そして、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
その上で、今後の交渉について現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、いずれにせよ、我が国として、いかなる貿易上の措置もWTOルールに整合的であるべきと考えており、また、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
日ロ関係についてお尋ねがありました。
御指摘のプーチン大統領の発言全体の中には、様々な含意が含まれています。フォーラムという公開の場で交渉の一部となるようなやり取りを行うことは適当ではないと考え、終了後、直ちに私からプーチン大統領に対し、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが引き続き我が国の基本的な立場であることを伝え、突っ込んだやり取りを行いました。
北方四島におけるロシア軍による軍備の強化は、これら諸島に対する我が国の立場と相入れず、政府としては、ロシア側に対して累次にわたり抗議を行ってきています。
北方四島における共同経済活動については、九月の日ロ首脳会談でロードマップを承認し、十月初めにビジネスミッションを派遣しました。共同経済活動は、日ロが共に北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという新しいアプローチであり、その実現に向けた取組を通じ、北方領土問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができると考えています。
今後とも、あらゆる機会を捉えプーチン大統領と会談を行い、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、引き続き粘り強く交渉してまいります。
北朝鮮問題についてお尋ねがありました。
六月の歴史的な米朝首脳会談により、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動き出しています。この流れに更なる弾みを付け、日米、日米韓の結束の下、国際社会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければなりません。最重要課題である拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あらゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。
北朝鮮には、豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことができます。相互不信の殻を破り、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題を解決するとの決意で、引き続き全力で取り組んでまいります。
イージス・アショアの配備等、ミサイル防衛体制についてお尋ねがありました。
我が国の防衛を考える上で、我が国を射程に収める数百発の弾道ミサイルが現実に存在するという事実から目を背けることはできません。
防衛装備品については、事態が切迫してから取得しようとしても数年間という長期間を要します。国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応し得るよう、平素から万全の備えをすることは当然のことであると考えています。
政府としては、イージス・アショアの導入も含め、我が国の弾道ミサイル防衛能力の向上を進めるとの方針に変わりはありません。
日中関係についてお尋ねがありました。
今回の私の訪中は、日中平和友好条約の締結四十周年という節目の年に日本の総理大臣として七年ぶりの公式訪問となり、習近平主席や李克強総理との間で長い時間を掛けて大変率直で有意義な会談を行うことができました。
国際スタンダードの上に競争から協調へ、隣国同士として互いに脅威とならない、そして、自由で公正な貿易体制を発展させていく。習近平主席、李克強総理と、これからの日中関係の道しるべとなる三つの原則を確認しました。そして、この原則の上に、共に世界の平和と繁栄に建設的な役割を果たしていくことで一致しました。
隣国ゆえに様々な問題はありますが、首脳同士が率直に語り合うことで、そうした課題もマネージしつつ、大局的な観点から中長期的に安定した日中関係を構築していくことは、議員御指摘のように大変重要であると考えます。
五月の李克強総理の訪日、今回の私の訪中に続き、次は習近平主席を日本にお招きし、首脳同士の相互訪問を通じて、政治、経済、文化、青少年交流、地方交流など、あらゆる分野で交流、協力を一層発展させていきたいと思います。
全世代型社会保障制度についてお尋ねがありました。
少子高齢化が急速に進む中で、これまでの社会保障システムの改善にとどまることなく、システム自体の改革を進めていくことが不可欠であります。人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、年齢に関わらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。
既に、未来投資会議において、こうした観点から生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。その際、あくまで働く人の視点に立って、それぞれの高齢者の健康状態や就労形態の希望などに応じ、個々の高齢者が多様な選択をできるよう検討していく考えであります。
その上で、生涯現役社会を前提に、予防、健康へのインセンティブ措置の強化や、年金の受給開始のタイミングを自ら選択できる範囲を広げるなど、医療、年金も含めた社会保障全般にわたる改革を行う考えです。その際、御指摘のあった年金制度を現行の賦課方式から積立方式へ切り替えることについては、若い世代を含む全世代が自分の積立てに加えて現在の高齢者の給付を賄うこととなるいわゆる二重の負担の問題があり、難しいと考えています。
今後三年掛けて、子供から若者、子育て世代、現役世代、高齢者まで、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていきます。
待機児童対策の権限と財源の地方への移譲及び地方分権についてお尋ねがありました。
待機児童の解消に向けて、保育の受皿の整備については、その必要量の把握から計画の策定、実施等に至るまで、市町村が主体的な役割を担っております。その上で、待機児童の解消は待ったなしの課題であることから、国としても、市町村を積極的に支援し、最優先で取り組んでおります。
保育の受皿の整備を図る際には、その質の確保、向上も重要な課題であり、最低限遵守すべき基準を設けておりますが、例えば朝夕の時間帯における保育士配置要件の弾力化など、地域の実情を踏まえた柔軟な取扱いにも努めています。
安倍内閣の地方創生は、地方の意欲と創意工夫を応援するものであります。今後とも、国としての責任をしっかりと果たしつつ、地方の熱意と現場の生の声を真摯に受け止め、やる気のある地域を応援する地方分権改革を着実かつ強力に進めてまいります。(拍手)
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