安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 石井準一議員にお答えをいたします。
国土強靱化の取組についてお尋ねがありました。
この夏、大阪北部地震、西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、大規模な災害が相次いで発生しました。防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題であると改めて痛感しています。
政府としては、一連の災害に対し、関係自治体の復旧復興事業が進むよう、予備費を十分に活用して、発災後直ちにプッシュ型支援を実施するとともに、生活やなりわいの再建に向けた支援策の実施、激甚災害の指定などの対策を迅速に講じてきたところです。
また、一連の災害の被災地の復旧復興を更に加速し、ブロック塀改修等に対応するため、平成三十年度補正予算案に九千三百五十六億円を計上しているところであり、早期の成立の御理解と御協力をお願いいたします。
今後は、記録的な集中豪雨、経験したことのない暴風や大雨を伴う台風など、近年の災害を受けて現在進めているインフラの総点検の結果を始め、これまでの災害を通じて培ってきた経験や教訓を踏まえ、国土強靱化基本計画を年内に見直すとともに、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するなど、必要な予算を確保した上で、強靱なふるさと、誰もが安心して暮らすことができるふるさとをつくり上げてまいります。
自衛隊及び地方の建設業の人材確保等についてお尋ねがありました。
各種の災害が多発する中、自衛隊は、人命救助や生活支援など、被災者に寄り添った活動を行うことでその心の支えとなり、地方の建設業は、最前線で安全、安心の確保を担う地域の守り手として重要な役割を果たしています。
今後とも、自衛隊の多様な活動を支える人的基盤を一層強化していく観点から、民間企業での勤務経験を有する者など、幅広い層からの多種多様な人材の確保を図るとともに、育児や介護との両立支援施策の推進を図ることとしています。
また、地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていくため、受注機会の確保や予定価格の適正な設定、ダンピング受注の防止に取り組むとともに、生産性向上にも積極的に取り組んでまいります。
政府としては、少子高齢化という社会構造の大きな変化に直面する中においても、自衛隊や地方の建設産業を魅力ある職場とし、優秀な人材を確保していくため、働き方改革を積極的に推進してまいります。
福島再生についてお尋ねがありました。
福島では、避難指示が解除された地域において小中学校が再開するなど、復興は一歩一歩着実に前進しています。福島の皆さんの思いに寄り添いながら、引き続き、なりわいの復興、心の復興に強力に取り組む決意であります。
特に、福島イノベーション・コースト構想は、福島復興の切り札です。
この夏、南相馬市で福島ロボットテストフィールドが一部開所し、民間企業によるドローンの先進的な飛行試験が行われました。浪江町では、世界最大級の再生可能エネルギー由来の水素製造工場の建設が始まりました。ここで作られた水素は、福島県内のみならず、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会での活用も目指しています。
福島から、未来のロボット社会、エネルギー社会の姿を世界に向かって力強く発信してまいります。
復興庁の設置期間経過後の組織の在り方については、与党からも検討開始に向けた提言をいただいたところですが、今後、復興施策の進捗状況や、原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要であり、国が前面に立って取り組む必要があるといった観点を踏まえ、具体的に検討していく考えであります。
今後とも、福島の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、福島の再生に政府一丸となって取り組んでまいります。
地方創生のための交通ネットワークの整備についてお尋ねがありました。
鉄道や道路を始めとした交通ネットワークは、地域相互の交流を促進し、観光振興や企業立地など、地方創生に重要な役割を果たすものです。このため、利便性の高い交通ネットワークを早期に構築していくことにより、その効果を最大限発揮させていくことが必要です。
中でも、整備新幹線は、現在整備中の三区間を平成二十七年一月の政府・与党申合せにおける完成・開業目標時期に合わせ確実に開業させるよう財源を確保し、着実に工事を進めるとともに、北陸新幹線敦賀—新大阪間についても、駅、ルートに係る詳細調査等を着実に実施し、財源の確保を行うことで、整備計画路線の確実な整備に目途を立ててまいります。
新幹線等の交通ネットワークを軸に、日本全国北から南まで、地方と地方をつなぐ地方創生回廊をつくり上げ、地方に成長のチャンスを生み出してまいります。
保護主義の広まりと自由貿易の推進についてお尋ねがありました。
世界において保護主義の懸念が高まる中で、自由で公正なルールに基づく貿易を世界に広げていく重要性は一層高まっています。戦後、天然資源に乏しい我が国が目覚ましい経済成長を遂げることができたのは自由貿易体制のおかげです。TPP11や日EU・EPAを相次いで合意に至らせたことは、自由で公正な貿易を力強く前進させていくとの揺るぎない意思を全世界に示すものです。
