眞保智子の発言 (厚生労働委員会)
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○眞保参考人 おはようございます。法政大学の眞保智子と申します。
本日は、衆議院厚生労働委員会に、障害者雇用の促進に関する法律の一部を改正する法律案の御審議に際しまして参考人として貴重な機会をいただきまして、感謝申し上げます。
また、四月に改訂版として刊行いたしました拙書「障害者雇用の実務と就労支援 「合理的配慮」のアプローチ」をお手元にお届けすることができました。これを機会に、私も携わっております企業に対します障害者雇用の実践につきまして御紹介できましたこと、ありがたいと思っております。
私は、働き方改革実行計画を受けて平成二十九年九月に設置されました今後の障害者雇用制度の在り方に関する研究会に委員として携わる機会をいただきました。研究会での議論を反映させていただいております障害者雇用促進制度に基づく特例給付金の創設と、基準に適合する事業主の認定につきましてお話をさせていただきたいと思っております。
まず、特例給付金の創設でございます。
平成二十五年の法改正によりまして、平成三十年四月から、精神障害のある方の雇用の義務化が施行されております。
お手元の拙書百五十三ページからなんですけれども、中小企業で精神障害のある方の雇用にかかわる合理的配慮につきまして書かせていただいております。
精神障害のある方は、拙書百五十四ページから百五十七ページの事例にございますように、検査やそれに伴う事務ですとか、広い仕事で戦力として業務を担える方も少なくございません。ただ、障害特性と御本人の希望や状況に合わせた合理的配慮は必要です。御紹介するこの事例の場合は、勤務時間と通院日の確保、わからないことや不安があったときに相談できる人の配置を行いました。
また、百五十四ページの情報提供シートの職歴欄でわかりますとおり転職を繰り返されていらっしゃいますが、以前は障害をオープンにせずに働かれていましたので、合理的配慮提供を受けることができなかったことが大きな理由でございました。
この事例のときは、障害をオープンにされて働くことを希望されていましたので、仕事のマッチングと合理的配慮提供のためにインターンシップを行いました。同じページの本人希望欄にございますようにフルタイム勤務希望でございましたが、障害特性を考え、御本人にも納得いただき、百五十五ページ、インターンシップ観察シートの実習時間欄にありますように、一日三時間勤務と四時間勤務の二パターンを経験していただいております。
実際にインターンシップをすることで、御本人も御自身の状況を把握され、フルタイム希望でしたが、百五十六ページ、採用に当たっての配慮事項記録シートにありますように、企業とも相談の上、短時間トライアル雇用を利用して週十五時間から働き始められ、現在は二十時間を超えた勤務をされております。
もとより、障害のある方の働く場における障害特性とそれに伴う困難は個別的でございます。したがいまして、取り上げました事例はあくまでも一例でございます。また、今回御紹介した企業は、常用労働者二十名ほどの小規模な企業ですので、特例給付金の対象にはならないかもしれませんが、しかし、参考資料の百二十八ページにございますJEED、高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査でも、精神障害のある方は、就職当初から他の障害に比べて職場定着は低い傾向にございます。一方で、短時間から始めて、徐々に勤務時間を延ばしていくことで安定的に働くことができるケースはこれまでも報告されているところでございますので、特例給付金の創設はこうした取組を応援していただくものだと考えております。
次に、基準に適合する事業主の認定でございますが、JEED、高齢・障害・求職者支援機構がこの三月に報告書に取りまとめられました障害者雇用制度の改正等に伴う企業意識・行動の変化に関する研究によれば、平成二十五年の法改正による差別禁止規定及び合理的配慮提供義務規定の認知率は、いずれも企業規模が小さくなるほど低いという結果が示されております。
したがいまして、障害者雇用にかかわる取組の実施状況がすぐれているものである等の基準に適合する中小企業を認定することを通じまして、まだ障害者雇用に一歩踏み出せずにいる企業に対して、社会における障害者雇用の進展に対して関心を持っていただけるきっかけになると考えております。
また、法律に明記されることで、官公庁や地方自治体における優先調達や制度融資などの仕組みも整備される可能性があり、先進的な取組をしている中小企業が社会的にも経済的にもメリットを得られると考えております。
特例給付金と基準に適合する事業主の認定は、いずれも、障害特性及び障害のある労働者の状況に配慮して、それぞれの企業でほかに先駆けて工夫を積み重ね、障害のある労働者が働きやすい環境を整備し、働き続ける実績を積み上げたことを評価するものでございまして、障害者雇用の促進に資する制度であると考えております。
最後に、このたび、人事院の統一試験による最終合格者の六割弱が精神障害のある方であり、精神障害がある方が職場に適応して安心して働ける方策が今後一層求められると思います。
拙書百七十九ページから、リフレクションペーパー、略してRPと呼んでおりますが、この一部を紹介しております。これをエクセルで簡単に運用できる仕組みを現在開発中でございまして、企業、支援機関と連携してデータを積み上げて、微力ではございますが、障害者雇用の促進に資する実践ができますよう、今後とも頑張ってまいりたいと存じております。
本日は、貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)