吉川貴盛の発言 (本会議)
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○国務大臣(吉川貴盛君) 小川議員の御質問にお答えいたします。
将来の漁業者人口及び漁村集落数についてのお尋ねがありました。
近年の年齢階層ごとの変化率や新規就業者数を前提として水産庁が行った試算においては、今後漁業就業者数は徐々に減少し、二〇五三年以降約七万人程度で収束する可能性があると予測されています。
漁村集落数について、漁業センサスによれば、定義は異なるものの、一九九三年の調査結果では漁業集落数は六千五百八十五集落であり、直近の二〇一三年の調査結果では六千二百九十八集落となっています。同一の定義で調査された二〇〇三年の調査結果から二〇一三年の調査結果では、集落数にはほとんど変化はありません。
このことから、漁業集落数の減少は漁業者数の減少ほど大きくないと考えておりますが、今後相応の減少が生じると見込まれます。
漁村が有する多面的機能についてのお尋ねがありました。
我が国の水産業は、周辺水域の豊かな漁場を活用し、国民に対して水産物を安定供給するとともに、漁村地域を維持発展させてきました。また、これらが相まって、国境監視も含めた多面的機能の発揮に貢献するなど、我が国にとって極めて重要な機能を有していると認識しています。
この多面的機能が将来にわたって発揮されるよう、今回の法案において、国及び都道府県は、漁業、漁村が多面的機能を有していることに鑑み、漁業者等の活動が健全に行われ、漁村が活性化するよう十分に配慮することとしたところであります。
今後も、漁業、漁村を支える人材の育成、確保、干潟の保全などの漁村における地域活動の促進等を通じて、漁業生産力の発展とともに漁村地域の維持発展を図り、多面的機能の発揮に努めてまいります。
漁業法改正についての沿岸漁業者の声や影響についてのお尋ねがありました。
我が国の沿岸漁業については、少量でも多種多様な水産物を水揚げするとともに、漁村地域の維持発展や国境監視も含めた多面的機能の発揮に貢献してきたと認識しております。
しかしながら、地先で水揚げされる魚種の生産量も減少傾向にあり、漁業者の減少、高齢化が進む中で、地域によっては漁場の利用の程度が低くなっているところもあり、今後どのように沿岸漁場の管理や活用を図って地域の維持、活性化につなげていくかが課題となっています。
こうした中で、現場の漁業者からは、今後も漁業を続けていきたい、国がしっかりと後押ししてほしいといった声をいただいてきました。今回の法改正は、こうした課題や声を踏まえて行うものであり、これにより、沿岸漁業、漁村の維持発展等につながるものと考えております。
水産政策審議会や漁業者への説明についてのお尋ねがありました。
今回の水産政策の改革の取りまとめに当たっては、例えば昨年十二月の改革の方向性を定めた際など、節目節目で水産政策審議会に説明し、意見をいただいたところです。このほかにも、改革の内容や改正法案の考え方等について漁協や漁業者等と意見交換を行い、本年六月から十月末までの間に全国各地で九十九回の説明会等を実施し、漁業者の全国団体から改正法案について理解をいただいているところです。
もちろん、説明には十分過ぎるという言葉は当てはまるものではなく、一人でも多くの漁業者の方に御理解をいただけるよう、今後も引き続き丁寧な説明に努力してまいります。
予算の額と漁業法改正との関係についてのお尋ねがありました。
今年度の水産関係予算の額は千七百七十二億円、来年度の概算要求額は三千三億円となっております。来年度予算において要求した内容は、水産政策の改革の実行に必要なものであり、漁業者を説得するために予算を要求したとの御指摘は当たりません。
我が国の漁船の安全操業についてお尋ねがありました。
我が国周辺水域における外国人による違法操業については、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなることから、海上保安庁とも連携して取締りをしっかりと実施しております。さらに、これら違反漁船の所属する国に対しても再発防止を強く申し入れております。
農林水産省としては、引き続き、我が国漁船の安全操業の確保に最善を尽くしてまいります。
今般の改正は企業参入を容易にするためのものかとのお尋ねがありました。
現行制度については、漁業権の存続期間満了時に優先順位のより高い者が申請してきた場合には、再度免許を受けられないため、経営の持続性、安定性を阻害しかねません。
また、漁業者の減少、高齢化が進む中で、地域によっては漁場の利用の程度が低くなっているところもあり、今後どのように沿岸漁場の管理や活用を図って地域の維持、活性化につなげていくかが課題となっています。
