大島九州男の発言 (本会議)

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○大島九州男君 国民民主党・新緑風会の大島九州男です。
 私は、会派を代表し、漁業法等の一部を改正する等の法律案に反対の立場から討論をいたします。
 まず最初に、この法案につながる一つの出来事の真実をお伝えをさせていただきます。
 その出来事とは、東日本大震災発災当時、松本龍復興大臣が宮城県知事に対し暴言を吐いたとされる出来事のことであります。当時、マスコミは松本龍大臣を大変激しくバッシングをしました。しかし、その場にいた自民党の小野寺五典前防衛大臣は、当時の松本大臣の御発言は何ら非難されるものではなかったとはっきり明言をされました。
 そのときの松本大臣の発言のきっかけとなったのが、今回提出されました漁業法の一部を改正する法律案による漁業権見直しへとつながっていくこととなる水産業復興特区を村井知事が提案をし、強行に進めようとしたことでありました。
 松本先生は、村井知事に対してこのように指摘したのであります。漁港を三分の一から五分の一に集約すると言っているが、県は事業者とコンセンサスを得る努力をしていないのではないか。漁業関係者の意見も聞かず、東京のコンサルタント会社の報告書をうのみにして、漁業関係者の意見集約もしていないのではないか。
 つまりは、復興会議で漁業組合に代わる漁業権の進出を画策した村井知事の行動に、震災の混乱に乗じた市場原理主義勢力との癒着がかいま見えていたことに対して忠告を行ったというのが事実であります。
 そのことをこの機会に皆さんにしっかりお伝えをさせていただき、松本龍先生の御冥福をお祈りさせていただきながら、討論に入らせていただきます。
 反対の第一の理由は、審議時間が圧倒的に不足していること、また、与党による強引な委員会運営がなされたことです。
 安倍総理は、今国会の所信表明演説において、七十年ぶりに漁業法を抜本的に改正いたしますと発言をいたしました。実に七十年ぶりの大改革を行う改正案について、委員会で十分に審議がなされたと言えるでしょうか。
 参議院農林水産委員会では、参考人質疑は行われたものの、僅か二日の審議で採決が行われてしまいました。漁業者の生活に非常に大きな影響がある大改正であるのに、これでは十分な審議を行ったと到底言えるものではありません。本来であれば、会期の短い臨時国会で急いで成立させるようなものではなく、常会でじっくりと慎重に審議すべきだったのではないでしょうか。
 第二の理由は、改正案に関する漁業者への説明が十分でなく、漁業者の理解が全く進んでいないことであります。
 水産庁は、水産改革や改正案について全国で説明会を行ったとしていますが、実際に浜を回ると、漁業者一人一人にまで改正案の内容が周知されているとは到底言えません。
 そもそも、この改正案は、漁業者の要望から始まって取りまとめられたものではありません。改正案は、規制改革推進会議の提言によって進められたもので、漁業者の目線に立ったものでもありません。浜の声を聞かず、委員の方針に沿って作り上げられた改正案が、漁業者のためを思って、そして日本の漁業のためを思ってこの国会に提出されたものとは到底言えるものではありません。
 第三の理由は、漁業権の優先順位が廃止されることであります。
 漁業権は、漁業者が漁業を行って生活をしていくために必要不可欠な権利であります。改正案では、漁場を適切かつ有効に活用していれば引き続き漁業権が免許されるとしていますが、何をもって適切かつ有効とするかは改正案のどこにも書いてありません。委員会の場で多くの議員が何度もただしましたが、明確、具体的に納得できる答弁は得られませんでした。もうかるかもうからないかという、今だけ、金だけ、自分だけの安倍内閣のお家芸の基準で担い手の選抜が行われかねない、まさにこの点を漁業者の皆さんは不安に思われているのではないでしょうか。
 政府は、都道府県によって判断の基準が大きく異なることがないようにする観点から、国が技術的助言を定めるとしていますが、技術的助言には法的な拘束力がありません。適切かつ有効に活用しているかどうかはあくまでも知事の判断に委ねられるため、恣意的な運用により、浜で生活してきた漁業者が漁業権を失うという事態も起こり得るのであります。生まれ育った浜で漁業を行うということができなくなれば、漁業者が生業を失い、生活できなくなってしまいます。漁業者の行っていた漁業を大規模な企業が行うようになるような影響は、漁業者だけではなく地域全体に及びます。
