吉川貴盛の発言 (本会議)
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○国務大臣(吉川貴盛君) 緑川議員の御質問にお答えいたします。
本法律案の検討プロセスについてのお尋ねがありました。
本法律案につきましては、一昨年、閣議決定された未来投資戦略二〇一七に基づき実施した、国有林野の木材販売についての民間事業者からの改善提案において、現行よりも長期にわたり樹木を伐採できる制度の創設の希望が多数寄せられたことから、それらの提案を踏まえまして、林政審議会において十分に審議をいただき、政府として本法律案を提出したものであり、検討のプロセスは適切であったと考えております。
公益的機能の維持についてのお尋ねがありました。
本法律案におきましては、樹木採取権者は事業開始前に、権利の行使方法等を定めた契約を農林水産大臣と締結することとしております。
この契約により、樹木採取権者の施業の計画は、国有林の伐採のルールにのっとり、農林水産大臣の定める基準や国有林野の地域管理経営計画に適合しなければならないこととしており、このような仕組みによって公益的機能の確保を図りつつ、国が責任を持って一体的に国有林野の管理経営を行ってまいります。
樹木採取区の指定についてのお尋ねがありました。
保安林においては、その指定の目的に応じた立木の伐採方法等を定めた指定施業要件の範囲で伐採を行うことは可能であり、保安林での樹木採取区の指定はあり得るものであります。
樹木採取権者は、この保安林の指定施業要件に基づき伐採を行うため、保安林の指定の目的が損なわれない仕組みとなっております。
子供たちの自然体験や自然学習などの活動との関係についてのお尋ねがありました。
子供たちの自然体験等を推進する観点から、地域との協定等により、こうした活動が行われている森林において、樹木採取区を設定することは想定していません。
このような考えのもと、国有林における木の文化を支える森づくりや森林環境教育といった取組は引き続き積極的に推進する考えであります。
樹木採取権の設定についてのお尋ねがありました。
権利の設定を受けようとする者に対しては、川中、川下事業者との協定などにより、木材の安定的な取引関係を確立することが確実であることを確認する考えにあり、事業者の規模や形態は問わない考えであります。
また、このような安定的な取引関係により木材の新規の需要先が確保されていれば、民有林からの木材の供給を圧迫しないものと考えます。
中小の林業経営者の育成についてのお尋ねがありました。
今回の仕組みについては、樹木採取区は、地域の意欲と能力のある林業経営者が対応できる規模を基本とすることとしております。
また、樹木採取権者の選定に当たっては、樹木料の高低だけではなく、地域への貢献度合いなどを総合的に評価するとともに、複数の中小事業者が協同組合等として申請することも可能としています。
このように、今回の仕組みは、大企業優先ではなく、中小規模を含めた地域の林業経営者の育成に貢献する措置であると考えております。
樹木採取権の要件についてのお尋ねがありました。
国産材の需要を拡大していくためには、川上、川中、川下のサプライチェーンを構築していく必要があり、市場を介さず川上、川中の協定による直送方式の木材供給や、川上、川中、川下の事業者が連携した、顔の見える木材での家づくりなどの取組が進められており、安定的な取引関係の確保を条件としても対応できるものと考えています。
民有林材とのすみ分けについてのお尋ねがありました。
意欲と能力のある林業経営者からは、国有林に対して、長期的に安定した事業量を確保できることが求められており、付加価値の高い伝統工芸品用等の木材の供給が求められているわけではないことから、このことによる民有林材とのすみ分けは想定はしていません。
また、樹木採取権者の選定に当たっては、地域への貢献度合い等を総合的に評価することとしており、事業規模や価格競争力のみで選定することにはならないと考えています。
地域の林業の雇用との関係についてのお尋ねがありました。
本法案の樹木採取権の設定を受けた事業者は、確実な事業量の見通しが得られることにより、人材や機械といった経営基盤が強化され、事業の拡大や生産性の向上が図られると考えています。
これらにより、樹木採取権者が地域の雇用の受皿となるとともに、従事する方の賃金の改善につながると考えています。
本法案による自伐林家への支援についてのお尋ねがありました。
樹木採取権の設定を受ける者については、森林経営管理法に基づき、都道府県が公表する意欲と能力のある林業経営者などとしており、自伐林家についても対象となるものと考えております。
今回の仕組みにより、自伐林家を含め、地域の林業経営者が長期的に安定した事業量を確保できるようにすることで、林業の成長産業化や山村振興に貢献するものと考えております。
樹木採取区の指定についてのお尋ねがありました。
樹木採取区については、樹木の採取に適する相当規模の森林資源が存在する一団の国有林野の区域等の基準に該当するものとし、当面は一カ所数百ヘクタール程度とする考えです。
この中で、実際に伐採を行う場合には、国有林野の伐採のルールにのっとり、一カ所当たりの皆伐面積の上限を五ヘクタールとし、尾根や渓流沿い等には保残帯を設置すること等を遵守させる考えです。
急傾斜地での伐採の必要性についてのお尋ねがありました。
急傾斜地や林道から離れた森林については、木材生産を行っても採算が合わないことから、樹木採取区の指定の対象から外すこととしています。
なお、このような箇所で公益的機能の発揮のため間伐等伐採が必要な場合は、森林整備事業により保育間伐等を行う考えでございます。
災害の危険性が高い箇所の把握状況と樹木採取区としての扱いについてのお尋ねがありました。
国有林においては、地質条件等に鑑み、山地災害の発生により被害のおそれがある等の箇所を把握した上で、重視する機能に応じて森林を区分して、管理経営を行っております。
災害の危険性が高い森林については、樹木採取区の指定の対象外とする考えでございます。
植栽についてのお尋ねがありました。
植栽を低コストで効率的に実施するため、樹木採取権者が伐採と一貫して植栽作業を行うことが望ましいことから、法律案の、申し入れるとの規定に基づき、国が公募する際、樹木採取権者が植栽作業を行う旨申し入れることとしております。
国は、申入れに応じた者の中から樹木採取権者を選定するため、樹木採取権者が確実に植栽を行うこととなります。
仮に、事故等により樹木採取権者が行えない場合も、国が他の事業者に委託をすることにより、責任を持って植栽を実施いたします。
花粉発生源対策についてのお尋ねがありました。
杉花粉症は、国民の三割が罹患しているとも言われ、社会的、経済的にも大きな影響を及ぼしていることから、政府を挙げて対応すべき重大な課題であると認識をしています。
このため、農林水産省では、花粉発生源対策として、花粉を大量に飛散させる杉、ヒノキ人工林の伐採、利用と植えかえの促進、花粉の少ない苗木の生産拡大、花粉飛散抑制技術の開発を進めているところでございます。
さらに、今後、杉、ヒノキ人工林の伐採と花粉の少ない苗木への植えかえを促進していくためには、切って、使って、植えるといった、森林資源の循環利用を確立し、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を実現していくことが不可欠であり、これらの実現を図りつつ、国有林、民有林ともに花粉発生源対策を着実に進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣石井啓一君登壇〕