吉川貴盛の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(吉川貴盛君) 金子議員の御質問にお答えいたします。
 本法律案の検討経緯についてのお尋ねがありました。
 本法律案につきましては、一昨年、閣議決定された未来投資戦略二〇一七に基づき実施した、国有林野の木材販売についての民間事業者からの改善提案において、現行よりも長期にわたり樹木を伐採できる制度の創設の希望が多数寄せられたことから、それらの提案を踏まえ、林政審議会において十分に審議をいただき、政府として本法律案を提出したものであります。
 林業経営者の経営の安定に向けましては、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理に向けた森林経営管理制度が円滑に機能することが重要であります。
 このため、民有林を補完する形で、本法律案の樹木採取権制度により、意欲と能力のある林業経営者が長期的に安定した事業量を確保できるようにする考えであります。
 なお、本法律案におきましては、国が国有林野の管理経営の主体であることに変わりはなく、PFI法に基づく公共施設等運営権のように施設の運営を事業者に委ねる仕組みとは異なっております。
 公益的機能の維持増進や地域産業の振興についてのお尋ねがありました。
 本法律案におきましては、樹木採取権者は事業を開始する前に、権利の行使方法等を定めた五年ごとの契約を農林水産大臣と締結することとしております。
 この契約により、樹木採取権者の施業の計画は、現行の国有林の伐採のルールにのっとり、農林水産大臣の定める基準や国有林野の地域管理経営計画に適合しなければならないこととしており、このような仕組みによって公益的機能の確保が図られるものと考えています。
 また、樹木採取権者の選定に当たっては、樹木料の算定の基礎となる額や事業の実施体制、地域の事業振興に対する寄与の程度といった事項を勘案して評価することとしています。
 具体的には、地域における雇用の増大への取組や地域における事業の実績などを評価することを想定しており、地域における産業の振興や住民の福祉の向上といった国有林野の管理経営の目標に沿ったものとしているところであります。
 樹木採取権の存続期間の上限の考え方についてのお尋ねがありました。
 樹木採取権については、国の財産である国有林の樹木を独占的に採取する権利であり、その存続期間が過度に長期に及ぶことは望ましくなく、一般的な人工林の造林から伐採までの一周期が五十年程度であることから、その存続期間の上限を五十年としているものであります。
 このような中、地域の意欲と能力のある林業経営者の育成や地域の産業振興への寄与の観点から、これらの林業経営者が対応しやすい規模に鑑み、その期間は、十年を基本として運用していく考えであります。
 また、国有林野の適正な管理に関して、樹木採取権者は、農林水産大臣と五年ごとに具体的な施業の計画等を内容とする契約を締結しなければ樹木の採取はできないこととしています。
 これにより、国として、その時々における情勢や計画制度との整合性を図りつつ、国民共通の財産である国有林の公益的機能の維持増進を担保するものであり、権利の期間を通じて適切に事業が実施されるよう措置しているところであります。
 樹木採取区指定の基準と規模についてのお尋ねがありました。
 樹木採取区指定の基準については、杉、ヒノキ、カラマツなど一般的に流通している樹種の生産可能な人工林であること、権利期間にわたり採取に適した樹木の資源量を平準的に確保するために必要な面積を有していること等を想定しています。
 樹木採取区の規模については、地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できるよう、当面は、一カ所数百ヘクタール程度の樹木採取区を十カ所程度、合計数千ヘクタール程度をパイロット的に指定し、取組を進めてまいります。
 樹木採取権の設定を受ける者についてのお尋ねがありました。
 樹木採取権の設定を受ける者は、森林組合、素材生産業者、自伐林家など都道府県が公表する意欲と能力のある林業経営者又はそれと同等の能力がある者であることを要件とすることから、投資のみを目的とする者は対象となりません。