 地元の漁業者が養殖を行う場合、地元の商店から餌を購入し、農閑期の地元農業者に手伝いをお願いして賃金を支払うということもあるかもしれません。しかし、企業の場合には、利潤を上げるためコスト削減が必要になりますので、人件費を削るために機械を導入し、資材は地元とは無関係の業者から低価格なものを調達することが想定されます。これでは、企業が入ってきてもその地域の経済は潤いません。また、企業が地元の漁業者を雇用する場合にあっても、経営がうまくいかず、撤退することも考えられます。そうすれば、地元の漁業者は仕事を失い、漁村の荒廃にもつながりかねません。
 漁業権が漁協ではなく企業に免許されるようになれば、領海、国境が外国人によって支配される懸念もあります。現在は、漁業者が日々海に出て漁業を行うことにより、また、独自に水域のパトロールを行うことにより、資源を守るとともに、密輸、密入国、不法操業等への抑止力としての役割も果たしています。外国資本の企業が漁業権を得ることになれば、このような監視機能が弱まることも懸念されます。また、海難救助においても、漁業者、漁協は大きな役割を果たしており、多くの海難船舶、海浜事故について漁村の人々が救助を行ってきました。
 漁業者や漁協は純粋に漁業だけを行っているのではありません。効率性を追求し、利潤追求のために漁業を行う企業がこうした役割を果たせるのでしょうか。地元の漁業者が行っていた漁業が企業に取って代わられることの影響は計り知れません。
 第四の理由は、漁獲数量管理、いわゆるTAC管理の有効性が明らかではないことです。
 水産資源は、漁獲による影響だけではなく、環境変化の影響も受けて変化します。また、親が増減したときにどの程度子供が増減するのか、再生産関係の把握が難しい魚種も存在します。TAC管理は、再生産関係に依拠する最大持続生産理論、MSY理論を前提としたもので、TAC管理が本当に有効なのかの疑問が残るところであります。
 IQの実施にも懸念があります。
 IQの実施に当たっては、IQの割当てを受ける船舶がそれぞれ割り当てられた量を守っているか監視する必要があり、その監視コストは膨大になります。農林水産省の人員削減が進み、予算も限られる中で、違反者を漏れなく取り締まることなどできるのでしょうか。取締りが十分に行われず違反者が多く出れば、資源管理を有効に行うことができなくなってしまいます。その結果、法の信頼性をなくしてしまいます。
 更に問題なのは、TAC管理を強める一方で、それが成功するかどうかも分からないうちから漁船のトン数規制を撤廃することであります。
 漁船が大型化すれば、当然、漁業の効率性が上がり、漁獲量も増加することが予想されます。TAC管理が本当に有効で、TAC管理やIQによって資源が回復することが証明された後であれば、IQを遵守する船の大型化を認めることはあり得ると思いますが、TAC管理の効果が検証できていない段階で規制を撤廃するのは、いたずらに漁獲量を増加させ、資源を減少させることになり、時期尚早ではないでしょうか。
 第五の理由は、海区漁業調整委員会の公選制が廃止されることです。
 これまで、海区漁業調整委員会の漁民委員は、そこに住む漁業者の中から選挙によって民主的に選ばれておりましたが、改正案では、知事が議会の同意を得て任命する仕組みになります。知事に近い人物が委員として任命されるようになれば、漁業者の声はますます届きにくくなっていきます。
 政府は、選挙を行うと漁業者の多い地区や漁業種類から委員が選ばれやすく、投票実施率が低いことを廃止の理由としています。実際に選挙が行われないケースが多いのが事実です。やはり民主的な選挙の仕組みは、すべきではないと思います。
 本法案は、企業の参入を促進し、事業者の生活を脅かすものにほかなりません。また、漁業者にとって非常に重要な権利である漁業権を大きく変える大改正であるにもかかわらず……

発言情報

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発言者: 大島九州男

speaker_id: 19475

日付: 2018-12-08

院: 参議院

会議名: 本会議