岩屋毅の発言 (本会議)
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○国務大臣(岩屋毅君) 篠原豪議員にお答えいたします。
まず、長期契約法における縮減効果の客観性についてお尋ねがありました。
長期契約による縮減額につきましては、過去の契約実績を考慮の上、各種経費を構成する要素ごとに細かく計算した数値を積み上げることによって算定を行っております。また、算定に用いる過去の契約実績につきましては、防衛省として監査で確認をしているものであります。
このように、客観性が担保された契約実績を用いて積み上げを行っている縮減効果について、客観性に疑問があるとの御指摘は当たらないものと考えております。
次に、長期契約による縮減額の算定根拠についてお尋ねがありました。
平成三十一年度予算案においては、PAC3ミサイル用部品の一括取得及びE2Dの九機調達によりまして、約三百五十六億円の縮減額を見込んでおります。
その具体的内容と積算根拠について申し上げれば、PAC3ミサイル用部品については、今後の修理で必要となる部品を、米国等も調達する時期に合わせて十年間の包括契約で一括調達することによりまして、約三十一億円の縮減を見込んでおります。また、E2Dにつきましては、米海軍の調達にあわせて発注をし、七年間の契約で九機を調達することによりまして、約三百二十五億円の縮減を見込んでおります。
なお、いずれの縮減額につきましても、過去の契約実績や企業見積りを含む各種のデータを考慮の上、適切に算定したものであります。
次に、長期契約法による後年度負担への影響についてお尋ねがありました。
装備品は、契約から取得、納入まで、長いもので四年から五年を要することから、後年度負担が発生することになります。
この点、長期契約方式であろうと従来の方式であろうと、各年度に歳出化経費を含む必要な支払いが発生することに変わりはありません。長期契約を活用することで、全体経費が縮減され、中長期的には後年度負担を含む財政負担の軽減が図られる効果があると考えております。
次に、中長期的な影響についてお尋ねがありました。
長期契約の対象となる装備品の選定に当たりましては、中長期的な見通しに立った防衛大綱や中期防に基づき、確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであることに加え、コスト縮減効果と調達の安定化の効果が十分見込まれるものを対象とすることとしており、国際情勢や技術動向を総合的に勘案して慎重に判断することとしております。
これに加えまして、対象となる装備品は、製造期間を通じて仕様が安定しているものとしており、技術革新の反映の必要性の有無などを慎重に見きわめ、装備品が陳腐化したり、将来の財政支出を過度に確定させることのないよう、引き続き努めてまいります。
次に、維持整備費の増加についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境は格段に速いスピードで不確実性と厳しさを増しております中、警戒監視活動や対領空侵犯措置など平素からの自衛隊の活動の増大に的確に対応していくために、装備品の維持管理費が上昇傾向にあることは事実でございます。
厳しい安全保障環境を踏まえれば、我が国の防衛を全うするために、高性能な装備品は必要不可欠であり、同時に、その能力を十分に発揮できるよう維持整備に万全を期していくため、必要な経費をしっかり確保する必要があると考えております。
このため、平成三十一年度予算案におきまして、維持整備費は契約ベースで対前年度約四百一億円増の八千九百五十三億円を計上する一方、装備調達の最適化などに取り組むことで、防衛予算全体では約四千百五十九億円の縮減を図ることとしており、引き続き、一層の効率化、合理化を進めてまいります。
次に、調達コストの縮減の取組の成果についてお尋ねがありました。
厳しい財政事情のもと、防衛力の確実な整備を実現するためには、一層の効率化、合理化を徹底することは当然であり、防衛省としては、各種の効率化施策に取り組んできたところであります。
その結果、現中期防におきましては、平成三十年度までの五年間の累計で約七千七百十億円の合理化を実現しており、また、新中期防に基づいて編成した平成三十一年度予算案においても、装備調達の最適化や費用対効果の低いプロジェクトの見直し等によりまして、約四千百五十九億円の効率化、合理化を見込んでいるところであります。
我が国を取り巻く安全保障環境に対応するために必要な予算を確保しつつも、予算の合理化、効率化に引き続き取り組んでまいります。
次に、防衛産業の再編についてお尋ねがありました。
我が国の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤ですけれども、高コスト構造や国際競争力の不足といった課題を抱えていることも事実でございます。
こうした課題に対応するため、価格面も含めた競争性のある強靱な防衛産業を構築していく必要があると考えておりまして、新たな防衛大綱及び中期防におきましては、装備品の効果的、効率的な取得を一層推進していくとともに、技術基盤の強化と産業基盤の強靱化に優先事項として取り組むこととしております。
この際、個々の企業の組織のあり方はあくまで各社の経営判断によるものではありますけれども、新たな中期防にも明記しているとおり、防衛省としても、各企業に対して効率化を促す各種施策に取り組み、これらの結果生じ得る企業の再編、統合も視野に、産業基盤の効率化、強靱化を図ってまいります。
