小西洋之の発言 (本会議)
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○小西洋之君 立憲民主党・民友会の小西洋之です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました日EU・EPAに反対、日EU・SPAに賛成の立場から討論をいたします。
冒頭、昨日午前中からの法務委員長解任、法務大臣、そして安倍総理の問責決議案の審議にもかかわらず、先ほど法務委員会において入国管理法案の採決を強行したことに断固抗議をいたします。
さて、両条約の議論の前提として、安倍外交の在り方、特に、現在日ロ間で進められている平和条約交渉なるものについて指摘をします。
先般の日ロ首脳会談において、安倍総理は、国民、国会に何の説明もないまま、突如、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることで合意したと表明しました。我が国は、これまで、一九九三年の東京宣言、二〇〇三年の日ロ行動計画などの両国間の公文書において、四島の名称とその帰属の問題の存在を明記した上で、我が国の固有の領土である北方四島の帰属問題を解決し平和条約を締結するとの基本方針に基づき交渉に努めてきました。
しかし、安倍政権は、交渉の加速、その交渉への影響なるものを理由に、これまでの我が国の立場を始めとして交渉に関する一切の説明について徹底した答弁拒否を始めました。その中で、あろうことか、河野大臣は、我が会派の白眞勲議員による、政府は北方四島が我が国の固有の領土であると考えているのかとの質問について、何度尋ねても、政府の法的立場は変わらないと答えるのみに終始し、この法的立場の意味を含め、それ以上の説明を徹底拒否したのであります。
北方四島について我が国の固有の領土であると国会で明言し答弁することを拒否する安倍政権とは一体何者なのでしょうか。安倍総理は、国民と国家をどこに連れていこうとしているのでしょうか。
一方、プーチン大統領は、日ソ共同宣言に基づく歯舞諸島と色丹島の引渡しについて、日ロどちらの主権が及ぶか書かれていないと述べ、さらに、ロシアの大統領補佐官は、新たな交渉の枠組みでは島の引渡しは議題にならないと述べるなど、ロシア側は自国の主張を実に奔放に様々な場で行っているのであります。
実は、安倍政権には、我が国固有の領土に関する主権問題で、国会と国民をだまして他国に不当に譲歩したあしき実例があります。それは、平成二十六年の第二次安倍政権で初めての、ようやくにしての日中首脳会談前に両国間で結ばれた四項目の確認事項であります。
安倍政権は、両国政府で意見の一致を見たと明記する四項目について、外交世界の常識、外交の鉄則に反し、共通言語たる英語による両国共通の公文書を作成せず、しかも中国政府が公表する中国語及び英語の文書の内容について事前の必要な確認を行いませんでした。
その結果、中国政府による文書には、両国の間に尖閣諸島をめぐる領有権問題が存在することを両国政府が認めたという旨の、日本政府による日本語及び英語の文書とは全く異なる、当然、我が国のこれまでの主張と全く異なる見解が明記されてしまっているのであります。この四項目をもって、中国は自国の主張を全世界に喧伝し、安倍総理との首脳会談に応じたのであります。
まさに、安倍政権の行ったことは外交の名に値しない暴挙そのものであります。安倍内閣は、これと同じことを北方領土について行おうとしているのではありませんか。
さて、河野大臣は、答弁拒否の代わりに、政府の考え方や方針について交渉の場以外で申し上げないのが交渉方針である、交渉以外の場の場外乱闘は交渉に決して得にはならないなどと答弁をしています。
安倍内閣から見る国権の最高機関、国会とは、場外乱闘の場なのでしょうか。こうした発言は、議院内閣制の下、外交関係の処理を含め、行政権の行使について監督責任を担う国会を否定するものであり、そして我々国会議員の審議をこの上なく冒涜する暴言であります。
