谷川とむの発言 (厚生労働委員会)

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○谷川(と)委員 自由民主党の谷川とむでございます。
 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、久しぶりの厚生労働委員会一般質疑ということで、私のライフワークの一つである生活保護について質問させていただきたいと思います。
 本日は、データは最新ではないんですけれども、以前質問させていただきました生活保護ビジネスの問題について、私が大学院在籍時に研究調査をした当時の大阪市のデータをもとに分析し、検討を加えながら、一歩踏み込んだ質問をさせていただきたいと思います。きょうは少し数字が多いので、皆さん、注意深く聞いていただきたいなというふうに思います。
 まず、路上生活者等の居宅保護開始時に支給される敷金、一時扶助費について質問させていただきたいと思います。
 従来、路上生活者に対しては、そもそも生活保護を利用させないか、利用させるとしても施設や病院等に入所させる収容保護しか認めないのが一般的でありました。生活保護法第三十条第一項は、「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。」として、居宅保護の原則を定めています。
 しかしながら、同条第一項ただし書きが、例外として、「これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる。」と認めています。
 このただし書きを根拠として、実務運用は明らかに路上生活者に対する差別であり、違法な運用であると、野宿からの居宅保護を求めた訴訟が行われたのが佐藤訴訟であります。
 二〇〇二年三月二十二日、その佐藤訴訟において、大阪地方裁判所が従来の実務運用を違法であると判決を下し、そこで厚生労働省は、二〇〇三年七月三十一日、実施要領を改正し、「保護開始時において、安定した住居のない要保護者(保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る。)が住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合」には、敷金の支給を認めて差し支えないものとしました。
 今申し上げた実施要領は、「保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る。」としていますが、大阪市では、ほぼ限定なく、居宅保護の開始が認められていました。この実施要領の改正を受けて、居宅保護開始にかかわる生活保護ビジネスが拡大されたと私は考えています。
 二〇〇九年度の大阪市における敷金の請求金額は、一万二千四百四十五件であり、総額は三十三億三千三百二万二千百六十七円であり、一件当たり二十六万八千二百二十二円となります。そのうち、路上生活者の居宅保護開始件数は六千一件であり、ほぼ半数を占めています。
 保護開始時に支給される一時扶助のうち、布団類の請求件数は九千二十三件であり、総額は一億六千四十八万七千四百十一円であり、一件当たり一万七千七百八十六円。家具什器費の請求金額は、八千六百六十六件であり、総額は二億二百五十三万四千七十八円であり、一件当たり二万三千三百七十一円。被服費の請求件数は百三件であり、総額は百二十八万八千八百九十五円であり、一件当たり一万九百六十円。居宅保護開始時に支給される敷金、一時扶助費の平均金額は、一件当たり三十二万三百三十九円となります。
 生活保護ビジネスを展開する業者は、大阪市では支給限度額いっぱいで請求することが多く、仮に支給限度額いっぱいの請求であれば、一件当たり三十五万円になります。一方、浪速区のある良心的な業者の請求金額は十七万四千百円。生活保護を展開する業者と良心的な業者との請求金額の差額は、一件当たり十七万五千九百円であり、百件当たりであれば一千七百五十九万円にもなります。二〇〇九年度の大阪市の支給金額と良心的な業者の請求金額の差額を比較しても、一件当たり十四万六千二百三十九円であり、百件当たりであれば一千四百六十二万三千九百円となります。
 今申し上げたように、居宅保護開始時に支給される敷金、一時扶助費の支給水準と実際に生活保護サービスが提供できる費用にはギャップが大きいと指摘できます。このギャップが大きいからこそ、居宅保護開始時に支給される敷金、一時扶助費に便乗する生活保護ビジネスが成立すると考えられます。
 さらに、路上生活者を申請させれば、ほぼ間違いなく支給決定され、支給元が行政であるので確実に請求額を得ることができます。生活保護ビジネスを展開する業者は、住宅扶助、生活扶助サービスを一括して行っているのが一般的であり、その結果、一人入居させれば、入居の一時費用だけでなく、被生活保護者の死亡まで半永久的に利益を上げ続けることができます。
 現在、行政は被生活保護者に直接給付を行っていますが、私の実態調査を踏まえると、もし行政が良心的な業者を通じて生活保護サービスを提供する仕組みに転換すると、現在の生活保護水準を大きく変更せずに、居宅保護開始時に支給する費用が半分以下になる可能性を示唆しています。この場合、被生活保護者からすれば、支給水準が切り下げられたとは言えません。サービス提供に必要なだけの生活保護が行政から支給されるようにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

発言情報

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発言者: 谷川とむ

speaker_id: 16696

日付: 2019-06-05

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会