安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 斉藤鉄夫議員にお答えをいたします。
毎月勤労統計の事案に対する政府の姿勢と今後の基幹統計のあり方についてお尋ねがありました。
毎月勤労統計について、不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたことについて、国民の皆様に深くおわび申し上げます。
高い専門性と信頼性を有すべき統計分野において、長年にわたって誤った処理が続けられ、それを見抜けなかった責任については、重く受けとめます。
また、今般、その他の基幹統計についても緊急に点検を行いましたが、手順の誤り等の問題があったことは遺憾であり、速やかに是正の措置を講ずることとしています。
いただいた御批判は真摯に受けとめ、今回のような事態が二度と生じないよう徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要です。
厚生労働省の特別監察委員会は、事務局機能も含め、より独立性を高めた形で更に厳正に調査を進めていただくとともに、統計委員会には、新たに専門部会を設置いただき、基幹統計に加えて一般統計についても徹底した検証を行っていただきます。こうした取組を通じて再発防止に全力を尽くすことで、政治の責任をしっかりと果たしてまいります。
また、雇用保険、労災保険などの給付の不足分については、できる限り速やかに、簡便な手続でお支払いできるよう、相談体制の徹底及びその周知に努めるなど、必要な対策を講じていきます。
現に雇用保険等の給付を受給している方については、三月中には本来支給すべき金額での支給を順次開始できるよう、準備を進めているところです。
訪問医療や在宅看護の充実についてお尋ねがありました。
訪問医療や在宅看護の推進に当たって、中心的な役割を担う看護職員の人材確保が重要な課題であると考えます。
このため、新たに訪問看護に従事しようとされる方を対象に都道府県ナースセンターにおいて実際の職場体験や研修の実施により支援を行うとともに、既に訪問看護に従事している方については資質向上のための研修を実施するなど、各般の取組を行っていきます。
引き続き、訪問医療や在宅看護の充実を図るため、必要な人材確保に努めてまいります。
認知症施策の充実についてお尋ねがありました。
認知症は、誰もがかかわる可能性のある身近な病気です。認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があります。
平成十七年に始めた認知症サポーター研修の受講者数は、延べ一千万人を超えています。来年度からは、認知症の方の困り事などの支援ニーズとサポーターをつなげていく事業を創設することとしており、更に活躍の場を広げていただけると考えております。
また、認知症の方やその家族を訪問支援する認知症初期集中支援チームについては、ほぼ全市町村に設置されました。今後、チームのさらなる質の向上と周知を図っていきます。
昨年末には認知症施策推進関係閣僚会議を設置しました。新たな体制のもと、夏までに新オレンジプランを改定することとしており、政府一丸となって、更に踏み込んだ対策を検討し、速やかに実行してまいります。
がん対策の充実についてお尋ねがありました。
国民の二人に一人がかかると言われるがんは、国民の関心が高く、早期発見、早期治療とともに、療養中の生活の質の向上が重要であると考えます。
このため、議員の御提案にあるように、平成三十年三月に閣議決定した第三期がん対策推進基本計画に基づき、質の高い緩和ケア提供のための医療従事者に対する研修の推進、傷病手当金制度の見直しの検討を含む治療と仕事の両立支援、がんゲノム医療提供体制の構築を図るための中核となる拠点病院の整備、全ゲノムを含むがんゲノム医療の研究推進などに取り組んでいます。
また、分析した遺伝情報によって差別を生じさせることなく、安心してがんゲノム医療を受けていただくために、個人情報保護の徹底を図りつつ、カウンセリング体制の充実などにも取り組んでいきます。
今後とも、がん対策の充実に努めてまいります。
教育費負担の軽減についてお尋ねがありました。
子供たちこそ、この国の未来そのものであります。家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もがみずからの意欲と努力によって明るい未来をつかみ取ることができる社会をつくり上げることが重要です。
このため、本年十月から、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼児教育を無償化します。同時に、待機児童の解消を強力に進めるとともに、保育士等の皆さんのさらなる処遇改善、認可を目指す認可外保育施設への支援、企業主導型保育施設の質の改善など、質と量の両面から、子供たち、子育て世代に大胆な投資を行います。
また、御党から御提案をいただいた私立高校の授業料の実質無償化について、来年四月からの着実な実施に向け、しっかりと取り組んでまいります。
さらに、真に支援が必要な低所得者世帯の子供たちの高等教育も無償化し、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給するため、今国会に関連法案を提出することとしております。新たな制度について、支援が行き渡るよう、周知に取り組んでまいります。