 また、民有林からの木材の供給を圧迫しないためには、木材の新規の需要先が確保されることが重要であるため、丸太を利用する製材工場といった木材利用事業者等、製材工場などの製品を利用する工務店といった木材製品利用事業者等との協定などにより、木材の安定的な取引関係を確立することが確実と認められることを要件としております。
 さらに、地域における産業振興への寄与の程度については、素材生産量の増加を通じた雇用の増大、事業所の有無や事業の実績などについて、樹木採取区の所在する地域における取組を評価する考えです。
 植栽についてのお尋ねがありました。
 樹木採取権については、区域内の樹木を伐採することのみを権利の対象とし、伐採後の植栽は国が責任を持って行うことにより、その樹木は国有林として管理することとしております。
 他方、伐採後の植栽を低コストで効率的に実施するためには、樹木採取権者が伐採と一貫して植栽作業を行うことが望ましいと考えております。
 したがって、本法案における、「植栽をその樹木の採取と一体的に行うよう申し入れるものとする。」との規定に基づき、国が樹木採取権者を公募する際に、樹木採取権者が植栽の作業を行う旨申し入れることとしております。
 国は、この申入れに応じ、申請した者の中から樹木採取権者を選定することとなることから、樹木採取権者により確実に植栽が行われることとなります。
 山村地域の振興対策についてのお尋ねがありました。
 今回の仕組みにおいては、樹木採取区は、地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できる規模を基本とすることとしています。
 また、樹木採取権者の選定に当たっても、樹木料の高低だけでなく、雇用の増大を始めとする地域への貢献度合いなどを総合的に評価するなど、大企業を優先するものではなく、地域の林業経営者の育成につなげていきたいと考えております。
 このような本法案の制度に加え、山村の所得、雇用の増大を実現するため、林業の成長産業化を図るとともに、森林の観光資源としての活用の推進、まきや炭、山菜等の地域資源の付加価値向上、地域住民等が行う里山林の保全、森林資源の利活用等の取組を支援することにより、山村地域の振興を図ってまいります。
 林業労働者の確保、育成についてのお尋ねがありました。
 林業従事者の確保、育成を図るためには、林業従事者の所得の向上や雇用の安定化、安全な職場の確保など労働条件の改善を図っていくことが極めて重要であると考えています。
 このため、農林水産省としては、林業の成長産業化を図り、林業経営体の収入をふやすとともに、素材生産から造林、保育まで、一年を通じた複数の林業作業に対応できる現場技能者の育成を支援するほか、高性能林業機械の活用への支援等を行ってきたところですが、さらに、安全な労働環境の確保のため、林業の現場への巡回指導や安全教育に対する支援等に加え、伐木等作業の無人化に向けた林業機械の開発等にも取り組むこととしています。
 国有林野の管理経営の実施体制の強化についてお尋ねがありました。
 国有林野の管理経営に関する基本方針を定める国有林野管理経営基本計画におきまして、国有林野事業については、公益重視の管理経営を一層推進することとしております。
 また、我が国の林業成長産業化に貢献するため、意欲と能力のある林業経営者の育成支援や市町村林務行政に対する技術的支援などに取り組むこととしております。
 こうした取組を着実に推進するため、必要な予算の確保に努めるとともに、国有林野の管理経営のみならず、民有林の指導やサポートに必要な技術や能力を持った人材の育成や確保に取り組む所存でございます。
 里山再生モデル事業についてのお尋ねがありました。
 平成二十八年三月に取りまとめた福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組に基づき、住居の近隣の森林の除染、間伐等の森林整備等を関係省庁が連携して行う里山再生モデル事業を実施しているところでございます。
 本事業につきましては、事業実施により得られた除染や森林整備等の知見を整理して、平成三十一年度内を目途にその成果を取りまとめ、福島の森林・林業の再生に向けた的確な対策の実施に反映をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    —————————————

発言情報

speech_id: 119805254X02120190425_023

発言者: 吉川貴盛

speaker_id: 8487

日付: 2019-04-25

院: 衆議院

会議名: 本会議