このため、本法律案においては、法律で詳細かつ全国一律に漁業権免許の優先順位を定める仕組みを改め、漁場を適切かつ有効に利用している漁業者については優先して免許する仕組みとするとともに、利用の程度が低くなっている漁場については、地域の実情に即して水産業の発展に寄与する者に免許することとしております。
このように、今般の改正は、単に企業参入を念頭に置いたものではなく、現に地域の水産業を支えている漁業者の経営の発展に向けたインセンティブとなるとともに、域外の企業との連携や新規参入も含めた多様な手法による地域の活性化を実現するためのものであると考えております。
養殖業への企業の参入についてのお尋ねがありました。
近年、大規模な設備投資等が必要となるクロマグロ養殖を中心として、地域と協調した企業の参入が進んできております。他方、養殖業は、漁場環境に負荷を掛ける場合があることは議員御指摘のとおりでございます。
このため、本法律案においては、漁業権者の責務として漁場を適切かつ有効に活用するよう規定し、養殖業については漁場の環境に適合する生産に努めていただくようにしております。
さらに、本法律案においては、都道府県知事が漁業権者から漁場の利用状況等についての報告を受け、仮に養殖業によって漁場環境の悪化等が生じるおそれがある場合には、指導及び勧告等を行うこととしております。
このような制度により、御懸念のような事態が生じないよう適切に対処してまいります。
なお、沿岸漁業管理制度については、企業の養殖業への参入いかんにかかわらず、漁業生産力を更に発展させるために水産動植物の生育環境の保全等の観点から創設したものであります。
IQ制度の懸念についてお尋ねがありました。
本法案では、準備が整った管理区分からIQを導入することとしており、我が国漁業の実態を踏まえつつ、まずは規模の大きな沖合漁業から順次導入していくことを想定しております。
沿岸小規模漁業を営むそれ以外の漁業種類については、漁獲量の把握体制等の準備が整ったものから、漁業者の理解を得つつ、丁寧に進めてまいります。
MSYの導入についてお尋ねがありました。
資源の減少に伴い低迷している漁業生産量を、最適の水準、すなわちMSYに回復させようとするのが今回の改革の目的であり、より確実にこの実現を図るため、目標管理基準値等を導入することとしています。
その趣旨は、漁業者に対し、いつまでどれだけ我慢すればどんな資源状況になるのか、それに伴い漁獲がどれだけ増大するかを明確に示し、その理解を得て資源管理を着実に実施していくということであり、この趣旨を漁業者に対し、しっかりと説明してまいります。
また、MSYの設定については、その精度の向上により、信頼性を高める一方で、欧米における柔軟なMSYの設定の例も参考に我が国の水産資源の実情や漁業秩序に即した運用を行います。
優先順位の廃止等が漁業者に不利益をもたらすのではないかとのお尋ねがありました。
特定区画漁業権は、多数の漁業者により営まれる養殖業の種類を法定し、漁協を優先順位の第一としていましたが、養殖の実態が多様化しているため、その実態に応じて漁業者か漁業者の組織する漁協かのいずれかに免許できるよう制度を見直すものであります。
今回の見直し後も、漁協が免許を受けて漁場を適切かつ有効に利用している場合には、漁業権の存続期間の満了後も、その漁協に優先して免許することとしております。
また、新たな区画を設定する場合にも、都道府県知事は、事前に地元の漁業者や漁協等の意見を聴いて海区漁場計画を作成し、周辺で操業する他の漁業に支障を及ぼさないように漁業権を設定しなければならないこと、計画に基づいて免許する際にも、海区漁業調整委員会の意見を聴き、地域の実情に即して地域の水産業の発展に寄与する者に免許することとしております。
こうした制度が適切に運用されることにより、地域の漁業者が不利益を被ることがないように対応してまいりたいと考えています。
漁業の免許における判断基準についてお尋ねがありました。
免許の制度については、個々の事案ごとに地域の漁業に精通する都道府県が実態に即して判断することとなりますが、都道府県によって判断の基準が大きく異なることがないようにする観点から、国が技術的な助言を定め、その考え方を示していく考え方であります。
また、免許に際しては、事前に既存の漁業者等の利害関係人の意見を聴いて検討を加え、その結果を踏まえて海区漁場計画を作成しなければならないこと、この計画作成や計画に基づく免許についても、地元の漁業者が主体となる海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならないこととしております。
このように、知事が恣意的に運用することができない仕組みとしており、その基準が裁量によってゆがめられることはないものと考えております。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