人への投資に力を入れてきた御党とともに、子供たちの誰もが自信を持って学び、成長できる環境の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。
防災意識社会への転換についてお尋ねがありました。
近年、災害が激甚化する中、行政による公助はもとより、国民一人一人がみずから取り組む自助、そして、地域、企業、学校、ボランティアなどが互いに助け合う共助を組み合わせていくことが極めて重要です。
このような観点から、政府としては、南海トラフ地震を始めとする災害リスクやハザードマップ、避難行動計画等についての住民の方々の理解を促進するとともに、防災教育や避難訓練の充実、災害等に際しての避難に関する情報のわかりやすい提供に努めてまいります。
このような取組を通じて、御指摘のとおり、社会全体の防災意識を高め、さまざまな災害に備える防災意識社会の構築に取り組んでまいります。
防災・減災対策についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、昨年の西日本豪雨に際して、愛媛県大洲市の三善地区においては、事前に地区防災計画を策定し、災害・避難カードによる避難訓練等を実施していたことが役に立ち、住民全員が無事に避難することができたと承知しております。
政府としては、地域の防災リーダーを中心に市町村や住民等が地区防災計画や避難計画等の策定に取り組みやすくなるよう、アドバイザーの派遣やシンポジウムの開催、優良事例のホームページでの公開など、地域防災力の向上に向けた取組を今後も支援してまいります。
また、住民みずからが洪水発生時の行動を事前に時系列的に整理するマイタイムラインの作成は、平成二十七年の関東・東北豪雨を契機に各地の自治体で取組が始められていると承知しております。マイタイムラインの作成は、住民による的確な避難を担保する上で有効であると承知しており、政府としても、自治体等とも連携し、全国への普及に努めてまいります。
東日本大震災からの復興加速、福島再生についてお尋ねがありました。
東日本大震災からの復興は、政権発足以来、安倍内閣の最重要課題です。発災から間もなく八年が経過し、復興の総仕上げ、福島の本格的な復興に向けて、確固たる道筋をつける重要な局面を迎えています。引き続き、切れ目のない被災者支援、住まいと町の復興、なりわいの再生、原子力災害からの復興再生に全力で取り組んでまいります。
復興・創生期間後の復興の進め方については、今後、復興施策の進捗状況や、原子力災害被災地域の復興再生には中長期的な対応が必要であり、国が前面に立って取り組む必要があるといった観点を踏まえ、組織のあり方も含め、具体的に検討していく考えであります。三月には復興の基本方針を見直し、その中で復興・創生期間後の復興の基本的方向性についても示してまいります。
また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、被災地復興を世界に発信する絶好の機会です。被災地での聖火リレーやホストタウン等の機会を捉え、世界じゅうからいただいた支援への感謝を伝えるとともに、復興の姿を国内外に発信してまいります。
今後とも、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意のもと、東北の復興に政府一丸となって取り組んでまいります。
地方創生関係交付金の事業計画期間の延長、拡大についてお尋ねがありました。
それぞれの地方が持つ特色を存分に生かす発想が安倍内閣の地方創生です。そして、地方のことを一番よく知っているのはその地方にお住まいの皆さんであり、そうした皆さんの情熱、独自の創意工夫を、一千億円規模の地方創生推進交付金を活用し、全力で後押ししてまいります。
御指摘のあった事業計画期間の延長等についても、そうした観点から、地方ごとの実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう、本年の第二期総合戦略の策定に向けた準備の中で前向きに検討してまいりたいと考えています。
地方への移住支援策についてお尋ねがありました。
若者を中心に、地方への人の流れをしっかりとつくり上げることが、伝統あるふるさとを守り、次の世代に引き渡していくための鍵であると考えます。
そのためには、誰もが将来にわたって住み続けたいと思えるような魅力ある地域づくりが重要です。御指摘のような、サテライトオフィスの整備、都市のコンパクト化など、各自治体の創意工夫を、地方創生推進交付金などを活用し、支援してまいります。
同時に、本年四月から、東京から地方へ移住し、起業、就職する際には最大三百万円を支給する、新しい制度をスタートします。
地方にこそチャンスがある、そう考える若者たちの背中を力強く後押しすることで、全国津々浦々、活力ある地方創生を進めてまいります。
農林水産政策についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、農林水産業を成長産業化させ、所得の向上を実現するため、農地バンクによる農地集積や輸出促進など、農林水産業全般にわたってさまざまな改革を進めてまいりました。
これにより、生産農業所得は三年連続で増加して九千億円も拡大し、四十代以下の新規就農者も四年連続で二万人を超えています。農林水産品の輸出目標一兆円も、もう手の届くところまで来ました。
