長妻昭の発言 (本会議)
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○長妻昭君 立憲民主党の長妻昭でございます。
私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対して、賛成の立場で、特に年金問題を中心に討論をいたします。(拍手)
まず、先ほど自民党の議員の方がここでいろいろおっしゃいましたけれども、自分たちはすばらしいの一点張り。お友達ばかりで、周りに誰も問題を進言する人がいないのでしょうか。
隠蔽、改ざん、あげくの果てに、自分が頼んだ報告書を受け取らず、なきものにしようとする。安倍内閣では新しい手口が次々に出てまいります。ここまで来れば何でもありです。モラルもへったくれもありません。社会の秩序がどんどん壊れてまいります。本当にこの内閣を続けさせていいんでしょうか。今、国会の良識が問われております。
受取を拒否された報告書を作成した金融審議会市場ワーキング・グループのメンバーである有識者の先生と直接お話をいたしました。こんなことでは、今後、審議会が首相官邸や大臣をそんたくし過ぎるようになる、多様な意見が表明されず、事務局を務める官僚ペーパーを追認するだけの存在になってしまうのではないかと本気で国の将来を憂えておられました。
安倍総理は国会で、報告書について、月五万円、三十年で二千万円の赤字であるかのように表現した点については、誤解や不安を広げる不適切な表現であったと答弁し、麻生大臣の受取拒否を是認いたしました。しかし、この数字は伝統ある総務省家計調査に基づく、既に公表済みの数字であり、赤字という表現は、これまでも政府は国会答弁で使っているのです。
例えば、平成二十八年十月の厚労委員会で、家計調査に基づく私の質問に対して、総務省は、「二〇一三年及び二〇一四年は赤字が拡大している状況が見られます。」と、高齢無職世帯の赤字額が明記された資料に基づいて平気で答弁しています。まさか、過去の赤字との国会答弁全てを削除するつもりではないでしょうね。
さらに、新たに判明した事実は、金融庁がこのワーキング・グループに老後最大三千万円必要との試算を提出していたことです。当の金融庁試算より控え目な二千万円との報告書をなぜ受け取らないんですか。不安を広げているのは、現実と向き合わない安倍総理そのものではないでしょうか。
もう一つ、国民に年金不信をもたらしていることに、年金百年安心という、政府・与党が連発する決めぜりふがあります。現与党が選挙目当てに使い始めた言葉です。いまだ、今月になっても、安倍総理は、年金百年安心がうそであったという指摘は、そうではないと国会答弁し、マクロ経済スライドの話に終始しました。
しかし、これは簡単に言えば、年金財政が苦しくなったら年金受給額が自動的に減るという制度自体が破綻しない仕組みにすぎません。幾ら制度が続いたとしても、将来、お小遣い程度の年金になって、老後安心しろと言われても困ってしまいます。年金百年安心という言葉によって自縄自縛に陥り、年金で生活できないという現実までをも否定するのは、幾ら何でも無理筋ではないでしょうか。
政策立案にとって最も重要なことは何か。それは現実を直視するということです。ここからしか間違いのない政策立案は始まりません。
今月の党首討論で安倍総理は、GPIFによる年金積立金の運用で巨額な運用益が出ていると胸を張りました。しかし、最新の四半期運用実績、二〇一八年十月から十二月まででは、市場運用始まって以来、史上最大の含み損十四・八兆円が出ました。これは最新の四半期実績です。株が大暴落したリーマン・ショック時よりも損が大きいのは、GPIFの説明によると、安倍内閣になって株式運用の比率を大幅に増加させたことが原因ということでした。
安倍総理は、このような不都合な事実は一切触れません。本来は悪い数字ほど気にかけて向き合うべきではないでしょうか。
また、同じ党首討論で安倍総理は、無年金者を減らすために、これまで二十五年だった年金受給資格を、年金保険料を十年以上払い込めば受給可能にする新たな制度について、私の成果と言わんばかりに胸を張って答弁をしました。しかし、これは民主党政権時に法案として成立させたものです。これも御存じなかったのでしょうか。
これまでも、年金となると安倍内閣は過剰反応をいたします。
今回の報告書を、不安を広げると安倍総理は答弁していますが、消えた年金五千万件の際も、対策を求める質問に、不安をあおると国会で答弁をしました。
そして、消えた年金問題では、国会で、最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そして全てお支払いするということはお約束したいと思いますと大うそをつきました。この発言について、安倍総理はことし二月の予算委員会で、それができませんと言えば、それはまさに不安をあおることにつながると強弁しております。うそをついてでも一時的に不安が抑えられればよいというふうに聞こえます。
消えた年金問題は、私たちが、ふたをしようとする安倍内閣を徹底追及して事実を認めさせました。現在までに、人数で一千五百二十一万人の記録が回復し、生涯額として二・七兆円の年金が回復しました。国民約十人に一人もの記録が回復したわけです。年金保険料の納付記録が記された紙台帳も七・二億件を捜し出し、七千九百万人分の照合を完了させました。この問題は、私たちが大騒ぎしなければ、安倍内閣によって闇に葬られたわけです。
しかし、五千九十五万件のうち、三千二百三十四万件の年金記録は解明されたものの、いまだ一千八百六十二万件が未解明です。確かに難易度の高い記録が残っていることは理解しますが、問題は、安倍内閣にやる気がうせていることです。総務省第三者委員会も解散し、年金等監視委員会も解散し、安倍総理は、あれだけ約束した割には興味を完全に失っています。なぜ本気で解明を続けないんでしょうか。