一方で、河野大臣は、安倍内閣への入閣に際して、御自身のブログを閉鎖した上で、あっさりと変節された脱原発の御主張からか、平成二十年の衆議院外務委員長時代に、アメリカ、インドの原子力協定について外務省から明確な答弁がなかったと厳しく指摘した上で、重大な問題については外務委員会において外務省がきちんとその立場を明確にしてこの場で質疑いただけるようにお願いしたいと、政府に対し異例の厳しい叱責を行っています。しかし、これも立場が変わった途端に百八十度態度を変え、変節されてしまっているわけであります。
我々は、北方領土問題の交渉を、このような政治家に、このような大臣に、そしてこのような政府に白紙委任したわけでは断じてありません。安倍政権の姿勢は、国会を否定し、そして国益を毀損しかねない前代未聞のものであることを厳しく批判するのであります。
その上で、北方領土交渉と同様に安倍政権が秘密裏に交渉を進め成立された日EU・EPAの問題点を指摘します。
本来、EPAとは、自由で公正なルールの下、海外進出企業のみならず、我が国の生活者や消費者にも恩恵をもたらすものであるはずです。しかし、今般のEPAの内容が我が国の国益を守るものになっているか、甚だ疑問であります。
これまで安倍政権は、五年以上に及んだEUとの交渉において、TPPと同じような機密保持約束がなかったにもかかわらず、乳製品を始めとする国内農林水産業やEUへの進出企業に及ぼす影響を判断するのに必要な情報提供などの説明責任を全く果たしてきませんでした。こうした安倍外交の特徴である秘密主義、かつ国益無視の外交交渉の結果、本EPAは様々な分野で問題点を残すものとなっています。
保護主義への対抗を名目に、国益保持の検証が不十分なまま、政権の点数稼ぎのため、早期の締結ありきで拙速に国会審議を進め、挙げ句の果てには委員長による職権採決に及んだ政府や与党の姿勢は、到底容認できるものではありません。
具体的に、政府による国内農林水産業への影響試算及び経済効果試算は、極めて楽観的、非現実的、そして恣意的なものであります。
本EPAにおいて、我が国は、農林水産物について、国益を脅かすレベルで合意したTPPと同水準の約八二%の品目の関税撤廃を約束しました。さらに、個別の品目でも、EUが対日輸出拡大を目指すソフト系チーズ等の一部乳製品、パスタ、ワインなど多数の品目でTPPを上回る自由化を約束しており、農林水産業への影響は甚大となることが懸念されます。
政府は、本EPAの発効により農林水産物の生産額が最大で約一千百億円減少するとの試算を公表しましたが、体質強化や経営安定対策などにより、どの品目でも国内生産量が維持されると、楽観極まりない分析を示しています。
これら農林水産業への打撃などの懸念に対し、政府は、総合的なTPP等関連政策大綱を策定し、万全の対策を講じていると繰り返し豪語しています。しかし、この大綱は僅か十七ページ、農業など悪影響への数値評価は全くなく、各政策分野の数値目標も既存の成長戦略の引き写しであり、政策実現の工程表などPDCAサイクルも全く措置されていません。これのどこが、TPPと同じく、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、国民の不安を払拭するものなのでしょうか。攻めることも守ることもできず、国民と国益を犠牲にした無能で無責任な失政というべきものではないでしょうか。
最後に、我が会派が賛成する日EU・SPAの第二条の一には、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由に関する責務が規定され、これらについては本協定に基づく協力の基礎の不可欠の要素と位置付けられ、両締約者は、これらの義務の特に深刻な、かつ重大な違反が平和及び安全を脅かし、特に緊急を要する事案として扱われ得ることを認識することと規定されています。
複数の元内閣法制局長官が、自国防衛の名に借りた国際法違反の先制攻撃、違法戦争であると国会陳述などで批判する限定的な集団的自衛権行使などの違憲立法の強行など、民主主義、法の支配、人権、基本的自由を破壊する暴挙を重ねている安倍政権を一刻も早く打倒し、本SPAの規定の適正な運用を確保する決意を申し上げ、私の討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)