今後とも、我が国は、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく貿易体制の強化を積極的に推進してまいります。
免震、制振技術に関する不正事案と質の高いインフラの輸出についてお尋ねが出ました。
世界的にも高く評価されてきた免震、制振技術の分野で検査記録の改ざんなどの不正事案が発生していることは大変遺憾であります。
現在、国土交通省において徹底した原因究明などを関係者に指示しているところであり、再発防止を徹底し、一日も早い信頼回復に向けた取組をしっかりと進めることが重要です。
また、政府は、拡大する世界のインフラ需要に対し我が国の質の高いインフラの輸出を促進しているところですが、これは我が国の企業や製品が世界各国からの信頼を得ていることが大前提です。
今後とも、我が国の技術への信頼を高めるための不断の取組を進め、質の高いインフラの海外展開を推進してまいります。
日米物品貿易協定交渉についてお尋ねがありました。
日本と米国は、戦後一貫して強固な同盟国であるとともに、経済大国として世界の自由貿易体制を共に牽引してきました。この土台の上に、先月、日米物品貿易協定の交渉を開始することで合意しました。
今後の交渉について現時点で予断を持って申し上げることは差し控えますが、双方の立場の違いをお互いに尊重しながら、両国の間の貿易を一層促進することによって双方に利益が得られるような結果が得られるように議論を進めていきたいと考えています。
いずれにせよ、農林水産品については、既に先般の日米共同声明において、過去の経済連携協定で約束した内容が最大限である、この大前提を米国と合意いたしました。
この点が最大のポイントであり、当然この前提の上に、今後、農林水産業に携わる皆様の不安なお気持ちにしっかりと寄り添いながら米国と交渉を行ってまいります。そして、我が国の基である農林水産業を必ずや守り抜く決意であります。
外国人材の受入れ拡充についてお尋ねがありました。
新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を我が国に受け入れようとするものです。
制度の運用に当たっては、できる限り客観的な指標により人手不足の状況を確認し、国内人材の確保や生産性の向上の取組を行ってもなお外国人材の受入れが必要と認められる業種に限り外国人材の受入れを行うこととしております。
また、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の検討を進めており、在留のための環境整備についても関連施策を積極的に推進するとともに、不法滞在者、偽装滞在者対策を含む犯罪防止の取組も的確に進めてまいります。
体制面においても、出入国在留管理庁を新たに設置し、管理体制を抜本的に強化し、国民の皆様に不安や懸念を与えることがないよう、政府全体として適切に取り組んでまいります。
軽減税率の導入に当たっての中小・小規模事業者の負担軽減についてお尋ねがありました。
来年十月に予定されている消費税率引上げに当たっては、前回の三%引上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応してまいります。
お尋ねの軽減税率制度については、政府としても、その円滑な実施に向けて、周知、広報や事業者の準備支援にしっかり取り組むことが重要と考えています。
このため、これまでも、軽減税率制度についてのQアンドAの公表や事業者向け説明会の開催を行うとともに、中小の事業者等が軽減税率に対応するために必要なレジ導入やシステム改修に使用できる補助金を設けるなど、様々な取組を推進してきたところです。
今後も、引き続き、関係民間団体等とも緊密に連携しつつ、制度の周知、広報等に努めるとともに、来年十月の実施に向けて、事業者の準備状況等を踏まえつつ、必要な措置を検討し、軽減税率制度の円滑な実施につなげていきたいと考えております。
柔軟な年金の受給開始時期の選択についてお尋ねがありました。
人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。既に、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保など、生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、来年の夏までに実行計画を決定する考えです。
その上で、高齢者の生活の支えである年金については、年金受給開始のタイミングを自分で選択できる範囲を広げていきたいと考えています。
共助の取組についてお尋ねがありました。
日本は古来から、朝早く起きて額に汗して田を耕し、水を分かち合いながらみんなで五穀豊穣を祈り、そして、病気に倒れて満足に田畑を耕せない人がいれば、みんなでお米を持ち寄って助け合ってきた。懸命に生きる人同士が、苦楽を共にする仲間だからこそ、何かあれば助け合う。我が国にはそのような共助の精神があると考えています。
この夏の一連の災害は、列島に大きな被害をもたらしました。他方で、困難な中にあっても、人々は整然と助け合い、譲り合いました。そして、多くのボランティアの方々が被災地に入って活動した。これは、まさにこうした共助の精神の表れではないかと考えております。
企業は今、過去最高の収益を上げています。こうした収益を着実に賃上げにつなげていく、そしてさらに、未来への投資を大胆に行い、成長と分配の好循環をしっかりと回していく。アベノミクスの取組を通じて、この好循環を更に力強いものとすることがより良き未来につながっていくのではないかと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣山本順三君登壇、拍手〕