今こそ、現実を直視する政治が必要です。
これから、老後の生活はますます厳しさを増していきます。高齢者六十五歳以上のひとり暮らしも増加し、現在、六人に一人はひとり暮らしです。東京に限ると、三人に一人の高齢者がひとり暮らしとなっています。また、ひとり暮らし高齢者の持家比率が低下をして、今や三四%が借家です。特に女性の高齢ひとり暮らしの方は年金が少なく、相対的貧困率が四四%です。高齢ひとり暮らしの女性の半数近くが、収入でいえば、おおむね生活保護世帯収入並みか、それ以下で暮らしているのです。さらに、現在、高齢者の七人に一人が認知症ですが、この比率も増加しています。
いわゆるロスジェネの問題もあります。就職氷河期など厳しい時代に社会に出た四十歳プラスマイナス五、六歳の世代は一千万人を超えます。非正規雇用が多く、老後の年金も低年金になってしまいます。
自民党が労働者派遣を大胆に解禁したことを契機に非正規雇用が増加し、今や被用者の四割にもなりました。これも、将来多くの低年金者を生んでしまう自民党の大失政でした。
このような厳しい環境の中で、将来、基礎年金が大きく目減りします。マクロ経済スライドが長期に基礎年金にかかってくるのです。それによって基礎年金の実質価値が三割程度低下することは、今月の厚労省審議官による国会答弁でも明らかです。これらの年金目減り問題をどうするのか。
せっかく審議会から老後の資金不足への問題提起がなされたわけですから、報告書の受取拒否ではなく、一旦受け取った上で、安倍内閣の対案を記した追加報告書を作成すべきだったんです。野党に対しては対案、対案と迫るにもかかわらず、老後の資金不足に関してふたをする安倍内閣の姿勢は言行不一致です。
また、年金に大きな格差があることも日本の大きな問題です。
厚労省の調査によると、六十五歳以上の年金受給者のうち、年金額を多い順から十分類すると、最小額と最大額のグループとで実に七倍もの差がありました。老後の格差が大きな社会問題となり、「老後破産」「下流老人」などの書籍が相次いで発売されています。
では、私たちはどう考えるか。立憲民主党は、まず、老後、健康でなくなった場合、年金があっても生活が立ち行かなくなるリスクに対応しなければならないと考えます。
一つの世帯で、医療、介護、更に障害福祉や保育サービスも同時に受けることになるケースが多々あります。その場合、自己負担が積み重なり、最低限の医療や介護すら受けられない事態が生じてしまいます。
これを避けるために、医療、介護、障害福祉サービスなど複数の自己負担の合算額に、年金を始めとする世帯の収入に応じて上限額を設ける総合合算制度の創設を提案しています。社会保障の自己負担の軽減策です。
この総合合算制度の是非について、枝野代表から今月の党首討論で問われた安倍総理は一切答えませんでした。
しかし、驚くことに、その後の週末のテレビ出演では、枝野さんが言っている総合合算制度、医療と介護に上限をつくっていく、これ、既に上限があるんですと言い、保育の無償化にも触れ、枝野さんの意見は全く意味のない意見と切り捨てました。
医療と介護だけについて自己負担を合算して頭打ちにする現行制度は、与党の中からも不十分との声が出ており、だからこそ、障害福祉サービスも加え、現実的に最低限度の福祉サービスが受けられる新たな制度である総合合算制度を提案しているのではないですか。
国会では答えず、反論の出ないテレビでは一方的に主張する。一国の首相としてふさわしい振る舞いとは到底思えません。
さらに、立憲民主党は、年金の最低保障の機能強化のため、厚生年金の適用拡大を提案しています。
厚生年金の加入資格があるにもかかわらず国民年金に加入している人が、いまだ推計約百五十六万人もおられます。この実態は、私の求めに応じて政府が調査した結果です。
会社等で働いていれば、厚生年金に加入させ、事業主負担を払うというのは法律のルールです。違反した場合は罰則もあります。年金の無法が放置されています。
また、これ以外に、法的ルール上、会社で働いていても厚生年金に加入できない非正規雇用の方々が多数おられます。ルールを緩和して多くの方が厚生年金に加入できる適用拡大を提案しています。
しかし、安倍内閣は、これらの問題に本気で取り組む気がありません。
年金の五年に一度の健康診断である財政検証も、参議院選挙後に先送りするようです。
前回は、経済前提が決まってから三カ月弱で提出されました。今回も、経済前提はことし三月十三日に決まりましたので、本来は本年六月四日には公表可能なはずでした。
きちっと公表していれば、国会で約一カ月、年金の建設的議論ができたはずです。貴重な機会が失われました。
年金の目減り対策に手をこまねいているうちに、生活保護が増加しています。二〇一六年には、生活保護に占める高齢者世帯が半分を超えてしまいました。どんどんふえています。今や生活保護が年金のかわりになりつつあるのです。
本来は、財政検証を公表した上で、目減りする基礎年金を下支えするために、予算委員会の集中審議を開催して、与野党で、中長期的課題も含め、年金論議を進めるべきでした。
ヨーロッパで実施されている低年金者への下支え政策は参考になります。英国ではペンションクレジット、フランスでは高齢者連帯手当、ドイツでは高齢者基礎保障などの制度があります。これらを参考に、中長期的課題として国会で年金論議を進めることができなかったのは、大変残念です。
以上、安倍内閣不信任案への賛成の理由を年金問題に絞って申し述べました。
日本は民主主義の国です。最後は選挙で打開するしかありません。前回の衆議院選挙では、比例票は野党が与党を上回りました。立憲民主党は、もちろん楽観することもなく、しかし悲観することもなく、現実を直視する、真っ当な政治の実現に向けて前に進んでまいります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)