布山祐子の発言 (厚生労働委員会)
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○布山参考人 経団連労働法制本部統括主幹の布山と申します。
私は、政府提案の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成する立場から意見を述べたいと思います。
本日、資料としてお配りをしております二〇一九年版の経営労働政策特別委員会報告にも記述をしておりますが、経団連は、デジタル革新によって、国連のSDGsの達成に貢献しながら、新たな価値を創造していく社会、ソサエティー五・〇フォーSDGsを目指してさまざまな取組を行っております。
まず、企業が変化することで、産業の新陳代謝と構造変革を促進しなければなりません。その際、企業にとって最も重要な課題は、職場環境の整備であると考えております。
年齢や性別、国籍などさまざまな属性の人材が、知識や能力、経験を生かし、働きがいを感じながら、協働することができる職場でなければ、イノベーションは創造できないと思っております。
法案に盛り込まれております、女性活躍に関する一般事業主行動計画策定の対象の百一人以上三百人以下規模の企業への拡大、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化は、経団連が目指すソサエティー五・〇の実現に向けた課題解決のために重要な見直しであると考えております。
以下、各法案の内容について具体的に述べたいと思います。
まず、女性活躍推進法についてでございます。
女性活躍推進法が二〇一五年に施行され、各企業は女性活躍推進に向けた取組を加速させております。その結果が、女性の就業者数の増加や、女性の役員比率、階層別役職者に占める女性の割合の上昇として形にあらわれていると思っております。
一般事業主行動計画策定の義務の範囲が百一人以上三百人以下の企業に拡大することにより、日本全体における女性の活躍推進が一層進むことを期待しております。
三百一人以上の企業は、職業生活に関する機会の提供に関する実績、それと、職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績、女性の活躍にとって重要なこの各区分から一項目以上、情報公表することになります。
数字は、それだけがひとり歩きしてしまう、そういう危険を伴います。特定の項目の公表を義務づけるというのではなく、現行の情報公表項目をカテゴリー分けし、企業に公表する項目の選択の余地を残していただいている点を評価しております。
また、柔軟な働き方や、仕事と家庭の両立に資する法定以上のさまざまな制度を設けている企業は多くあります。既定の定量的な項目だけではなく、そうした制度の内容の公表も、より女性求職者の職業選択に資すると考えております。これは省令事項になるかと思いますが、労政審の建議で書かれている「「法定を上回る企業内制度」の概要」、この項目追加を希望しております。
次に、えるぼし認定制度については、七割弱の企業が一番基準の高い三段階目の認定を取得しております。認定制度について当時の審議会で議論していた際には想定していなかった、大変喜ばしい状況となっております。さらに、優良な企業を認定する特例の認定制度が創設されれば、各企業における女性活躍の推進が加速されるのではないかと期待しているところでございます。
次に、ハラスメント防止対策についてでございます。
職場のパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどのハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つけるなどの人権にかかわる許されない行為だと思っております。
働く人々が仕事にやりがいを見出し、持てる能力を発揮していく上で、働きやすい職場環境が不可欠です。また、企業が持続的に成長するためには人材の確保、育成が必須であり、その根幹は人間関係が良好な職場だと思っております。すなわち、従業員と企業双方にとって、職場におけるパワーハラスメント防止に真剣に取り組む必要があると考えております。
経団連では、職場のハラスメント防止の重要性に鑑み、昨年、ハラスメント防止対策キャンペーンを実施いたしました。具体的には、中西会長から会員企業に対し、「職場のハラスメント防止に向けたさらなる取り組み推進のお願い」を呼びかけるとともに、人事担当者を対象にした職場のハラスメント防止対策セミナーを実施するなど、周知啓発を積極的に展開いたしました。
実際にパワーハラスメント防止に積極的に取り組んでいる企業の取組についてヒアリングをしたところ、現行の均等法指針に示されているいわゆる職場におけるセクシュアルハラスメント防止措置同様に、一つは事業主の方針の明確化及び労働者への周知啓発、二つ目として相談体制の整備、三つ目として事後対応等を実施しているところでございます。
ところで、セクシュアルハラスメントは、業務と無関係の言動であり、業務上の必要性もないため、白黒の判断がしやすいという面があります。他方、パワーハラスメントは、業務に関する指示、指導や注意などと密接に関連するため、その言動が業務の適正な範囲かどうかを判断する必要があります。したがって、本人の訴えのみで判断をしない仕組みをつくることが重要であると考えております。
また、パワーハラスメント防止に取り組んでいる企業の多くは、二〇一二年に厚生労働省の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告で示された、職場のパワーハラスメントの概念と六つの行為類型を参考にしております。そうした企業に混乱を生じさせないためにも、そのワーキング・グループで示された概念等が、労使関係者も参加した職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会を経て、労政審の議論においても踏襲され、それが法案に反映されて、パワーハラスメントについて、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義されたことを評価しております。
企業の方々から、パワーハラスメントという言葉の認知度が高まる一方で、相談者にとって不快な言動や納得できないことを全てパワーハラスメントとして捉えるなど、本人の受けとめのみを判断基準として訴える事例が増加していると伺っております。そうした行動は、上司の適正な指示や指導までをも逡巡させ、人材育成にも多大な影響を及ぼしかねません。企業がパワーハラスメント防止に取り組むに当たり、多くの具体例を示していただくことも必要ではないかと思っております。
事業主が講ずべき措置は、セクシュアルハラスメントや妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント防止措置と同様の枠組みであり、既にある枠組みを活用できることにより、新たな体制を整備することに比べれば、企業の負担はそれほど大きくないと思っております。セクシュアルハラスメントやいわゆるマタニティーハラスメント、パワーハラスメント防止に向けて一体的に取り組むことで、これまで以上の効果を発揮できるよう、企業として取り組んでまいりたいと思います。
セクシュアルハラスメント防止対策について、他社の措置の実施に関する協力に応ずる努力義務は、セクシュアルハラスメント対策強化に資する見直しだと考えております。
パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントによりつらい思いをする従業員が出ないように、企業として、周知啓発を始めとする教育をしっかり行ってまいりたいと思っております。今回の法案にあるとおり、社会全体の関心と理解を深めるための広報活動も大変重要です。国の積極的な周知啓発活動をお願いしたいと考えております。
女性活躍推進法等の改正法案は、労働政策審議会で公労使が真摯に議論して取りまとめたものを踏まえていただいております。喫緊の課題であるパワーハラスメント防止策、セクシュアルハラスメント防止策の強化を盛り込んだ法案をぜひ成立させていただきたく存じます。
以上でございます。(拍手)