こうした動きを確かなものとするため、新たな挑戦も進めてまいります。ロボット、AI、IoTなど、身近になってきている先端技術は農業でも大いに活用できます。こうした技術を活用し、生産性を飛躍的に向上させるスマート農業を強力に推進してまいります。若者の新規就農の支援など、担い手の確保に向けた施策も引き続き着実に推進してまいります。
また、TPP11や日・EU・EPAに対しても、農林漁業者の皆さんの不安にもしっかり向き合い、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、きめ細かな体質強化策と経営安定対策を講じてまいります。
今後とも、生産現場の皆さんの声に耳を傾けながら、将来にしっかりと夢や希望を持てる農林水産新時代の構築に全力で取り組んでまいります。
観光立国の推進についてお尋ねがありました。
観光は、我が国の成長戦略の柱であり、地方創生の切り札です。安倍内閣では、できることは全て行うとの方針のもと、観光立国の実現に向け、精力的に取り組んでまいりました。
この結果、昨年、日本を訪れる外国人観光客は三千万人の大台に乗り、その消費額は四兆五千億円となるなど、観光は、全国津々浦々、地方創生の核となる、たくましい一大産業となりました。
今後は、国際観光旅客税も活用しながら、観光地における町ぐるみでの観光客受入れの取組を支援するなど、地方への誘客を進めてまいります。
あわせて、災害時における適切な情報提供など、外国人観光客が安心して日本を旅行できるよう万全の対策を講じるとともに、観光客の急増に伴う混雑といった課題に対しても、地域と連携しながら適切に対処してまいります。
また、国際観光旅客税の使途については、その時々の課題や現場のニーズに応じ、民間有識者の意見も踏まえつつ検討を行い、予算を編成するとともに、行政事業レビュー等をしっかり活用して、効果的かつ効率的に使用されるように取り組んでまいります。
新たな外国人材の受入れに向けた取組についてお尋ねがありました。
まず、本年四月の新たな外国人材の受入れに向け、受入れ機関や登録支援機関、支援計画等に関する政省令に関して、パブリックコメントを実施し、国民の皆様から幅広く御意見を伺ったところです。今後制定する政省令においては、今回いただいた御意見も踏まえつつ、日本人と同等額以上の報酬を始めとする適正な労働条件の確保や、悪質な紹介業者を排除するための規定を設ける方向です。
また、生活者としての外国人を支援するため、外国人の相談等の一元的な窓口であるワンストップセンターを地方公共団体が設置することを政府として支援するほか、技能実習制度についてもその適正化に努めてまいります。
大都市圏等に外国人が過度に集中することを防止する観点から、政府としては、地方で就労するメリットの外国人への周知、外国人の地方定着を促進する優良事例の受入れ機関や地方自治体への紹介、地方自治体の外国人受入れに係る先導的な取組に対する地方創生推進交付金による支援などの取組を行ってまいります。
また、受入れ機関が参加する分野別の協議会を設け、地域ごとの外国人の就労状況を把握するとともに、過度な集中が認められた場合には、受入れ機関に対して受入れ自粛の要請を行うなどの措置を講じてまいります。
これらの取組を推進することにより、国民と外国人とがお互いに尊重し合えるような多文化共生社会の実現を目指してまいります。
研究開発投資の充実についてお尋ねがありました。
イノベーションをめぐって各国が覇権争いを繰り広げる中、民間の研究開発投資の呼び水ともなる政府研究開発投資の充実は不可欠であり、現在の第五期科学技術基本計画においても、対GDP比一%を目指して取り組むこととしております。
こうした観点から、来年度予算においては、科学技術関係予算を今年度と比べて一〇%以上増加し、四兆二千億円余りを計上しているところです。
運営費交付金についても、民間企業との連携に積極的な大学を後押しすることなどにより、官民を合わせた研究開発投資全体の充実につながるよう、そのあり方を大きく改革してまいります。
今後とも、世界最先端の科学技術立国を目指し、基礎研究を始め、我が国の研究力の向上に政府を挙げて取り組んでまいります。
若手及び女性研究者の支援についてお尋ねがありました。
我が国が成長を続け、新たな価値を生み出していくためには、科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成、確保が重要です。
特に、若手研究者には、安定かつ自立した研究環境を整えることが極めて重要です。このため、科研費において、若手研究者への配分を大幅に拡充するとともに、運営費交付金のあり方を見直し、若手を積極的に雇用する国立大学や研究機関を支援することなどを通じて、未来ある若手研究者の研究環境を更に充実してまいります。
女性研究者には、研究と出産、育児等のライフイベントとの両立を図ることが極めて重要です。このため、支援員を配置するなど、育児中の女性研究者を積極的にサポートする大学への支援、出産、育児後に女性研究者が円滑に復帰するための奨励金の支給など、女性研究者の活躍を後押ししてまいります。
政府としては、科学技術イノベーションを推進するため、今後とも、若手や女性研究者の活躍を力強く後押ししてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣根本匠君登壇〕