次に、長期契約法が防衛産業の再編に与える影響についてお尋ねがありました。
長期契約法は、装備品や役務の調達コストを縮減するとともに、調達を安定的に実施していくことを目的としており、企業の予見可能性を高め、撤退抑制にも寄与する効果が期待できるものと考えております。
一方、長期契約の適用に当たりましては、長期契約によることが、かえって効果的、効率的な装備品等の調達の実現を妨げることにならないように、装備品等を厳格に選定することとしており、また、企業側においても、長期にわたる契約を踏まえ、コスト縮減に取り組むこととなります。
このため、長期契約は、各企業における組織のあり方を含めた効率化に向けた取組を妨げるものではないと考えております。
次に、新たな中期防における実質的な財源確保のための方策についてお尋ねがありました。
新たな中期防におきましては、重要度の低下した装備品の運用停止や費用対効果の低いプロジェクトの見直し、徹底したコスト抑制や長期契約を含む装備品の効率的な取得などの装備調達の最適化、その他の収入の確保などの施策を通じて実質的な財源確保を図ることとしております。
おのおのの施策の縮減額は、各年度の予算編成において具体的な議論を行っていくことから、現時点で確たる数字をお答えすることは困難ですけれども、新たな中期防に基づいて、一層の効率化、合理化を図り、経費の抑制を徹底してまいりたいと思います。
次に、防衛予算の規模についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで不確実性を増しております。真に実効的な防衛力を構築するためには、防衛力の質と量を必要かつ十分に確保する必要があります。これを踏まえまして、新たな中期防に基づく防衛関係費の伸びは、実質で年平均一・一%がめどとなっております。
今後の毎年度の防衛関係費のあり方につきましては、中期防に基づき、各年度の予算編成過程において個別具体的に決定していくものであり、現時点で予断を持ってお答えすることはできません。
いずれにしても、新たな中期防では、中期防期間中に新規契約できる事業費の枠を示しており、この事業費を限度としながら、一層の効率化、合理化を徹底すること等によりまして、他の諸施策との調和を図りつつ、毎年度の予算編成を行ってまいります。
なお、我が国に必要な防衛力は、その時々の安全保障環境や技術的水準の動向等によることとなるため、新たな中期防より後の平成三十六年度以降の防衛関係費のあり方については、その時点での内外の諸情勢を踏まえて検討されることになるものと思います。
次に、補正予算への防衛関係費の計上についてお尋ねがありました。
財政法第二十九条におきましては、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出などについて、政府は補正予算を作成することができる旨を定めているものと承知をしております。
各年度の補正予算におきましては、当初予算成立後も刻々と変化する安全保障環境等を踏まえ、弾道ミサイル攻撃への対応等、自衛隊の安定的な運用体制を確保する必要があることから、必要な装備品等を着実かつ可能な限り早期に取得するために緊要性のある経費を計上しており、防衛省としては、これらについて財政法上の問題はないと認識しております。
イージス・アショアに関しましても、平成二十九年十二月に二基の導入を決定し、これを可能な限り早期に進めるため、平成二十九年度補正予算におきまして、米国からの各種情報の取得に要する経費二十八億円を計上しており、適正なものであると考えております。
次に、長期契約法のFMS調達の装備品、とりわけE2Dへの適用についてのお尋ねがありました。
一般に、FMS調達は、価格は見積り、納期は予定である等の特徴がありますが、長期契約法をFMS調達の装備品に適用することは可能であり、他の調達方法による装備品と同様に、これがコストの縮減と調達の安定的な実施に資することが重要であります。
平成三十一年度予算案に計上したE2Dの調達は、米海軍の調達分二十四機と空自の調達分九機のまとめ買いが前提です。米側は空自の調達分とあわせて米国の製造企業に対して発注することから、価格の低減効果が発生し、製造ラインも、米海軍の調達期間中、確実に維持される見込みです。
この点につきまして、米海軍との間で、現在の価格と納期の見積りを遵守すべく最大限努力する旨を確認し、また、私も、一月のシャナハン米国防長官代行との会談において、円滑かつ速やかな導入について協力することを確認しており、引き続き米国と緊密に協力していく考えです。
このように、今回のE2Dの取得に関する長期契約法の適用は、コストの縮減と調達の安定的な実施に資するものと考えております。
最後に、FMSへの長期契約法の適用と国内防衛産業の保護との関係についてお尋ねがありました。
長期契約法の主な目的は、一層厳しさを増す財政状況のもとで、効率的、安定的な装備品等の調達を実現することであり、また、国内の防衛産業の予見可能性を高め、撤退抑制にも寄与する効果が期待できるものと考えております。
この観点から、コスト縮減効果や調達の安定化が見込まれるものであれば、FMSによる装備品の調達も長期契約の対象に含まれるものであり、長期契約法の目的と矛盾するものではないと考えております。
その上で、国内の防衛産業は、装備品の生産、運用、維持整備に必要不可欠な基盤であり、競争性のある強靱な防衛産業を構築してまいります。(拍手)
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